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新規微生物、その培養方法及びそれを用いた排水処理方法 コモンズ

国内特許コード P110005279
掲載日 2011年8月18日
出願番号 特願2005-208812
公開番号 特開2007-020500
登録番号 特許第4759730号
出願日 平成17年7月19日(2005.7.19)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
登録日 平成23年6月17日(2011.6.17)
発明者
  • 河合 富佐子
  • 劉 欣
  • 谷 明生
出願人
  • 国立大学法人 岡山大学
発明の名称 新規微生物、その培養方法及びそれを用いた排水処理方法 コモンズ
発明の概要

【課題】 ノニオン系界面活性剤の代謝産物であるアルキルフェノール短鎖ポリエトキシレート及びアルキルフェノールを、微生物によって好気的に分解する方法を提供すること。
【解決手段】 好気的条件下において、下記式(1)におけるn=0、1及び2のいずれの化合物も資化する能力を有し、エンシファー(Ensifer)属又はシュードモナス(Pseudomonas)属のいずれかに属する新規微生物を用いて排水処理する。

式(1)中において、Rは炭素数が4~24のアルキル基を示す。nは0又は自然数である。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


アルキルフェノールポリエトキシレートは界面活性剤として産業用、家庭用に幅広く、大量に使用されている。これらは水溶性物質であり、使用後は廃水などに含まれ、最終的には河川、海水などの自然水系に流出する結果になる。アルキルフェノールポリエトキシレートの大半がノニルフェノールポリエトキシレートであり、オクチルフェノーポリエトキシレートを含めるとほとんど全てを占める。アルキルフェノールポリエトキシレートのエトキシ鎖は活性汚泥で代謝されることや、PEG(ポリエチレングリコール)資化菌やPEG脱水素酵素の基質となることが広く知られている。例えば、自然水系からはポリエトキシ基が短縮したものやその末端アルコール基がカルボキシル化したものが検出されているのでアルキルフェノールポリエトキシレートはある程度の分解を受けると考えられる。しかし、ポリエトキシ基が短縮したものであるアルキルフェノール短鎖ポリエトキシレートの分解性は悪く、繰り返しエトキシ単位の数をnとしたときの、n=1又は2などの化合物を完全に分解するのは容易ではない。そのため、アルキルフェノール短鎖ポリエトキシレートは代謝産物として蓄積することが報告されていて、汚泥処理廃水や環境水からも実際に使用されたポリエトキシレートではなく、ポリエトキシ鎖が短くなった代謝物が検出されている。



これらの短鎖ポリエトキシレートは、元のアルキルフェノールポリエトキシレートよりも毒性が高く、アルキルフェノール同様に、エストロゲン様活性をもち、内分泌撹乱性物質であることが指摘されている。また、これらの物質はポリエトキシ鎖に由来する親水性が低下または消失して疎水性物質となるため、河川などの底泥や水生生物に蓄積しやすく、食物連鎖を通じて人間に影響を及ぼす危険性もある。嫌気分解ではn=2以下の短鎖ポリエトキシレートやそれらの代謝物がノニルフェノール(NP)にまで分解されたという報告がなされているし、ノニルフェノールについては原核および真核微生物で資化されるという報告もなされている。しかしながら、好気分解でのこれらの物質の分解に関連する報告は必ずしも多くない。実際の処理を考えると、活性汚泥と組み合わせた好気処理が、実用性が高い方法であると考えられるので、好気性菌による完全分解が望まれるところである。合成洗剤は使用後、ほとんどが廃水中に流出するが、その濃度は低く、このようなものに化学処理は適さず、生物処理がコストなどからみても実用的である。したがって、アルキルフェノール短鎖ポリエトキシレートおよび最終産物であるアルキルフェノールを生物触媒で分解することは環境から合成洗剤由来内分泌撹乱性物質を除去するために有効である。活性汚泥処理などと組み合わせることにより、活性汚泥処理で発生する合成洗剤由来の内分泌撹乱性物質による2次汚染を防止する方法が強く望まれている。すなわち、アルキルフェノール短鎖ポリエトキシレートを酸化し、エーテル結合の短縮を行い、最終的に生じるアルキルフェノールをも資化分解することが可能な微生物が望まれている。



非特許文献1には、シュードモナス・プッチーダ(Pseudomonas putida)S-5による、オクチルフェノールポリエトキシレート(n=2~8)の分解挙動が記載されている。それによれば、前記微生物による分解によって、n=4~8の化合物については経時的に量が減少するけれども、n=2及び3の化合物については経時的に量が増加することが示されている。また、n=0及び1の化合物については、全く生成していないことが示されている。すなわち、前記微生物は、n=4以上のオクチルフェノールポリエトキシレートは容易に分解するものの、n=3以下の化合物を分解することは困難であり、特にn=2の化合物は全く分解できないことが示されている。



非特許文献2には、NP(ノニルフェノール)及びNP1EO(n=1:ノニルフェノールモノエトキシレート)がシュードモナス(Pseudomonas)sp. strain JC1によって好気的に分解されることが記載されている。しかしながら、当該文献に記載されている方法では、分解される化合物の濃度が非常に低く、実用的性能の面からは不十分である。また、NP2EO(n=2:ノニルフェノールジエトキシレート)の分解の可否については不明である。



特許文献1には、新規な微生物の純粋培養物であるシュードモナス・ニトロレデュセンス(Pseudomonas nitroreducens)・TX1を用いてオクチルフェノールポリエトキシレートのエーテル結合を切断する方法が記載されている。当該方法は、1~3個のエトキシル単位を持つオクチルフェノール短鎖ポリエトキシレートのエーテル結合を好気的に開裂させるのに効果的であるとされている。しかしながら、オクチルフェノール短鎖ポリエトキシレートの具体的な分解率やオクチルフェノールの分解の可否については不明である。




【特許文献1】特開2005-110667号公報

【非特許文献1】Hiroaki Sato外4名、「Characterization of Biodegradation Intermediates of Nonionic Surfactants by MALDI-MS. 2. Oxidative Biodegradation Profiles of Uniform Octylphenol Polyethoxylate in 18O-Labeled Water」、バイオマクロモレキュールズ(Biomacromolecules)、米国化学会、2003年、第4巻、p.46-51

【非特許文献2】S. Y. Yuan外2名、「Biodegradation of nonylphenol in river sediment」、エンバイロメンタル・ポルーション(Environmental Pollution)、オランダ、エルゼビア社(Elsevier Ltd.)、2004年、第127巻、p.425-430

産業上の利用分野


本発明は、アルキルフェノール及びアルキルフェノール短鎖ポリエトキシレートを分解することの可能な新規微生物に関する。また、その培養方法及びそれを用いた排水処理方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
好気的条件下において、下記式(1)におけるn=0、1及び2のいずれの化合物も資化する能力を有し、シュードモナス(Pseudomonas)sp. AS90(受託番号FERM P-20571)である微生物。
【化学式1】


式(1)中において、Rは炭素数が4~24のアルキル基を示す。nは0又は自然数である。

【請求項2】
上記式(1)におけるn=10以上の化合物を資化する能力を有さない請求項1記載の微生物。

【請求項3】
前記式(1)におけるn=0、1又は2のいずれかの化合物を含有する培地を用いて培養する請求項1又は2記載の微生物の培養方法。

【請求項4】
酵母エキスを含有する培地を用いて培養する請求項1又は2記載の微生物の培養方法。

【請求項5】
請求項1又は2記載の微生物を用いて好気的条件下において前記式(1)におけるn=0、1及び2のいずれの化合物も分解させる排水処理方法。

【請求項6】
アルキルフェノールポリエトキシレートからなるノニオン系界面活性剤を含有する排水を浄化処理する際に、ノニオン系界面活性剤を資化することの可能な他の微生物と、前記微生物とを共存させる請求項記載の排水処理方法。

【請求項7】
アルキルフェノールポリエトキシレートからなるノニオン系界面活性剤を含有する排水を、ノニオン系界面活性剤を資化することの可能な他の微生物を用いて処理した後に、さらに前記微生物を用いて処理する請求項記載の排水処理方法。
産業区分
  • 微生物工業
  • 衛生設備
  • 廃水処理
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
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