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乳酸菌用プラスミド コモンズ

国内特許コード P110005364
掲載日 2011年8月18日
出願番号 特願2007-536393
登録番号 特許第4967138号
出願日 平成18年2月21日(2006.2.21)
登録日 平成24年4月13日(2012.4.13)
国際出願番号 JP2006303540
国際公開番号 WO2007034581
国際出願日 平成18年2月21日(2006.2.21)
国際公開日 平成19年3月29日(2007.3.29)
優先権データ
  • 特願2005-278830 (2005.9.26) JP
発明者
  • 宮本 拓
  • 安 和容
  • 成 文喜
  • 瀬脇 智満
  • 成相 英明
  • 原 真一郎
出願人
  • 国立大学法人 岡山大学
発明の名称 乳酸菌用プラスミド コモンズ
発明の概要

本発明のプラスミドおよび組換え用ベクターは、少なくとも配列番号1の1923位から3464位の塩基配列で示されるDNA領域、または該塩基配列に相補的な配列を有するDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつθ型の複製能を保持するDNA領域、またはその機能を変更しない限り該塩基配列から1つ以上の塩基の置換、欠失、または付加を有する塩基配列を有するDNA領域を含む。本発明のプラスミドおよび組換え用ベクターは、広宿主域で安定に形質転換可能である。

従来技術、競合技術の概要


多くの乳酸菌の菌株が、発酵食品の製造において必須の生体触媒機能を有している。ヒトは、発酵食品の成分として、有害な作用がもたらされることなくこれらの微生物を摂取している。このため、これらの微生物は、「食品グレード」に分類される。したがって、乳酸菌は、食品および食品成分の栄養価や質を向上させる乳酸菌培養物を開発することを目標とした研究の標的となっている(SOMKUTI,G.A.,STEINBERG,D.H.:Biotechnol.Lett.25,473-477(2003))。
Lactobacillus(乳酸桿菌)種は、ヒトおよび動物の胃腸管の常在菌であり、そしてその腸内平衡を改善することによって宿主に対して有益な効果を供給する一種のプロバイオティクスである(Tannock,G.W.:Appl.Envion.Microbiol.70,3189-3194(2004))。Lactobacillus casei(以下、「Lb.casei」という)は、乳酸菌の一種であり、ヒトの胃腸管だけでなく、多くの食用製品(例えば、植物、乳および肉の発酵品)、サイレージ、他の自然環境などにおいて見られる。近年、Lb.caseiは、本来の風味を有する新規発酵乳製品の製造に使用され、ある種の健康上の利益が要求されている(GOSALBES,M.J.,VICENTE,M.,GASPAR,P.M.:J.Bacteriol.131,3928-3934(1999)およびGASSON,M.J.,DE VOS,W.M.:Genetics and biotechnology of lactic acid bacteria,第1版Blackie A.& P.,London(1994))。この理由から、Lb.caseiは、「一般に安全な」(GRAS)生物であり、プロバイオティクスとして商業的に使用されている(ISABEL,P.A.,GASPAR,P.M.:FEMS Microbiol.Lett.222,123-127(2003))。プロバイオティクスとは、食物に添加され、健康を増進させる生菌である。このようなプロバイオティク微生物には、乳酸桿菌、ビフィズス菌、Streptococcus salivarius、Saccharomyces boulardii、大腸菌などがある。これらの微生物は、生存可能な形で口から摂取されると、以下のような利益をもたらすと考えられている:腸への付着;病原体の成長阻止;発癌性物質の結合または分解;他の細菌の競合的排除または他の細菌の代謝の変化;抗腫瘍物質の生産;免疫機能の刺激。
このグループのGRAS生物に関する遺伝子操作技術を迅速に開発し、そしてそれらの遺伝子構造、遺伝子発現、および蛋白質分泌の知識を増やすことにより、乳酸菌は、食物製品および医薬の新規品や改良品の開発といった新たなバイオテクノロジー適用に対して有用となり得る(LEENHOUTS,K.,BOLHUIS,A.,VENEMA,G.,KOK,J.:Appl.Microbiol.Biotechnol.49,417-423(1998))。そこで、乳酸菌に由来するプラスミドが多くの研究の焦点となっており、これにより種々のシャトルベクターおよび組込みベクターの開発が行われている(JANG,S.J.,HAM,M.S.,LEE,J.M.,CHUNG,S.K.,LEE,H.J.,KIM,J.H.,CHAN,H.C.,LEE,J.H.,CHUNG,D.K.:FEMS Microbiol.Lett.224,191-195(2003)およびBIET,F.,CENATIEMPO,Y.,FREMAUX,C.:Appl.Environ.Microbiol.68,6451-6456(2002))。多くのLactobacillus株は、種々の大きさの天然に常在するプラスミドを1つ以上有している(REN,D.,WANG,Y.,WANG,Z.,CUI,J.,LAN,H.,ZHOU,J.Plasmid 50,70-73(2003))。これらのプラスミドには、種々の機能が既に見出されている。その中には、ラクトース代謝、バクテリオシン合成、エキソ多糖(EPS)産生、またはDNA制限修飾に関する遺伝子がある。分子生物学の発展およびLactobacillusの機能的遺伝子解析の進行とともに、潜在的に有用な食品グレードのベクターとしてのレプリコン自体の特徴づけに関する関心も高まっている(ALPERT,C.A.,CRUTZ-LE COQ,A.M.,MALLERET,C.,ZAGOREC,M.:Appl.Environ.Microbiol.69,5574-5584(2003))。
Lactobacillus菌属の多くの細菌がエレクトロポレーションによって形質転換可能であることが示されている。したがって、これらの細菌は、組換えDNA技術を受けることができ、最終的には菌株を改善することができる(Isabel,P.A.,Manuel,Z.,Gaspar,P.M.:Plasmid 46,106-116(2001))。いくつかのLactobacillus菌種、例えば、Lb.casei(Chassy,B.M.,Flickinger,J.L.:FEMS Microbiol.Lett.44,173-177(1987))、Lactobacillus delbrueckii(以下、「Lb.delbrueckii」という)(Serror,P.,Sasaki,T.,Ehrlich,S.D.,Maguin,E.:Appl.Environ.Microbiol.68,46-52(2002))、Lactobacillus helveticus(Bhowmik,T.,Steele,J.L.:J.Gen.Microbiol.139,1433-1439(1993))、およびLactobacillus sakei(以下、「Lb.sakei」という)(Berthier,F.,Zagorec,M.,Marie,C.V.,Ehrlich,S.D.,Francoise,M.D.:Microbiology 142,1273-1279(1996))について、エレクトロポレーション技術が開発されている。例えば、Lb.caseiのエレクトロポレーションに関するChassy,B.M.ら(前出)には、Lb.casei菌株からプラスミドpLZ15を抽出し、エレクトロポレーションで元の菌株(Lb.casei)に形質転換することが記載されている。
遺伝子操作により乳酸菌の機能性などを向上させるために、特にヒトへの利用を考慮した場合に、安全性の面から、ベクターとして、食経験のある乳酸菌由来のプラスミドを用いたベクターを利用し、乳酸菌の形質転換を行うことが望まれている。以下のLactobacillus由来のプラスミドは、全ヌクレオチド配列が分析されている:pLA103(Lactobacillus acidophilus(以下「Lb.acidophilus」という)由来、Kanatani,K.,Tahara,T.,Oshimura,M.,Sano,K.,Umezawa,C.:FEMS Microbiol.Lett.133,127-130(1995));pRV500(Lb.sakei由来、ALPERT,C.A.ら,前出;pMD5057(Danielsen,M.:Plasmid 48,98-103(2002))、pLP2000およびpLP9000(REN,D.ら,前出)(いずれもLactobacillus plantarum(以下「Lb.plantarum」という)由来);pTC82(Lactobacillus reuteri由来:Lin,C.F.,Fung,Z.F.,Wu,C.L.,Chung,T.:Plasmid 36,116-124(1996));およびpLC2(Lactobacillus curvatus由来:Klein,J.R.,Ulrich,C.,Plapp,R.:Plasmid 30,14-29(1993))。これらは、その複製蛋白質遺伝子または機能的蛋白質遺伝子を使用することによって、クローニングベクターまたは発現ベクターの構築のために使用されている。特開2004-141065号公報には、食経験豊富な乳酸菌であるLb.caseiにプラスミドが存在し、当該プラスミドにより菌の増殖が高められていることを見出したこと、および当該プラスミド由来の複製必須領域を用いた乳酸菌用シャトルベクターが記載されている。
また、バイオテクノロジー適用について広範な宿主に利用可能なベクターは、有用である。このため、広域の乳酸菌宿主において安定に複製可能なプラスミドを用いたベクターを得ることが望まれている。このような広宿主域プラスミドとして、pSY1(特開平5-176776号公報)およびpMT1(特開2002-253260号公報)が報告されている。pSY1は、Lactococcuus lactis subsp.lactisの一株から分離されたプラスミドであり、Bacillus属やLactococcus属、さらに、Lactobacillus delbrueckii種の2つの亜種lactisとbulgariusにおいて複製が可能で、それらの菌を形質転換させる能力を有している(特開平5-176776号公報)。pMT1は、Streptococcus thermophilus由来のプラスミドであり、θ型の複製を行い、Streptococcus thermophilus(サーモフィルス菌)およびチーズ乳酸菌(Lactococcus lactis)で複製できることが報告されている(特開2002-253260号公報)。
プロバイオティクスを好適に利用するために、ヒトへの摂取に適した微生物の性質のさらなる向上を可能としたベクターを得ることが望ましい。したがって、プロバイオティク微生物として認められている種々の乳酸菌において安定に複製可能なプラスミドが期待されている。特に、Lb.caseiを初めとする乳酸桿菌(他に、Lactobacillus casei subsp.alactosus、Lactobacillus gasseri(以下「Lb.gasseri」という)、Lb.acidophilusなどが含まれる)を安定に形質転換できるベクターが期待されている。

産業上の利用分野


本発明は、乳酸菌の形質転換が可能なプラスミドおよびベクターに関する。より詳細には、本発明は、広宿主域を有する、乳酸菌の形質転換のためのプラスミドおよびベクターに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】 配列番号1の1923位から3464位の塩基配列で示されるDNA領域または該塩基配列に相補的な配列を有するDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつθ型の複製能を保持するDNA領域、大腸菌由来の複製必須領域、およびエリスロマイシン耐性遺伝子を含む、組換え用ベクター。
【請求項2】 配列番号1の1923位から3464位の塩基配列で示されるDNA領域、大腸菌由来の複製必須領域、および選択マーカー遺伝子を含み、以下に示す制限酵素地図:
【化学式1】
を有する、組換え用プラスミドベクターpJLE121。
【請求項3】求項1または2に記載の組換え用ベクターを含む形質転換細胞。
【請求項4】 前記形質転換細胞が乳酸菌である、請求項に記載の形質転換細胞。
【請求項5】 前記乳酸菌が、Lactobacillus casei、Lactobacillus casei subsp. alactosus、Lactobacillus gasseri、およびLactobacillus acidophilusからなる群から選択される乳酸桿菌である、請求項に記載の形質転換細胞。
【請求項6】 前記乳酸菌がLactobacillus caseiである、請求項に記載の形質転換細胞。
【請求項7】 前記形質転換細胞が大腸菌である、請求項に記載の形質転換細胞。
【請求項8】 乳酸菌を形質転換する方法であって、請求項1または2に記載の組換え用ベクターを乳酸菌に導入する工程を含む、方法。
【請求項9】 前記乳酸菌が、Lactobacillus casei、Lactobacillus casei subsp. alactosus、Lactobacillus gasseri、およびLactobacillus acidophilusからなる群から選択される乳酸桿菌である、請求項に記載の方法。
【請求項10】 前記乳酸菌がLactobacillus caseiである、請求項に記載の方法。
【請求項11】 前記導入がエレクトロポレーションによって行われる、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
産業区分
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
特許内容に関しての問い合せ窓口は岡山大学連携機構知的財産部門です。

技術移転に関しては岡山TLOが窓口になります。


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