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神経細胞分化誘導剤 コモンズ

国内特許コード P110005293
掲載日 2011年8月18日
出願番号 特願2006-037294
公開番号 特開2007-217311
登録番号 特許第5050195号
出願日 平成18年2月14日(2006.2.14)
公開日 平成19年8月30日(2007.8.30)
登録日 平成24年8月3日(2012.8.3)
発明者
  • 合田 榮一
  • 田井 章博
  • 鎌田 祐佳
出願人
  • 国立大学法人 岡山大学
発明の名称 神経細胞分化誘導剤 コモンズ
発明の概要

【課題】本発明の課題は、脳室内に移行しやすく経口投与が可能であり、かつ容易に入手できる低分子量の神経栄養物質であり、プロスタグランジンやロイコトリエンなどのケミカルメディエーターの産生による影響を殆ど受けることなく、効果的に神経細胞の神経突起を形成し、神経網の形成促進作用を示す物質を有効成分として含有する神経細胞分化誘導剤を提供することである。
【解決手段】炭素数6~10の直鎖中鎖脂肪酸を有効成分として含有する神経細胞分化誘導剤による。直鎖中鎖脂肪酸には、各脂肪酸の他、各脂肪酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、n-ブチルエステル等の化合物および上記各脂肪酸の薬学上許容しうる塩などをも含む。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


脳機能の改善薬として実用化されているものには、脳代謝改善薬、脳循環改善薬、脳保護薬、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬などがあるが、その効果は限定的であり、脳機能を積極的に亢進させるものではない。脳機能亢進物質としては、神経網の形成を促す神経栄養因子である神経成長因子(以下「NGF」という。)がよく知られている。しかし、NGFは分子量がモノマーで13,000、ダイマーで26,000の大きさのタンパク質であり、NGFを脳室内へ注入すると有効であるが、血液脳関門を通過しないため末梢からの投与や経口投与では効果がない。



神経系が正常に機能するには、ニューロン細胞の成熟と保持が必要である。また、シナプス接合が適正に確立されることによって、異なるニューロン間での連絡が可能となる。また、神経疾患の多くは、ニューロン細胞の特定のクラスの消失、または変性と関連している。神経変性および増殖性疾患の予防および/または治療に有効な方法、並びに使用される化合物として、バルプロ酸誘導体で側鎖を有するカルボン酸を用いる方法が特許文献1に開示されている(特許文献1)。



脳内に移行しやすく経口投与が可能、かつ容易に入手できる低分子量の神経栄養物質が望まれている。このような物質として、6個の二重結合をもつ炭素数22の直鎖不飽和脂肪酸であるドコサヘキサエン酸(DHA)が注目されている。マウス結合組織由来の繊維芽細胞樹立株L-M細胞に、EPAおよび/またはDHAを添加したときにNGFの産生能が増強することが報告されている(特許文献2)。さらに、マウス結合組織由来の繊維芽細胞樹立株L-M細胞に、ジアシル型グリセロリン脂質を添加した場合にもNGFを産生することが報告されている(特許文献3)。また、DHAはNGFなどの作用を増強するものの、単独では効果が弱い(非特許文献1)。



中鎖脂肪酸またはこれを含むトリグリセリドを使用する、アルツハイマー病およびその他の脳疾患の治療方法が報告されている(特許文献4)。特許文献4では、アルツハイマー病でのエネルギー源としてのグルコース利用が低下していることに着目している。中鎖脂肪酸またはこれを含むトリグリセリドの投与により、中鎖脂肪酸が代謝されて生成されるケトン体をエネルギー源として利用しうることによるアルツハイマー病等の改善について言及されているが、中鎖脂肪酸またはこれを含むトリグリセリドが、直接神経細胞に作用することは全く記載されていない。



炭素数12~26の脂肪酸のコリンエステルを脳卒中の治療に用いることが報告されている(特許文献5)。しかしながら、コリンエステルが神経細胞に作用することは開示されていない。さらに、特許文献5において、炭素数4~30の天然物由来脂肪酸を薬剤に複合させて、薬物の親油性を増強させることについて言及しているが、上記脂肪酸について、神経細胞に作用することも、脳卒中の治療に使用することも全く開示がない。



その他の脂肪酸としては短鎖脂肪酸に属し、炭素数4の直鎖飽和脂肪酸である酪酸がNGFなどの作用を増強することが報告されているが、これも単独の作用は殆ど認められない(非特許文献2)。



脳機能の低下に起因する症状あるいは疾患の予防又は改善作用を有する組成物として、構成脂肪酸について開示がある(特許文献6)。特許文献6では構成脂肪酸ではアラキドン酸を含むものに限定されている。しかし、アラキドン酸は、NGFと併用するとNGFの効果を抑制するとの報告があり(非特許文献1)、またアラキドン酸からプロスタグランジンやロイコトリエンなどのケミカルメディエーターが産生されると、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、花粉症などのアレルギー症状の悪化につながる危険性がある。

【特許文献1】特表平10-505064号公報

【特許文献2】特開平8-143454号公報

【特許文献3】特開平6-157338号公報

【特許文献4】特表2003-531857号公報

【特許文献5】特表2001-523715号公報

【特許文献6】特開2003-48831号公報

【非特許文献1】Ikemoto et al., Neurochem. Res. 22, 671-678, 1997

【非特許文献2】Suzuki-Mizushima et al., Brain Res. 951, 209-217, 2002

産業上の利用分野


本発明は炭素数6~10の中鎖脂肪酸を有効成分として含有する神経細胞分化誘導剤に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
炭素数6~10の中鎖脂肪酸を有効成分として含有する、アルツハイマー病予防治療剤を除く神経細胞分化誘導剤。

【請求項2】
炭素数6~10の中鎖脂肪酸が、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸およびデカン酸ならびにこれらの脂肪酸の各メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステルおよびn-ブチルエステル化合物と上記各脂肪酸の薬学上許容しうる塩から選択される請求項1に記載の神経細胞分化誘導剤。

【請求項3】
神経細胞分化誘導剤が、請求項2に記載の化合物のうち、1種または複数種を含む神経細胞分化誘導剤。

【請求項4】
神経成長因子(NGF)産生増強剤および/またはサイクリックAMP(cyclic adenosine 3’,5’-monophosphate:cAMP)産生誘導剤との併用で使用する請求項1~3のいずれか1に記載の神経細胞分化誘導剤。

【請求項5】
請求項1~4のいずれか1に記載の神経細胞分化誘導剤を含む、脳神経細胞機能の低下に起因する疾患および症状の予防および改善の利用のための医薬組成物であって、アルツハイマー病予防治療剤を除く医薬組成物。
産業区分
  • 薬品
  • 食品
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
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