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核酸修飾前の検体の前処理方法 コモンズ 実績あり

国内特許コード P110005268
掲載日 2011年8月18日
出願番号 特願2004-359471
公開番号 特開2006-166712
登録番号 特許第4765058号
出願日 平成16年12月13日(2004.12.13)
公開日 平成18年6月29日(2006.6.29)
登録日 平成23年6月24日(2011.6.24)
発明者
  • 永坂 岳司
  • 松原 長秀
  • 田中 紀章
出願人
  • 国立大学法人 岡山大学
発明の名称 核酸修飾前の検体の前処理方法 コモンズ 実績あり
発明の概要

【課題】
検体に存在する特定の核酸を人為的に修飾して、検体中の遺伝子を解析する方法において、核酸修飾の前に検体から核酸を精製することなく、簡便に短時間で前処理する方法を提供する。
【解決手段】
核酸修飾前に、検体にグリコーゲンを添加し、タンパク質変性剤を添加しないことを特徴とする前記核酸の修飾前の検体の前処理方法による。本方法により、極めて簡便に、かつ飛躍的に短時間で核酸修飾処理に供するための試料を得ることができる。

従来技術、競合技術の概要


生体由来の検体に存在する遺伝子を解析することにより、感染症の診断や遺伝子診断が可能となってきた。例えば、ほ乳類の血液や糞便中のウイルス、腸内細菌叢や病原性細菌、又は消化管粘膜細胞、悪性新生物細胞、新生物細胞、及び分泌液に存在する遺伝子断片を用いて、各種類の疾患の原因探求や診断を行うことは、個体の健康状態の把握や悪性新生物の早期発見のために非常に有用である。



遺伝子解析方法として、検体からDNAを抽出・精製して、直接核酸増幅反応等により解析する方法や、DNAを人為的に修飾したものを核酸増幅反応させて解析する方法がある。核酸を人為的に修飾して解析する方法として、DNA中のメチル化検出が挙げられる。



DNA中のメチル化は、CpGジヌクレオチドのグアノシンの5'側に位置するシトシンでのみ起こる。通常メチル化されていないようなCpG島(CpGに富む領域)における異常なメチル化が遺伝子活性、細胞分化、腫瘍発生、X染色体の不活性化、遺伝子刷込み、及びその他の主要な生物学的プロセスにおいて重要な役割を担っていること、ヒトの腫瘍の種々の遺伝子のプロモーター領域で異常なメチル化が起きていることが報告されている(Razin, A., H., 及びRiggs, R. D. 編,DNA Methylation Biochemistry and Biological Significance, Springer-Verlag, New York, 1984、Jones, P. A. ら, Nat. Genet., 21: 163-167, 1999、Issaら, Ann. N. Y. Acad. Sci., 910: 140-153, 2000、Hermanら, N. Engl. J. Med., 349: 2042-2054, 2003)。



従来のメチル化シトシン検出方法は、メチル化感受性制限酵素又はメチル化反応性化学物質を用いて行われていた。しかし、この方法では、メチル化の可能性がある部位の限られた部分だけしか分析できないため、広く一般に適用できないという欠点がある。また、当該制限酵素により認識可能な配列中のCpG部位についてしか解析できないという欠点もある。メチル化感受性制限酵素と核酸増幅反応とを組合せた方法でも、制限酵素切断が不完全なこととメチル化対立遺伝子の数が少ないこととの区別が困難であるため、例えば少量の試料中における癌抑制遺伝子の高メチル化を検出する場合など、メチル化対立遺伝子が集団のほんの一部でしかない場合には信頼性がない。



上記メチル化感受性制限酵素又はメチル化反応性化学物質を用いずに、DNAのメチル化を感度よく検出する方法に、核酸増幅反応前にDNAを重亜硫酸塩(disulfite)処理する方法がある。DNAを重亜硫酸塩処理することによって、全てのメチル化されていない非メチル化シトシンをウラシルに修飾し、この修飾DNAを用いて遺伝子のメチル化を検出することができる。このような方法には、例えば、MSP法(特許文献1)やCOBRA法(非特許文献1)、Methylight法(特許文献2)等が挙げられる。しかしながら、これらの方法で行われるDNAの重亜硫酸塩処理は、重亜硫酸塩処理の前にDNAの抽出・精製をしなくてはならず、しかも比較的多くのDNAを必要とする。また、DNAを重亜硫酸塩処理した後、修飾DNAを解析に付すために再度精製を行う必要がある。



DNAの抽出・精製方法は、フェノール、クロロホルム等の有機溶媒が用いられる方法が一般的であり、市販のキットも数多く販売されている。また、有機溶媒を用いないものとして、MagExtractor(東洋紡製)やQIAamp Stool DNA Isolation Kit(QIAGEN製)が販売されている。前者はビーズで膜を破砕した後、ビーズに吸着したDNAを磁気ビーズで回収するものであり、後者は加熱により膜蛋白を変性させ、DNAを単離するものである。後者のキットを利用してヒト糞便よりDNAを抽出・精製し、その後DNAの重亜硫酸塩(disulfite)処理を行い、新生物に特徴的なメチル化異常を検出して、大腸癌の診断を試みようとする報告(非特許文献2)がある。この方法では、DNAの抽出・精製にキットを使用しているが、経済的でない。



有機溶媒を用いずにDNA抽出できる試薬キットとして、タンパク質分解酵素と、タンパク質変性剤、界面活性剤、キレート剤、及びタンパク質変性剤のうち少なくとも1種を含む水溶液と、塩及び共沈剤と、タンパク質変性溶解剤を組合せ核酸抽出キット(特許文献3)、タンパク質変性剤と、共沈剤と、タンパク質変性剤を含む核酸抽出キット(特許文献4)が開示されている。これらのキットではタンパク質分解酵素やタンパク質変性剤を必須のものとし、PCR等に使用可能な精製度の核酸を得ることを目的としている。



上述の通り、DNAメチル化検出のように、核酸増幅反応等の解析の前に人為的に核酸を修飾する工程が必要な場合においては、複数回のDNA精製が行われるため、操作が煩雑で、時間を要するという問題点があった。またこれまで、核酸修飾前の抽出・精製にも、核酸増幅反応前と同様の高純度DNAを得るための精製方法を用いていた。

【非特許文献1】Xiongら, Nucleioc Acids Res :2532-2534

【非特許文献2】Mullerら, The lancet, vol 363, 1283-1285, 2004

【特許文献1】特表2000-511776号公表公報

【特許文献2】特表2002-543852号公表公報

【特許文献3】特開平7-236499号公開公報

【特許文献4】特開2001-17173号公開公報

産業上の利用分野


本発明は、検体に存在する特定の核酸を人為的に修飾して、検体中の遺伝子を解析する方法において、核酸の修飾に先だって行われる検体前処理方法に関するものであり、より詳細には、検体にグリコーゲンを添加し、タンパク質変性剤を添加しないことを特徴とする核酸の修飾前の検体の前処理方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
以下の工程を含み、重亜硫酸塩を添加する工程より前に検体からDNAを精製することなく、検体に存在する非メチル化シトシンをウラシルに修飾する方法:
- 検体を溶解液に溶解又は希釈して検体含有溶液を調製する工程;
- 前記溶液にグリコーゲンを添加する工程;
- 前記溶液に重亜硫酸塩を添加する工程;であり、
検体が、血液、血清、糞便、射出精液、喀痰、唾液、および脳脊髄から選択される、方法。

【請求項2】
以下の工程を含み、重亜硫酸塩を添加する工程より前に検体からDNAを精製することなく、検体に存在する非メチル化シトシンをウラシルに修飾する方法:
- 検体を溶解液に溶解又は希釈して検体含有溶液を調製する工程;
- 検体含有溶液を加熱する工程;
- 前記溶液にグリコーゲンを添加する工程;
- 前記溶液に重亜硫酸塩を添加する工程。

【請求項3】
タンパク質変性剤を添加しないことを特徴とする、請求項1または2に記載の非メチル化シトシンをウラシルに修飾する方法。

【請求項4】
前記検体が、哺乳類の糞便である請求項1~3のいずれか1に記載の非メチル化シトシンをウラシルに修飾する方法。

【請求項5】
検体を含有させた溶液10~100μLに対し、2~200 μgのグリコーゲンを添加する請求項1~のいずれか一に記載の非メチル化シトシンをウラシルに修飾する方法。

【請求項6】
請求項1~のいずれか一に記載の非メチル化シトシンをウラシルに修飾する方法により、目的とする遺伝子を解析する方法。

【請求項7】
請求項1~のいずれか一に記載の非メチル化シトシンをウラシルに修飾する方法に使用する、以下の試薬を含み、タンパク質変性剤を含まない、核酸修飾試薬キット:
(1)グリコーゲンを含有する試薬;および、
(2)重亜硫酸塩を含有する試薬。
産業区分
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
特許内容に関しての問い合せ窓口は岡山大学連携機構知的財産部門です。

技術移転に関しては岡山TLOが窓口になります。


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