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胚性幹細胞の肝細胞への分化誘導方法および該方法により誘導される肝細胞 コモンズ 外国出願あり

国内特許コード P110005354
掲載日 2011年8月18日
出願番号 特願2007-501617
登録番号 特許第4892740号
出願日 平成18年2月2日(2006.2.2)
登録日 平成24年1月6日(2012.1.6)
国際出願番号 JP2006301762
国際公開番号 WO2006082890
国際出願日 平成18年2月2日(2006.2.2)
国際公開日 平成18年8月10日(2006.8.10)
優先権データ
  • 特願2005-028200 (2005.2.3) JP
発明者
  • 田中 紀章
  • 小林 直哉
出願人
  • 国立大学法人 岡山大学
発明の名称 胚性幹細胞の肝細胞への分化誘導方法および該方法により誘導される肝細胞 コモンズ 外国出願あり
発明の概要

胚性幹細胞の肝細胞への分化誘導方法に関し、充分に機能的であり、大量供給が可能で安全な肝細胞を得るために、胚性幹細胞をdHGFの存在下で培養することを特徴する、胚性幹細胞の肝細胞への分化誘導方法を提供する。さらに、胚性幹細胞の肝細胞への分化誘導方法であって、(a)胚性幹細胞の胚様体を形成する工程、および(b)得られた胚様体を、欠失型肝細胞増殖因子の存在下で培養する工程
を含む方法を提供する。

従来技術、競合技術の概要


肝臓は、人体の中で最大の実質臓器であり、その機能は糖質、蛋白質、脂肪の代謝を始めビリルビン代謝、薬物代謝、血液凝固因子の生成など多岐にわたり、未知な機能を含めると肝臓の機能は数百にものぼり生体において非常に重要な役割を果たしている。よって、たとえそれが一時的なものであれ、重篤な肝臓疾患は患者の生命にとって極めて危険である。



一方で、肝臓は旺盛な再生能を有し、劇症肝不全で肝傷害を受けたとしても、一週間ほど肝機能を代替することができれば患者は回復する。こうした重篤な肝疾患に対して、肝臓移植が最も効果的であることは事実であるが、深刻なドナー不足を鑑みると万人がその恩恵を受けることはできない。目下、我が国では、一時的に肝機能を代替する手段として、持続濾過透析と血漿交換を組み合わせることで、ある程度の救命率は得られているものの、充分とはいい難く、更なる有効な治療法の確立が必要であり、治療用人工肝臓の開発に対するニーズが高まっている。そこで、期待されているのが、生きた細胞の代謝能力やタンパク質合成能を活用するために細胞を充填したバイオ人工肝臓である。



バイオ人工肝臓は、肝細胞を担体に組み込んで固定しリアクター化した生体内の肝臓を模倣した人工肝臓装置と言える。患者の血液を当該装置内に導き、肝細胞の代謝能を利用して血液中のトキシンの除去と肝臓細胞に由来する凝固因子などの生理活性物質の供給とを行なうことができる。細胞源としては、健常ヒト肝細胞が理想であるがドナー肝の不足からその入手はきわめて困難である。欧米では、移植不適合肝臓は肝細胞分離へと活用され、肝細胞移植やバイオ人工肝臓へと臨床応用されているが、本邦では移植不適合肝臓は焼却と規定されており、そのバイオ人工肝臓への活用は不可能である。



こうした問題の対策として、ヒト末梢血幹細胞、骨髄幹細胞そして肝前駆細胞などからヒト肝細胞への誘導が研究されているが、これらの細胞は増殖能に乏しく、バイオ人工肝臓への応用に値する細胞数(十億個以上)を確保するのは現実的ではない。一方で、欧米、中国では、ブタ肝細胞を使用したバイオ人工肝臓治験がヒトで行なわれているが、ブタ内因性レトロウイルス感染、E型肝炎などの人畜共通感染症が問題視されており今後の進展が厳しい現状にある。



また、最終分化したヒト細胞を標的に遺伝子組み換えによる不死化細胞株の樹立が検討されているが、これらの遺伝子組み換えを用いた方法では、外来遺伝子を導入するため、ヒトへの応用に際しては、遺伝子導入細胞の染色体の変化およびそれに伴う細胞の腫瘍化などといった安全面でのハードルが高い(Craig D. Woodworth et al., Molecular and Cellular Biology Oct. 4492-4501, 1988)。さらに、レトロウイルスベクターの使用に関しては、フランスのX染色体連鎖先天性重複性重症免疫不全症(X-Linked SCID)患児に対する、レトロウイルスベクターを用いた遺伝子治療でのγδ-T細胞性白血病が発症するという事故が2002年9月に報告されて以来、慎重な姿勢が取られている(S. Hacein-Bey-Abina et al., Science, Vol. 302(17), 415-419, 2003)。



以上より、臨床応用の実現可能なバイオ人工肝臓を開発するに当たっては、より自然な形に近い細胞源の検討が必要とされている。



一方、ES細胞には、1)生体を構成するあらゆる種類の細胞に分化でき、2)半永久的に増殖する能力があることから低コストで大量培養が可能であり、3)遺伝子の組換えを行なわず細胞増殖因子を用いた誘導法が適用可能であるため、遺伝子改変細胞に比べより自然体に近い細胞を入手できるなどといった利点がある。



幹細胞から肝細胞を分化誘導する方法としては、肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor:HGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、デキサメタゾン、オンコスタチンM(インターロイキン6のファミリーに属する)、n-酪酸などが使用されているが、充分に機能的な肝細胞への誘導は可能ではない(Rambhatla L et al., Cell Transplant. Vol.12, 1-11, 2003、Schwartz RE et al. J. Clin. Invest. 109; 1291-1302, 2002 および特表2003-530879号公報)。また、肝障害を惹起したマウスの肝臓にES細胞を移植することでES細胞の肝細胞への分化誘導を促した例も報告されているが(Yamamoto H et al. Hepatology 2003 37:983, 2003)、操作が繁雑であり、分化した肝細胞を障害マウスの肝臓から回収しなければならないなどの問題点がある。

産業上の利用分野


本発明は、胚性幹細胞(以下、ES細胞ともいう)の肝細胞への分化誘導方法および該方法により誘導される肝細胞、ならびにバイオ人工肝臓に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】胚性幹細胞を欠失型肝細胞増殖因子/bFGF/DMSO/デキサメタゾンの存在下で培養することを特徴とする、胚性幹細胞の肝細胞への分化誘導方法。
【請求項2】胚性幹細胞の肝細胞への分化誘導方法であって、
(a)胚性幹細胞の胚様体を形成する工程、および
(b)得られた胚様体を、欠失型肝細胞増殖因子/bFGF/DMSO/デキサメタゾンの存在下で培養する工程
を含む方法。
【請求項3】胚性幹細胞が哺乳類由来のものである請求項1または2記載の方法。
【請求項4】哺乳類がヒトである請求項3記載の方法。
【請求項5】哺乳類がマウスである請求項3記載の方法。
【請求項6】胚様体が浮遊培養により形成される請求項2~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】培養が三次元培養で行なわれる請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項8】三次元培養が、細胞接着性不織布の存在下に行われる請求項7記載の方法。
【請求項9】得られる肝細胞が、
(1)アンモニア、ジアゼパムおよびリドカインよりなる群から選択される少なくとも1種を代謝する;
(2)アルブミンおよび/または尿素を分泌する;
(3)GADPH遺伝子、サイトケラチン18遺伝子、グルコース6リン酸化酵素遺伝子、チロシンアミノ酸トランスフェラーゼ遺伝子および肝細胞核因子3ベータ遺伝子よりなる群から選択される少なくとも1種を発現する;および
(4)複数の核を有する、および/または、グリコーゲン顆粒が存在する;
よりなる群から選択される少なくとも1種の機能を有する肝細胞である請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】バイオ人工肝臓の製造方法であって、
(a)胚性幹細胞の胚様体を形成する工程、
(b)得られた胚様体をバイオ人工肝臓リアクター内に充填する工程、および
(c)バイオ人工肝臓リアクター内で、前記胚様体を欠失型肝細胞増殖因子/bFGF/DMSO/デキサメタゾンの存在下で培養する工程
を含む方法。
【請求項11】工程(a)で得られた胚葉体を、細胞接着性不織布の存在下で三次元培養する請求項10記載の方法。
【請求項12】工程(b)のバイオ人工肝臓リアクターが、血液を流すための中空糸膜を備え、中空糸膜の外側に胚葉体と細胞接着性不織布が存在するものである請求項10または11記載の方法。
産業区分
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
出願権利状態 権利存続中
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