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加工食品の原料品種判定方法 コモンズ

国内特許コード P110005277
掲載日 2011年8月18日
出願番号 特願2005-187107
公開番号 特開2006-042808
登録番号 特許第5050189号
出願日 平成17年6月27日(2005.6.27)
公開日 平成18年2月16日(2006.2.16)
登録日 平成24年8月3日(2012.8.3)
優先権データ
  • 特願2004-196044 (2004.7.1) JP
発明者
  • 田原 誠
  • 大江 夏子
  • 山下 裕樹
  • 丸谷 優
  • 國米 修平
出願人
  • 国立大学法人 岡山大学
発明の名称 加工食品の原料品種判定方法 コモンズ
発明の概要

【課題】 加工食品の原料植物の品種を高精度に判定する方法を提供する。
【解決手段】 判定対象植物品種のゲノムの特定部位にレトロトランスポゾンが挿入されているか否かを、加工食品から抽出したDNAを鋳型とする核酸増幅反応を用いて、増幅産物の有無を検出することにより原料植物品種の判定が可能となる。増幅産物の長さが短くなるようプライマーを設計できるので、加工食品から抽出したDNAが高度に断片化されていても正確な判定が可能である。
【選択図】 なし

従来技術、競合技術の概要


植物の新品種育成者の権利は、植物品種保護制度が整備され、国際的にも保護されている。ところが、近年、国内の農業研究機関などが開発した新品種の農作物を許可なく海外で栽培し、加工食品として輸入するといった不正行為が増加しており、国内の農家を圧迫するという問題が生じている。また、消費者保護の観点から、加工食品の原料の不正表示を防止することも重要な課題となっている。しかしながら、加工食品の原料に使用されている植物の品種を判定する技術は未だ開発されておらず、加工食品の原料品種を鑑定する実用化技術の開発が待ち望まれている。



一方、植物の品種を識別する技術としては、DNAの多型検出法が注目されている。具体的には、RFLP(Restriction Fragment Length Polymorphism)、RAPD(Random Amplified Polymorphic DNA)、AFLP(Amplified Fragment Length Polymorphism)、SSR(Simple Sequence Repeat)、CAPS(Cleaved Amplified Polymorphic Sequence)、ISSR(Inter-Simple Sequence Repeat)、SNP(Single Nucleotide Polymorphism)などが検討されており(非特許文献1参照)、イネ、イグサ、イチゴ、インゲンなどでは、上記の方法を用いた品種識別技術が実用化されている。



植物のゲノム中には、転移因子が存在する。転移因子は、「転移性遺伝因子」または「可動性遺伝因子」とも呼称されるが、染色体上のある部位から別の部位へ転移する能力を備えた、あるいは、進化の過程で染色体上を転移したことが示されたDNA配列である。転移因子の転移に伴い、DNAの重複、欠失、あるいは、染色体の再編成が生じる。自然界で起こる突然変異の約70~80%は、このような転移因子の活動が原因であるとされている。



レトロトランスポゾンは、転移因子の一種である。レトロトランスポゾンの転移は、ゲノム中の配列が転写された後、逆転写反応により元の配列の複製となったDNAがゲノムに挿入されるという過程をとり、一旦挿入された配列は安定的に遺伝する(非特許文献2)。植物ゲノムには、進化の過程でこのようにして複製された配列が多数存在するが、そのほとんどは、転移活性を失っている。また、レトロトランスポゾンの多数の複製配列はゲノム中に散在しており、優れた遺伝子マーカーとなることが知られている(非特許文献3~5参照)。



ゲノムにおけるレトロトランスポゾンの個々の挿入位置は、制限酵素処理末端へのアダプター付加法(S-SAP:Sequence-Specific Amplification Polymorphism法)(非特許文献5参照)により、挿入位置近傍のゲノム配列(制限酵素認識部位)とLTR配列間の核酸増幅により区別できる。

【非特許文献1】矢野博、DNA多型分析による品種識別の可能性-植物におけるDNA多型検出技術とその応用-、農業および園芸、79:131-136(2004)

【非特許文献2】Kumar, A. and J. L. Bennetzen. Plant retrotransposons. Annu Rev Genet 33: 479-532 (1999)

【非特許文献3】Flavell A.J., M. Knox, S. R. Pearce, and T. H. N. Ellis. Retrotransposon-based insertion polymorphisms (RBIP) for high throughput marker analysis. Plant Journal 16: 643-650 (1998)

【非特許文献4】Kumar, A. and H. Hirochika. Application of retrotransposons as genetic tools in plant biology. Trends Plant Sci. 6, 127-134 (2001)

【非特許文献5】Waugh, R., K. McLean, A. J. Flavell, S. R. Pearce, A. Kumar, B. B. T. Thomas and W. Powell. Genetic distribution of Bare-1-like retrotransposable elements in the barley genome revealed by sequence-specific amplification polymorphisms (S-SAP). Mol Gen Genet 253: 687-694 (1997)

産業上の利用分野


本発明は、加工食品、特に植物を原料に含む加工食品の原料品種を高精度に判定する方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
サツマイモを原料に含む加工食品に含まれる原料サツマイモの品種を判定する方法であって、
サツマイモゲノムの品種に固有の特定部位にレトロトランスポゾンが挿入されているか否かを検出することによって原料サツマイモの品種を判定することを特徴とし、
当該レトロトランスポゾンは、配列番号30に示される塩基配列からなるRtsp-1レトロトランスポゾンである原料サツマイモの品種判定方法。

【請求項2】
上記サツマイモゲノムの特定部位にRtsp-1レトロトランスポゾンが挿入されているか否かの検出には、サツマイモゲノムの特定部位にRtsp-1レトロトランスポゾンが挿入されている品種の、当該Rtsp-1レトロトランスポゾンに隣接するゲノム領域の塩基配列に基づいて設計されるプライマーと、Rtsp-1レトロトランスポゾンの塩基配列に基づいて設計されるプライマーとを組み合わせたプライマーセットを用いて、加工食品から調製したDNAを鋳型として核酸増幅反応を行い、増幅産物の有無を確認する方法を用いることを特徴とする請求項1に記載の原料サツマイモの品種判定方法。

【請求項3】
サツマイモを原料に含む加工食品に含まれる原料サツマイモの品種を判定する方法であって、
判定対象とする複数の品種について、ゲノム中のレトロトランスポゾン挿入部位を比較して多型が認められるレトロトランスポゾン挿入部位を複数選択し、
選択された各レトロトランスポゾン挿入部位のレトロトランスポゾンに隣接するゲノム領域の塩基配列に基づいて設計されるプライマーと、レトロトランスポゾンの塩基配列に基づいて設計されるプライマーとを組み合わせたプライマーセットを設計し、
加工食品から調製したDNAを鋳型として各プライマーセットによる核酸増幅反応を行い、
各核酸増幅反応における増幅産物の有無を確認し、それらの結果を組み合わせることによって原料サツマイモの品種を判定することを特徴とし、
当該レトロトランスポゾンは、配列番号30に示される塩基配列からなるRtsp-1である原料サツマイモの品種判定方法。

【請求項4】
サツマイモを原料に含む加工食品に含まれる原料サツマイモの品種を判定する方法であって、
判定対象とする複数の品種について、ゲノム中のレトロトランスポゾン挿入部位を比較して多型が認められるレトロトランスポゾン挿入部位を複数選択し、
レトロトランスポゾンの塩基配列に基づいて1種類のプライマーを設計し、
当該1種類のプライマーと組み合わせる各プライマーを、各プライマーセットを用いた核酸増幅反応により得られる増幅断片が全て異なる長さとなるように、選択された各レトロトランスポゾン挿入部位のレトロトランスポゾンに隣接するゲノム領域の塩基配列に基づいて設計し、
加工食品から調製したDNAを鋳型として、上記レトロトランスポゾンの塩基配列に基づくプライマーと上記レトロトランスポゾンに隣接するゲノム領域の塩基配列に基づく各プライマーを全て用いて1つの核酸増幅反応を行い、
各プライマーセットにおける増幅産物の有無を確認し、それらの結果を組み合わせることによって原料サツマイモの品種を判定することを特徴とし、
当該レトロトランスポゾンは、配列番号30に示される塩基配列からなるRtsp-1レトロトランスポゾンである原料サツマイモの品種判定方法。

【請求項5】
上記増幅産物の断片長は40bp~600bpであることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の原料サツマイモの品種判定方法。

【請求項6】
上記Rtsp-1レトロトランスポゾンに隣接するゲノム領域の塩基配列は、当該領域を含むDNA断片をシーケンスすることにより得られる塩基配列であることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の原料サツマイモの品種判定方法。

【請求項7】
上記Rtsp-1レトロトランスポゾンに隣接するゲノム領域の塩基配列は、当該領域を含むDNA断片をクローニングし、当該断片をシーケンスすることにより得られる塩基配列であることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の原料サツマイモの品種判定方法。

【請求項8】
上記レトロトランスポゾンに隣接するゲノム領域を含むDNA断片をシーケンスすることにより得られる塩基配列は、配列番号1ないし9に示される塩基配列であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の原料サツマイモの品種判定方法。

【請求項9】
上記レトロトランスポゾン挿入部位のレトロトランスポゾンに隣接するゲノム領域の塩基配列に基づいて設計されるプライマーは、配列番号10ないし18に示される塩基配列からなるプライマーから選択され、
上記レトロトランスポゾンの塩基配列に基づいて設計されるプライマーは配列番号19に示される塩基配列からなるプライマーであることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の原料サツマイモの品種判定方法。

【請求項10】
請求項9に記載の原料サツマイモの品種判定方法に用いるプライマーであって、配列番号10、11、12、13、14、15、16、17、18、または19に示される塩基配列からなることを特徴とするサツマイモ品種判定用プライマー。

【請求項11】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の原料サツマイモの品種判定方法を実施するためのキットであって、上記Rtsp-1レトロトランスポゾンに隣接するゲノム領域の塩基配列に基づいて設計されるプライマーと、上記Rtsp-1レトロトランスポゾンの塩基配列に基づいて設計されるプライマーとを含むことを特徴とする原料サツマイモの品種判定キット。

【請求項12】
請求項9に記載の原料サツマイモの品種判定方法を実施するためのキットであって、配列番号10ないし18に示される塩基配列からなるプライマーのうち少なくともいずれか2つ以上を含み、かつ、配列番号19に示される塩基配列からなるプライマーを含むことを特徴とする原料サツマイモの品種判定キット。
産業区分
  • 微生物工業
  • 食品
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
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技術移転に関しては岡山TLOが窓口になります。


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