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グラファイト基板を利用した質量分析 コモンズ

国内特許コード P110005517
整理番号 2007-0030
掲載日 2011年8月18日
出願番号 特願2007-249680
公開番号 特開2009-081054
登録番号 特許第5013421号
出願日 平成19年9月26日(2007.9.26)
公開日 平成21年4月16日(2009.4.16)
登録日 平成24年6月15日(2012.6.15)
発明者
  • 芝本 幸平
  • 伊永 隆史
  • 清水 伸幸
  • 谷 昌美
  • 名越 慶士郎
出願人
  • 公立大学法人首都大学東京
発明の名称 グラファイト基板を利用した質量分析 コモンズ
発明の概要

【課題】従来のグラファイト基板は、検出感度が悪く、またイオン化には高レーザーパワーが必要であり、さらに問題なのはグラファイト由来のピークが数多く観測されてしまうといった、致命的ともいえる欠点を多数有していた。
【解決手段】グラファイト基板表面のグラファイト試料を除去すれば、非常に高い性能をもつイオン化基板として用いることが期待される。すなわち、グラファイト微結晶から構成されるグラファイト薄膜を基板上に固着させ、その固着している層の上に堆積しているグラファイト部分を除去することにより上記課題を解決した。
【選択図】 図6

従来技術、競合技術の概要


質量分析法は、分析化学において利用されるだけではなく、医学、生物学、生化学など多岐の分野において利用されている。その中でも、レーザー脱離-質量分析法(Laser Desorption Mass Spectrometry:LD-MS)は、1980年代に注目され、主に金属や半導体などの表面分析に用いられてきた。レーザーを用いているため、レンズを用いて容易に集光することが可能であり、微小領域の分析が可能である。また、試料を容易にイオン化することが可能であり、広範囲の試料種に対応することが可能である。



最近のLDI-MS法に関する研究では、いかに効率よく試料分子に照射するレーザーエネルギーを伝えるかが注目を浴びている。



その代表的な手法の一つにはマトリックス支援LDI-MS法(MALDI-MS法)が挙げられる。この手法では照射するレーザーエネルギーの大部分を吸収し、そのエネルギーを試料分子に効率的に供給する役割を持つマトリックス分子を大過剰に添加することにより、従来のLDI-MS法に比べて試料分子を高感度にかつ非解離(ソフト)に検出することを可能とした。



マトリックス分子には様々な分子が利用されているが、そのマトリックス分子の一つにグラファイトを用いた研究例が報告されている。グラファイトとは炭素のみで構成され、かつ非常に広い範囲の波長の光を吸収する素材であるため、可視光でも利用が可能となる。また熱耐性も強く照射するレーザーによる解離も抑制されると考えられるため、その可能性を追求する研究者も少なくない。



しかし、実際にグラファイトをマトリックス剤として添加したMSスペクトルには多くのグラファイト由来と思われるピークが数多く検出され、他のマトリックス分子と比較しても優位性を示せているとは言い難い。



なぜなら、グラファイトにはカーボンクラスターやフラーレンなどの様々な不純物を多く含むだけではなく、グラファイトとして存在する分子が常に一定の分子量をもつような素材でないことが大きな理由として挙げられるためである。



しかし一方で、MALDI-MS法のように同時に観測されてしまうようなマトリックス分子をエネルギー供給体として利用するのではなく、イオン化基板表面にその役割を与え、マトリックス分子の弊害を除去しようとして開発された表面支援LDI-MS法(SALDI-MS法)の研究が盛んになってきた(非特許文献1参照)。



この上述したグラファイトの特徴は、試料分子のイオン化を補助する物質としての可能性を秘めているため、このSALDI-MS法のイオン化基板としてグラファイトを用いる研究報告例もある(非特許文献2参照)。



しかしながら、報告されるグラファイト素材のイオン化基板は、他のSALDI-MS法で利用されるイオン化基板のようなエネルギーの増強効果やエネルギーの局所化がほとんど誘起されず、イオン化基板としては性能が悪い。



具体的には、検出感度が悪く、またイオン化には高レーザーパワーが必要であり、さらに問題なのはグラファイト由来のピークが数多く観測されてしまうといった、致命的ともいえる欠点を多数有している。



ここで、従来のグラファイト基板を説明する。まず、グラファイト箔(膜厚130 μm)をイオン化基板として用いた結果を示す(図1参照、)。図1から明らかなように、低レーザー強度においては信号がまったく観測されず、レーザーエネルギーを吸収するだけではイオン化基板としての性能は非常に悪いことがわかる。



照射レーザーエネルギーを表面に局所化させるために、更に薄層化させたグラファイト薄膜(数μm以下の膜厚と推測される基板)をイオン化基板として用いた結果を示す(図2参照)。グラファイト箔基板に比べて信号が観測されたが、グラファイト由来のピークが非常に多く、試料分子を解析するには有効な基板とはいえない。



しかし我々は、この結果を別の観点から捉えた。グラファイト薄膜基板の結果は、グラファイト表面に堆積したグラファイトが電荷の相互作用を受け、高感度に検出されたという見方ができる。つまり、グラファイト基板表面のグラファイト試料を除去すれば、非常に高い性能をもつイオン化基板として用いることが考えられる。

【非特許文献1】J. Wei, J. M.Buriak, G. Siuzdak: Nature, 399, 243 (1998)

【非特許文献2】J, Paek K, Kang W. BullKorean Chem Soc 2002;23;315-9

産業上の利用分野


本願発明は、MALDI-MS(Matrix Assisted Laser Desorption/Ionization-Mass Spectrometry:マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法)などに代表されるレーザー脱離質量分析法に関し、特に、イオン化手段として、グラファイト基板を利用するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
レーザー脱離質量分析法において、グラファイト微結晶から構成されるグラファイト薄膜を作製し、該薄膜を基板に固着し、固着しなかった部分のグラファイトは洗浄により除去し、該グラファイトの固着した基板上に試料を付着させ、レーザー光を照射することにより試料をイオン化し質量分析することを特徴とするレーザー脱離質量分析法。

【請求項2】
上記グラファイト薄膜の作製は、液液界面を利用して行うことを特徴とする請求項1に記載のレーザー脱離質量分析法。

【請求項3】
上記固着は、熱固着であることを特徴とする請求項1に記載のレーザー脱離質量分析法。

【請求項4】
上記基板は、グラファイトより低い融点を有する部材であることを特徴とする請求項1に記載のレーザー脱離質量分析法。
産業区分
  • 電子管
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2007249680thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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