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触覚の解析方法および触覚の解析装置 コモンズ

国内特許コード P110005587
整理番号 7022
掲載日 2011年8月18日
出願番号 特願2007-212693
公開番号 特開2009-047504
登録番号 特許第5211580号
出願日 平成19年8月17日(2007.8.17)
公開日 平成21年3月5日(2009.3.5)
登録日 平成25年3月8日(2013.3.8)
発明者
  • 大石 潔
  • 桂 誠一郎
出願人
  • 国立大学法人長岡技術科学大学
発明の名称 触覚の解析方法および触覚の解析装置 コモンズ
発明の概要

【課題】環境との接触動作により生じた力の情報から、接触環境の材質的または品質的な特徴を直感的且つ定量的に把握して、これを抽出することが可能な触覚の解析方法および触覚の解析装置を提供する。
【解決手段】環境Eとの接触動作により生じた時系列な反作用力の触覚情報を入力手段2により取得し、この入力手段2で取得した触覚情報を、処理手段3により時間領域で可視化できるように解析処理し、この解析処理結果から抽出手段24が環境Eの材質または品質を抽出する。また、解析処理結果と環境Eの材質とを関連付けた関連付けデータを、環境Eの材質毎に記憶手段4に記憶させる。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


人間の持つ感覚のなかで、機械と人間、若しくは遠隔地に存在する人間と人間との間を結ぶ重要な感覚として、視覚,聴覚,触覚が挙げられる。視覚や聴覚に対応する画像や音声の処理技術は、情報通信工学の発展とともにインターフェースとして急速に広まり、産業の基盤技術として欠かせないものとなっている。例えば、写真,テレビ,電話,蓄音機等の発明により、視覚や聴覚に関する情報の伝送や、保存や、再生が可能となり、さらにはビデオカメラやテレビにより、視覚および聴覚情報の放送も可能になった。これは、あたかも人間が持つ視覚や聴覚が、時間と空間を越えたように感じさせることと等価であるといえる。現在では、そうした視覚や聴覚情報の解析や加工を取り扱うディジタル信号処理技術の開発も、日々進歩している。



一方、感覚情報の一つを担う触覚情報は、視覚や聴覚の情報に次ぐ新たなマルチメディア情報として、これを伝送して保存し、人工的に再現する技術の開発が求められている。そのため、マスターシステムとスレーブシステムとによるロボットシステム間の遠隔操作や、動かしている位置とその位置での各種情報を触覚を介して表示するようなハプティック(触覚)ディスプレイは、触覚情報を扱う技術として多くの研究が行なわれている。



しかしながら、上述した視覚や聴覚に関する情報は受動的で、単方向性の感覚情報であるのに対し、触覚情報は実世界における「作用・反作用の法則」に束縛される双方向性の感覚情報であり、しかも接触対象である環境に能動的に接触することで、初めてその情報が得られるので、モデルベースやヴァーチャルリアリティを応用した触覚情報の再現は行なわれているものの、実世界における触覚情報の取得は困難である。



こうした実世界における触覚情報の抽出や再現を行なう実世界ハプティクスとして、例えば非特許文献1には、実世界における遠隔地からのバイラテラル力覚フィードバックの制御手法が提案されている。また別な非特許文献2には、多方向のシステム間で力覚情報のやり取りを可能にするマルチラテラル触覚伝送技術が提案されている。



一方、広帯域な実世界環境からの力覚フィードバックを実現するためには、例えば非特許文献3や非特許文献4で提案されているように、システムのロバスト性を失わずに制御剛性をゼロにするための加速度制御が不可欠であり、具体的にな非特許文献5や非特許文献6に開示される外乱オブザーバによる実現手法が広く用いられている。特に非特許文献7では、外乱オブザーバを用いることで広帯域の力覚情報を力覚センサレスで取得できることが開示されており、また外乱オブザーバの広帯域化については、非特許文献8~非特許文献10でも多くの研究提案がなされている。



その中で本願発明者らは、非特許文献10において、アクチュエータの位置を検出する位置エンコーダの情報に加えて、アクチュエータの加速度を検出する加速度センサの情報に基づき、当該アクチュエータに加わる外力を推定する位置・加速度統合型の外乱オブザーバを提案し、またそれ以前に特願2006-57614号で出願も行なっている。そして、このような外乱オブザーバによって、1kHz以上の極めて広帯域を有するバイラテラル力覚フィードバックを実現している。



このように、実世界における触覚情報の抽出や再現に関し、様々な研究が行なわれているが、そこで取得した触覚情報を視覚的に表現する技術は、生産工学や低侵襲性外科医療の分野で望まれてはいるものの、開発がなされてはおらず、実用化に至っていない。例えば触覚情報を視覚的に表現する一手法として、力覚センサや、非特許文献7で提案された反力推定オブザーバなどで得られたデータを、時系列順に表示することが考えられるが、この場合には接触する環境が、「つるつる」や「ざらざら」するといった定性的な表現でしか評価を行なうことができない。そのため双方向性を有する実世界における触覚情報を扱う基本概念として、触覚情報をより直感的且つ定量的に評価できる装置や方法が求められていた。

【非特許文献1】下野 誠通,桂 誠一郎,大西 公平(T.Shimono,S.Katsura,K.Ohnishi)、「環境モデルに基づく実世界力覚情報再現のための双方向モーションコントロール(Bilateral Motion Control for Reproduction of Real World Force Sensation based on the Environmental Model)」、電気学会 産業応用部門誌(IEEJ Transactions on Industry Applications)、第126-D巻第8号(Vol.126-D,No.8)、pp.1059-1068、2006年8月(August,2006)

【非特許文献2】桂 誠一郎,松本 雄一,大西 公平(S.Katsura,Y.Matsumoto,K.Ohnishi)、「マルチラテラル制御による「作用・反作用の法則」の実現(Realization of "Law of Action and Reaction" by Multilateral Control)」、米国電気電子学会 産業電子工学論文誌(IEEE Transactions on Industrial Electronics)、第52巻第5号(Vol.52,No.5)、pp.1196-1205、2005年10月(October,2005)

【非特許文献3】エイ.サバノヴィチ(A.Sabanovic)「パワーエレクトロニクスおよびモーション制御システムにおけるスライディングモード(Sliding Modes in Power Electronics and Motion Control Systems),米国電気電子学会 第29回産業電子工学学会年次会議論文(Proceedings of the 29th IEEE Annual Conference of the IEEE Industrial Electronics Society)、IECON 2003年-ロアノーク(IECON’03-ROANOKE)、pp.997-1002、2003年11月(November,2003)

【非特許文献4】富塚 誠義(M.Tomizuka)「現代メカトロニックシステム工学における各センサ(Sensors in the Engineering of Modern MechatronicSystems)」、第三回メカトロニックシステムシンポジウム論文(Proceedings of the 3rd IFAC Symposium on MechatronicSystems)、メカトロニクス2004年-シドニー(MECHATRONICS’04-SYDNEY)、pp.19-24、2004年9月(September, 2004)

【非特許文献5】大石 潔,大西 公平,宮地 邦夫(K.Ohishi,K.Ohnishi,K.Miyachi)、「負荷トルク推定に基づくDCモータのトルク-速度調整(Torque-Speed Regulation of DC Motor Based on Load Torque Estimation)」、電気学会 パワーエレクトロ二クス国際会議論文(Proceedings of the IEEJ International Power Electronics Conference,パワーエレクトロ二クス国際会議-東京(IPEC-TOKYO),第2巻(Vol.2),pp.1209-1216,1983年3月(March,1983)

【非特許文献6】大西 公平,柴田 昌明,村上 俊之(K.Ohnishi,M.Shibata,T.Murakami)、「高性能メカトロニクス用モーション制御(Motion Control for Advanced Mechatronics)」、米国電気電子学会/米国機械学会メカトロニクス論文誌(IEEE/ASME Transactions on Mechatronics)、第1巻(Vol.1)、第1号(No.1)、pp.56-67、1996年3月(March,1996)

【非特許文献7】村上 俊之,郁 方銘,大西 公平(T.Murakami,F.Yu,K.Ohnishi)、「多自由度マニピュレータにおけるトルクセンサレス制御(Torque Sensorless Control in Multidegree-of-freedom Manipulator)」,米国電気電子学会 産業電子工学論文誌(IEEE Transactions on Industrial Electronics)、第40巻第2号(Vol.40,No.2)、pp.259-265、1993年4月(April,1993)

【非特許文献8】エム.バートルッツォ,ジー.エス.ブージャ,イー.スタンパッチア(M.Bertoluzzo,G.S.Buja,E.Stampacchia)、「高帯域幅トルク外乱補償器の性能解析(Performance Analysis of a High-Bandwidth Torque Disturbance Compensator)」、米国電気電子学会/米国機械学会メカトロニクス論文誌(IEEE/ASME Transactions on Mechatronics)、第9巻(Vol.9)、第4号(No.4)、pp.653-660、2004年12月(December,2004)

【非特許文献9】水落 麻里子,辻 俊明,大西 公平(M.Mizuochi,T.Tsuji,K.Ohnishi)「加速度制御システムに対するマルチレートサンプリング方法(Multirate Sampling Method for Acceleration Control System)」、米国電気電子学会 産業電子工学論文誌(IEEE Transactions on Industrial Electronics、第54巻(Vol.54)、第3号(No.3)、pp.1462-1471、2007年6月(June,2007)

【非特許文献10】入江 航平,桂 誠一郎,大石 潔(K. Irie, S. Katsura, K. Ohishi)、「複数センサに基づいた外乱オブザーバによる高度モーションコントロール(Advanced Motion Control by Multi-Sensor based Disturbance Observer)、電気学会 電気電子工学論文誌(IEEJ Transactions on Electrical and Electronic Engineering)、第1巻(Vol.1)、第1号(No.1)、pp.112-115、2006年5月(May,2006)

産業上の利用分野


本発明は、触覚情報に基づき環境の材質または品質を抽出し得る触覚の解析方法および触覚の解析装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
環境との接触動作に応じて作動するアクチュエータを備え、
前記アクチュエータは、1台以上のマスターシステムおよび2台以上のスレーブシステムをネットワークで接続してなり、前記環境との接触動作における作用力を前記マスターシステムで受けると、この作用力に伴う反作用力を、前記ネットワークを介して前記スレーブシステムで生成するようになっており、
ある時間にどのような反作用力が生じているのかを、前記環境との接触動作により生じた時系列な力の触覚情報として取得し、
前記取得した前記触覚情報を時間領域で解析処理して、前記触覚情報に含まれる時間と力との関係を、周波数と振幅との関係を示す周波数分析データに変換し、
この周波数分析データから前記環境の材質または品質を抽出することを特徴とする触覚の視覚的解析方法。

【請求項2】
前記周波数分析データから、前記抽出した環境の材質または品質を視覚的に表現させることを特徴とする請求項1記載の触覚の解析方法。

【請求項3】
前記アクチュエータから抽出した力によって、前記触覚情報を取得することを特徴とする請求項1または2記載の触覚の解析方法。

【請求項4】
前記アクチュエータが制御手段により制御されているシステムから抽出した力によって、前記触覚情報を取得することを特徴とする請求項1または2記載の触覚の解析方法。

【請求項5】
前記アクチュエータからの力が、位置センサ,速度センサ,加速度センサ,電流センサ,力センサ,トルクセンサ,または歪みゲージを用いて抽出されることを特徴とする請求項3または4記載の触覚の解析方法。

【請求項6】
前記アクチュエータからの力が、外乱オブザーバにより抽出されることを特徴とする請求項3または4記載の触覚の解析方法。

【請求項7】
前記周波数分析データと前記環境の材質または品質とを関連付けた関連付けデータを、当該環境の材質毎または品質毎に記憶手段に記憶させることを特徴とする請求項1~6の何れか一つに記載の触覚の解析方法。

【請求項8】
前記解析処理が行なわれると、この比較対象となる周波数分析データと前記記憶手段から読み出される関連付けデータの周波数分析データとを比較し、前記比較対象となる周波数分析データに一致または類似する前記環境の材質または品質を、前記関連付けデータから特定することを特徴とする請求項7記載の触覚の解析方法。

【請求項9】
前記取得した触覚情報をフーリエ変換またはウェーブレット変換またはコサイン変換により時間領域で解析処理することを特徴とする請求項1~8の何れか一つに記載の触覚の解析方法。

【請求項10】
前記周波数分析データを位置領域で解析処理し、
この位置領域の解析処理が、有限要素法により行なわれ、離散的な各位置の前記周波数分析データを連続して補間する機能を有することを特徴とする請求項1~9の何れか一つに記載の触覚の解析方法。

【請求項11】
前記記憶手段に記憶される関連付けデータから、前記周波数分析データを検索対象として前記環境の材質または品質を特定する逆引き機能を備えたことを特徴とする請求項記載の触覚の解析方法。

【請求項12】
環境との接触動作に応じて作動するアクチュエータを備え、
前記アクチュエータは、1台以上のマスターシステムおよび2台以上のスレーブシステムをネットワークで接続してなり、前記環境との接触動作における作用力を前記マスターシステムで受けると、この作用力に伴う反作用力を、前記ネットワークを介して前記スレーブシステムで生成する構成を有し、
ある時間にどのような反作用力が生じているのかを、前記環境との接触動作により生じた時系列な力の触覚情報として取得する入力手段と、
前記取得した前記触覚情報を時間領域で解析処理して、前記触覚情報に含まれる時間と力との関係を、周波数と振幅との関係を示す周波数分析データに変換する処理手段と、
この周波数分析データから前記環境の材質または品質を抽出する抽出手段と、を備えたことを特徴とする触覚の解析装置。

【請求項13】
前記処理手段は、前記周波数分析データから、前記抽出した環境の材質または品質を視覚的に表現させるものであることを特徴とする請求項12記載の触覚の解析装置。

【請求項14】
前記アクチュエータから抽出した力によって、前記触覚情報を取得する構成としたことを特徴とする請求項12または13記載の触覚の解析装置。

【請求項15】
前記アクチュエータが制御手段により制御されているシステムから抽出した力によって、前記触覚情報を取得する構成としたことを特徴とする請求項12または13記載の触覚の解析装置。

【請求項16】
前記アクチュエータからの力を、位置センサ,速度センサ,加速度センサ,電流センサ,力センサ,トルクセンサ,または歪みゲージを用いて抽出する構成としたことを特徴とする請求項14または15記載の触覚の解析装置。

【請求項17】
前記アクチュエータからの力を抽出する外乱オブザーバを備えたことを特徴とする請求項14または15記載の触覚の解析装置。

【請求項18】
前記周波数分析データと前記環境の材質または品質とを関連付けた関連付けデータを、当該環境の材質毎または品質毎に記憶手段に記憶させる構成としたことを特徴とする請求項12~17の何れか一つに触覚の解析装置。

【請求項19】
前記解析処理が行なわれると、この比較対象となる周波数分析データと前記記憶手段から読み出される関連付けデータの周波数分析データとを比較し、前記比較対象となる周波数分析データに一致または類似する前記環境の材質または品質を、前記関連付けデータから特定する判別手段をさらに備えたことを特徴とする請求項18記載の触覚の解析装置。

【請求項20】
前記処理手段は、前記取得した触覚情報をフーリエ変換またはウェーブレット変換またはコサイン変換により時間領域で解析処理するものであることを特徴とする請求項12~19の何れか一つに記載の触覚の解析装置。

【請求項21】
前記処理手段は、前記周波数分析データを位置領域で解析処理するものであり、
この位置領域の解析処理が、有限要素法により行なわれ、離散的な各位置の前記周波数分析データを連続して補間する機能を有することを特徴とする請求項12~2の何れか一つに記載の触覚の解析装置。

【請求項22】
前記記憶手段に記憶される関連付けデータから、前記周波数分析データを検索対象として前記環境の材質または品質を特定する逆引き手段を備えたことを特徴とする請求項18記載の触覚の解析装置。
産業区分
  • 測定
  • 工業用ロボット
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
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