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ウジムシ治療用のカバードレッシング コモンズ 実績あり

国内特許コード P110005352
掲載日 2011年8月18日
出願番号 特願2007-235196
公開番号 特開2009-066040
登録番号 特許第4998999号
出願日 平成19年9月11日(2007.9.11)
公開日 平成21年4月2日(2009.4.2)
登録日 平成24年5月25日(2012.5.25)
発明者
  • 三井 秀也
出願人
  • 国立大学法人 岡山大学
発明の名称 ウジムシ治療用のカバードレッシング コモンズ 実績あり
発明の概要

【課題】本発明の目的は、ウジムシ治療の効果を最大限引き出し、使用が簡便で、且つコスト性に優れたカバードレッシングを提供することにある。
【解決手段】患部を取り囲んで被覆するためのメッシュ部を有する基材、又は患部を取り囲む貫通孔を有する基材に該貫通孔を覆うメッシュ状シートを固定してメッシュ部を形成した基材と、該基材の該メッシュ部を除いた部位に形成された粘着剤層とを有するウジムシ治療用のカバードレッシング。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


現在、世界中で非常に多くの患者が糖尿病で苦しんでいる。厚生労働省の調査によると、糖尿病が強く疑われる人と糖尿病の可能性を否定できない人とを合わせると、我が国だけで1370万人いると推定されている。糖尿病は非常に危険な病気であるとはいえ、なかなかその症状は自覚されず、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症及び糖尿病性腎症に代表される合併症を発症して初めて自覚される場合が多い。上記合併症の内、糖尿病性神経障害は比較的早期から出現する。神経障害の症状は、手足のしびれや痛み、感覚の鈍磨、下痢や便秘を繰り返す、立ちくらみ、味覚が鈍くなる、発汗異常、尿が勢いよく出ない、勃起障害など、実にさまざまな形で全身に現れる。神経障害を放置するとやがて悪化し、痛みや熱さなどの感覚が失われる。そのため、怪我や火傷に気付かず、それを悪化させて潰瘍や壊疽へと進行させてしまう例が多い。特に足の病変には注意が必要である。



糖尿病患者の15%に、軽微なものも含めて足潰瘍が発生する。実際、我が国において、糖尿病患者の入院の16~23%は足の病変によるものである。糖尿病歴20年以上の患者の半数は足神経症を発症し、その殆どの患者が肢切断を余儀なくされている。そして、肢切断した患者の3分の1は、3年以内に反対側の肢の切断を生じる。足の病変の治療は糖尿病患者の生活の質に大きく関係するため、その有効な治療法に対する需要と関心は非常に高い。



創傷の治療にウジムシが有効であることは、何世紀も前から認識されていた。事実、例えば、オーストラリアの原住民は、数千年前から創傷を清浄にするためにウジムシを使っていたことが知られている。また、戦争中従軍した医師は、ウジムシが湧いた負傷兵の創傷の回復が著しく早いことに気が付いた。第一次世界大戦中フランスに駐留していたアメリカの外科医であるウィリアム・S・ベア(William S.Baer)は、その戦争中の体験を基に慢性骨髄炎の治療にウジムシを用いた。その治療効果のめざましさから、ウジムシ治療の科学的価値・治療上の価値が認識され、その研究と治療はアメリカとヨーロッパの多くの国で続行された。しかし、第二次世界大戦以降ウジムシ治療は様々な原因から、あまり顧みられなくなっていった(例えば、非特許文献1参照)。
抗生物質抵抗性の感染性潰瘍の出現などが契機となり、1990年代に入ってウジムシ治療は再び脚光を浴びるようになった。それと共に、ウジムシ治療が多くの難治性の傷をデブリードメン(即ち、創傷から壊死組織や異物を取り除くこと)するのに確かにより効果的で、そのために創傷の治癒が促されるということが明らかにされてきた(例えば、非特許文献2~6参照)。それ以降現在までに、ウジムシ治療の有効性、簡便性、及び低い毒性が世界中の多くの創傷治療の専門家によって急速に受け入れられてきた。我が国においても、数年前よりウジムシ治療が実施されるようになり、この治療法に対する期待と関心は非常に高い。ウジムシ治療は、特に糖尿病による創傷回復の障害を持った患者に向いているが、その他に、褥創、やけど、静脈潰瘍、癌性潰瘍など様々な領域に無菌のウジムシが利用されている。



実際のウジムシ治療の方法は、非常に簡単である。即ち、生理的食塩水で創傷を洗浄した後、ウジムシを患者の創傷に置くだけである。ウジムシが成長して蛹になると乾燥した環境を好むようになり、患部から逃げようとするため、ウジムシの交換を1週間に2回行う必要がある。交換したウジムシは医療廃棄物として廃棄される。



創傷周囲の皮膚を、ウジムシの分泌する消化酵素、感染し壊死した創傷からの排液、ウジムシが知覚の鈍磨していない皮膚の上を這い回るために起こるむずがゆさから保護する必要がある。また、可能な限り長時間、ウジムシが創傷から逃げないようにする必要がある。これらの目的のために、様々なドレッシングが利用されてきた。



最も広く利用されている古典的な方法は、次のものである。即ち、創傷周囲の皮膚を粘着性親水コロイドシートで覆うか、創傷の大きさの穴をくりぬいた親水コロイドシートを創傷の上に置く(非特許文献7参照)。さらに、亜鉛華軟膏を露出した皮膚の残りの部分に塗ることにより皮膚を保護出来る。次に若い2~4mm大のウジムシを創傷に置く。ナイロンネット、ダクロンシフォンか他の同様の繊細な穴の多い材質のものをその上に接着するか、上をテープで止めるか、或いはその両方により、最下層のケージ型ドレッシングが完成する。最後に、簡単な薄いガーゼの包帯(2番目のドレッシング)で最下層のドレッシングを覆う。このガーゼの包帯は、治療期間中、滲出物や液化し壊死した組織を吸収する役目を果たす。この2番目のドレッシングは、必要な時に、ウジムシを逃がすことなく容易に取り替えることが出来る。



或いは、ウジムシが袋の中に既に閉じ込められたドレッシングもウジムシ治療に利用されている(例えば非特許文献8参照)。そのようなドレッシングの例として、バイオバッグ(Polymedics社、ベルギー)が挙げられる。バイオバッグには、ウジムシがポリビニルアルコール、即ち空気の自由に出入りできる高分子化合物でできた四角い小袋の中にヒートシールされている。ウジムシの分泌物はバイオバッグから自由に流れ出て、創傷に達する。バイオバッグは、液化され壊死した創傷の排液を吸収して中のウジムシに栄養を与える。このドレッシングは、着脱が簡単で不快感を減らし、ウジムシが逃亡する機会を減らすという利点を持っている上、ウジムシを創傷の上に開放していないという精神的な満足感を与える。しかし、このようなドレッシングは、ウジムシが直接創傷と接触しないため、患部を自由に這い回れるウジムシを使った治療と比べて効果的でないという議論がある(例えば、非特許文献9参照)。

【非特許文献1】W.フライシュマン他,「マゴットセラピー ウジを使った創傷治療」,大阪公立大学共同出版会(2006),p17~25

【非特許文献2】Mumcuoglu KY.他,Int J Dermatol,1999 Aug;38(8):623-627

【非特許文献3】Mumcuoglu KY.,Am J Clin Dermatol,2001;2(4):219-227

【非特許文献4】Sherman RA.他,Arch Phys Med Rehabil,2001 Sep;82(9):1226-1229

【非特許文献5】Sherman Ra.,Eur Tiss Repair Soc Bull,2000;7:97-98

【非特許文献6】Sherman RA.,Diabetes Care,2003 Feb;26(2):446-451

【非特許文献7】Sherman RA.,Plast Reconstr Surg,1997;100(2):451-456

【非特許文献8】Grassberger M.他,Dermatol,2002;204(4),306

【非特許文献9】Thomas S.他,Br J of Nurs.,2002;11:S21-S28

産業上の利用分野


本発明は、ウジムシ治療に用いられるカバードレッシングに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
患部を取り囲んで被覆するためのメッシュ部を有する基材、又は患部を取り囲む貫通孔を有する基材に該貫通孔を覆うメッシュ状シートを固定してメッシュ部を形成した基材と、
該基材の該メッシュ部を除いた部位に形成された粘着剤層とを有し、
該基材の厚さが15~2000μmであり、且つ該メッシュ部の目開きが0.5~1.5mmである、ウジムシ治療用のカバードレッシング。

【請求項2】
患部を取り囲む貫通孔を有する基材に該貫通孔を覆うメッシュ状シートを固定してメッシュ部を形成した基材を有し基材の片面にメッシュ状シートが固定され、基材の反対面に粘着剤層を有する請求項1に記載のカバードレッシング。

【請求項3】
該粘着剤層が剥離層で被覆されている、請求項1又は2に記載のカバードレッシング。

【請求項4】
該基材が不織布である、請求項1~3のいずれか1項に記載のカバードレッシング。

【請求項5】
該不織布の素材が、ポリエステル、セルロース、ポリオレフィン、ポリアミド、又はこれらの併用物である、請求項4に記載のカバードレッシング。

【請求項6】
該不織布の素材が、ポリエステルである、請求項4又は5に記載のカバードレッシング。

【請求項7】
該メッシュ状シートの素材が、ポリアミド、又はポリエステルである、請求項1~6のいずれか1項に記載のカバードレッシング。

【請求項8】
該粘着剤層がアクリル系粘着剤からなるものである、請求項1~7のいずれか1項に記載のカバードレッシング。

【請求項9】
該貫通孔の面積が1cm以上、1000cm以下である、請求項1~8のいずれか1項に記載のカバードレッシング。

【請求項10】
該メッシュ部がウジムシ治療対象の患部を取り囲むように形成され、用時にウジムシが活動する閉鎖空間を形成するものである、請求項1~9のいずれか1項に記載のカバードレッシング。

【請求項11】
メッシュ状シートと該メッシュ状シートに積層された粘着剤層とを有し、
少なくともウジムシ治療対象の患部を取り囲む粘着剤非積層部が形成されており、
該メッシュ状シートの厚さが15~2000μmであり、且つメッシュの目開きが0.5~1.5mmである、
ウジムシ治療用のカバードレッシング。

【請求項12】
該粘着剤層が剥離層で被覆されている、請求項11に記載のカバードレッシング
産業区分
  • 治療衛生
  • 高分子化合物
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 権利存続中
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