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金微粒子を担体に分散・固定化する方法 コモンズ

国内特許コード P110005524
整理番号 2007-0073
掲載日 2011年8月18日
出願番号 特願2008-067090
公開番号 特開2009-220017
登録番号 特許第5290599号
出願日 平成20年3月17日(2008.3.17)
公開日 平成21年10月1日(2009.10.1)
登録日 平成25年6月14日(2013.6.14)
発明者
  • 春田 正毅
  • 石田 玉青
  • 木下 直人
  • 黒田 杏子
  • 大勝 裕子
出願人
  • 公立大学法人首都大学東京
発明の名称 金微粒子を担体に分散・固定化する方法 コモンズ
発明の概要

【課題】触媒などとして有用な、粒径が小さく、金微粒子の凝集がなく、粒度のそろった金ナノ粒子が表面に分散・固定化された炭素材料または高分子材料を、金化合物の還元により簡便に製造する。
【解決手段】炭素材料、極性の高い官能基を表面に有さない高分子材料または該高分子材料と無機物からなり無機物の含有量が50重量%以下の有機・無機ハイブリッド材料に接する金化合物溶液に還元剤を徐々に添加することにより、前記炭素材料または高分子材料上に金微粒子を分散・固定化する。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


貴金属は、種々の装飾材料、歯科用材料、電子回路材料、触媒材料、例えば有機物の酸化あるいは還元反応触媒、自動車排気ガスの浄化触媒や、燃料電池用の触媒などとして広く用いられている。触媒として用いる場合、貴金属は高価なことと、その性能を最大限引き出すため、ナノ粒子(例えば、2~10nm)として露出表面積を大きくする工夫がなされている。具体的には、比表面積が大きく、熱的、化学的安定性の高いシリカやアルミナ、チタニアなどの金属酸化物、あるいは活性炭、カーボンブラックなどの炭素材料を担体に用い、その表面に貴金属がナノ粒子として分散・固定された状態とされて用いられている。



貴金属中、金は他の貴金属に比べれば安価であるものの、触媒活性が極めて乏しいと従来考えられていた。これに対し、発明者は、金を好ましくは直径10nm以下の超微粒子として種々の金属酸化物担体上に分散・固定することにより、高い触媒活性が発現されること、さらに金ナノ粒子触媒は、低温CO酸化、プロピレンの気相一段エポキシ化、低温水性ガスシフト反応、酸素と水素からの直接過酸化水素合成、炭化水素類の部分酸化など、多くの反応に対して、他の貴金属より優れた触媒活性を発現することを見出している(例えば、特許文献1および非特許文献1参照)。また、その他にも、金ナノ粒子について、不飽和化合物の水添、アルコールの酸化、NOxの除去、エポキシ化合物、脂肪族アミンのカルボニル化などの触媒活性についての報告もなされている。さらに、本発明者は、金の粒子径が2nm以下、原子数で300個以内のクラスターになると、触媒特性がさらに激変する場合があることも見出した。これら金属酸化物や炭素材料上に金ナノ粒子を分散・固定化する方法としては、従来、共沈法、析出沈殿法、コロイド混合法、気相グラフティング法、液相グラフティング法などの方法が採られている。



これに対し、高分子材料を担体とし、その表面に貴金属、例えば白金やパラジウムなど白金族金属をナノ粒子として分散・固定化したものは、これまで材料としてほとんど注目されておらず、関連するものとして高分子電解質膜用白金電極があった。白金は微粒子としてカーボンブラック上に分散・固定化されているが、その担持量が10wt%以上であるので、多くは凝集体となっており、必ずしも金属微粒子が独立分散した構造でない。高分子材料を担体として用いる触媒が実用化されていないのは、高分子材料の耐熱温度が200℃以下と低く、基幹化成品を製造する工業反応プロセスの温度条件や自動車排ガスの温度域では使用できない上に、高分子材料の比表面積が小さく、しかも高分子材料は無機材料に比し高価であることに起因している。これに対し、精密化成品の合成では一般に溶液に溶解した状態で触媒が使用され(均一系触媒)、200℃以下での反応が多く、分子レベルで触媒の設計が可能である反面、反応物と生成物から触媒を分離するプロセスにエネルギーが要せられることが課題となっている。このため、均一系触媒を高分子担体などに固定化することが試みられている。このことは、金ナノ粒子においても同様である。前記したとおり、金は貴金属の中でも寸法によって最も著しく特性が変動することが分かっており、また粒径がナノレベルとなっても空気中で安定であることから、低温反応用触媒などの用途として、高分子材料を担体とし、種々の寸法・形状で分散・固定化された材料が望まれている。



近年、高分子材料と金との複合材料に関する技術として、NaAuCl4・2H2Oとピロールとを混合して、超音波をかけることにより、金粒子への還元とピロールの重合とを同時に行い、これにより金ナノ粒子を高分子内部に包み込んだ複合体を製造する方法(非特許文献2参照)、NaOH水溶液で前処理した第四級アンモニウム基を官能基として有するイオン交換樹脂を加熱乾燥後金前駆体水溶液で処理し、150℃で6時間加熱することにより金ナノ粒子を担持させる、いわゆる含浸法によって、イオン交換樹脂に金を担持させる方法(非特許文献3参照)、乾燥した陽イオン交換樹脂にHAuCl4・4H2O水溶液を含浸させ、60℃で3時間乾燥する方法(非特許文献4参照)、陽イオン交換樹脂に金微粒子を担持する方法(非特許文献5参照)が報告されている。



しかし、前記NaAuCl4・2H2Oとピロールとを混合して、超音波をかけることにより、金粒子への還元とピロールの重合とを同時に行う方法は、金粒子がピロール重合体により包み込まれた状態となっており、触媒としての利用には適していない。また、イオン交換樹脂を用い、金ナノ粒子をイオン交換樹脂上に担持する方法では、長時間、高温での加熱が必要とされる。さらに、前記方法は、いずれも特殊な樹脂への金ナノ粒子の付着方法であり、しかも後者の方法においては瞬時に反応が終了しないことから、粒度が不揃いとなり、触媒活性の点で問題を有する。さらに、カチオン性の高分子電解質側鎖を高分子粒子表面に導入し、還元剤を徐々に加えることにより、得られる金ナノ粒子が小さくなること(非特許文献6参照)も報告されているが、この方法も側鎖部分に金ナノ粒子が固定化されており、コアの高分子粒子表面に直接担持されているわけではない。



一方、還元剤を用いて金属化合物を還元する際、ナノオーダーの金属微粒子を得るため、例えば還元剤としてクエン酸ナトリウムを用い60℃以上で還元するとか、水素化ホウ素ナトリウムを用い0℃で還元するなど、還元剤の種類や還元温度について種々の検討がなされてきた。これら還元剤の選択および温度制御により金属ナノ粒子の形成は可能であるが、還元の際に使用する金属化合物、還元剤、添加剤など使用する材料や濃度などにより最適条件を決める必要があり条件設定が難しく、また温度制御のみでは粒径の制御が難しいのが現状である。



このような状況下、本発明者らは、金前駆体である金化合物が溶解した高分子材料粒子分散液に、還元剤を一気に加えることにより、金属ナノ粒子となる核を一度に多数生成させ、且つ核成長を抑えることにより、その表面に金属ナノ粒子を分散・固定化することが難しかった前記の如きアニオンあるいはカチオン基などの官能基を表面に有しない高分子材料表面に金微粒子を付着させることができることを見出した(特許文献2参照)。従来無機酸化物担体に金属イオンを吸着させた後、金属ナノ粒子を還元して担持する場合には還元剤を一気に加えていた。これは、還元剤を徐々に加えると、一度生成した金属ナノ粒子が核となって、核成長を引き起こし、得られる金属ナノ粒子が大きくなるため、一気に還元することによって小さな金属ナノ粒子の核を多数形成させるためである。




【特許文献1】特公平5-49338号公報

【特許文献2】特開2007-197591号公報

【非特許文献1】エム ハルタ(M.Haruta)、ケミストリー レコード(Chem. Record)第3巻、第2号、第75-87頁(2003年)

【非特許文献2】ジョン-エン パルク(Jong-En Park)外2名、ケミストリー レターズ(Chemistry Letters)、第34巻、第1号、第96-97頁(2005年)

【非特許文献3】フェング シ(Feng Shi)外4名、ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイアティ(J.Am.Chem.Soc.)コミュニケーションズ(Communications)、第127巻、第21巻、第4182-4183頁(2005年)

【非特許文献4】フェング シ(Feng Shi),ユークワン デング(Youquan Deng)、ジャーナル オブ キャタリシス(J.Catal.)第221巻、第12号、第548-511頁(2002年)

【非特許文献5】ギタンジャニ マジャンダール(Gitanjani Majumdar)外4名、ラングミュアー(Langmuir)、第21巻、第5号、第1663-1667頁(2005年)

【非特許文献6】エム シュライナー(M.Schrinner)他9名.マクロモレキュラー ケミストリー アンド フィジックス(Macromol.Chem.Phys)、第208巻、第1542-1547頁(2007年)

産業上の利用分野


本発明は、金微粒子を高分子材料表面に分散・固定化する方法に関する。より詳細には、還元剤で金前駆体を還元して高分子材料表面に分散・固定化する際に、従来法に比べより小さく且つ金微粒子の凝集がなく、粒度のそろったより均一な大きさの金微粒子を高分子材料表面に分散・固定化する方法に関する

特許請求の範囲 【請求項1】
極性の高い官能基を表面に有さない高分子材料または該高分子材料と無機物からなり無機物の含有量が50重量%以下の有機・無機ハイブリッド材料に接する金化合物水溶液に還元剤を徐々に添加することを特徴とする高分子材料上に金微粒子を分散・固定化する方法であって、
前記高分子材料が、粉末、微粒子、薄膜、中空粒子、多孔体またはデンドリマー形態であるとともに、ビニル系ポリマー、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリウレタン、ジエン系ポリマー、メラミン・ベンゾグアナミン系ポリマー、芳香族系ポリマー、ポリイミド、ポリシラン、ポリシロキサン、ポリカプロラクトン、硫黄系ポリマーおよび天然高分子から選択される少なくとも1種の高分子材料であることを特徴とする、高分子材料上に金微粒子を分散・固定化する方法。

【請求項2】
前記還元剤が、金イオンを還元することのできる無機または有機還元剤の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の高分子材料上に金微粒子を分散・固定化する方法。

【請求項3】
前記金化合物が、四塩化金酸、四塩化金酸塩、三塩化金、三臭化金、シアン化金、シアン化金カリウム、三塩化ジエチルアミン金酸、エチレンジアミン金錯体、ジメチル金β-ジケトン誘導体金錯体、およびジエチル金β-ジケトン誘導体金錯体から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の高分子材料上に金微粒子を分散・固定化する方法。

【請求項4】
前記還元剤は、前記金化合物水溶液に還元剤が加えられた際に、添加された還元剤により金錯イオンの一部が還元され、形成された金微粒子が高分子材料上に吸着される大きさとなって高分子材料上に移動したのち、さらに還元剤を加えることにより残余の金錯イオンの一部が還元されて上記と同様の移動を起こすという工程を繰り返す速度で添加されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の高分子材料上に金微粒子を分散・固定化する方法。

【請求項5】
前記還元剤の添加開始から添加終了までの時間が、1~20分であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の高分子材料上に金微粒子を分散・固定化する方法。

【請求項6】
前記金化合物水溶液のイオン強度が、1×10-5~0.05であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の高分子材料上に金微粒子を分散・固定化する方法。

【請求項7】
高分子材料上に分散・固定化された金微粒子の平均粒子径が10nm以下であり、金が高分子材料に対し、0.01重量%~50重量%担持されることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の高分子材料上に金微粒子を分散・固定化する方法。
産業区分
  • その他無機化学
  • 高分子化合物
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
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