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成人T細胞白血病・リンパ腫の予後推定法およびキット コモンズ

国内特許コード P110005393
掲載日 2011年8月18日
出願番号 特願2009-068048
公開番号 特開2009-254357
登録番号 特許第5522348号
出願日 平成21年3月19日(2009.3.19)
公開日 平成21年11月5日(2009.11.5)
登録日 平成26年4月18日(2014.4.18)
優先権データ
  • 特願2008-071783 (2008.3.19) JP
発明者
  • 岡 剛史
  • 佐藤 妃映
  • 大内田 守
  • 吉野 正
出願人
  • 国立大学法人 岡山大学
発明の名称 成人T細胞白血病・リンパ腫の予後推定法およびキット コモンズ
発明の概要 【課題】ATLLの予後推定、具体的にはHTLV-Iのキャリアーの発症可能性、aggressive病型への進展の予測に利用できる予後推定用データを提供するデータの作成方法およびそのための予後推定検査用キットを提供すること。
【解決手段】対象とする遺伝子として単離された末梢血単核細胞のSHP1遺伝子、p15遺伝子、p16遺伝子、p73遺伝子、hMLH1遺伝子、MGMT遺伝子、DAPK遺伝子およびHCAD遺伝子よりなる遺伝子群から2種以上の遺伝子を選択し、それらの遺伝子のプロモーター領域におけるCpG島のメチル化プロファイル、およびそれに基づくCIMPを求め、それらよりATLL発症・進展危険度スコアを算出し前記予後推定用のデータとする、予後推定用データの作成方法および該方法に用いられる予後推定検査用キット。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要



成人T細胞白血病・リンパ腫(ATLL)を含む造血器腫瘍の遺伝子診断技術の開発研究が近年、急速に進展している(非特許文献1参照)。これは、造血器腫瘍およびこれに関係する遺伝子に関する医学的理解が深化するとともに、ゲノム研究ならびに遺伝子取り扱い技術の発展と相俟って、両者を結合する形で研究が進められていることによるものである。遺伝子診断の対象と内容も多岐にわたるが、(i)遺伝子異常を指標とした癌細胞の有無、(ii)癌の悪性度または薬剤、放射線への感受性の癌細胞の性質、(iii)癌発症前の診断および発症リスク推定などに大別される。





造血器腫瘍を対象とする遺伝子診断のために、遺伝子発現を制御するプロモーター領域に存在するCpG島(CpG island)のメチル化を検出して造血細胞の増殖異常を識別する試みにおいて、造血細胞増殖の異常に関わると想定される遺伝子、約80種についてメチル化の探索が行なわれた(特許文献1参照)。





本発明者らは、一つの遺伝情報について造血器腫瘍細胞の有無を最大4ステップで確認するという特異性の高い方式をこれまでに提案してきた(特許文献2参照)。その方法とは、造血器細胞を含む検体中に含まれる、造血器細胞に特異的なプロテインチロシンホスファターゼSHP1タンパク質またはmRNAを定量するとともに、検体から得られるSHP1遺伝子の塩基配列中に含まれるCpG島のDNAメチル化を同定し、さらに対立遺伝子の喪失を検出する方法である。





さらに本発明者は、検体中の細胞から核酸を抽出する工程を省くとともに、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によりDNAを増幅させる工程を含めることにより、微量の細胞検体からメチル化されたDNAを検出することができる方法を開発した(特許文献3参照)。





遺伝子診断に供するデータには、対象とする造血器腫瘍に関わる遺伝子の発現変化と同定された病態とを、データに基づく統計的な裏づけのもとに結び付ける指標の提示が臨床現場サイドからは期待される。さらに、癌進行の予測、予後判定、発症に至るリスクの推定に資することができるデータも望まれる。しかしながらそうしたデータを提供する検査方法の開発は、未だ成人T細胞白血病・リンパ腫を始めとする造血器腫瘍については見当たらない。

産業上の利用分野



本発明は、成人T細胞白血病・リンパ腫(ATLL)の予後推定、好ましくはその原因となる成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-I)のキャリアーの発症またはindolent型ATLLの悪性化を予測するためのデータを提供する予後推定検査に用いられるキット、当該予後推定検査用のシステムおよび予後判定用データの提供方法などに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
成人T細胞白血病・リンパ腫(ATLL)の予後を推定するためのデータの収集において、
単離された末梢血単核細胞(PBMC)のSHP1遺伝子、p15遺伝子、p16遺伝子、p73遺伝子、hMLH1遺伝子、MGMT遺伝子、DAPK遺伝子およびHCAD遺伝子よりなる遺伝子群について、それらの遺伝子のプロモーター領域におけるCpG島のメチル化状態を測定することにより、
上記遺伝子のプロモーター領域におけるCpG島のメチル化プロファイルを作成するとともに、予後因子として下記(A)によってCIMPを算出し、
メチル化遺伝子、メチル化遺伝子数及びCIMP値から下記(B)によって算出されるATLL発症・進展危険度スコアによる危険度の階層化を表示することにより、
成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-I)のキャリアー、indolent型ATLLおよび/またはaggressive型ATLL予後推定用データを作成する方法。
(A):前記遺伝子群の遺伝子のうち、当該患者の3つ以上の遺伝子がメチル化されている場合にはプラス1、当該患者のメチル化されている遺伝子が2つ以下である場合には0とする。
(B):
(1)母集団についての前記遺伝子群の遺伝子のメチル化(プロモーター領域におけるCpG島のメチル化)と生存率との相関についての単変量解析または多変量解析において、SPSS for Windows(登録商標) Release 11.5によるP値(以下、P値という)が0.05以下であり、かつSPSS for Windows(登録商標) Release 11.5によるHazard Ratio(HR) (以下、Hazard Ratio(HR)という)が算出される遺伝子のうちの少なくとも1種を含む遺伝子群(以下、選択遺伝子群という)について、
当該患者のMSP(メチル化特異的PCR法)でポジティブの結果を与えた遺伝子をプラス1、当該患者のMSPでネガティブの結果を与えた遺伝子を0とし、それらの各数値に、それぞれの遺伝子に対応する母集団のHazard Ratio(HR)の値を乗算し、乗算により得られた数値を合計し、
(2)選択遺伝子群の遺伝子のうちの当該患者で検出されたメチル化遺伝子の数に、母集団のメチル化遺伝子数のHazard Ratio(HR)の値を乗算し、選択遺伝子群の遺伝子数で割り、
(3)前記(A)によって算出される数値に母集団のCIMPのHazard Ratio (HR)の値を乗算し、
前記、(1)~(3)の総和、(1)および(2)の和、(2)および(3)の和、ま
たは(1)および(3)の和をATLL発症・進展危険度スコアとする。
ただし、Hazard Ratio(HR)は、単変量解析で得られた値または多変量解析で得られた値のいずれを使用するかは任意である。

【請求項2】
さらに、SHP1遺伝子、p16遺伝子、MGMT遺伝子、DAPK遺伝子およびHCAD遺伝子のメチル化状態を表示する、請求項1に記載の予後推定用データを作成する方法。

【請求項3】
成人T細胞白血病・リンパ腫(ATLL)の予後経過における投与薬剤のスクリーニングおよび/または投与治療効果の判定に使用されるデータの作成方法であって、
単離された末梢血単核細胞(PBMC)のSHP1遺伝子、p15遺伝子、p16遺伝子、p73遺伝子、hMLH1遺伝子、MGMT遺伝子、DAPK遺伝子およびHCAD遺伝子よりなる遺伝子群について、それらの遺伝子のプロモーター領域におけるCpG島のメチル化状態を測定することにより、
上記遺伝子のプロモーター領域におけるCpG島のメチル化プロファイルを作成するとともに、予後因子として請求項1に記載の(A)によるCIMP、ならびにSHP1遺伝子、p16遺伝子、MGMT遺伝子、DAPK遺伝子およびHCAD遺伝子のメチル化状態を求め、
前記メチル化プロファイルおよび前記予後因子より請求項1に記載の(B)によるATLL発症・進展危険度スコアを計算し、該ATLL発症・進展危険度スコアを前記データとする、投与薬剤のスクリーニングおよび/または投与治療効果の判定に使用されるデータの作成方法。

【請求項4】
成人T細胞白血病・リンパ腫(ATLL)の原因となる成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-I)のキャリアーの発症またはindolent型ATLLのaggressive型ATLLへの進展を予測するための予後推定検査用データの作成方法であって、
当該キャリアーまたはindolent型ATLL患者からの検体中のSHP1遺伝子、p15遺伝子、p16遺伝子、p73遺伝子、hMLH1遺伝子、MGMT遺伝子、DAPK遺伝子およびHCAD遺伝子のプロモーター領域におけるCpG島のメチル化状態を測定して前記8種の遺伝子のメチル化プロファイルを求め、
該メチル化プロファイルから請求項1に記載の(A)によるCIMPを求め、
前記メチル化プロファイルおよび前記CIMPより請求項1に記載の(B)によるATLL発症・進展危険度スコアを計算し、該ATLL発症・進展危険度スコアを前記データとすることを含む、予後推定検査用データの作成方法。

【請求項5】
検体を溶解するための溶解液、重亜硫酸塩含有試薬ならびにSHP1遺伝子、p15遺伝子、p16遺伝子、p73遺伝子、hMLH1遺伝子、MGMT遺伝子、DAPK遺伝子およびHCAD遺伝子のメチル化検出増幅試薬を含む、前記8種の遺伝子のプロモーター領域におけるCpG島のメチル化状況を測定するためのキット、
前記キットにより得られたデータおよび予後推定検査で得られたデータの加工および解析を行うためのツール、および
データ処理・解析結果のアウトプット装置を含む、請求項1~4のいずれかに記載のデータを作成するためのデータ作成システムであって、
(1)前記8種の遺伝子のメチル化プロファイル、
(2)請求項1に記載の(A)によるCIMP値、および
(3)請求項1に記載の(B)によるATLL発症・進展危険度スコア
を作成するデータの加工および解析を行うためのツールを含む、データ作成システム。

【請求項6】
さらに、
(4)SHP1遺伝子、p16遺伝子、MGMT遺伝子、DAPK遺伝子およびHCAD遺伝子のメチル化状態
を表示するためのツールを含む、請求項5に記載のデータ作成システム。

【請求項7】
さらに、前記のデータの加工および解析を行うためのツールが、データ処理プログラムおよび/または予後の統計解析アルゴリズムを用いたプログラムを含む、請求項5または6に記載のデータ作成システム。

【請求項8】
選択遺伝子群が、SHP1遺伝子、p15遺伝子、p16遺伝子、p73遺伝子、hMLH1遺伝子、MGMT遺伝子、DAPK遺伝子およびHCAD遺伝子よりなる遺伝子群のうち、
母集団についての前記遺伝子群の遺伝子のメチル化(プロモーター領域におけるCpG島のメチル化)と生存率との相関についての単変量解析または多変量解析において、P値が0.05以下であり、かつHazard Ratio(HR)が算出される遺伝子を全て含む遺伝子群である請求項1~4のいずれかに記載のデータの作成方法。

【請求項9】
選択遺伝子群が、SHP1遺伝子、p15遺伝子、p16遺伝子、p73遺伝子、hMLH1遺伝子、MGMT遺伝子、DAPK遺伝子およびHCAD遺伝子よりなる遺伝子群のうち、
母集団についての前記遺伝子群の遺伝子のメチル化(プロモーター領域におけるCpG島のメチル化)と生存率との相関についての単変量解析または多変量解析において、P値が0.05以下であり、かつHazard Ratio(HR)が算出される遺伝子を全て含む遺伝子群である請求項5~7いずれか一項に記載のデータのデータ作成システム。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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