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チタン試料中の微量元素を除去する方法 コモンズ

国内特許コード P110005369
掲載日 2011年8月18日
出願番号 特願2008-105383
公開番号 特開2009-256708
登録番号 特許第5327837号
出願日 平成20年4月15日(2008.4.15)
公開日 平成21年11月5日(2009.11.5)
登録日 平成25年8月2日(2013.8.2)
発明者
  • 牧嶋 昭夫
  • 森口 拓弥
  • 中村 栄三
出願人
  • 国立大学法人 岡山大学
発明の名称 チタン試料中の微量元素を除去する方法 コモンズ
発明の概要

【課題】簡単な化学操作で効率的に、チタン溶液からハフニウムなどの微量元素を除去する方法を提供することが本発明の課題である。
【解決手段】チタンをフッ化水素酸に溶解した溶液にカルシウムイオンを添加してカルシウムイオン換算濃度で0.15mmol/L以上のフッ化カルシウムを生成させ、遠心分離によりフッ化カルシウムと共沈する該微量元素を除去することからなる、チタンを含む試料の中に含まれる微量元素を除去する方法。
【選択図】図2

従来技術、競合技術の概要


岩石や鉱物の試料中に含まれる微量元素であるハフニウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、タンタル、タングステンを機器分析するためには、試料中に含まれるそれら微量元素の濃度が低いために前濃縮する必要がある。そのような前濃縮の方法は幾つか知られているが、例えば、試料にチタン溶液を添加してフッ化水素酸と過塩素酸で処理をすることにより、その試料中からハフニウム、ジルコニウム、ニオブなどの微量元素をチタン酸化物の沈殿として前濃縮する方法が知られている(非特許文献1)。また上記の微量元素はフッ化水素酸処理で不溶性のフッ化物沈殿を生じるが、過塩素酸処理を行うことにより生成したフッ化物を分解することが可能であり、それを利用して該微量元素を濃縮することにより、ICP(誘導結合プラズマ)質量分析などの解析を行うことができる(非特許文献2)。このように機器分析の前処理としてチタン溶液を用いて微量元素を濃縮する方法は知られていた。



しかしチタンから微量元素を除去できる、簡便であって効率のよいチタンの精製方法はなかった。チタン溶液中のpptレベル以下の微量なハフニウムを除去するためには、過塩素酸と共に加熱してチタンとハフニウムのフロロ錯体を分解した後に過酸化水素で溶解しUTEVA樹脂でハフニウムを吸着して除去するか(非特許文献1、3、4)、あるいは、硫酸によって分解して陰イオン交換樹脂によってハフニウムを除去する(非特許文献5)、などの前処理をする必要がある。しかし、前者は過塩素酸処理が長すぎると過酸化水素でチタン酸化物の再溶解ができなくなるという欠点がある。また、後者は硫酸を除去するために300℃以上に加熱する必要があり、更にフッ素樹脂製容器を用いることができないので白金皿と砂浴で処理せざるを得ず、クリーンルーム内での作業が困難という欠点を有する。



またフッ化カルシウムと上記微量元素が共沈することを利用して、試料を前処理することも検討されている。ハフニウムなどの微量元素はフッ化水素酸中でフッ化カルシウムと共沈するために、カルシウムを含む試料ではそれらの微量元素を正確に測定することは困難であった。そこで、その系にアルミニウムを添加することによりフッ化カルシウムの生成を抑制し、カルシウムを含む試料において微量元素の正確な測定を可能としたことが報告されている(特許文献1、非特許文献6)。またチタン、モリブデン、スズ、アンチモン、ハフニウムと(カルシウム、マグネシウム、アルミニウムの)フッ化物との共沈について検討した結果、チタンはフッ化カルシウムと共沈しないなど、それらの元素の間には共沈の挙動に差があることから、その差を利用した試料の前処理をICP質量分析による分析に適用することも報告されている(非特許文献7)。



なお鉛や希土類元素をチタンから分離することについては、フッ化水素酸溶液中ではPbFやRF(Rは希土類元素、例えばNdを意味する)を形成してコロイド状になっていることが判っており、陽イオン交換樹脂を用いてそれらを除去することは困難である。

【特許文献1】特開2005-49170号公報

【非特許文献1】Makishima, A. and Nakamura, E. (2008) New preconcentration technique of Zr, Nb, Mo, Hf, Ta and W employing coprecipitation with Ti compounds: its application to Lu-Hf system and sequential Pb-Sr-Nd-Sm separation. Geochemical Journal, in press.

【非特許文献2】Yokoyama, T., Makishima, A. and Nakamura, E.(1999) Evaluation of the coprecipitation of incompatible trace elements with fluoride during silicate rock dissolution by acid digestion. Chemical Geology, 157, 175-187.

【非特許文献3】Makishima, A., Zhu, X.-K., Belshaw, N.S., O’Nions, R.K. (2002) Separation of titanium from silicates for isotopic ratio determination using multiple collector ICP-MS. Journal of Analytical Atomic Spectrometry, 17, 1290-1294.

【非特許文献4】Lu, Y.H., Makishima A. and Nakamura, E. (2007) Purification of Hf in silicate materials using extraction chromatographic resin, and its application to precise determination of 176Hf/177Hf by MC-ICP-MS with 179Hf spike. Journal of Analytical Atomic Spectrometry, 22, 69-76.

【非特許文献5】Barovich, K.M., Beard, B.L., Cappel, J.B., Johnson, C.M., Kyser, T.K. and Morgan, B.E., A chemical method for hafnium separation from high-Ti whole-rock and zircon samples. Chemical Geology, 121, 303-308, 1995.

【非特許文献6】Tanaka, R., Makishima, A., Kitagawa,H. and Nakamura E., 2003. Suppression of Zr, Nb, Hf, and Ta coprecipitation in fluoride compounds for determination in Ca-rich materials. Journal of Analytical Atomic Spectrometry, 18, 1458-1463.

【非特許文献7】Lu, Y.H., Makishima A. and Nakamura, E. (2007) Coprecipitation of Ti, Mo, Sn and Sb with fluorides and application to determination of B, Ti, Zr, Nb, Mo, Sn, Sb, Hf and Ta by ICP-MS. Chemical Geology, 236, 13-26.

【非特許文献8】Makishima, A. and Nakamura, E. (2006) Determination of major, minor and trace elements in silicate samples by ICP-QMS and ICP-SFMS applying isotope dilution-internal standardization (ID-IS) and multi-stage internal standardization. Geostandards and Geoanalytical Research, 30, 245-271.

産業上の利用分野


本発明は、チタンを含む試料の中に含まれる微量元素を除去するための方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
チタンを含む試料の中に含まれる微量元素を除去する方法であって、
(a)チタンを含む該試料をフッ化水素酸に溶解した溶液に、カルシウムイオンを添加することによりフッ化カルシウムを生成させる工程であって、生成するフッ化カルシウム濃度がカルシウムイオン換算濃度で0.15mmol/L以上である上記工程、及び;
(b)上記工程(a)で得られた溶液を遠心分離し、フッ化カルシウムと共に不純物である該微量元素を沈殿させると共にチタンを含む上清を回収する工程:
を有することを特徴とする上記方法。

【請求項2】
前記微量元素がハフニウム、鉛、ジルコニウム、トリウム及び希土類元素からなる群から選択された元素である、請求項1記載の方法。

【請求項3】
上記(a)の工程において、フッ化水素酸以外の酸が存在する場合には、カルシウムイオンを添加する前にフッ化水素酸溶液を加熱して蒸発乾固することにより、該溶液中のフッ化水素酸以外の酸を除去する工程を含む、請求項1又は請求項2記載の方法。

【請求項4】
上記(a)の工程の後、フッ化水素酸溶液を加熱して蒸発乾固することにより、該溶液中のチタンのフロロ錯体を分解してチタン酸化物とする工程を更に含む、請求項1から請求項3のいずれか1項記載の方法。

【請求項5】
上記(a)の工程において、フッ化水素酸濃度が0.01mol/Lから30mol/Lであり、カルシウムイオン濃度が0.15mmol/Lから3mmol/Lである、請求項1から請求項4のいずれか1項記載の方法。

【請求項6】
上記(a)の工程において、フッ化水素酸以外の酸が存在する場合には全水素イオン濃度が2mol/L以下であり、フッ化水素酸濃度が0.5mol/Lから30mol/Lであり、カルシウムイオン濃度が0.15mmol/Lから3mmol/Lである、請求項1から請求項5のいずれか1項記載の方法。

【請求項7】
上記(a)の工程において、フッ化水素酸以外の酸が存在しない場合には、フッ化水素酸濃度が0.01mol/Lから30mol/Lであり、カルシウム濃度が0.15mmol/Lから3mmol/Lである、請求項1から請求項5のいずれか1項記載の方法。
産業区分
  • 冶金、熱処理
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2008105383thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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