TOP > 国内特許検索 > 病態モデル実験動物、病態モデル実験動物の作出方法及び病態モデル実験動物の利用方法。

病態モデル実験動物、病態モデル実験動物の作出方法及び病態モデル実験動物の利用方法。 コモンズ

国内特許コード P110005387
掲載日 2011年8月18日
出願番号 特願2008-528727
登録番号 特許第5109134号
出願日 平成19年2月13日(2007.2.13)
登録日 平成24年10月19日(2012.10.19)
国際出願番号 JP2007052477
国際公開番号 WO2008018191
国際出願日 平成19年2月13日(2007.2.13)
国際公開日 平成20年2月14日(2008.2.14)
優先権データ
  • 特願2006-218825 (2006.8.10) JP
発明者
  • 高山 房子
  • 江頭 亨
出願人
  • 国立大学法人 岡山大学
発明の名称 病態モデル実験動物、病態モデル実験動物の作出方法及び病態モデル実験動物の利用方法。 コモンズ
発明の概要

【課題】脂肪肝から進行性のヒト非アルコール性慢性肝炎及び/又は肝線維化及び/又は肝硬変を再現する新規病態モデル実験動物及びその作出方法と新規病態モデル実験動物の利用方法を提供することにある。
【解決手段】脂肪肝担持モデル実験動物に対し生体内低酸素状態を形成させ、最終的に非アルコール性脂肪性肝炎及び/又は肝硬変の生化学的特徴及び/又は病理組織学的特徴を維持した病態モデル実験動物を作出する。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


脂肪肝に炎症が加わり、それが持続すると肝硬変まで進行することがある。この病態は非飲酒歴者においてもアルコール性脂肪性肝炎に類似した病状を示すことから、NASHの診断名を高血圧、糖尿病、高脂血症と並び新しい生活習慣病として俄に注目されている。



NASHが単純脂肪肝と大きく異なる点は肝炎や肝線維化が存在することである。NASHの診断には、一般に、病理組織学的評価が必要(非特許文献2)で、この場合、肝細胞の大滴性脂肪性変化、肝細胞の変性・壊死、門脈域のリンパ球浸潤が見られ、その結果として小葉内に線維化を呈する特徴を有している。飲酒歴がないにも関わらず、過剰栄養摂取が原因でアルコール性肝障害に類似した脂肪肝から脂肪性肝炎になり、その進行により肝臓の線維化が進み、肝硬変への進展をたどる。肝硬変の基本的病態は、進行性不可逆性の肝機能低下{アルブミン、血液凝固因子(プロトロンビンを含む)の産生障害から、腹水、出血傾向、肝性脳症が惹起}と、門脈血流の減少に伴う門脈圧亢進症(この結果、食道静脈瘤、消化管出血、脾腫、肝性脳症などが惹起)である。さらに一部がん化することが問題視される。



脂肪肝に何らかの刺激が加わって脂肪性肝炎、肝の線維化さらに重症進行化により肝硬変へと進展するとされる。NASHの発生機序として、脂肪肝はNASHの前段階と考えられ、脂肪肝がまず生じ、そこに何らかのストレスが加わり脂肪性肝炎、さらにより進んだ肝障害(肝硬変)へと移行する(非特許文献3)。すなわち、肝への脂肪沈着により脂肪肝が生じる課程はNASHの第一段階であり、この脂肪肝に第二段階として(a)酸化ストレス(非特許文献4、5)、(b)エンドトキシンによる炎症性サイトカインの誘導、(c)CYP2E1 の発現・誘導(非特許文献6、7)、(d)ミトコンドリアの機能異常、などのさまざまな機序が相互に関連してNASHへと進展していくと推測される。ゆえに、NASHモデル実験動物の開発においても、脂肪肝にこれらのストレス負荷が必要となる。ヒト該病態に即した病態モデル実験動物作成には、ヒトの生活習慣の中でNASH病態へと進展させるストレス或いはそれに近似させたストレス負荷が望ましい。



食生活の欧米化すなわち高脂肪含量の食生活や運動不足による肥満人口の増加と生活習慣病患者の増加に伴い、脂肪肝患者,NASH患者も増加することが想定される。ゆえに、脂肪肝から肝炎、肝線維化及び肝硬変への進行性疾患であるNASH病態の解明と、新たに開発されるNASH治療薬や重症化抑制薬及び/又はNASH発症リスク低減機能食品や重症化リスク低減機能食品及び/又はNASH治療方法や重症化予防法の確立が望まれている。



進行性疾患であるNASH病態の解明と、新たに開発されるNASH治療薬や重症化抑制薬及び/又はNASH発症リスク低減機能食品や重症化リスク低減機能食品及び/又はNASH治療方法や重症化予防法の確立のためには、肝炎、肝線維化や肝硬変の部位にどのような影響を及ぼすのかを確認することは極めて重要であり、このためには病態進展に密接に関与する生活習慣病に分類される病態に対する生理機能調節素材の作用をヒトNASH病態に即した該病態モデル実験動物を用いた長期間観察が必要である。



しかし、NASH の病態機序の解明と薬物治療のため、これまでに栄養学的知見に基づき開発された病態モデルはいずれも単なる脂肪肝に過ぎない。すなわち、最近、NASHモデル動物として、メチオニン又はコリン欠乏飼料または高脂肪および高糖質成分の飼料を与え開発された病態動物肝臓の病理組織学的特徴(非特許文献8、9)はいずれも脂肪肝あるいは肝炎の段階に止まり、著しい線維化は認められないか、あっても極めて軽微なもので、脂肪性肝炎から線維化への進行性が高いNASH病態に近似するものではない。さらに高脂肪および高糖質成分の飼料を与え開発された病態動物(非特許文献10)は脂肪肝の形成に約8週間、脂肪性肝炎形成に約16週間に渡る長期間飼育を要する。



さらに、従来、肝炎、肝線維化、肝硬変の病態モデルは、四塩化炭素、チオアセトアミド、ジメチルニトロソアミンなどの慢性肝炎誘発剤又は肝硬変誘発剤投与による。これらの肝障害機序は共通している。すなわち、これらはいずれも脂溶性物質であり肝臓で代謝を受け高反応性代謝物へと代謝変換される。四塩化炭素を例に取ると、肝での代謝の場所であるミクロソームに存在するチトクロムP-450酵素による代謝でCC13・遊離基に次いでCC13OO・遊離基が生成される機構で肝小葉中心部の壊死をもたらす。従って、脂肪肝が基盤となる損傷による肝炎がもたらす病態とはその機構及び発現する様相に本質的相違がある(非特許文献11)。



慢性肝炎及び/又は肝硬変の病理組織学的特徴を維持するモデル哺乳動物を作成するに当たり、チオアセトアミドを投与する方法(特許文献1)が公知であるが、コスト、労力の面から現実的ではなく、また、該モデル動物作成可能な個体数にも限りがあり、再現性を高めることは技術的にも熟練を要する。



通常の生活においてヒトは慢性肝炎誘発剤又は肝硬変誘発剤に暴露される可能性は極めて低く、それらによる病態モデルは該NASH病態に即した脂肪性肝炎、肝線維化、肝硬変や肝がん病態モデルとは成り得ない。また、肝臓疾患治療のため、例えば、抗酸化剤を利用する方法(特許文献2、3)、酸素を用いる方法(特許文献4)、L-アラニンを用いる方法(特許文献5)が公知であるが、該病態モデルのヒトとの近似性は不十分であり、より改善された重症化予防剤、治療剤等のスクリーニング、開発をはじめとする生活習慣病一般の助長機構解析に基づく治療法、治療剤開発の必要性に鑑みて、これらの手法は不十分である。



一方、ヒトにおけるNASH発症リスクは脂肪肝症例の睡眠時無呼吸症候群において上昇する(非特許文献12参照)。非アルコール性脂肪肝動物へ人為的に血中低酸素状態を与えることにより、ヒト症例の発症病態に近似させることが出来る(非特許文献13参照)。




【特許文献1】特開2005-160415号公報




【特許文献2】特開平11―199477号公報




【特許文献3】特表2005-510501号公報




【特許文献4】特開2006-69911号公報




【特許文献5】特開2006-151937号公報




【非特許文献1】Ludwig J. et al., Mayo Clin. Proc,55,434-438 (1980)




【非特許文献2】Matteoni C.A. et al., Gastroenterology ,116,1413-1419 (1999)




【非特許文献3】Day C.P.and James O.W.,Gastroenterology,114, 842-845(1998)




【非特許文献4】西原利治・他, 日本消化器病学会雑誌, 99, 570-576(2002)




【非特許文献5】Reid A.E., Gastroenterology, 121, 710-723 (2001)




【非特許文献6】Weltman M.D. et al., Hepatology, 27, 128-133 (1998)




【非特許文献7】Leclercq I.A. et al., J. Clin. Invest. 105, 1067-1075 (2000)




【非特許文献8】Zhang B.H., Weltman M et al., J. Gastroenterol. Hepatology,14,133-137(1999)




【非特許文献9】Koppe S.W.P., Sahai A., et al., J. Hepatology, 41,592-598(2004)




【非特許文献10】Fan J.G. et al., World J. Gastroenterol, 11, 5053-5056(2005)




【非特許文献11】Matsuoka, M., and Tsukamoto, H. Stimulation of hepatic lipocyte collagen production by Kupffer cell-derived transforming growth factor beta: implication for a pathogenetic role in alcoholic liver fibrogenesis. Hepatology. 11:599-605、1990)

【非特許文献12】前田均, 中島健雄, 大西一男, 細見慶和:男性閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者における非アルコール性肝機能異常の頻度とその悪化要因. 兵庫県医師会医学雑誌47巻2号 Page115-120 (2004)

【非特許文献13】Hatipoglu U. Rubinstein I.: Inflammation and obstructive sleep apnea syndrome pathogenesis: a working hypothesis. Respiration. 70(6):665-671 (2003)

産業上の利用分野


本発明は、非アルコール性脂肪性肝炎(non-alcoholic steatohepatitis, 以降「NASH」と呼称する)の生化学的特徴及び/又は病理組織学的特徴を有する病態モデル実験動物及びその作出方法並びに利用方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】 脂肪肝担持実験動物に対し、亜硝酸塩および/又はヒドロキシルアミンを、投与量として1日当たり30~70mg/kg体重、投与期間として3~16週間、より好ましくは4~12週間投与することで、メトヘモグロビンを形成させ血中酸素分圧を108ヘクトパスカル未満に低下させた生体内低酸素状態を与えることにより作出される非アルコール性脂肪性肝炎の生化学的特徴及び/又は病理組織学的特徴を維持した病態モデル実験動物(ヒトを除く)。
【請求項2】 上記病態モデル実験動物は、医学研究用実験動物であることを特徴とする請求項1に記載の病態モデル実験動物。
【請求項3】 上記医学研究用動物がげっ歯類であることを特徴とする請求項2に記載の病態モデル実験動物。
【請求項4】 上記げっ歯類がマウス又はラットであることを特徴とする請求項3に記載の病態モデル実験動物。
【請求項5】 脂肪肝担持実験動物に対し、亜硝酸塩および/又はヒドロキシルアミンを、投与量として1日当たり30~70mg/kg体重、投与期間として3~16週間、より好ましくは4~12週間投与することで、メトヘモグロビンを形成させ血中酸素分圧を108ヘクトパスカル未満に低下させた生体内低酸素状態を与えることにより非アルコール性脂肪性肝炎の生化学的特徴及び/又は病理組織学的特徴を維持した病態モデル実験動物(ヒトを除く)を作出する病態モデル実験動物の作出方法。
【請求項6】 上記病態モデル実験動物は、医学研究用実験動物であることを特徴とする請求項5に記載の病態モデル実験動物の作出方法。
【請求項7】 上記医学研究用動物がげっ歯類であることを特徴とする請求項6に記載の病態モデル実験動物の作出方法。
【請求項8】 上記げっ歯類がマウス又はラットであることを特徴とする請求項7に記載の病態モデル実験動物の作出方法。
【請求項9】 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の病態モデル実験動物を非アルコール性脂肪性肝炎の重症化予防剤開発に供することを特徴とする病態モデル実験動物の利用方法。
【請求項10】 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の病態モデル実験動物を非アルコール性脂肪性肝炎の治療剤開発に供することを特徴とする病態モデル実験動物の利用方法。
【請求項11】 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の病態モデル実験動物を非アルコール性脂肪性肝炎を指標とした生理活性物質のスクリーニングに供することを特徴とする病態モデル実験動物の利用方法。
【請求項12】 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の病態モデル実験動物を低酸素血症に伴う生活習慣病の発症機構の解析及び重症化予防剤開発並びに治療剤開発及び治療法の開発に用いることを特徴とする病態モデル実験動物の利用方法。
産業区分
  • 畜産
  • 食品
  • 薬品
  • 治療衛生
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
特許内容に関しての問い合せ窓口は岡山大学連携機構知的財産部門です。

技術移転に関しては岡山TLOが窓口になります。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close