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糖尿病性腎症の治療用医薬組成物 コモンズ

国内特許コード P110005272
掲載日 2011年8月18日
出願番号 特願2005-058494
公開番号 特開2006-241060
登録番号 特許第4696237号
出願日 平成17年3月3日(2005.3.3)
公開日 平成18年9月14日(2006.9.14)
登録日 平成23年3月11日(2011.3.11)
発明者
  • 前島 洋平
  • 一瀬 邦弘
  • 槇野 博史
出願人
  • 学校法人岡山大学
発明の名称 糖尿病性腎症の治療用医薬組成物 コモンズ
発明の概要

【課題】糖尿病性腎症の治療に有効な薬剤を提供する。
【解決手段】エンドスタチン、その変異体またはその断片を有効成分として含む糖尿病性腎症の治療または予防用医薬組成物。
【選択図】図3

従来技術、競合技術の概要


2型糖尿病の発症率は世界的に増加しており、30~40%の患者にて糖尿病性腎症を発症する。現在、我が国において維持透析患者の原因疾患では、糖尿病性腎症が最多であり、糖尿病性腎症の進展機序の解明および新たな治療法の開発は重要な課題である。



糖尿病性腎症では、早期に糸球体過剰濾過・糸球体肥大、引き続いて糸球体基底膜の肥厚・メサンギウム基質の増加や尿中アルブミン排泄増加が認められ、最終的には糸球体硬化に到る(非特許文献1)。腎症早期の段階で、糸球体係蹄数の増加・既存の血管の伸長等の血管新生様の現象が認められる。1型及び2型糖尿病の進展にTGF-β1,IGF-1等の種々の増殖因子が関与するが、血管新生促進因子である血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor :VEGF) の関与も報告された。



血管新生の進展過程では、最初に血管基底膜がMMP-2,9等のプロテアーゼにより分解される。次に血管内皮細胞が血管外に遊走・増殖する。この過程でVEGF,塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF),アンギオポエチン(Angiopoietin)-2等の因子が関与する。次に、血管内皮細胞が管腔を形成し間葉系細胞が付着する。その後、アンギオポエチン-1の作用により間葉系細胞が周皮細胞(pericyte)に分化し、新生血管が安定化する。



ストレプトゾトシン(streptozotocin)誘発糖尿病性腎症ラットモデル(1型糖尿病モデル)にてVEGF発現が早期(3週)にて糸球体上皮細胞(podocyte)で増加し、進展期(83週)においてVEGF受容体のflk-1が糸球体内皮細胞にて増加することが報告された(非特許文献2)。一方、2型糖尿病モデルのOLETFラットでは9,20,68週にてすなわち早期及び進展期にてVEGFの糸球体での発現が増加した。そして、angiotensin変換酵素阻害剤投与にてVEGF発現が抑制された(非特許文献3)。また、streptozotocin誘発糖尿病性腎症ラットモデルおよびdb/dbマウス(2型糖尿病モデル)にて中和型抗VEGF抗体投与により、糸球体過剰濾過、糸球体肥大、アルブミン尿ならびに進展期のメサンギウム基質増加が有意に抑制された(非特許文献4、5)。また、抗VEGF抗体を有効成分として含む糖尿病性腎症診断剤も報告されている(特許文献1)。



さらに、糖尿病性腎症において糸球体係蹄(毛細血管)数の増加、糸球体毛細血管の伸長により糸球体濾過表面積の増加がおこることが糖尿病性腎症ラットモデルにて報告された(非特許文献6)。



エンドスタチンはマウス血管内皮細胞種の細胞系の培養上清から分離された184アミノ酸(ヒトは183アミノ酸)から成る蛋白質である(特許文献2、3)。1994年に報告されたXVIII型コラーゲンは、N末端領域(3つのスプライス変異体をもつ)、Gly-X-Yシークエンスを繰り返すコラーゲン領域、および35kD(キロダルトン、分子量)のC末端のnoncollagenousドメイン(NC1)より構成され、エンドスタチンはXVIII型コラーゲンのNC1ドメインのC末端断片である。エンドスタチン蛋白はウシ毛細血管内皮細胞の増殖を抑制するが、血管平滑筋細胞、線維芽細胞、肺上皮細胞、Lewis肺癌細胞等の非内皮細胞の増殖抑制作用はない(非特許文献7、特許文献4)。エンドスタチンはさらに、血管内皮細胞の遊走を抑制し(非特許文献8)、アポトーシスを促進する(非特許文献9)。エンドスタチンはさらに、腫瘍において内在性の血管内皮増殖因子VEGF発現を抑制し腫瘍増殖及び血管新生を抑制する(非特許文献10、7)。



エンドスタチンは内皮細胞上のαvβ3-インテグリン(integrin)、 α5β1インテグリンに結合し、またヘパラン硫酸プロテオグリカンであるグリピカン(glypican)に低親和性にて結合する(非特許文献11)。これらの細胞膜上の受容体との結合はエンドスタチンの血管新生抑制効果において重要な役割を果たす(非特許文献11、12)。ヒトエンドスタチンペプチドは、血管内皮細胞増殖・遊走及び血管新生を抑制する(非特許文献13、特許文献5)。腫瘍以外の作用について、局所でのエンドスタチン過剰発現による網膜血管新生・網膜剥離の抑制効果(非特許文献14)、関節リウマチモデルにおける治療効果(非特許文献15)も実験レベルで報告されている。



さらにまた、固形癌患者を対照とした米国での臨床試験では、組換え型ヒトエンドスタチンを15~240mg/m/日にて連日経静脈投与し、一部患者において治療効果を認めた(非特許文献16)。また、30~300mg/m/日にて連日経静脈投与した場合にも有意の毒性を認めなかった(非特許文献17)。




【特許文献1】特開平08-245424号公報

【特許文献2】国際公開WO 97/15666

【特許文献3】特表2002-504494

【特許文献4】特表2002-503449

【特許文献5】特表2002-544124

【非特許文献1】Makino H.ら,Diabetes,45:488-495(1996)

【非特許文献2】Cooper,M.E.ら,Diabetes,48:2229(1999)

【非特許文献3】Tsuchida,K.ら,Diabetologia,42:579(1999)

【非特許文献4】De Vriese,A.S.ら,J Am Soc Nephrol,12:993(2001)

【非特許文献5】Flyvbjerg,A.ら,Diabetes,51:3090(2002)

【非特許文献6】Nyengaard,J.R.ら,Diabetologia,36:189(1993)

【非特許文献7】O'Reilly, M.S.ら,J Cell,88:277-285(1997)

【非特許文献8】Yamaguchi, N.ら,Embo J,18:4414-4423(1999)

【非特許文献9】Dhanabal M.ら,J Biol Chem,274:11721-11726(1999)

【非特許文献10】Hajitou A.ら,Faseb J,16:1802-1804 (2002)

【非特許文献11】Karumanchi S.A.ら,Mol Cell,7:811-822(2001)

【非特許文献12】Sudhakar A.ら,Proc Natl Acad Sci U S A,100:4766-4771(2003)

【非特許文献13】Cattaneo M.G.ら,Exp Cell Res,283,230-236(2003)

【非特許文献14】Takahashi K.ら, Faseb J,17:896-898(2003)

【非特許文献15】Matsuno H.ら,J Rheumatol,29:890-895(2002)

【非特許文献16】Eder J.P.ら,J Clin Oncol,20:3772-3784(2002)

【非特許文献17】Thomas J.P.ら,J Clin Oncol,21:223-231(2003)

産業上の利用分野


本発明は、糖尿病性腎症の治療または予防用医薬組成物に関する。具体的には、本発明の医薬組成物は、エンドスタチン、その変異体またはその断片を有効成分として含むことを特徴とする。

特許請求の範囲 【請求項1】
ヒトエンドスタチン、その変異体またはその断片を有効成分として含み、ただし、該変異体がヒトエンドスタチンのアミノ酸配列中に1もしくは数個の置換、欠失および/または付加を含み、かつ腎臓において血管新生抑制活性を有するものであり、ならびに、該断片がヒトエンドスタチンのアミノ酸配列において連続する少なくとも20アミノ酸からなる配列を有し、かつ腎臓において血管新生抑制活性を有するものである、糖尿病性腎症の治療または予防用医薬組成物。

【請求項2】
前記断片がエンドスタチンのN末端ドメインを含むものである請求項記載の医薬組成物。

【請求項3】
前記N末端ドメインが、ヒトエンドスタチンのアミノ酸配列の少なくとも1位~27位または6位~49位の配列を含むものである請求項記載の医薬組成物。

【請求項4】
前記断片がエンドスタチンのC末端ドメインを含むものである請求項記載の医薬組成物。

【請求項5】
前記C末端ドメインがヒトエンドスタチンのアミノ酸配列の少なくとも134位~178位の配列を含むものである請求項記載の医薬組成物。

【請求項6】
前記断片が配列番号1に示されるアミノ酸配列を含むものである請求項1~のいずれか1項記載の医薬組成物。

【請求項7】
前記糖尿病性腎症のうち早期腎症に有効である請求項1~のいずれか1項記載の医薬組成物。
産業区分
  • 薬品
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2005058494thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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