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食肉の光学的鮮度識別法および装置 コモンズ

国内特許コード P110005275
掲載日 2011年8月18日
出願番号 特願2005-143463
公開番号 特開2006-177923
登録番号 特許第4686714号
出願日 平成17年5月17日(2005.5.17)
公開日 平成18年7月6日(2006.7.6)
登録日 平成23年2月25日(2011.2.25)
優先権データ
  • 特願2004-344653 (2004.11.29) JP
発明者
  • 泉本勝利
出願人
  • 学校法人岡山大学
発明の名称 食肉の光学的鮮度識別法および装置 コモンズ
発明の概要

【課題】食肉の鮮度と深く関連する色調変化はヘムタンパク質の含量とその酸素型、還元型、酸化型等の誘導体の混在割合である。これの抽出法による測定はその誘導体が変化する致命的欠陥がある、反射分光法は非破壊でリアルタイム測定法として有用である。しかし、従来から測定原理が科学的に不十分なので測定誤差が大きく信頼性が乏しい。
【解決手段】測定精度の向上は反射分光法のベースラインを用いることにより達成される。このために、非実在の筋肉素地の反射スペクトルを解析し、反射分光法の短波長ほど低い上に凸のベースラインを測定式に適用した。これによって食肉の反射分光スペクトルを分光測定法の科学的原理に基づいて関数化され、食肉のヘムタンパク質誘導体の混在割合と食肉の鮮度を迅速かつ精度よく測定する方法を考案した。
【選択図】図3

従来技術、競合技術の概要


物体の色は物理量の可視波長領域の反射率スペクトルによって決まる。食肉には色素であるミオグロビンとよばれるヘムタンパク質が含まれ、特有の色調を呈する。食肉は新鮮なときは鮮紅色であるが、鮮度が低下すると褐色様の好まれない色調になる。従って食肉の品質にとって色調に基づく鮮度管理は重要である。



食肉はヘムタンパク質の含量が高いほど光吸収が強くなり、それにつれて反射率が低くなり明度が低下して暗色化する。またヘムタンパク質は種々の分子と結合し、結合分子とその状態によってそれぞれ異なった色調を有する種々の誘導体が形成される。食肉のヘムタンパク質の誘導体には還元型、酸素型、酸化型があり、これらが混在する割合で色調が変化する。食肉は新鮮なときには酸素型主体による鮮紅色を呈し、鮮度が低下すると酸化型が増えて褐色または暗褐色を呈すようになり、無酸素状態では還元型により紫赤色を呈する。このように食肉はヘムタンパク質誘導体の混在割合に応じて様々な色調を呈することになる。



実際の流通においては経験則による食肉の鮮度測定方法が用いられている。この経験則による方法は牛肉色基準(B.C.S.)を用いて食肉の鮮度を視覚的に判定している測定者と同等の結果を測定できることを主たる目的としており、このタイプの食肉鮮度測定装置が特許文献1に開示されている。B.C.S.は本来の使用目的は枝肉の格付け評価に用いるものである。これは、と殺後1~2日の鮮度の極めて高い枝肉の色の濃さを判定するもので鮮度の低下で褐色の発現する酸化型ヘムタンパク質誘導体は全く考慮されていない色見本であり、これによって鮮度を判定することはできない。



従って分光学的手段を用いて色調から食肉の鮮度、品質等の指標となる情報を科学的に得る方法の提案が種々行われている。



この提案の一つに食肉のヘムタンパク質を溶液で抽出して、この溶液の吸光度から測定する方法がある。この吸光度法はBeer-Lambertの法則として確立された原理の応用であり、溶液についての測定値は正しい。しかしこの方法には次のような問題点がある。1)ヘムタンパク質は抽出中に空気との接触が避けられず還元型ヘムタンパク質は酸素型になるので還元型ヘムタンパク質を測定することが出来ない。すなわち抽出法では3成分うち2成分しか測定できない。2)通常ヘムタンパク質は完全には抽出できないので、定量値に誤差が生じる。3)包装肉など開封するとヘムタンパク質誘導体が変化するものには適用できない。4)測定時間に長時間を要するので迅速測定や多量測定ができない。5)抽出溶液の透過光の色調は食肉の反射光の色調と違うので、これらの色調を同一に扱うことができない。



吸光度法はヘムタンパク質誘導体を測定するための測定原理は確立されているものの、食肉の場合は抽出過程など処理過程でその誘導体の割合が変化するので、ヘムタンパク質誘導体の還元型、酸素型、酸化型を正しく測定できない致命的欠陥がある。



この吸光度法に替って固型状態のままで筋肉中のヘムタンパク質を直接分析する方法が反射分光法として提案されている。この反射分光法は溶液抽出を必要とせず食肉のままで測定できるので非破壊的方法であり、リアルタイムで大量測定ができることから有用な方法である。



特許文献2には反射分光法を用いる技術が開示されているがこの技術では食肉の反射スペクトルを測定する際にベースラインが考慮されていない。また測定のための選定波長は474,572,597,614nmのように還元型、酸素型、酸化型ヘムタンパク質相互の等吸収点を利用するのでこれら3種の誘導体以外を測定することができない。さらにこれらの選定波長によれば測定機の波長精度が1nm以下の大型測定機または還元型、酸素型、酸化型ヘムタンパク質の測定に限定されたものであり、汎用性が全くない。



特許文献3には酸化型ヘムタンパク質誘導体の割合を測定するために波長624,616,694,744nmにおける透過反射率の2次微分値から算出する方法が提案されている。これらの選定波長および透過反射率の2次微分値によって酸化型ヘムタンパク質誘導体の割合が算出できる科学的根拠が乏しく、得られた測定結果が正しいか検証することが困難である。また、食肉は還元型、酸素型、酸化型で大きく色調が異なるが酸化型ヘムタンパク質誘導体の割合しか測定できない。そこで、鮮度ならびにその色調の情報としては不十分である。624,616,694,744nm等の2次微分値を得るには1nm以下の波長精度が要求される測定法は大型機械となる。したがって、可搬性が望めないので流通現場での応用への発展が困難である。



反射分光法においてベースラインとして筋肉素地反射率を使用する方法がKrzywickiにより提案されている(非特許文献1)。図1は食肉の反射率スペクトルであり、ヘムタンパク質含量が高いほど低い反射率スペクトルを示す。図1に示すように、全体的に長波長ほど高い反射率を示す。長波長側の反射率はヘムタンパク質の光吸収が少ないことを意味するので、筋肉素地反射率は図1のように700nm付近の反射率とみなした考えがある。Krzywickiは筋肉素地反射率のスペクトルが700nm付近の反射率と考えた(非特許文献1)。筋肉素地反射率はヘムタンパク質を含まない素地であるから、ヘムタンパク質含量の多少とは関係しない値である。しかし図のように700nm付近の反射率は食肉中のヘムタンパク質含量の多少によって、高いほど低い値となり、大きく異なるので筋肉素地反射率とみなすことができない。また図1から明らかなように筋肉素地反射率が全波長で一定の値を示すとしたのも科学的な根拠がない。



反射分光法で食肉中のヘムタンパク質誘導体の測定において、525nmと575nmの2波長の反射率の値を用いて酸化型のみを測定した例が非特許文献2に記載されている。単純な酸化型のみの測定においても、食肉の明度の違い、すなわち食肉中のヘムタンパク質含量によって誤差が生じることが明らかになっている。




【特許文献1】特開平4-350540号公報

【特許文献2】特開平3-96838号公報

【特許文献3】特開2003-121351号公報

【非特許文献1】Krzywicki,K. Meat Science, 3巻, 1-10頁,1979年

【非特許文献2】泉本勝利、日本農芸化学会誌、50巻,55-59頁,1976年

産業上の利用分野


本発明は食肉等の鮮度を分光反射法によりリアルタイムで精度良く測定する方法及びかかる方法を使用する測定装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
食肉に光照射して得られる分光反射スペクトルのデータを用いる食肉の光学的鮮度識別方法であって、
前記分光反射スペクトルにおけるベースラインとして、短波長ほど反射率が低く、700nmの波長における反射率が45~55%である凸型の筋肉素地反射率曲線を用い、
前記食肉中に存在するミオグロビンの酸素型、還元型および酸化型の3成分の混在割合を下記式(9)を用いて算出し、前記混在割合から前記食肉の鮮度を識別することを特徴とする食肉の光学的鮮度識別方法


上記式(9)において、oxyはミオグロビンの酸素型、redはミオグロビンの還元型、metはミオグロビンの酸化型を表す。λ、λ及びλは異なる波長を、λisoは等吸収点(isosbestic point)の波長を、それぞれ表す。Poxy、Pred、Pmetはミオグロビンの酸素型、還元型、酸化型の混在割合をそれぞれ表す。α’は、反射分光法における吸光係数αと等吸収点の吸光係数αλisoの比(α/αλiso)である。G’は、上記式(11)によって導かれる。上記式(11)において、Rは食肉の反射率を表し、βは筋肉素地反射率を表す。

【請求項2】
食肉に光照射して得られる分光反射スペクトルのデータを用いる食肉の光学的鮮度識別装置であって、
食肉に光照射を行う光源、該食肉からの反射光を受光する手段、受光された反射光をスペクトル分光する手段、分光反射スペクトルのデータを記憶する手段、データを用いて前記食肉に含まれるミオグロビンの酸素型、還元型、酸素型の3成分の混在割合を算出する手段、および該混在割合を出力する手段を備え
前記分光反射スペクトルにおけるベースラインとして、短波長ほど反射率が低く、700nmの波長における反射率が45~55%である凸型の筋肉素地反射率曲線を用い、下記式(9)に基づいて前記混在割合を算出するソフトウェアを備えていることを特徴とする食肉の光学的鮮度識別装置。


上記式(9)において、oxyはミオグロビンの酸素型、redはミオグロビンの還元型、metはミオグロビンの酸化型を表す。λ、λ及びλは異なる波長を、λisoは等吸収点(isosbestic point)の波長を、それぞれ表す。Poxy、Pred、Pmetはミオグロビンの酸素型、還元型、酸化型の混在割合をそれぞれ表す。α’は、反射分光法における吸光係数αと等吸収点の吸光係数αλisoの比(α/αλiso)である。G’は、上記式(11)によって導かれる。上記式(11)において、Rは食肉の反射率を表し、βは筋肉素地反射率を表す。
産業区分
  • 試験、検査
  • 食品
  • 治療衛生
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
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