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リニア・アクチュエータ コモンズ

国内特許コード P110005280
掲載日 2011年8月18日
出願番号 特願2005-233166
公開番号 特開2007-046734
登録番号 特許第3887689号
出願日 平成17年8月11日(2005.8.11)
公開日 平成19年2月22日(2007.2.22)
登録日 平成18年12月8日(2006.12.8)
発明者
  • 清水 一郎
  • 關 正憲
  • 多田 直哉
  • ▲吉▼田 彰
出願人
  • 学校法人岡山大学
発明の名称 リニア・アクチュエータ コモンズ
発明の概要

【課題】特に特殊(高価)な機械要素を用いることなく、差動機構を介した直線運動に変換することにより、小さな入力トルクから大きな直線運動出力を発生させ、回転量を比例的に直線運動へ変換することによって精密な位置決め制御が可能であるリニア・アクチュエータを提供する。
【解決手段】2つの支持部材2,3に2本の回転軸4と1本の移動軸5とを平行に設け、回転軸4は第1歯車12と第2雄ねじ部13をもち、移動軸5は第2歯車14と第1雄ねじ部15とヘッド部28とを有し、支持部材2に対する相対移動が可能な移動部材6を設け、移動軸5の軸方向移動量は、回転軸4の回転に伴う移動部材6および移動軸5の一の軸方向xへ移動する距離と、回転軸4の回転が第1および第3伝動手段12,14を通じて移動軸5に伝達されて移動軸5が回転することにより、移動部材6に対して移動軸5が一の軸方向xとは逆向きの軸方向yに移動する距離との差であることを特徴とする。
【選択図】図7

従来技術、競合技術の概要


従来、材料試験機や扛重機などにおける直線運動力発生機構としては、必要とされる力が非常に大きい場合には、油圧シリンダを用い、一方、必要とされる力が比較的小さくてもよい場合には、回転運動を直線運動に変換する機構として、ねじとナット、歯車、リンクなどの組合せを用いるのが一般的である。特に、後者に関しては、さらに次のように大別される。
(1)ねじとナットを直接組み合わせたもの
(2)差動ねじ機構を用いたもの
(3)ラックピニオン機構を用いたもの
(4)ウォーム機構を用いたもの
(5)クランク機構を用いたもの
(6)パンタグラフ機構を用いたもの



まず、油圧シリンダにおいては、シリンダ径を大きくすることにより、数百kN以上の大荷重を発生することが可能であるため、大型の材料試験機や扛重機などに広く用いられている。しかしながら、油圧シリンダは、変位を制御することが極めて困難であるという欠点を有する。また、変位を停止させると、油圧シリンダの機構上、シリンダのパッキンからの油漏れを完全に防ぐことができないために、徐々に荷重が低下する。さらに、材料試験において、変位停止時にクリープ現象などで試験材料内の応力が低下すると、停止位置もそれに応じて変化してしまう。



このため、正確な変位制御が必要な材料試験などにおいては、前項(1)で述べたように、モータなどの動力によってねじを回転させ、そのねじと螺合されているナットを取り付けたクロスヘッドを移動させ、直線運動に変換する機構を用いることが多い(図1)。しかしながら、前項(1)のねじとナットを用いた装置では、小さな回転トルクを大きな直線運動力へ変換するために、容積の大きいギヤボックスを用いて減速させる必要がある。また、大きな直線運動力を得るためには、太いねじを用いる必要があるが、ねじが太くなるほどピッチも大きくなるため、精密な変位制御が困難となる。すなわち、前項(1)の装置では、大きな直線運動力と精密な変位制御を両立させることが難しい。



同様に、ねじ、歯車などを用いた前項(2)~(6)で述べた機構について、それぞれの長所および短所を挙げる。



前項(2)の差動ねじ機構を用いた装置は、図2に示すように、2つのねじ部のピッチを異ならせることにより、これらのねじ部を同時に回転させた際に、各ねじ部にそれぞれ取り付けた針間の距離を精密に変化させることができ、結果的に回転を微少な直線運動へ変換することができる。しかしながら、この方法では、相対的な直線方向移動量の差を取り出すために、回転させるねじ軸に対していずれの針も移動することになり、装置への組み込みが難しい。また、ピッチの異なるねじを組み合わせるために、製造上複雑な工程が必要となる。さらに、最大直線運動力は、ピッチの小さい方のねじに依存し、ピッチが小さい分だけねじ山の実用強度も低くなるという問題がある。



前項(3)のラックピニオン機構を用いた装置は、図3に示すように、比較的軽いものを粗動させる際に広く用いられている。回転運動を直線運動に変換する機構としては一般的であるが、歯車の噛み合っている領域が小さく限られているので、大きな力を伝達する用途には適していない。



前項(4)のウォームギヤとねじを組み合わせた機構を用いた装置は、図4に示すように、回転運動を直線運動に変換する機構が実際に用いられている。ウォームギヤの長所は、平歯車と比べて大きな減速比が得られる点と、停止時の保持力が大きい点である。しかしながら、ウォームギヤは、すべり接触であり、熱を発生しやすいために摩耗が進行しやすく、バックラッシが大きくなる。また、機械効率が低いために平歯車と比べて負荷容量が小さいという欠点を有する。さらに、装置を小型化しようとすると、ウォームギヤの噛み合いが少なくなるため、強度や耐久性が低下する。



前項(5)のクランク機構を用いた装置は、回転運動を往復直線運動に変換する機構として古くから用いられており、プレス機械の圧縮力伝達機構としては最も広く使われている(図5)。しかしながら、前項(5)の装置は、その機構上、発生しうる力はストローク位置によって変化し、ストローク中央では加圧力が最も小さくなる。すなわち、ストロークの途中で停止させたり、変速させる用途には適してなく、変位制御は困難である。



前項(6)のパンタグラフ機構を用いた装置は、図6に示すように、部品点数が少なく、特殊な減速機構を用いることなく大きな直線運動力が得られるという長所を有する。しかしながら、前項(6)の装置は、回転量と直線変位が比例しないため、精密な変位制御を行うことは難しい。



このため、本発明者らは、差動的なねじ機構を用いて、大きな直線運動力と精密な変位制御を両立させるための検討を行った。



例えば特許文献1には、入力軸と、2つのねじ部を有する中間軸と、該中間軸と軸平行に配置され、軸の一部にねじ部を有する出力軸と、中間軸の一のねじ部に螺合するナット及び出力軸のねじ部に螺合するナットを連結するコラムとからなり、2つのねじ部の差動作用を利用して変位制御することが記載されている。



特許文献1記載の変位制御方法は、同一回転軸(中間軸)に設けられた2つのねじ部のリード差により差動作用を生じさせるものであるが、最終的には回転出力を得るための機構であって、回転トルクを直線運動力に変換する機構ではない。



また、特許文献2には、差動レバーを利用して直線的な微変位を行い高精度に位置決めするためのサブマイクロマニプレータが記載されているが、精密な直線運動を達成するためには、半径の大きな歯車を有する直動レバーやピッチの小さなウォームが必要になり、構成が複雑になるという問題がある。



さらに、特許文献3には、ハウジングと駆動スリーブの間に中間アクチュエータ部材を装着した構成を有し、ねじ機構により回転を直線運動に変換し、また、回転量に対して直線運動量を比例的に変化させることができる差動式リニア・アクチュエータが記載されているが、この中間アクチュエータ部材は、複雑な構成を有しており、加工が難しいという問題がある。



さらにまた、特許文献4には、遊星歯車伝動装置の回転駆動運動を直線運動に変換する構成を有し、歯車の歯数やねじのピッチを変えることにより、入力直線運動の移動出力比を変えることが可能であり、回転量に対し直線移動量を比例的に変化させることができるブレーキ操作装置が記載されているが、このブレーキ装置は、2つの電動モータが必要であるため、装置の小型化や軽量化を図ることは難しいという問題点がある。



加えて、特許文献5には、ベースと支持板と可動体と主軸モータとねじ軸と、第一のねじをもつ差動円筒と第二のねじと差動円筒を支持板およびねじ軸とに対して回転させるモータとを有し、そのモータの回転によって差動円筒をねじ軸とともに支持板に対して上下移動させる差動機構を備えたプレス装置が記載されているが、この装置は、2個のモータが必要であり、装置の小型化や軽量化の点で不利である。

【特許文献1】特開昭59-77162号公報

【特許文献2】特開昭61-131882号公報

【特許文献3】特開平6-323394号公報

【特許文献4】特表2000-507332号公報

【特許文献5】特開2005-66652号公報

産業上の利用分野


この発明は、リニア・アクチュエータに関し、特に電動モータなどの回転力を動力源とし、特殊(高価)な機械要素を用いることなく、差動機構を介した直線運動に変換することにより、小さな入力トルクから大きな直線運動出力を発生させるとともに、回転量を比例的に直線運動へ変換することによって精密に位置決めし、かつ完全に静止することが必要な材料試験機や精密扛重機、切削加工機における工作物移動装置など、さらには小型化が可能である利点を活かし、構成要素寸法と比較して大きな直線方向力が必要とされるマニピュレータ装置などに用いることができる、直動機構に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
少なくとも1つの支持部材に、回転可能に担持される少なくとも1本の回転軸と、軸方向への移動可能に担持される少なくとも1本の移動軸とを設け、
回転軸は、その少なくとも片側に第1伝動手段を有し、回転軸の所定部分に、第1伝動手段とともに同一方向に回転する第2伝動手段をもち、
移動軸は、その少なくとも片側に、回転軸に設けた第1伝動手段と係合する第3伝動手段を有し、移動軸の所定部分に、第3伝動手段とともに同一方向に回転する第1雄ねじ部をもち、先端に軸方向への位置決め制御を行うヘッド部を有し、
少なくとも移動軸の第1雄ねじ部が螺合する第1雌ねじ孔と、回転軸の第2伝動手段と連係動作する第4伝動手段をもち、第1雄ねじ部に沿って、支持部材に対する相対移動が可能な少なくとも1つの移動部材を設け、
移動軸のヘッド部における軸方向移動量は、回転軸の回転に伴う移動部材および移動軸の一の軸方向へ移動する距離と、回転軸の回転が第1および第3伝動手段を通じて移動軸に伝達されて移動軸が回転することにより、前記一の軸方向へ移動する移動部材に対して移動軸が一の軸方向とは逆向きの軸方向に移動する距離との差であることを特徴とするリニア・アクチュエータ。

【請求項2】
第1及び第3伝動手段はいずれも歯車である請求項1記載のリニア・アクチュエータ。

【請求項3】
前記回転軸と前記移動軸は平行に配置され、第2伝動手段は第2雄ねじ部であり、第4伝動手段は第2雌ねじ孔である請求項1または2記載のリニア・アクチュエータ。

【請求項4】
移動軸のヘッド部の軸方向移動量は、第1および第2雄ねじ部のピッチ比と、第1及び第3伝動手段の歯数比とで決定される請求項3記載のリニア・アクチュエータ。

【請求項5】
回転軸の第2雄ねじ部が、右ねじまたは左ねじで形成され、移動軸の第1雄ねじ部が、第2雄ねじ部とは逆向きのねじで形成され、第1伝動手段を一方向に回転させると、回転軸が第1伝動手段とともに共回転して移動部材を前進させ、移動部材が回転軸の第2雄ねじ部に沿って移動軸を前進させる方向に移動させると同時に、第1伝動手段との係合動作で第1伝動手段とは逆向きに第3伝動手段が回転して、移動軸を、移動部材の移動方向とは逆向きの方向に移動させるように構成する請求項3または4記載のリニア・アクチュエータ。

【請求項6】
回転軸の第2雄ねじ部と移動軸の第1雄ねじ部が、ともに右ねじで形成され、第1伝動手段と第3伝動手段の間に、これらと係合動作する第5伝動手段を設け、第1伝動手段を一方向に回転させると、回転軸が第1伝動手段とともに共回転して移動部材を前進させ、移動部材が回転軸の第2雄ねじ部に沿って移動軸を前進させる方向に移動させると同時に、第5伝動手段を介した第1伝動手段との係合動作で第1伝動手段と同じ向きに第3伝動手段が回転して、移動軸を、移動部材の移動方向とは逆向きの方向に移動させるように構成する請求項3または4記載のリニア・アクチュエータ。

【請求項7】
移動軸を1本とし、回転軸を2本とする請求項1~6のいずれか1項記載のリニア・アクチュエータ。

【請求項8】
平行配置した2本の回転軸の第1伝動手段を挟んで移動軸の第3伝動手段とは反対側に、両回転軸の第1伝動手段と係合動作する第6伝達手段を設け、該第6伝動手段は、駆動軸を介して駆動手段に連結される請求項7記載のリニア・アクチュエータ。

【請求項9】
前記回転軸と前記移動軸は直交して配置され、第2伝動手段はピニオンであり、第4伝動手段はラックである請求項1または2記載のリニア・アクチュエータ。
産業区分
  • 機構・伝動
  • 工業用ロボット
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2005233166thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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