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荷電粒子ビームの軌道制御装置及びその制御方法 コモンズ 外国出願あり

国内特許コード P110005465
整理番号 250JP
掲載日 2011年8月18日
出願番号 特願2005-198557
公開番号 特開2007-018849
登録番号 特許第4399604号
出願日 平成17年7月7日(2005.7.7)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
登録日 平成21年11月6日(2009.11.6)
発明者
  • 鳥飼 幸太
  • 高山 健
  • 下崎 義人
  • 木代 純逸
  • 荒木田 是夫
出願人
  • 大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構
発明の名称 荷電粒子ビームの軌道制御装置及びその制御方法 コモンズ 外国出願あり
発明の概要

【課題】荷電粒子ビームの軌道のズレを修正する軌道制御装置及び制御方法を提供すること。
【解決手段】誘導加速セル7を用いたシンクロトロン1において、シンクロトロン1の設計軌道2にある荷電粒子ビームの設計軌道2からのズレを感知する位置モニター11からの位置シグナル11a及びバンチ3の通過を感知するバンチモニター9からの通過シグナル9aを受けて、誘導電圧の発生タイミングを制御するデジタル信号処理装置12と、デジタル信号処理装置12で生成されたゲート親信号12aを基にスイッチング電源5aのオンおよびオフ制御するゲート信号パターン13aを生成するパターン生成器13からなる荷電粒子ビームの軌道制御装置6。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


シンクロトロンには、高周波シンクロトロン、誘導加速セルを用いたシンクロトロンがある。高周波シンクロトロンは、入射機器により真空ダクト内に入射した陽子などの荷電粒子を、高周波加速空洞によって、高周波シンクロトロンを構成する、ビーム周回軌道を維持する偏向電磁石の磁場励磁パターンに同期した高周波加速電圧を印加して、加速しながら荷電粒子を真空ダクト中の荷電粒子ビームが周回する設計軌道を周回させる円形加速器である。



一方、誘導加速セルを用いたシンクロトロンは、高周波シンクロトロンと加速方法が異なり、誘導加速セルによって誘導電圧を荷電粒子ビームに印加して加速する円形加速器である。



図8に誘導加速セルによる荷電粒子ビームの加速原理と、誘導電圧の種類について示した。誘導加速セルには、荷電粒子ビームを進行軸方向に閉じ込めるための閉込用誘導加速セル(以下、閉込用誘導加速セルという。)と、荷電粒子ビームを進行軸方向に加速するための誘導電圧を印加する誘導加速セル(以下、加速用誘導加速セルという。)がある。



なお、閉込用誘導加速セルに代えて、荷電粒子ビームを進行軸方向に閉じ込めるために高周波加速空洞を用いることもある。



図8(A)は、閉込用誘導加速セルによる荷電粒子ビームの閉じ込めの様子を示している。閉込用誘導加速セルによって荷電粒子ビームに印加する誘導電圧をバリアー電圧22という。



特に、荷電粒子群(以下、バンチ3という。)の先端に印加する荷電粒子ビームの進行軸方向と逆向きの誘導電圧のことを負のバリアー電圧22aといい、バンチ3の尾部に印加する荷電粒子ビームの進行軸方向と同一方向の誘導電圧を正のバリアー電圧22bという。これは、従来の高周波と同様に荷電粒子ビームに位相安定性を与えるものである。



なお、横軸tは、加速用誘導加速セル内の時間的変化であり、縦軸vは、印加させるバリアー電圧値(図8(B)においては、加速用の誘導電圧値)である。



図8(B)は、加速用誘導加速セルによる荷電粒子ビームの加速の様子を示している。加速用誘導加速セルによって荷電粒子ビームに印加する誘導電圧を加速用の誘導電圧8という。特に、バンチ3の全体に印加する荷電粒子ビームの進行軸方向の加速に必要な加速用の誘導電圧8のことを加速電圧8aといい、その電圧値を加速電圧値8iという。



また、加速用誘導加速セルにバンチ3が存在しない時間に、加速電圧8aと異極の加速用の誘導電圧8をリセット電圧8bという。このリセット電圧8bは、加速用誘導加速セルの磁気的飽和を回避するためのものである。



これら加速用の誘導電圧8、及びバリアー電圧22によって、従来の高周波シンクロトロンのように、陽子や一定の荷電粒子に限らず、任意の荷電粒子を一台の円形加速器でシンクロトロンを構成する偏向電磁石の磁場強度が許す任意のエネルギーレベル(以下、任意のエネルギーレベルという。)に加速することができると考えられている。



さらに、誘導加速セルを使用することにより、従来の高周波シンクロトロンで加速していた荷電粒子ビームの長さ比べて数倍から10倍の時間幅を持つ、1マイクロ秒もの長さをしたバンチ3(スーパーバンチ)を加速することも可能になる。これにより原子核物理・高エネルギー物理の実験が飛躍的に進歩すると考えられている。

【非特許文献1】日本物理学会誌 vol.59,No.9(2004)p601-p610



ここで誘導加速セルとは、これまで作られてきた線形誘導加速器用の誘導加速セルと原理的には同じ構造である。誘導加速セルは、内筒、及び外筒からなる2重構造で、外筒の内に磁性体が挿入されてインダクタンスを作る。荷電粒子ビームが通過する真空ダクトと接続された内筒の一部がセラミックなどの絶縁体でできている。



磁性体を取り囲む1次側の電気回路にDC充電器からパルス電圧を印加すると、1次側導体には1次電流(コア電流)が流れる。この1次電流は1次側導体の周りに磁束を発生させ、1次側導体に囲まれた磁性体が励磁される。



これによりトロイダル形状の磁性体を貫く磁束密度が時間的に増加する。このとき絶縁体を挟んで、導体の内筒の両端部である2次側の絶縁部にファラデーの誘導法則にしたがって誘導電場が誘導される。この誘導電場が加速電場となる。この加速電場が生じる部分を加速ギャップという。従って、誘導加速セルは1対1のトランスであるといえる。



誘導加速セルの1次側の電気回路にパルス電圧を発生させるスイッチング電源を接続し、前記スイッチング電源を外部からオンおよびオフすることで、加速電場の発生を自由に制御することができる。



ここで、スイッチング電源、及び加速用誘導加速セルの等価回路について説明する(図9)。加速用誘導加速装置の等価回路23は、DC充電器5bから常時給電を受けるスイッチング電源5aが、伝送線を経由して加速用誘導加速セル7に繋がったものとして表すことができる。加速用誘導加速セル7は誘導成分L、容量成分C、抵抗成分Rの並列回路で示す。並列回路の両端電圧がバンチ3が感じる加速用の誘導電圧8である。



図9の回路状態は、第1スイッチ24a、及び第4スイッチ24dがゲート信号パターン13aによりオンになっており、バンクコンデンサー24に充電された電圧が加速用誘導加速セル7に印加され、加速ギャップ7aにバンチ3を加速するための加速電圧8aが生じている状態である。



次にオンになっていた第1スイッチ24a、及び第4スイッチ24dがゲート信号パターン13aによりオフになり、第2スイッチ24b、及び第3スイッチ24cがゲート信号パターン13aによりオンになって、前記加速ギャップ7aに前記誘導電圧と逆向きであるリセット電圧8bが生じ、加速用誘導加速セル7の磁性体の磁気的飽和をリセットする。



そして、第2スイッチ24b、及び第3スイッチ24cがゲート信号パターン13aによりオフになり、第1スイッチ24a、及び第4スイッチ24dがオンになる。このような一連のスイッチング動作をゲート信号パターン13aにより繰り返すことで、荷電粒子ビームの加速に必要な加速用の誘導電圧8を発生させることが可能となる。



前記、ゲート信号パターン13aは、スイッチング電源5aの駆動を制御する信号であり、バンチ3の通過シグナル9aを基に、デジタル信号処理装置12、及びパターン生成器13からなる加速用誘導電圧制御装置でデジタル制御される。



なお、バンチ3に印加された加速電圧8aは、回路中の電流値とマッチング抵抗25との積から計算された値と等価である。従って、電流計である誘導電圧モニター26などで電流値を測定することで印加した加速電圧8aの値を知ることができる。



既に、発明者等は高エネルギー加速器研究機構(以下、KEKという。)の陽子高周波シンクロトロン(以下、12GeVPSという。)内に加速用誘導加速セル7を設置し、高周波加速空洞と加速用誘導加速セル7とを組み合わせることにより、一定間隔で発生させる加速用の誘導電圧8によって、運動エネルギー5億電子ボルトで入射された陽子ビームを80億電子ボルトまで加速することに成功している。



ここで電子ボルトとは、電圧の単位であるボルトに電子の単位電荷を乗じたものを1電子ボルトとして与えられるものである。1電子ボルトは1.602×10-19ジュールに等しい。

【非特許文献2】Phys.Rev.Lett.Vol.94,No.144801-4(2005).

産業上の利用分野


本発明は、誘導加速セルを用いたシンクロトロンにおいて、誘導電圧の発生タイミングを制御することにより、荷電粒子ビームを設計軌道に維持することのできる荷電粒子ビームの軌道制御装置及びその制御方法に関する。



ここで、荷電粒子とは、元素の周期表のある種の元素が一定の正または負の電価状態にあるイオンおよび電子に始まる「電荷を持った粒子」の総称をいう。また、荷電粒子には、化合物、タンパク質などの構成分子数の大きな粒子も含む。

特許請求の範囲 【請求項1】
1次側電気回路にスイッチング電源からパルス電圧を受けて、2次側絶縁部に誘導され、荷電粒子ビームに印加される誘導電圧を生成する誘導加速セルを用いたシンクロトロンにおいて用いられる荷電粒子ビームの軌道制御装置であって、
前記シンクロトロンの設計軌道にある荷電粒子ビームの設計軌道からのズレを感知する位置モニターからの位置シグナルを受け予め格納された制御単位中のパルス密度を必要に応じ過剰な加速電圧値を減じる修正又は予め与えられた軌道修正用のパルス密度を選択する修正をし、バンチの通過を感知するバンチモニターからの通過シグナルを受けてゲート親信号を生成するデジタル信号処理装置と、
前記ゲート親信号を基に前記誘導加速セルを駆動するスイッチング電源のオンオフを制御するゲート信号パターンを生成するパターン生成器とからなり、
前記ゲート信号パターンにより、スイッチング電源のオンオフを制御し、前記誘導電圧の発生タイミングを制御単位のパルス密度に基づき荷電粒子ビームの周回毎に制御することを特徴とする荷電粒子ビームの軌道制御装置。

【請求項2】
前記デジタル信号処理装置が、荷電粒子ビームの周回軌道を維持する荷電粒子ビームの加速に伴い変動する偏向磁石の磁場強度の変化パターンである磁場励磁パターンを基に計算される誘導加速セルを通過する荷電粒子ビームと誘導電圧の発生タイミングとを合わせるため、下記式(6)で求められる理想的な可変遅延時間パターンに対応する必要な可変遅延時間パターンを格納し、前記必要な可変遅延時間パターンに基づき可変遅延時間シグナルを生成する可変遅延時間計算機と、荷電粒子ビームが周回する設計軌道にあるバンチモニターからのバンチの通過シグナル、前記可変遅延時間計算機からの可変遅延時間シグナルを受けて、可変遅延時間に相当するパルスを生成する可変遅延時間発生器と、磁場励磁パターンを基に計算される理想的な荷電粒子ビームの加速段階で変化する加速に必要な誘導電圧の電圧値の変化パターンである加速電圧値パターンに対応する等価的な加速電圧値パターンを格納し、前記可変遅延時間発生器からの誘導加速セルを通過する荷電粒子ビームと誘導電圧の発生タイミングとを合わせるための可変遅延時間に相当するパルス、及び設計軌道にある荷電粒子ビームの設計軌道からのズレを感知する位置モニターからの位置シグナルを受け、荷電粒子ビームの周回毎に磁場励磁パターンに同期するために必要な誘導電圧値の過不足を計算し、必要に応じ予め格納されたパルス密度から過剰な誘導電圧分に相当する誘導電圧の発生を停止又は不足する誘導電圧分に相当する誘導電圧を発生させる修正をし、加速用の誘導電圧のオンオフを制御するパルスを生成する加速電圧演算機、及び前記加速電圧演算機からのパルスを受けて、パターン生成器に適したパルスであるゲート親信号を生成するゲート親信号出力器からなることを特徴とする請求項1記載の荷電粒子ビームの軌道制御装置。
Δt=t-(t+t)・・・式(6)
Δt:可変遅延時間
:バンチモニターから誘導加速セルに到達するまでのバンチの移動時間
:バンチモニターからデジタル信号処理装置までの通過シグナルの伝達時間
:デジタル信号処理装置から出力されたゲート親信号を基に誘導加速セルで誘導電圧を印加するまでに要する時間

【請求項3】
1次側電気回路にスイッチング電源からパルス電圧を受けて、2次側絶縁部に誘導され、荷電粒子ビームに印加される誘導電圧を生成する誘導加速セルを用いたシンクロトロンにおいて、
誘導加速セルを通過する荷電粒子ビームと誘導電圧の発生タイミングとを合わせるため、下記式(6)で求められる可変時間に相当する可変遅延時間シグナルを生成する可変遅延時間計算機と、荷電粒子ビームが周回する設計軌道にあるバンチモニターからのバンチの通過シグナル、前記可変遅延時間計算機からの可変遅延時間シグナルを受けて、可変遅延時間に相当するパルスを生成する可変遅延時間発生器と、前記可変遅延時間発生器からの誘導加速セルを通過する荷電粒子ビームと誘導電圧の発生タイミングとを合わせるための可変遅延時間に相当するパルス、及び設計軌道にある荷電粒子ビームの設計軌道からのズレを感知する位置モニターからの位置シグナルを受け予め格納されたパルス密度を必要に応じ過剰な加速電圧値を減じる修正又は予め与えられた軌道修正用のパルス密度を選択する修正をし、加速用の前記誘導電圧のオンオフを制御するパルスを生成する加速電圧演算機と、前記加速電圧演算機からのパルスを受けて、パターン生成器に適したパルスであるゲート親信号を生成するゲート親信号出力器からなるデジタル信号処理装置、及び前記ゲート親信号を前記誘導加速セルを駆動するスイッチング電源のゲート信号パターンへと変換するパターン生成器により、
前記誘導電圧の発生タイミングを制御単位のパルス密度に基づき荷電粒子ビームの周回毎に制御することを特徴とする荷電粒子ビームの軌道制御方法。
Δt=t-(t+t)・・・式(6)
Δt:可変遅延時間
:バンチモニターから誘導加速セルに到達するまでのバンチの移動時間
:バンチモニターからデジタル信号処理装置までの通過シグナルの伝達時間
:デジタル信号処理装置から出力されたゲート親信号を基に誘導加速セルで誘導電圧を印加するまでに要する時間
産業区分
  • 原子力
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
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