TOP > 国内特許検索 > 耐圧容器、試料分解装置、及び元素分析前処理法

耐圧容器、試料分解装置、及び元素分析前処理法 コモンズ

国内特許コード P110005260
掲載日 2011年8月18日
出願番号 特願2004-046500
公開番号 特開2005-233895
登録番号 特許第3843324号
出願日 平成16年2月23日(2004.2.23)
公開日 平成17年9月2日(2005.9.2)
登録日 平成18年8月25日(2006.8.25)
発明者
  • 牧嶋 昭夫
  • 中村 栄三
出願人
  • 学校法人岡山大学
発明の名称 耐圧容器、試料分解装置、及び元素分析前処理法 コモンズ
発明の概要

【課題】 安全・簡便・安価に、鉱酸で試料を長時間高温高圧分解処理(最高~300℃)することが可能な耐圧容器、及び前記耐圧容器を含む試料分解装置を提供する。
【解決手段】 非金属製の容器11と、容器11を密閉するための非金属製の蓋12と、容器11及び蓋間12に介在する密閉用スペーサー13と、蓋12に対して上方から圧力を負荷するための圧力負荷手段14;15;16と、蓋12及び圧力負荷手段14;15;16間に介在し、圧力負荷手段14;15;16から蓋12に対して前記圧力を均一に負荷するための圧力保持板17とから耐圧容器10を構成する。試料分解装置は、耐圧容器10に加えて、容器11内を加熱するための加熱手段を具える。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


従来、試料の前処理、特に岩石・鉱物試料の白金族元素(ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt))やレニウム(Re)や金(Au)の定量分析のための試料分解方法には、試料をアルカリ金属の水酸化物や過酸化物と混合して600℃以上の温度で融解して分解するアルカリ融解法(非特許文献1)や、試料をニッケルや鉛、イオウ及び融剤を混合し、1000℃以上で溶融して、白金族元素を硫化ニッケルや硫化鉛のボタンにして回収するファイアーアッセイ法(非特許文献2)などがある。



また、試料を王水や硫酸とともにガラスチューブに入れてチューブを封じ、外部から200℃以上の温度に加熱して高温高圧下で分解するカリアスチューブ法(非特許文献3)や、試料をフッ化水素酸とエタノール、またはフッ化水素酸と臭化水素酸とともにテフロン(デュボン社登録商標)製の密閉容器に入れ、外部から145℃以上の温度に加熱して高温高圧下で分解するテフロン(登録商標)ボム法(非特許文献4)なども提案されている。



さらに、試料を鉱酸とともにガラスやテフロン(登録商標)製の密閉容器に入れて、マイクロ波を用いて試料容器内部から200℃以上に加熱するマイクロ波分解法(非特許文献5)や、試料と鉱酸をガラス製の密閉容器に入れて、さらにこれを圧力容器に入れ、50気圧以上の圧力を密閉容器外部にかけて密閉し、200℃以上に加熱して分解する高圧灰化法(非特許文献6)などが用いられている。



このなかで、融剤を用いるアルカリ融解法やファイアーアッセイ法は、融剤を蒸留などの方法で精製することが不可能なことから、ブランクや塩濃度が高くなることが問題である。



一方、カリアスチューブ法、テフロン(登録商標)ボム法、マイクロ波分解法、及び高圧灰化法は、蒸留可能な塩酸や硝酸といった鉱酸だけを使用するため、ブランクを低減できるという特徴を持っている。



白金族元素のなかで、Osは、酸化剤とともに開放条件下で加熱すると揮発性のOsO(沸点130℃)を生じて蒸発揮散する。テフロン(登録商標)容器はいわゆるプラスチック容器であって取り扱いが簡単であるが、多孔質であるために、OsOが生成すると、その容器を構成する内壁に吸着、さらには透過してしまい、テフロン(登録商標)密閉容器を用いたにもかかわらず、Osの損失が50%にも達してしまう(非特許文献1)。そのため、還元剤としてエタノールや臭化水素酸を加えてOsの酸化を抑制してテフロン(登録商標)ボム法を用いることが行われている。しかし、OsやIrを多く含むイリドスミンのような耐酸性の高い鉱物が試料に含まれる場合、200℃以上に加熱しても分解できない(非特許文献7)。



また、マイクロ波分解法は、密閉容器をさらにマイクロ波を透過する非金属製の耐圧容器に入れる必要があるため、長時間加熱すると試料の熱が非金属製容器に伝わって破壊するという欠点がある。そのため、長時間加熱(1時間以上)は不可能であり、試料を完全に分解できない場合がある。さらに、温度や圧力をモニターして耐圧容器が破壊しないように制御する必要もあり、装置は高額である。



高圧灰化法は、試料分解に有効であるが、内部の密閉容器に外部から高い圧力がかかるため取り扱いに注意を要すること、また、万が一内部容器が破壊した場合、鉱酸が金属製耐圧容器内部を激しく腐食して耐圧容器の寿命が著しく短くなること、さらに装置がマイクロ波分解装置以上に高額であるなどの欠点がある。



このなかで、カリアスチューブ法は、長時間の密閉高温高圧分解が容易にできること、設備がオーブンと金属筒とガラス容器だけで安価であるという理由で、世界的に普及している。しかし、チューブの爆発を防止するために最高温度は230℃程度に抑えざるを得ず、試料が完全に分解できないことが指摘されている。(非特許文献7)

【非特許文献1】Enzweiler, J., Potts, P.J., Jarvis, K.E.(1995)Determination of platinum, Palladium, ruthenium and iridium in geological samples by isotope dilution inductively coupled plasma mass spectrometry using a sodium peroxide fusion and tellurium coprecipitation. Analyst 120, 1391-1396.

【非特許文献2】Plessen, H.-G., Erzinger, J.(1998)Determination of the platinum-group elements and gold in twenty rock reference materials by inductively coupled plasma-mass spectrometry(ICP-MS)after pre-concentration by nickel sulfide fire assay. Geostands. Newslett. 22, 187-194.

【非特許文献3】Shirey, S.B., Walker, R.J.(1995)Carius tube digestion for low-blank rhenium-osmium analysis. Anal. Chem. 67, 2136-2141.

【非特許文献4】Birck, J.L., Roy Barman, M. and Capmas F.(1997)Re-Os isotopic measurements at the femtomole levels in natural samples. Geostand. Newslett., 20, 19-27.

【非特許文献5】Totland, M.M., Jarvis, I., Jarvis, K.E.(1995)Microwave digestion and alkali fusion procedures for the determination of the plalinum-group elements and gold in geological materials. Chem. Geol., 124, 21-36.

【非特許文献6】Meisel, T., Moser, J., Fellner. N., Wegscheider, W., Schoenberg, R.(2001)Analyst, 126, 322-328.

【非特許文献7】Meisel, T., Reisberg, L., Moser, J., Carignan, J., Melcher, F., Brugmann, G.(2003)Re-Os systematics of UB-N, a serpentinized peridotite reference material. Chem. Geol., 201, 161-179.

産業上の利用分野


本発明は、耐圧容器、試料分解装置、及び元素分析前処理法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
石英製の容器と、
前記容器を密閉するための石英製の蓋と、
前記容器及び前記蓋間に介在する密閉用スペーサーと、
前記蓋に対して上方から圧力を負荷するための圧力負荷手段と、
前記蓋及び前記圧力負荷手段間に介在し、前記圧力負荷手段から前記蓋に対して前記圧力を均一に負荷するための圧力保持板と、
を具えることを特徴とする、耐圧容器。

【請求項2】
前記密閉用スペーサーは、テフロンシートからなることを特徴とする、請求項1に記載の耐圧容器。

【請求項3】
前記蓋及び前記圧力保持板間に介在する圧力保持スペーサーを具えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の耐圧容器。

【請求項4】
石英製の容器と、
前記容器を密閉するための石英製の蓋と、
前記容器及び前記蓋間に介在する密閉用スペーサーと、
前記蓋に対して上方から圧力を負荷するための圧力負荷手段と、
前記蓋及び前記圧力負荷手段間に介在し、前記圧力負荷手段から前記蓋に対して前記圧力を均一に負荷するための圧力保持板と、
前記容器内に配置された所定の試料を加熱するための加熱手段と、
を具えることを特徴とする、試料分解装置。

【請求項5】
前記密閉用スペーサーは、テフロンシートからなることを特徴とする、請求項に記載の試料分解装置。

【請求項6】
前記蓋及び前記圧力保持板間に介在する圧力保持スペーサーを具えることを特徴とする、請求項4又は5に記載の試料分解装置。

【請求項7】
請求項4~6のいずれか一に記載の試料分解装置を用いた、試料中に含まれる元素を分析するための前処理法であって、
前記試料を鉱酸中に配置する工程と、
前記試料を前記鉱酸中において加圧下、加熱処理を施すことによって、前記試料を分解し、前記元素を前記試料から完全に分離する工程と、
を具えることを特徴とする、元素分析前処理法。

【請求項8】
前記試料は、岩石又は鉱物であることを特徴とする、請求項に記載の元素分析前処理法。

【請求項9】
前記鉱酸は、硝酸と塩酸との混酸であることを特徴とする、請求項に記載の元素分析前処理法。

【請求項10】
前記試料は、有機物であることを特徴とする、請求項に記載の元素分析前処理法。

【請求項11】
前記鉱酸は、硝酸又は硝酸と塩酸との混酸であることを特徴とする、請求項10に記載の元素分析前処理法。

【請求項12】
前記元素は、白金属元素を含むことを特徴とする、請求項7~11のいずれか一に記載の元素分析前処理法。

【請求項13】
前記元素は、少なくともオスミウム(Os)を含むことを特徴とする、請求項12に記載の元素分析前処理法。

【請求項14】
前記元素は、レニウム(Re)及び金(Au)の少なくとも一方を含むことを特徴とする、請求項7~11のいずれか一に記載の元素分析前処理法。

【請求項15】
前記試料の分解は、30気圧以上の圧力下において実施することを特徴とする、請求項7~14のいずれか一に記載の元素分析前処理法。

【請求項16】
前記試料の分解は、230℃以上の温度に加熱して行うことを特徴とする、請求項7~15のいずれか一に記載の元素分析前処理法。
産業区分
  • 試験、検査
  • 高分子化合物
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2004046500thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
特許内容に関しての問い合せ窓口は岡山大学連携機構知的財産部門です。

技術移転に関しては岡山TLOが窓口になります。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close