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アクチュエータ制御装置およびアクチュエータ制御方法 コモンズ

国内特許コード P110005583
整理番号 6073
掲載日 2011年8月18日
出願番号 特願2007-053861
公開番号 特開2008-217410
登録番号 特許第5002814号
出願日 平成19年3月5日(2007.3.5)
公開日 平成20年9月18日(2008.9.18)
登録日 平成24年6月1日(2012.6.1)
発明者
  • 大石 潔
  • 桂 誠一郎
  • 加藤 将
出願人
  • 国立大学法人長岡技術科学大学
発明の名称 アクチュエータ制御装置およびアクチュエータ制御方法 コモンズ
発明の概要

【課題】ロバスト加速度制御系に基づき、アクチュエータの飽和時に指令値に対して遅れのない軌跡追従制御を各軸間で行ないつつ、協調動作を行なう。
【解決手段】アクチュエータ2をロバスト加速度制御する加速度制御システム1と、アクチュエータ2を軌跡追従制御させる軌跡追従制御システム20と、アクチュエータ2への電流参照値Irefを、予め設定した最大電流値IMAX以下に制限するために、フィードフォワード成分の加速度指令電流IFFiを調整するトルク電流リミッタ95と、各軸間のアクチュエータ2を協調制御するために、位置指令調整率γ(n+1)iからフィードバック成分の加減速トルク電流IFBiおよびフィードフォワード成分の加速度指令電流IFFiを修正する遅れ調整手段86と、をそれぞれ備えている。
【選択図】図11

従来技術、競合技術の概要


近年、産業界における各種工作機械や半導体製造装置、またはロボット等の位置決め制御に代表されるモーションコントロール装置では、生産性向上を目的とした高速で高精度な制御が求められている。さらに、システム全体の低コスト化の要求から、こうした位置決め機構に、ワット数の小さなACサーボモータと安価なボールねじを用いた送り駆動系のアクチュエータが多く使用されている。従来のシステムでは、特にモータの始動時と制動時にモータがトルク飽和を引き起こすため、複数のアクチュエータにより各軸で被制御物を動作させるシステムにおいては、各軸間の被制御物を協調して動作させることができずに、目標となる軌跡追従ができないという問題がある。そのため、こうした問題を解決するべく、所望の制御特性を満足するためのトルク飽和対策技術が多く行なわれてきた。



図16は、こうした対策を施したサーボ系のシステム構成の一例を示したものである。ここでは、制御対象となるサーボモータ501が、制御装置502から与えられる電流値Iによって駆動される。制御装置502は、減算器503~505と、位置コントローラ506と、速度コントローラ507と、電流コントローラ508と、電流リミッタ509とからなり、サーボモータ501への電流値Iを監視する局部的な電流制御ループ511の外側に、サーボモータ501の位置θを監視する位置制御ループ513と、サーボモータ501の応答速度(角速度)ωを監視する速度制御ループ512とを各々備えて構成される。



そして、ここでの制御装置502は、サーボモータ501の実際の位置θと、目標となる位置参照値θrefとの位置偏差を減算器503で算出して、この位置偏差を位置コントローラ506で速度参照値ωrefに変換する。速度参照値ωrefとサーボモータ501の実際の応答速度ωとの偏差は、位置コントローラ506の後段に接続した減算器504で算出され、速度コントローラ507で電流参照値Irefに変換される。さらに、この電流参照値Irefと、サーボモータ501に与えられる実際の電流値Iとの偏差が、後述する電流リミッタ509の後段に接続した減算器505で算出され、これがサーボモータ501への制御信号すなわち電流値Iとして電流コントローラ508から出力される。これによって、サーボモータ501の実際の位置θが、制御装置502に与えられる位置参照値θrefに追従するように、サーボモータ501への制御が行なわれる。



また、この一連の制御で、速度コントローラ507で変換された電流参照値Irefが一定の範囲を超えないように、この速度コントローラ507と減算器505との間には電流リミッタ509が接続される。これにより、サーボモータ501がトルク飽和を起こしそうな電流参照値Irefが速度コントローラ507から出力された場合でも、電流リミッタ509によってサーボモータ501への電流値Iは一定の範囲内に抑制され、サーボモータ501のトルク飽和を防ぐことができる。



そして、こうしたトルク飽和対策技術は、上記図16に示す例だけでなく、例えば特許文献1などにも開示されている。



一方、本願出願人などは、モータを代表とするアクチュエータを加速度指令で駆動させる加速度制御系(加速度コントローラ)を実現し、これによる高速高性能のサーボ制御系の実装を提案してきた。加速度制御系は高速な制御を可能にするが、その反面、モータへの操作量の電流指令や電圧指令が制限される(飽和する)ことがよくある。そのため、従来の特許文献1や上記図16に提示されるような手法は、全て位置サーボや速度サーボを前提とした技術であるため、動的な遅れが生じたり、トルク指令の向きが変わるなどして、加速度制御系に対する対策としては不十分なものであった。

【特許文献1】特開平7-62052号公報

産業上の利用分野


本発明は、トルク飽和などの発生時にも、各軸で被制御物を遅れなく軌跡追従制御させることができるアクチュエータ制御装置およびアクチュエータ制御方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
各軸に可動する複数のアクチュエータの動作を個々に制御するアクチュエータ制御装置であって、
前記アクチュエータへの外乱を推定する外乱オブザーバを備え、この外乱オブザーバで得た外乱推定値を外乱補償電流に変換し、前記外乱補償電流でフィードバック補償した前記アクチュエータへの電流参照値により、当該アクチュエータをロバスト加速度制御する加速度制御部と、
前記アクチュエータを軌跡追従制御させるために、フィードバック成分の電流参照値とフィードフォワード成分の電流参照値を算出する軌跡追従制御部と、
前記フィードバック成分の電流参照値,前記フィードフォワード成分の電流参照値,および前記外乱補償電流を合計した前記アクチュエータへの電流参照値を、予め設定した最大電流値以下に制限するために、
何れか一つの軸で前記アクチュエータへの電流参照値が前記最大電流値を越えて電流飽和を起こすと、全ての軸で位置指令の調整率をそれぞれ算出し、この軸毎の調整率の中から前記電流飽和の許容分が一番大きな軸に対応した最小値の調整率を用いて、軸毎に前記フィードフォワード成分の電流参照値を調整する電流リミッタと、
前記電流リミッタから与えられる前記最小値の調整率から、前記フィードバック成分の電流参照値および前記フィードフォワード成分の電流参照値を修正する調整部と、をそれぞれ備え
前記i軸目のフィードバック成分の電流参照値をIFBi,前記i軸目のフィードフォワード成分の電流参照値をIFFi,前記i軸目の外乱補償電流をIRBi,前記i軸目のアクチュエータへの電流参照値をIref,前記最大電流値に相当し、前記アクチュエータを構成するモータの最大トルク電流をIMAXとしたときに、
前記各軸の電流リミッタは、前記i軸目のアクチュエータへの電流参照値Irefの絶対値が最大トルク電流IMAXを越えていれば、前記ロバスト制御を維持するための前記i軸目の現サンプルnの最大加減速トルク電流IaccMAX(n)iを次の式で算出し、
【数式1】


次の式からi軸目の最大加速度θ・・max(n)iを算出して(但し、Kはトルク定数,Jniはi軸目の慣性モーメントのノミナル値)、
【数式2】


前記位置指令の前記調整率γ(n+1)iを次の式で算出し(但し、Tsは現サンプルから次のサンプルまでのサンプリング時間,θ・res(n)はi軸目の現サンプルにおける速度応答値,θcmd(n+1)はi軸目の次のサンプルにおける位置指令値,θcmd(n)はi軸目の現サンプルにおける位置指令値)、
【数式3】


前記i軸目のアクチュエータへの電流参照値Irefの絶対値が最大トルク電流IMAX未満である場合は、前記位置指令の前記調整率γ(n+1)iを1にするものであることを特徴とするアクチュエータ制御装置。

【請求項2】
前記外乱オブザーバの極を無限大にしたことを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ制御装置。

【請求項3】
記各軸の電流リミッタは、全ての軸で前記位置指令の前記調整率γ(n+1)iを算出すると、各軸iの前記調整率γ(n+1)iの中から最小値γ(n+1)minを抽出して、
前記フィードフォワード成分の電流参照値を調整した値IFFi(n)を、次の式から算出する(但し、Ktnはトルク定数のノミナル値,f(t)はi軸目の位置指令値の時間関数,θres(n)はi軸目の現サンプルにおける速度応答値,θcmd(n)はi軸目の現サンプルにおける位置指令値)
【数式4】


ことを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ制御装置。

【請求項4】
前記各軸の調整部は、次の式から前記位置指令の調整率γ(n+1)に基づく次サンプルでの修正時間t(n+1)を算出し(但し、t(n)は現時間)、
【数式5】


この修正時間に基づき、前記フィードバック成分の電流参照値および前記フィードフォワード成分の電流参照値を修正するものであることを特徴とする請求項3記載のアクチュエータ制御装置。

【請求項5】
各軸に可動する複数のアクチュエータの動作を個々に制御するアクチュエータ制御方法であって、
前記アクチュエータへの外乱を推定する外乱オブザーバを備え、この外乱オブザーバで得た外乱推定値を外乱補償電流に変換し、前記外乱補償電流でフィードバック補償した前記アクチュエータへの電流参照値により、当該アクチュエータをロバスト加速度制御する加速度制御ステップと、
前記アクチュエータを軌跡追従制御させるために、フィードバック成分の電流参照値とフィードフォワード成分の電流参照値を算出する軌跡追従ステップと、
前記フィードバック成分の電流参照値,前記フィードフォワード成分の電流参照値,および前記外乱補償電流を合計した前記アクチュエータへの電流参照値を、予め設定した最大電流値以下に制限するために、何れか一つの軸で前記アクチュエータへの電流参照値が前記最大電流値を越えて電流飽和を起こすと、全ての軸で位置指令の調整率をそれぞれ算出し、この軸毎の調整率の中から前記電流飽和の許容分が一番大きな軸に対応した最小値の調整率を用いて、軸毎に前記フィードフォワード成分の電流参照値を調整する電流制限ステップと、
前記電流制限ステップから与えられる前記最小値の調整率から、前記フィードバック成分の電流参照値および前記フィードフォワード成分の電流参照値を修正する調整ステップと、からなり、
前記i軸目のフィードバック成分の電流参照値をIFBi,前記i軸目のフィードフォワード成分の電流参照値をIFFi,前記i軸目の外乱補償電流をIRBi,前記i軸目のアクチュエータへの電流参照値をIref,前記最大電流値に相当し、前記アクチュエータを構成するモータの最大トルク電流をIMAXとしたときに、
前記電流制限ステップは、軸毎に前記i軸目のアクチュエータへの電流参照値Irefの絶対値が最大トルク電流IMAXを越えていれば、前記ロバスト制御を維持するための前記i軸目の現サンプルnの最大加減速トルク電流IaccMAX(n)iを次の式で算出し、
【数式6】


次の式からi軸目の最大加速度θ・・max(n)iを算出して(但し、Kはトルク定数,Jniはi軸目の慣性モーメントのノミナル値)、
【数式7】


前記位置指令の前記調整率γ(n+1)iを次の式で算出し(但し、Tsは現サンプルから次のサンプルまでのサンプリング時間,θ・res(n)はi軸目の現サンプルにおける速度応答値,θcmd(n+1)はi軸目の次のサンプルにおける位置指令値,θcmd(n)はi軸目の現サンプルにおける位置指令値)、
【数式8】


前記i軸目のアクチュエータへの電流参照値Irefの絶対値が最大トルク電流IMAX未満である場合は、前記位置指令の前記調整率γ(n+1)iを1にすることを特徴とするアクチュエータ制御方法。

【請求項6】
前記外乱オブザーバの極を無限大にしたことを特徴とする請求項5記載のアクチュエータ制御方法。

【請求項7】
記電流制限ステップは、全ての軸で前記位置指令の前記調整率γ(n+1)iを算出すると、各軸iの前記調整率γ(n+1)iの中から最小値γ(n+1)minを抽出して、
前記フィードフォワード成分の電流参照値を調整した値IFFi(n)を、次の式から算出する(但し、Ktnはトルク定数のノミナル値,f(t)はi軸目の位置指令値の時間関数,θres(n)はi軸目の現サンプルにおける速度応答値,θcmd(n)はi軸目の現サンプルにおける位置指令値)
【数式9】


ことを特徴とする請求項5記載のアクチュエータ制御方法。

【請求項8】
前記調整ステップは、次の式から前記位置指令の調整率γ(n+1)に基づく次サンプルでの修正時間t(n+1)を算出し(但し、t(n)は現時間)、
【数式10】


この修正時間に基づき、前記フィードバック成分の電流参照値および前記フィードフォワード成分の電流参照値を修正することを特徴とする請求項7記載のアクチュエータ制御方法。
産業区分
  • 制御調整
  • 工業用ロボット
  • 発電、電動
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2007053861thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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