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生体物質吸着剤及びその製造方法 コモンズ

国内特許コード P110005265
掲載日 2011年8月18日
出願番号 特願2004-270086
公開番号 特開2006-081759
登録番号 特許第4378529号
出願日 平成16年9月16日(2004.9.16)
公開日 平成18年3月30日(2006.3.30)
登録日 平成21年10月2日(2009.10.2)
発明者
  • 早川 聡
  • 都留 寛治
  • 尾坂 明義
出願人
  • 学校法人岡山大学
発明の名称 生体物質吸着剤及びその製造方法 コモンズ
発明の概要

【課題】 血液又は血漿中の有用タンパク質を吸着することなく、β-ミクログロブリン等の病因物質を選択的に吸着除去することができる生体物質吸着剤を提供すること。
【解決手段】 カルシウム以外の金属(M)を0.01~20重量%含有し、カルシウムと金属(M)の合計モル数に対するリンのモル数の比[(Ca+M)/P]が1.3~1.55である水酸化リン酸カルシウムからなる生体物質吸着剤とする。当該生体物質吸着剤によって、アルブミンの吸着を抑制しながら、血液中のβ-ミクログロブリンを選択的に吸着することが可能となる。
【選択図】 図1

従来技術、競合技術の概要


現在、我が国には既に20万人弱の慢性腎不全症の患者があり、今後急速に高齢化の進むなか更に患者が増加することは確実である。このように多数の慢性腎不全症患者があるにも拘わらず、根本的治療法はなく、延命を目的とした対症療法の血液透析療法しかないのが現状である。血液透析療法としては、セルロース系天然高分子物質、あるいはポリスルホンやポリメタクリル酸メチルなどの合成高分子物質を素材にした中空糸膜型人工腎臓を使用して患者の血液中に産生、蓄積された尿毒症関連物質などの有害物質を除去するのが一般的である。透析膜壁には直径10~100nm程度の微細孔が貫通するように作製されており、この孔から有害物質は浸透圧差によって血液側から透析液に移行する。しかし、膜壁の貫通孔の物質透過性には上限があり、通常、膜の性能評価法の上限としてアルブミン(分子量:66000)の透過阻止率が99.5%程度になるように設計されている。しかも、その孔の直径を均一に作製することは技術的に極めて困難であり、ある程度の分布を持つことは避けられない。従って、アルブミンの阻止率を100%にすると低分子領域の物質透過性も低下する。



一方、透析治療の治療技術などの向上によって患者の延命率が向上し、透析治療年数も延長している。そのために、多くの合併症も認められるようになった。それらのうち、特に殆どの患者に皮膚のアミロイドシス症に関連した掻痒感、骨痛、関節痛、毛根管症候群などの多彩な合併症が認められるようになるが、その原因は患者の血液中のβ-ミクログロブリン(β-MG、分子量:12000)が異常産生され、それが体内の各組織に沈着することによるとされている。現在、透析膜の厚さを薄膜化して、この物質の除去率を向上させようという試みもなされているが、薄膜化することによる膜の強度低下、透析液側からの発熱性物質のバックフィルトレーションなどの負の効果もあり、透析膜での患者の血液中のβ-MGを充分に除去することは限界に達している。



このように現在の透析膜による治療法では充分に除去できないβ-MGを何らかの方法で除去しない限り、透析合併症の患者は増加の一途を辿るおそれがある。その対策の一つとして吸着剤によるβ-MGの除去療法がある。吸着による病因物質の選択的除去法は既に確立した治療法であり、高脂血症、重症筋無力症、高ビリルビン血症などの患者に対してそれぞれ適切な吸着剤を使用することによって優れた臨床成績が得られている。しかし、これらは何れも血液を一旦、有形成分(赤血球、白血球、血小板)と血漿とに分離して、血漿中の病因物質を選択的に吸着除去するプラズマ灌流法(Plasma Perfusion)である。



血液中のβ-MGを除去するための吸着剤として水酸化リン酸カルシウム(ヒドロキシアパタイト)を使用することについては、特許文献1~5などに記載されている。これらの特許文献においては様々な形態のヒドロキシアパタイトを使用することによって、β-MGが除去できることが記載されている。しかしながら、血液中の有用成分(例えばアルブミン)の吸着を抑えながら病因物質であるβ-MGを選択的に除去するのは困難であった。



これに対し、特許文献6あるいは非特許文献1に記載されているように炭酸根が導入されてなる水酸化リン酸カルシウムを使用することによって、アルブミンの吸着量を抑制しながらβ-MGを選択的に吸着させることが可能になった。しかしながら、それでもなお選択性は必ずしも十分ではなかった。




【特許文献1】特開昭63-15960号公報

【特許文献2】特開昭63-15961号公報

【特許文献3】特開平2-180273号公報

【特許文献4】特開平6-262065号公報

【特許文献5】特開平7-88361号公報

【特許文献6】特開2003-126248号公報

【非特許文献1】“Journal of Biomedical Materials Research”,Wiley Periodicals, Inc.,2004年4月6日、69A、p.544-551

産業上の利用分野


本発明は、生体物質、特にβ-ミクログロブリンなどのタンパク質を吸着する生体物質吸着剤とその製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
亜鉛~20重量%含有するとともに、カルシウムの一部が亜鉛に置換されることによってヒドロキシアパタイトの結晶構造の中に亜鉛が取り込まれた水酸化リン酸カルシウムからなる生体物質吸着剤。

【請求項2】
カルシウムと亜鉛の合計モル数に対するリンのモル数の比[(Ca+Zn)/P]が1.3~1.55である請求項記載の生体物質吸着剤。

【請求項3】
比表面積が80m/g以上である請求項1又は2記載の生体物質吸着剤。

【請求項4】
単位重量当たりのβ-ミクログロブリン吸着量が200μg/g以上である請求項1~のいずれか記載の生体物質吸着剤。

【請求項5】
単位重量当たりのアルブミン吸着量が30mg/g以下である請求項1~のいずれか記載の生体物質吸着剤。

【請求項6】
血液又は血漿を浄化するための吸着剤である請求項1~のいずれか記載の生体物質吸着剤。

【請求項7】
β-ミクログロブリン吸着剤である請求項1~のいずれか記載の生体物質吸着剤。

【請求項8】
請求項1~のいずれか記載の生体物質吸着剤を用いた吸着手段を組み込んでなる透析装置。

【請求項9】
請求項1~のいずれか記載の生体物質吸着剤を充填してなる生体物質分離用カラム。

【請求項10】
カルシウムイオン及び亜鉛イオンを含有する水溶液(A)と、リン酸イオンを含有する水溶液(B)とを混合して、カルシウムの一部が亜鉛に置換されることによってヒドロキシアパタイトの結晶構造の中に亜鉛が取り込まれた水酸化リン酸カルシウムからなる固形分を生成させる請求項1~のいずれか記載の生体物質吸着剤の製造方法。

【請求項11】
水溶液(A)がカルシウムの硝酸塩と亜鉛の硝酸塩とを含有する請求項10記載の生体物質吸着剤の製造方法。

【請求項12】
水溶液(A)のpHが4.5~7である請求項10又は11記載の生体物質吸着剤の製造方法。

【請求項13】
水溶液(B)のpHが8~12である請求項10~12のいずれか記載の生体物質吸着剤の製造方法。
産業区分
  • 治療衛生
  • その他無機化学
  • 薬品
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2004270086thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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