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糖尿病性腎症の治療用医薬組成物 コモンズ

国内特許コード P110005273
掲載日 2011年8月18日
出願番号 特願2005-084218
公開番号 特開2006-265145
登録番号 特許第5044775号
出願日 平成17年3月23日(2005.3.23)
公開日 平成18年10月5日(2006.10.5)
登録日 平成24年7月27日(2012.7.27)
発明者
  • 前島 洋平
  • 一瀬 邦弘
  • 槇野 博史
出願人
  • 国立大学法人 岡山大学
発明の名称 糖尿病性腎症の治療用医薬組成物 コモンズ
発明の概要

【課題】糖尿病性腎症の治療に有効な薬剤を提供する。
【解決手段】 下記の式1:
【化1】

によって表される3-(2-メチルカルボキシメチル)-6-メトキシ-8-ヒドロキシイソクマリン、あるいはプロドラッグとしてのその誘導体、を有効成分として含む糖尿病性腎症の治療または予防用医薬組成物。
【選択図】図2

従来技術、競合技術の概要


2型糖尿病の発症率は世界的に増加しており、30~40%の患者にて糖尿病性腎症を発症する。現在、我が国において維持透析患者の原因疾患では、糖尿病性腎症が最多であり、糖尿病性腎症の進展機序の解明および新たな治療法の開発は重要な課題である。



糖尿病性腎症では、早期に糸球体過剰濾過・糸球体肥大、引き続いて糸球体基底膜の肥厚・メサンギウム基質の増加や尿中アルブミン排泄増加が認められ、最終的には糸球体硬化に到る(非特許文献1)。腎症早期の段階で、糸球体係蹄数の増加・既存の血管の伸長等の血管新生様の現象が認められる。1型及び2型糖尿病の進展にTGF-β1,IGF-1等の種々の増殖因子が関与するが、血管新生促進因子である血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor :VEGF) の関与も報告された。



血管新生の進展過程では、最初に血管基底膜がMMP-2,9等のプロテアーゼにより分解される。次に血管内皮細胞が血管外に遊走・増殖する。この過程でVEGF,塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF),アンギオポエチン(angiopoietin)-2等の因子が関与する。次に、血管内皮細胞が管腔を形成し間葉系細胞が付着する。その後、アンギオポエチン-1の作用により間葉系細胞が周皮細胞(pericyte)に分化し、新生血管が安定化する。



ストレプトゾトシン(streptozotocin)誘発糖尿病性腎症ラットモデル(1型糖尿病モデル)にてVEGF発現が早期(3週)にて糸球体上皮細胞(podocyte)で増加し、進展期(83週)においてVEGF受容体のflk-1が糸球体内皮細胞にて増加することが報告された(非特許文献2)。一方、2型糖尿病モデルのOLETFラットでは9,20,68週にてすなわち早期及び進展期にてVEGFの糸球体での発現が増加した。そして、angiotensin変換酵素阻害剤投与にてVEGF発現が抑制された(非特許文献3)。また、streptozotocin誘発糖尿病性腎症ラットモデルおよびdb/dbマウス(2型糖尿病モデル)にて中和型抗VEGF抗体投与により、糸球体過剰濾過、糸球体肥大、アルブミン尿ならびに進展期のメサンギウム基質増加が有意に抑制された(非特許文献4、5)。また、抗VEGF抗体を有効成分として含む糖尿病性腎症診断剤も報告されている(特許文献1)。また、糖尿病性腎症において糸球体係蹄(毛細血管)数の増加、糸球体毛細血管の伸長により糸球体濾過表面積の増加がおこることが糖尿病性腎症ラットモデルにて報告された(非特許文献6)。



サイトゲニン(Cytogenin;8-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル-6-メトキシイソクマリン)はストレプトベルチシリウム・ユーロシジカム(Streptoverticillium eurocidicum)の培養濾液より分離された物質であるが、関節炎モデルにおける治療効果・抗血管新生作用をもつ。サイトゲニンは生体内で速やかに代謝されるが、その類似合成物質であるNM-3は、経口投与可能でサイトゲニンに比して安定である。NM-3はマウスdorsal air sac systemを用いた実験系で抗血管新生活性をもつことが報告された(非特許文献7)。II型コラーゲン誘発関節炎マウスモデルにおいて、NM-3経口投与による関節炎すなわち浮腫等の炎症性変化並びに骨破壊の抑制効果が報告されている(非特許文献8)。NM-3はヒト臍帯静脈内皮細胞の増殖・遊走を抑制し、発芽的血管新生・管腔形成を抑制し、腫瘍内血管新生を抑制する作用がある(非特許文献9)。また、NM-3と抗癌化学療法剤パクリタキセル(paclitaxel)との併用による相乗的抗腫瘍効果がヒト乳癌モデルマウスを用いて報告されている(非特許文献9)。また、放射線療法との併用による抗腫瘍効果も報告されている(非特許文献10)。最近、デキサメサゾン誘発ヒト多発性骨髄腫細胞のアポトーシスをNM-3が促進する作用が報告された(非特許文献11)。以前、米国ILEX Oncology社が固形腫瘍患者を対照とした第一相臨床試験を行った。経口投与にて150-2000mg/mを投与されているが、毒性は認めず一部患者にて進行抑制効果を認めた(非特許文献12)。また、経口投与時の半減期は6時間で、組織への移行も良好であった(非特許文献13)。




【特許文献1】特開平08-245424号公報

【非特許文献1】Makino,H.ら,Diabetes,45:488-495(1996)

【非特許文献2】Cooper,M.E.ら,Diabetes,48:2229(1999)

【非特許文献3】Tsuchida,K.ら,Diabetologia,42:579(1999)

【非特許文献4】De Vriese,A.S.ら,J Am Soc Nephrol,12:993(2001)

【非特許文献5】Flyvbjerg,A.ら,Diabetes,51:3090(2003)

【非特許文献6】Nyengaard,J.R.ら,Diabetologia,36:189(1993)

【非特許文献7】Nakashima,T.ら,J Antibiot(Tokyo), 52:426-428(1999)

【非特許文献8】Agata,N.ら,Res Commun Mol Pathol Pharmacol,108:297-309(2000)

【非特許文献9】Reimer,C.L.ら,Cancer Res,62:789-795(2002)

【非特許文献10】Salloum,R.M.ら,Cancer Res,60:6958-6963(2000)

【非特許文献11】Agata,N.ら,Cancer Res,64:8512-8516(2004)

【非特許文献12】Soulie,P.ら,Proc Am Soc Clin Oncol,22:194(abstr)(2003)

【非特許文献13】Bonate,P.L.ら,Proc Am Soc Clin Oncol,22:134(abstr)(2003)

産業上の利用分野


本発明は、糖尿病性腎症の治療または予防用医薬組成物に関する。具体的には、本発明の医薬組成物は、3-(2-メチルカルボキシメチル)-6-メトキシ-8-ヒドロキシイソクマリン(以下「NM-3」とも称する)またはその誘導体を有効成分として含むことを特徴とする。

特許請求の範囲 【請求項1】
下記の式1:
【化学式1】


によって表される3-(2-メチルカルボキシメチル)-6-メトキシ-8-ヒドロキシイソクマリンまたはその塩、あるいはプロドラッグとしてのその誘導体、を有効成分として含む、ただし該誘導体が、式1の化合物における環3位のカルボキシル基によって形成されるアルキルエステルまたはアルキルアミドである、糖尿病性腎症の治療または予防用医薬組成物。

【請求項2】
前記式1の化合物が、光学活性体である、請求項1に記載の医薬組成物。

【請求項3】
前記式1の化合物が、ラセミ体である、請求項1に記載の医薬組成物。

【請求項4】
前記式1の化合物が、エナンチオマーの混合物である、請求項1に記載の医薬組成物。
産業区分
  • 薬品
  • 有機化合物
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2005084218thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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