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熱電変換材料 コモンズ

国内特許コード P110005659
掲載日 2011年8月18日
出願番号 特願2008-506162
登録番号 特許第5303721号
出願日 平成18年11月30日(2006.11.30)
登録日 平成25年7月5日(2013.7.5)
国際出願番号 JP2006323903
国際公開番号 WO2007108176
国際出願日 平成18年11月30日(2006.11.30)
国際公開日 平成19年9月27日(2007.9.27)
優先権データ
  • 特願2006-074297 (2006.3.17) JP
発明者
  • 西野 洋一
  • 井手 直樹
  • 宮下 亜紀
出願人
  • 国立大学法人 名古屋工業大学
発明の名称 熱電変換材料 コモンズ
発明の概要

熱電変換効率が高く、製造コストの低廉化が可能であり、環境汚染のおそれも少ない熱電変換材料を提供する。
ホイスラー合金型の結晶構造をもち、化学式当たりの総価電子数が24であるFeVAlの基本構造に対して、Fe、V及びAlの少なくとも2元素の少なくとも一部が他の元素で置換されている。置換する元素及び置換量を選択して化学式あたりの総価電子数が調整されることによって、p型又はn型になるように制御されている。

従来技術、競合技術の概要


従来、熱エネルギーと電気エネルギーとの相互変換が可能な熱電変換素子が知られている。この熱電変換素子は、p型及びn型の二種類の熱電変換材料から構成されており、この二種類の熱電変換材料を電気的に直列に接続し、熱的に並列に配置した構成とされている。この熱電変換素子は、両端子間に電圧を印加すれば、正孔の移動及び電子の移動が起こり、両面間に温度差が発生する(ペルチェ効果)。また、この熱電変換素子は、両面間に温度差を与えれば、やはり正孔の移動及び電子の移動が起こり、両端子間に起電力が発生する(ゼーべック効果)。このため、熱電変換素子を冷蔵庫やカーエアコン等の冷却用の素子として用いたり、ごみ焼却炉等から生ずる廃熱を利用した発電装置用の素子として用いたりすることが検討されている。



従来、この熱電変換素子を構成する熱電変換材料として、金属間化合物からなるものが知られている。その中でもBiTeを主成分とした熱電変換材料は、大きなゼーべック係数と大きな性能指数とを有しており、比較的効率よく熱電変換を行うことができることから、特によく用いられている。また、金属間化合物以外の熱電変換材料として、複合酸化物系の熱電変換材料も開発されている(特許文献1)。この熱電変換材料は、比較的高温となる温度範囲で熱電変換を行うことができるという利点を有している。



しかし、上記従来の熱電変換材料のうち、BiTeを主成分とした熱電変換材料は、脆くて加工し難い性質を有しており、熱間圧延等の加工法を採用することができない。このため、この熱電変換材料を用いて熱電変換素子を製造する場合には、BiTeの多結晶のインゴットを製造した後、これを切断するという方法が行われている。このため、切断のための削り代が必要になるとともに、切断時においてインゴットが割れやすいことから、熱電変換素子を製造する場合の歩留まりが非常に悪い。また、Teは高価な金属であるため、Teを原料とする上記熱電変換材料も高価になってしまう。こうして、この熱電変換材料では、熱電変換素子の製造コストの高騰化を招来する。また、BiやTeは毒性が強く、性能向上のためには毒性元素であるSeを添加する必要がある。このため、BiTeを主成分とした熱電変換材料は、環境汚染のおそれがある。さらに、Teは希少金属であるため、BiTeを熱電変換材料として大量かつ安定に市場ヘ供給することは困難と考えられる。



この点、特許文献1に記載された複合酸化物系の熱電変換材料は、Te等の希少金属を使用しておらず、市場へ大量かつ安定に供給することが可能である。また、この熱電変換材料は、原料として安価な汎用性金属を原料とするため、製造コストの低廉化が可能である。さらに、この熱電変換材料には毒性の強い成分は含まれておらず、環境汚染のおそれも少ない。



しかしながら、複合酸化物系の熱電変換材料は、BiTeを主成分とした熱電変換材料と同様、脆くて加工が困難であるという性質を有する。このため、複合酸化物系の熱電変換材料を用いて熱電変換素子を製造した場合、やはり切断のための削り代が必要になるとともに、切断時においてインゴットが割れやすく、歩留まりが非常に悪く、熱電変換素子の製造コストの高騰化を招来する。また、複合酸化物系の熱電変換材料は、BiTeよりもゼーべック係数の絶対値が小さく、性能指数も小さく、室温近傍での熱電変換効率が低い。



発明者らは、鋭意研究を行い、以下の考察を経て本発明を完成するに至った。すなわち、発明者らの試験結果によれば、ホイスラー合金型の結晶構造を有する化合物の中には、金属であるにもかかわらず半導体的性質を示すものがある。例えば、FeVAlは、2Kでの電気抵抗率が約30μΩmにも達しており、通常の金属と異なり、半導体的な負の温度依存性を示す。一方、高分解能光電子分光測定によれば、この化合物にはフェルミ準位に半導体型のエネルギーギャップが認められず、明瞭なフェルミ端が観測される。これらのことから、この化合物は金属的あるいは半金属的なバンド構造を有していることが判る。発明者らは、このホイスラー合金型の結晶構造を有する化合物のバンド計算を行った。この結果、この化合物の化学式当たりの総価電子数が24である場合、この化合物がフェルミ準位に鋭い擬ギャップをもつ半金属になることを明らかにした。



そして、発明者らは、ホイスラー合金型の結晶構造を有する化合物であって、化学式当たりの総価電子数が24の化合物であるFeVAl等について、ホール効果の測定も行った。この結果、この化合物はキャリア数がSbのような半金属と同程度に低いことを確認し、その擬ギャップの存在を予測した。このような擬ギャップを有する化合物は、フェルミ準位近傍の状態密度の傾きが急峻である。このため、化学式当たりの総価電子数が24であるホイスラー合金型の化合物の化学組成比を調整し、フェルミ準位を擬ギャップの中心からシフトさせれば、その化合物のゼーべック係数の絶対値及び符号を変化させることができると推測した。また、化学式当たりの総価電子数が24であるホイスラー合金型の化合物の構成元素の少なくとも一部を他の元素つまり第4元素、第5元素等で置換し、フェルミ準位を擬ギャップの中心からシフトさせれば、その化合物のゼーべック係数の絶対値及び符号を変化させることができるとも推測した。さらに、化学式当たりの総価電子数が24であるホイスラー合金型の化合物の化学組成比を調整するとともに、構成元素の少なくとも一部を他の元素で置換し、フェルミ準位を擬ギャップの中心からシフトさせれば、その化合物のゼーべック係数の絶対値及び符号を変化させることができるとも推測した。そして、そのような化合物は、その機構から、熱エネルギーの寄与が少ない低温で熱電変換効率が高いことを確認した。特に、これらの化合物は、常温付近及び常温以下で熱電変換材料としての特性に優れていることを確認した。以上の確認の下、発明者らは特許文献2のPCT出願を行った。



発明者らはさらに研究を進め、置換する元素によって、熱電変換材料が電子を多数キャリアとするn型や正孔を多数キャリアとするp型になることを実証するとともに、置換する元素の原子量の大きさによって熱伝導率を低下させることが可能であり、また粉体又は結晶粒の集合体が熱電変換材料である場合の粉体又は結晶粒の粒径によって熱伝導率を低下させることが可能であり、これらによって熱電変換材料の熱電変換効率を向上できることを実証した。以上の確認の下、発明者らは特許文献3の出願を行った。




【特許文献1】特開平9-321346号公報

【特許文献2】WO03/019681公報

【特許文献3】特開2004-253618号公報

産業上の利用分野


本発明は熱電変換材料に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
ホイスラー合金型の結晶構造をもち、化学式当たりの総価電子数が24であるFe2VAlの基本構造に対し、化学組成比の調整量を調整すること並びに/又は元素Fe、V及びAlの少なくとも1元素の少なくとも一部を他の元素で置換することによって化学式当たりの総価電子数が24未満、23.5以上になるようにしてp型又は24を超え、24.5以下になるようにしてn型に制御された熱電変換材料において、
Fe、V及びAlの1種の一部が他の2種の元素X、Yで置換されるか、又はFe、V及びAlの2種の各一部が他の2種の元素X、Yで置換され、
前記他の2種の元素X、Yの少なくとも一方は熱伝導率低減のために置換される元素より大きな原子量を有し、前記他の2種の元素X、Yの少なくとも一方は前記総価電子数を制御し、
前記元素X、Yは、Vの一部を置換する前記元素Xが周期表における第4~6周期の4族からなる群から選ばれ、かつVの一部を置換する前記元素Yが周期表における第5~6周期の5族からなる群から選ばれるか、
Feの一部を置換する前記元素Xが周期表における第4~6周期の9族からなる群から選ばれ、かつVの一部を置換する前記元素Yが周期表における第4~6周期の4族及び第5~6周期の5族からなる群から選ばれるか、
Feの一部を置換する前記元素Xが周期表における第5~6周期の8族からなる群から選ばれ、かつAlの一部を置換する元素Yが周期表における第3~6周期の14族からなる群から選ばれるか、又は
Vの一部を置換する前記元素Xが周期表における第4~6周期の4族及び第5~6周期の5族からなる群から選ばれ、かつAlの一部を置換する前記元素Yが周期表における第3~6周期の14族からなる群から選ばれていることを特徴とする熱電変換材料。

【請求項2】
Vの一部を置換する前記元素XはTiであり、Vの一部を置換する前記元素YはTaである請求項記載の熱電変換材料。

【請求項3】
Feの一部を置換する前記元素XはIrであり、Vの一部を置換する前記元素YはTiである請求項記載の熱電変換材料。

【請求項4】
Feの一部を置換する前記元素XはRuであり、Alの一部を置換する前記元素YはSiである請求項記載の熱電変換材料。

【請求項5】
Vの一部を置換する前記元素XはTiであり、Alの一部を置換する前記元素YはGeである請求項記載の熱電変換材料。

【請求項6】
Vの一部を置換する前記元素XはTaであり、Alの一部を置換する前記元素YはGeである請求項記載の熱電変換材料。
産業区分
  • 固体素子
  • 冶金、熱処理
  • 合金
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2008506162thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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