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食葉性害虫に対し抑制効果を有する細菌を内包したアルギン酸マイクロビーズによる害虫駆除の方法 コモンズ

国内特許コード P110005021
掲載日 2011年8月18日
出願番号 特願2002-260419
公開番号 特開2004-099465
登録番号 特許第3686945号
出願日 平成14年9月5日(2002.9.5)
公開日 平成16年4月2日(2004.4.2)
登録日 平成17年6月17日(2005.6.17)
発明者
  • 眞山 滋志
  • 土佐 幸雄
  • 大津 康成
  • 豊田 秀吉
  • 桜谷 保之
  • 松田 克礼
  • 野々村 照雄
  • 瀧川 義浩
  • 森 裕文
出願人
  • 国立大学法人神戸大学
発明の名称 食葉性害虫に対し抑制効果を有する細菌を内包したアルギン酸マイクロビーズによる害虫駆除の方法 コモンズ
発明の概要

【課題】本発明は、上記の諸知見を利用して、新たな食葉性害虫の防除手段を開発することを目的とする。
【解決手段】すなわち、本発明は、食葉性害虫に対し抑制効果を有する細菌を内包することを特徴とするアルギン酸マイクロビーズを提供する。さらに、本発明は、食葉性害虫に対し抑制効果を有する細菌、および該細菌に感染可能なファージを内包することを特徴とするアルギン酸マイクロビーズを提供する。また、前記アルギン酸マイクロビーズを使用して害虫を駆除する方法を提供する。
【選択図】  図1

従来技術、競合技術の概要
従来技術および発明の背景
植物の葉の表面に安定したコロニーを作る微生物は、葉面病原菌、または食葉害虫を抑制する分子を導入するための生物学的なベクターとなると考えられ(Andrews 1992)、これら株の多くが、植物病原菌を生物学的に制御するための有効なアンタゴニストとして使用されている(Hadar et al. 1983; Wilson et al. 1987; Howell et al 1988; Nelson and Craft 1991; Okamoto et al. 2000; Tsuda et al. 2001)。
【0003】
本発明者らは、日本中の温室トマトを荒らすうどんこ病菌および植物食性のテントウムシを効果的に生物防除するためのベクターとして使用できる葉面細菌を単離すべく、温室トマトの葉に生息する葉面細菌のスクリーニングを行った。その結果、葉面細菌Enterobacter cloacaeを単離することに成功した(Matsuda et al. 2001)。
【0004】
また、上述のようなEnterobacter cloacae細菌は、この細菌を噴霧した葉を与えられた草食性ヨトウムシ幼虫の腸内、および糞便のペレット中においても生存したままであることが報告されている(Armstrong et al. 1989)。WatanabeおよびSato (1998)らは、植物および昆虫に生息する細菌、および臨床株で処理した餌を与えたカイコ幼虫の腸内、および糞便においても、このような細菌が生存していることを明らかにしている。
【0005】
これまでに、発明者らは、グラム陽性および陰性細菌からキチナーゼとキトサナーゼ遺伝子をクローニングしており、その酵素学的特徴についても詳細に検討を行っている。キチン質分解性酵素の食葉性害虫に対する効果を検討するため、クローニングしたキチナーゼ遺伝子を大腸菌で発現させ、トマト食葉害虫であるニジュウヤホシテントウに直接処理したところ、キチナーゼによる摂食抑制効果、および昆虫中腸膜に及ぼす影響を確認することができた。そこで、温室トマトを荒らす植物食性のテントウムシのキチン質を分解することによって、効果的に生物防除すべく、前記Enterobacter cloacae細菌にキチナーゼ遺伝子を導入することを考え、これに成功した。このような細菌を応用して、食葉性害虫の駆除に際し、食葉性害虫に対し抑制効果を有する細菌を使用することができることに着目し本発明をするに至った。
【0006】
一方、害虫の生物防除を実施する際には、使用する拮抗微生物の処理方法が問題となり、その処理が防除効果に大きな影響を与えることとなる。上述のようなトランスフォームされた細菌を使用する際に、この株を配慮なく使用することによって、この株が予想外に自然界に残存することとなり、標的としない植物および動物に日和見感染するといった潜在的なリスクが存在することも考慮しなければならない。このため、使用した細菌を溶菌させるなどの方法によって、拮抗微生物が拡散しない方法が必要とされている。
【0007】
また、生物防除に使用する微生物資材の新しい処理方法としてアルギン酸ビーズの使用が考えられるが、適用範囲が広く、複数の微生物を混合することが可能で、内包できる生物および物質の制限が少ない微小ビーズは、これまでに開発されていない。アルギン酸ビーズに根瘤菌を内包し、植物根に処理した例が存在するが、その目的は根瘤菌の根部における局在化と高密度化を目的としたものであった。また、アルギン酸ビーズにキチン質分解性放線菌を内包し、土壌改良材として利用した例もあるが、その場合でも高密度化を目的としており、使用するビーズのサイズが大きく、植物葉など地上部への適用は不可能であり、特に食葉性害虫の大きさを考えると昆虫に対する効果は期待できなかった。
【0008】
本発明者らは、このような細菌内包ビーズを直径100μm以下に調製すれば、噴霧処理した植物葉を昆虫に摂食させることが可能であることに着目した。アルギン酸ナトリウムにキチン質分解性細菌を懸濁して塩化カルシウム液に滴下すれば、それらを内部に含む球形のアルギン酸ビーズを作製することができる。作製方法を工夫することによりビーズのサイズおよび内包する微生物の密度を自由に変更することも可能であり、凍結乾燥を施しても内包細菌の生存率は保持されたままであることを発見した。上記知見から、本発明者らは、対象害虫が摂食可能なマイクロビーズ(直径100μ以下)を制作し、このようなマイクロビーズ内に、機能の異なる複数の細菌、およびそれを宿主とするファージを同時に内包させて、これを植物葉に噴霧すれば、食葉性害虫を駆除することができると考え本発明をするに至った。
【0009】
【非特許文献1】
Ikeda, S., H. Toyoda, Y. Matsuda, M. Kurokawa, T. Tamai, K. Yoshida, C. Kami, T. Ikemoto, M. Enomoto, K. Shiraishi, S. Miyamoto, M. Hanaoka, and S. Ouchi.、Cloning of a chitinase gene chiSH1 cloned from gram-positive bacterium Kurthia zopfii and control of powdery mildew of barley.、“Ann. Phytopathol. Soc. Jpn.”、(Japan)、1996年、62巻、p.11-16
【0010】
【非特許文献2】
Matsuda, Y., Kashimoto, K., Takikawa, Y., Aikami, R., Nonomura, T. and Toyoda, H.、Occurrence of new powdery mildew on greenhouse tomato cultivars.、“Journal of General Plant Pathology”、(Japan)、2001年、67巻、p.294-298
【0011】
【非特許文献3】
Toyoda, H., M. Morimoto, and S. Ouchi.、Immobilization of chitin-degrading microbe in alginate gel beads and its application to suppression of fungal pathogens in soil.、“Bull. Inst. Compr. Agr. Sci. Kinki Univ.”、(Japan)、1994年、2巻、p.21-28
産業上の利用分野
本発明は、キチン質分解性細菌、および該細菌に感染可能なファージを内包することを特徴とするアルギン酸マイクロビーズに関する。さらに、本発明は、前記アルギン酸マイクロビーズを散布することを特徴とする害虫駆除のための方法に関する。
特許請求の範囲 【請求項1】 キチン質分解酵素を導入したエンテロバクター・クロアカエ(Enterobacter cloacae)またはキチナーゼ分泌株アルカリジェネス・パラドクサス(Alcaligenes paradoxus)のいずれかのキチン質分解性細菌を内包することを特徴とするアルギン酸マイクロビーズ。
【請求項2】 キチン質分解酵素を導入したエンテロバクター・クロアカエ(Enterobacter cloacae)またはキチナーゼ分泌株アルカリジェネス・パラドクサス(Alcaligenes paradoxus)のいずれかのキチン質分解性細菌、および該細菌に感染可能なファージを内包することを特徴とするアルギン酸マイクロビーズ。
【請求項3】 請求項2に記載のアルギン酸マイクロビーズであって、前記キチン質分解性細菌がKPM-007E/chiであり、前記ファージがEcP-01であるマイクロビーズ。
【請求項4】 請求項13のいずれか一項に記載のアルギン酸マイクロビーズであって、前記キチン質分解性細菌がKPM-012Aであるマイクロビーズ。
【請求項5】 請求項14のいずれか一項に記載のアルギン酸マイクロビーズを散布することを特徴とするニジュウヤホシテントウ駆除のための方法。
産業区分
  • 薬品
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2002260419thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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