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相同組換えを行わせる方法 コモンズ

国内特許コード P110005478
整理番号 0603-47
掲載日 2011年8月18日
出願番号 特願2004-052952
公開番号 特開2005-237316
登録番号 特許第4050712号
出願日 平成16年2月27日(2004.2.27)
公開日 平成17年9月8日(2005.9.8)
登録日 平成19年12月7日(2007.12.7)
発明者
  • 井上 弘一
出願人
  • 国立大学法人埼玉大学
発明の名称 相同組換えを行わせる方法 コモンズ
発明の概要

【課題】所望の細胞において、相同組換え率を顕著に促進させる新規方法を提供する。
【解決手段】 真核生物細胞等の所望の細胞の相同組換え率を上昇させるために、非相同組換えに必要な因子、例えば、Ku70、Ku80をコードする遺伝子に突然変異を導入し、または該遺伝子を破壊することにより、機能喪失を引き起こしたとき、細胞に外来性DNAを、電気ショック法等により導入して相同組換えを行わせ、細胞の相同組換え頻度を促進させる。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


これまでに、真核生物細胞では、主な2つの組換え経路、相同組換え、および非相同組換えによる経路が同定されている。相同組換えは、DNAの相同な配列間における相互作用により誘起されるのに対し、非相同組換えは、DNAの相同性とは無関係に、切断された二重鎖端の直接的なライゲーションにより引き起こされると考えられている。出芽酵母では、組換えの機構として、主に相同組換えのシステムが使用されており、外来DNAがその両端に組込む相手のゲノム配列の一部を有していれば、その配列と相同なゲノム部位に外来DNAが組み込まれる(Takataら, 1997、Wachら、1994)。この過程において、Rad51、Rad52、Rad54が必須であることが報告されている(NickoloffおよびHoekstra, 1998)。一方、ヒト、植物、昆虫および分裂酵母を含む他の多くの生物は、組換えの機能として非相同組換えのシステムを主として利用している。これらの生物においては、外来DNAがたとえゲノム上の特定領域と相同な長いDNA配列部分を有していたとしても、当該特定領域に組み込まれる頻度は低く、ゲノム上の不特定部分に組み込まれる場合が多い。



相同組換えは、既存の遺伝子を効率よく改変することが可能であり、新種株の作出や、細胞の機能低下を改善するなどの目的に利用することができるため、出芽酵母を除く真核生物細胞において、相同組換え率を上昇させる試みがこれまでに数多く行われてきた。
例えば、出芽酵母の相同組換えにおいて重要な役割を果たしている、RAD51遺伝子あるいはRAD52遺伝子またはそのホモログ遺伝子の高発現系を構築する試みがなされているが、RAD51あるいはRAD52を高発現させても相同組換え頻度は2~3倍程度しか上昇せず、むしろ、細胞に対して悪影響を及ぼすことが知られている(Yanezおよび Porter, 2002、Reissら, 2000)。また、導入するベクターの相同組換え率を増大させるために多様なターゲティングベクターが開発されてきた。例えば、哺乳類細胞や植物細胞における、ネガティブ-ポジティブ選択法による相同組換え個体濃縮法(特許文献1、非特許文献1、2を参照のこと)は、代表的な例であるが、このような方法によっても依然として相同組換え頻度は極めて低く(1%以下)、かつ、このような方法を実施すること自体煩雑な操作が必要であることから、実用的な方法ではなかった。



出芽酵母以外の真核生物細胞における遺伝子組換えの研究は、遺伝学的アプローチが容易に行えることから、分裂酵母の他、真菌、例えば、糸状菌などを用いて行われている。糸状菌であるニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)も組換え研究に多く用いられる生物の一つである。ニューロスポラ・クラッサのmei-3mus-11mus-25遺伝子は、出芽酵母の相同組換えにおいて機能するRAD51RAD52およびRAD54とそれぞれ、相同であることが知られている。そこで、これらの遺伝子に欠損をもつ変異体の相同組換え率に関し、プラスミドpMTR(Schroederら, 1995)に含まれるmtr遺伝子の、染色体mtr遺伝子座への組換え頻度を指標にして、検討された(Handaら, 2000)。これらの遺伝子に欠損を持たない野生型株においては、形質転換体の3から5%のみが相同組換えを示したのに対し、mei-3およびmus-25変異体では、相同組換えはほとんど起こらなかった。これらのデータからも、ニューロスポラ・クラッサにおいては相同組換え率が非常に低く、遺伝子ターゲティングにより特定の遺伝子を破壊することは容易ではないことが示されていた。



一方、非相同組換えの過程は、DNA依存性プロテインキナーゼ(DNA-PKcs)、Ku70-Ku80ヘテロダイマー、DNAリガーゼIV-Xrcc4複合体を介して進行することが報告されている(非特許文献3、4、5を参照のこと)。そこで、発明者は、非相同組換え機構を阻害することによって、相同組換え率が増大するのではないかとの作業仮説に基づき研究を進めた。




【特許文献1】特開2001-046053号公報

【非特許文献1】Teradaら,Nature biotech. 20, 1030-1034. 2002

【非特許文献2】Jeannotteら,EJ.Mol.Cell Biol.11,5578-5585.1991

【非特許文献3】Gallegoら, The Plant Journal, 35, 557-565 2003

【非特許文献4】Walkerら, Nature 412, 607-614. 2001

【非特許文献5】CritchlowおよびJackson, TIBS, 23, 394-398. 1998

産業上の利用分野


本発明は、効率よく相同組換えを行わせる方法、およびその方法によって取得された相同組換え体細胞に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
以下の(a)~(b);
(a)KU70、KU80、LigIV、またはXRCC4からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の機能喪失を誘導したニューロスポラ属又はアスペルギルス属に属する糸状菌細胞を作製する段階、
(b)前記細胞に外来性DNAを導入し相同組換えを行わせる段階、
を含むことを特徴とする相同組換えを行わせる方法。

【請求項2】
前記機能喪失が、KU70、KU80、LigIV、またはXRCC4からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子中に突然変異または欠失を導入することで達成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。

【請求項3】
前記機能喪失が、KU70、KU80、LigIV、またはXRCC4からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の全体を破壊することで達成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。

【請求項4】
前記外来性DNAを導入する段階が、電気ショック法、スフェロプラスト法またはTiプラスミド法のいずれかの方法によって達成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。

【請求項5】
前記ニューロスポラ属に属する糸状菌が、少なくともニューロスポラ・クラッサ、ニューロスポラ・シトフィラ、ニューロスポラ・テトラスペルマ、ニューロスポラ・インターメディア、ニューロスポラ・ディスクレータからなる群から選択される1種である請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。

【請求項6】
前記アスペルギルス属に属する糸状菌が、少なくともアスペルギルス・オリゼ、アスペルギルス・ソーヤ、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・アワモリ、アスペルギルス・カワチ、アスペルギルス・パラシティク、アスペルギルス・フラバス、アスペルギルス・ノミウス、アスペルギルス・フミガタス、アスペルギルス・ニジュランスからなる群から選択される1種である請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
産業区分
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
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