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肺癌モデル動物およびその利用 コモンズ

国内特許コード P110005334
掲載日 2011年8月18日
出願番号 特願2007-055843
公開番号 特開2008-212081
登録番号 特許第5255216号
出願日 平成19年3月6日(2007.3.6)
公開日 平成20年9月18日(2008.9.18)
登録日 平成25年4月26日(2013.4.26)
発明者
  • 谷本 光音
  • 木浦 勝行
  • 大橋 圭明
  • 頼 冠名
  • 藤原 義朗
  • 大澤 昌宏
  • 高田 穣
  • 平野 世紀
出願人
  • 国立大学法人 岡山大学
発明の名称 肺癌モデル動物およびその利用 コモンズ
発明の概要 【課題】EGFR遺伝子変異をもつ肺癌モデル動物およびその利用の提供。
【解決手段】肺サーファクタントタンパク質Cプロモーターとマウス変異EGFR遺伝子とを含む発現ベクターを導入してなる肺癌モデル動物、肺サーファクタントタンパク質Cプロモーターとヒト変異EGFR遺伝子とを含む発現ベクターを導入してなる肺癌モデル動物、および前記肺癌モデル動物または当該動物に由来する組織もしくは細胞を用いることを特徴とする肺癌の治療候補物質のスクリーニング方法。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


肺癌の発症例は増加傾向が続くが、根治的手術の対象となるのは一部の例で、多くは進行した状態で発見される。しかしながら、肺癌の発症メカニズムは不明な点が多く、化学療法では根治的な効果が得られることは極めて稀である。近年、癌の分子レベルでの増殖メカニズムが徐々に解明され、増殖因子などを標的にした分子標的薬がいくつか臨床応用されている。そのなかで、上皮成長因子受容体(EGFR)のチロシンキナーゼ阻害剤であるゲフィチニブ(IRESSA(イレッサ)TM、アストラゼネカ社)は、市販以来短期間で多数の患者に投与された実績を有する薬剤であるが、肺癌の中でも、腺癌、女性、東洋人に著効例が多い。ゲフィチニブは、EGFRの遺伝子変異と薬効の関連性が指摘され、著効が期待される対象と副作用が懸念される対象とを選別するためのファーマコゲノミクス解析が進行中である。EGFR遺伝子変異を伴う肺癌は、喫煙に関連したRas遺伝子変異が原因の肺癌とは異なる群と考えられており、特異的な診断、治療方法の確立が求められている。



発癌と特定の遺伝子変異との相関関係や特定の遺伝子を標的とした分子標的薬の開発の基礎的研究のためには、特定の遺伝子に変異を導入した発癌モデル動物の作製が必要となってくる。近年、ヒト肺癌で見出される変異EGFRを導入したマウスおよびその解析結果が記載された文献が32報報告された(非特許文献1、2、3)。非特許文献1および2に記載された変異EGFR導入マウスでは、変異EGFRを肺特異的に発現させるために、肺のみで活性化されるCCSP(Clara cell secretory protein)プロモーターを採用し、プロモーターの活性化を調節するために、テトラサイクリンで活性化されるrtTA(reverse tetracycline transactivator)を介在させている。つまり、変異遺伝子の発現をテトラサイクリンの投与、中止でオン、オフできるようにしている。いずれのマウスにおいても、テトラサイクリン投与で変異EGFRが肺に発現し、肺癌が発生している。また、テトラサイクリン投与を中止することで、遺伝子発現のスイッチがオフになり肺癌が消失することが確認されている。さらに、エルロチィニブ(タルセバ)(ロシュ社)(イレッサと同様の作用機序の薬剤)またはセツキシマブ(抗EGFR抗体)の投与で肺癌が著明縮小することも確認されている。



EGFRの変異と癌の関係は、癌の発症のみならず、癌の進行、悪性度および予後にも大きく影響することから、EGFR遺伝子変異を検出する方法およびキットも考案されている(特許文献1)。かかる方法を実施して得られた遺伝子変異を動物モデルに応用することも可能である。このようなことから、より扱いが簡単でEGFR変異と癌との関係を実証可能な動物モデルが求められている。
【特許文献1】
国際公開第2006/070667号パンフレット
【非特許文献1】
Politi K. et al., 2006, Genes and Development 20(11):1496-1510
【非特許文献2】
Ji H. et al., 2006, Cancer Cell 9:1-11
【非特許文献3】
Ji H. et al., 2006, Proc. Natl. Acad. Sci.103(20):7817-7822

産業上の利用分野


本発明は、肺癌モデル動物およびその利用に関する。詳しくは、変異EGFR遺伝子を導入した肺癌モデル動物および当該動物を用いるEGFR標的医薬の薬効評価等に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
肺サーファクタントタンパク質Cプロモーターとマウス変異EGFR遺伝子とを含む発現ベクターを導入してなる肺癌モデル非ヒト動物であって、マウス変異EGFR遺伝子はGenbank Accession No. NM_207655で公表されたアミノ酸配列(配列番号4)を基準として、748位のグルタミン酸から752位のアラニンまでのアミノ酸の欠失変異が生じる変異遺伝子、860位のロイシンがアルギニンに置換された変異が生じる変異遺伝子または721位のグリシンがセリン、アラニンもしくはシステインに置換された変異が生じる変異遺伝子である、非ヒト動物。

【請求項2】
肺サーファクタントタンパク質Cプロモーターとヒト変異EGFR遺伝子とを含む発現ベクターを導入してなる肺癌モデル非ヒト動物であって、ヒト変異EGFR遺伝子はGenbank Accession No. NM_005228で公表されたアミノ酸配列(配列番号2)を基準として、746位のグルタミン酸から750位のアラニンまでのアミノ酸の欠失変異が生じる変異遺伝子、858位のロイシンがアルギニンに置換された変異が生じる変異遺伝子または719位のグリシンがセリン、アラニンもしくはシステインに置換された変異が生じる変異遺伝子である、非ヒト動物。

【請求項3】
請求項1または2に記載の非ヒト動物の子孫動物。

【請求項4】
請求項1~3いずれか1項に記載の非ヒト動物を同種の他の疾患モデルと交配して得られる癌モデル非ヒト動物。

【請求項5】
前記癌が胃癌、大腸癌、卵巣癌、乳癌、前立腺癌、腎癌、頭頸部癌、口腔癌および脳腫瘍からなる群より選ばれるものである、請求項4に記載のモデル非ヒト動物。

【請求項6】
重複癌のモデル動物である請求項4または5に記載の癌モデル非ヒト動物。

【請求項7】
前記動物がマウスであり、前記同種の他の疾患モデルが癌関連遺伝子のトランスジェニックマウスまたはノックアウトマウスである請求項4~6いずれか1項に記載の癌モデル非ヒト動物。

【請求項8】
請求項1~7いずれか1項に記載の非ヒト動物にEGFRチロシンキナーゼ阻害剤を投与して得られるEGFRチロシンキナーゼ阻害剤耐性肺癌モデル非ヒト動物。

【請求項9】
EGFRチロシンキナーゼ阻害剤がゲフィチニブである請求項8記載の非ヒト動物。

【請求項10】
請求項1~9いずれか1項に記載の非ヒト動物から得られる組織または細胞。

【請求項11】
肺に由来するものである請求項10記載の組織または細胞。

【請求項12】
請求項10に記載の組織または細胞を病理学的に検査することを特徴とする、変異EGFR発現に起因する発癌の解析方法。

【請求項13】
請求項1~9いずれか1項に記載の非ヒト動物または請求項10もしくは11に記載の組織もしくは細胞を用いることを特徴とする肺癌の治療候補物質のスクリーニング方法。

【請求項14】
下記工程:
(a)請求項1~7いずれか1項に記載の非ヒト動物に被験物質を投与する工程、
(b)前記被験物質を投与した非ヒト動物における肺の組織を調べ、被験物質を投与しない非ヒト動物における肺組織と比較する工程、ならびに
(c)前記比較結果に基づいて、肺癌を縮小または消滅させる被験物質を選択する工程
を含む、肺癌の治療候補物質のスクリーニング方法。

【請求項15】
下記工程:
(a)請求項8または9に記載の非ヒト動物に被験物質を投与する工程、
(b)前記被験物質を投与した非ヒト動物における肺の組織を調べ、被験物質を投与しない非ヒト動物における肺組織と比較する工程、ならびに
(c)前記比較結果に基づいて、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤耐性肺癌を縮小または消滅させる被験物質を選択する工程
を含む、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤に対して耐性を獲得した肺癌の治療候補物質のスクリーニング方法。

【請求項16】
下記工程:
(a)請求項1~7いずれかに記載の非ヒト動物にEGFRチロシンキナーゼ阻害剤と被験物質を投与する工程、
(b)前記EGFRチロシンキナーゼ阻害剤と被験物質を投与した非ヒト動物における肺の組織を調べ、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤を投与し被験物質を投与しない非ヒト動物における肺組織と比較する工程、ならびに
(c)前記比較結果に基づいて、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤耐性肺癌の発症を抑制する被験物質を選択する工程
を含む、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤耐性肺癌の発症を抑制する候補物質のスクリーニング方法。

【請求項17】
下記工程:
(a)請求項1~7いずれか1項に記載の非ヒト動物に被験物質を投与する工程、
(b)前記被験物質を投与した非ヒト動物における肺の組織を調べ、被験物質を投与しない非ヒト動物における肺組織と比較する工程、ならびに
(c)前記比較結果に基づいて、肺癌を発症しないかまたは発症の時期を遅らせる被験物質を選択する工程
を含む、肺癌の予防候補物質のスクリーニング方法。

【請求項18】
下記工程:
(a)請求項1~9いずれか1項に記載の非ヒト動物に放射線を照射し、かつ被験物質を投与する工程、
(b)前記放射線照射かつ被験物質を投与した非ヒト動物における肺の組織を調べ、放射線照射し、被験物質を投与しない非ヒト動物における肺組織と比較する工程、ならびに
(c)前記比較結果に基づいて、放射線治療に対する増感作用を有する被験物質を選択する工程
を含む、肺癌の放射線治療における増感物質のスクリーニング方法。

【請求項19】
下記工程:
(a)請求項1~9いずれか1項に記載の肺癌モデル非ヒト動物および当該モデル非ヒト動物の同種野生型動物から血液を採取する工程、
(b)前記採取工程により得られた血液中のタンパク質を調べ、肺癌モデル非ヒト動物と対照動物におけるタンパク質の発現パターンを比較する工程、ならびに
(c)前記比較結果に基づいて、肺癌発症の指標となる血清タンパク質を選択する工程
を含む、肺癌発症のバイオマーカーのスクリーニング方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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