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コイルの交流抵抗計算方法 コモンズ

国内特許コード P110005673
整理番号 NI0900085
掲載日 2011年8月19日
出願番号 特願2011-053697
公開番号 特開2012-191022
登録番号 特許第5957748号
出願日 平成23年3月11日(2011.3.11)
公開日 平成24年10月4日(2012.10.4)
登録日 平成28年7月1日(2016.7.1)
発明者
  • 水野 勉
出願人
  • 国立大学法人信州大学
発明の名称 コイルの交流抵抗計算方法 コモンズ
発明の概要 【課題】コイルの交流抵抗を精度良く、短時間で計算することができるコイルの交流抵抗計算方法を提供する。
【解決手段】コイルの交流抵抗計算方法は、データ入力ステップS1と、N回巻きのコイルの線材の直流抵抗Rdcを算出する直流抵抗算出ステップS2と、線材の表皮効果に起因する抵抗Rsを算出する表皮効果抵抗算出ステップS3と、N回巻きのコイルがN個の1回巻きのコイルであるものとして、1回巻きのコイルの線材に、他の(N-1)個の1回巻きのコイルから作用する磁界の強さHnを算出する磁界強度算出ステップS4と、磁界の強さHnに基づいて線材の渦電流損Peを算出する渦電流損算出ステップS5と、渦電流損Peに基づいて線材の近接効果に起因する抵抗Rpを算出する近接効果抵抗算出ステップS6と、直流抵抗Rdc、抵抗Rs、抵抗Rpの総和を算出してコイルの交流抵抗Rとする交流抵抗算出ステップS7とを含む方法である。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


近年新しいワイヤレス電力伝送方式として、2006年にMIT(Massachusetts Institute of Technology)からWiTricity(Wireless Electricityの造語)という非放射型の電磁界共振結合(電磁共鳴)技術が発表された。これは共鳴法により高周波で電力を給電する技術であり、二つのコイル間において、距離1mで効率約90%、また、距離2mで効率約45~50%かつ60Wをワイヤレスで電力伝送できることが示された(非特許文献1参照)。



この技術を利用して、車両外部の電源からワイヤレスで充電電力を受電し、車載の蓄電装置を充電する電動車両の発明が特許文献1に開示されている。同文献中の図1に示されるように、地下に配された給電装置200の一次自己共振コイル240と、電動車両100に配された二次自己共振コイル110とが磁場の共鳴により磁気的に結合され、一次自己共振コイル240から二次自己共振コイル110に非接触で高周波電力が給電可能に構成されている。また、この給電装置200の一次自己共振コイル240には、高周波電力ドライバ220に繋がる一次コイル230から電磁誘導によって非接触で高周波電力が送られる。また、電動車両100の二次自己共振コイル110から二次コイル120に電磁誘導によって非接触で高周波電力が送られる。



このように使用されるこれらコイルには、一般的に銅線が用いられている。銅線のコイルは、高周波では、表皮効果および線間近接効果により交流抵抗が増加するためにQ値が低下する。このQ値の低下は、長距離、高効率の電力伝送の障害要因となるため、高周波におけるコイルのQ値の向上が望まれている。



また従来から、いわゆるRFID(Radio Frequency IDentification)と称される個体管理を行うシステムが各種業界で注目されている。このRFIDシステムは、トランスポンダと称されて、各種データを記憶するとともに通信機能を有する小型の非接触型集積回路(Integrated Circuit;以下、ICという。)デバイスと、リーダ/ライタとの間で無線通信を行うことにより、トランスポンダに対して非接触でデータの読み出しや書き込みを行うシステムである。このRFIDシステムは、例えば、トランスポンダをICタグとして構成し、このICタグを商品に取り付けることによって生産・物流管理を行う用途の他、トランスポンダをICカードとして構成し、交通機関の料金徴収や身分証明書、さらには電子マネーといった様々な用途への適用が期待されている。



トランスポンダには、パッシブタイプと称される、リーダ/ライタの発信する高周波の電力をエネルギー源として作動するタイプのものがある。このようなパッシブタイプのトランスポンダは、例えば特許文献2に開示されているような平面内で渦巻状に巻回されたアンテナコイルを有している。このようなトランスポンダのアンテナコイルがリーダ/ライタのアンテナコイルと磁束結合して、電磁誘導によってトランスポンダに電力が給電される。トランスポンダとリーダ/ライタとの通信距離を長くするためには、トランスポンダが、リーダ/ライタから送電される高周波電力を高効率で受電する必要がある。そのため、前述した電動車両等のコイルと同様に、高周波におけるアンテナコイル(コイル)のQ値の向上が望まれている。



コイルのQ値を向上させるためには、コイルの交流抵抗を小さくする必要がある。この交流抵抗をコイルの設計時に計算することができれば、高いQ値のコイルの設計に役立つ。しかしながら、コイルの表皮効果および近接効果を考慮した交流抵抗の計算方法は確立されていない。有限要素法(FEM)による磁界解析によってコイルの交流抵抗を求めることができるが、計算に長時間を要する。

産業上の利用分野


本発明は、コイルの交流抵抗を精度よく計算することができるコイルの交流抵抗計算方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
N回巻きのコイルの線材の直流抵抗Rdcを算出する直流抵抗算出ステップと、
該線材の表皮効果に起因する抵抗Rsを算出する表皮効果抵抗算出ステップと、
該N回巻きのコイルがN個の1回巻きのコイルであるものとして、該1回巻きのコイルの該線材に、他の(N-1)個の該1回巻きのコイルから作用する磁界の強さHnを算出する磁界強度算出ステップと、
該磁界の強さHnに基づいて該線材の渦電流損Peを算出する渦電流損算出ステップと、
渦電流損Peに基づいて該線材の近接効果に起因する抵抗Rpを算出する近接効果抵抗算出ステップと、
該直流抵抗Rdc、該抵抗Rs、該抵抗Rpの総和を算出してコイルの交流抵抗Rとする交流抵抗算出ステップとを含み、
前記線材が導線である場合のコイルの交流抵抗計算方法であって、
前記直流抵抗算出ステップでは、下記(1)式により前記直流抵抗Rdcを算出し、
【数1】


(式中、ρ1:導線の抵抗率(Ωm),r1:導線の半径(m),l:導線の長さ(m)である)
前記表皮効果抵抗算出ステップでは、下記(2)式により前記抵抗Rsを算出し、
【数2】


(式中、ω:コイルを使用する交流の角周波数(rad/s),μ1:導線の透磁率(H/m),Jn:第一種n次ベッセル関数である)
前記磁界強度算出ステップでは、前記1回巻きのコイルの番号を1からm(mは1からNの正数)としたときに、下記(3)式により前記磁界の強さHnを算出し、
【数3】


(式中、Ic:コイルの励振電流(A),rm,zm:磁界を生ずるコイル番号mの座標(m),rn,zn:任意の点nの座標(m),K:第1種完全楕円積分関数,E:第2種完全楕円積分関数,N:コイルの巻数(回)である)
前記渦電流損算出ステップでは、下記(4)式により前記渦電流損Peを算出し、
【数4】


(式中、μ0:真空透磁率(H/m),μ1:導線の透磁率(H/m),ρ1:導線の抵抗率(Ωm),r1:導線の半径(m),κ1:式(2)中で求めた値,Jn:第一種n次ベッセル関数,:共役複素数である)
前記近接効果抵抗算出ステップでは、下記(5)式により前記抵抗Rpを算出し、
【数5】


(式中、Ic:電流(A),rn:任意の点nの座標(m)である)
前記交流抵抗算出ステップでは、下記(6)式
【数6】


により前記交流抵抗Rを算出することを特徴とするコイルの交流抵抗算出方法。

【請求項2】
N回巻きのコイルの線材の直流抵抗Rdcを算出する直流抵抗算出ステップと、
該線材の表皮効果に起因する抵抗Rsを算出する表皮効果抵抗算出ステップと、
該N回巻きのコイルがN個の1回巻きのコイルであるものとして、該1回巻きのコイルの該線材に、他の(N-1)個の該1回巻きのコイルから作用する磁界の強さHnを算出する磁界強度算出ステップと、
該磁界の強さHnに基づいて該線材の渦電流損Peを算出する渦電流損算出ステップと、
渦電流損Peに基づいて該線材の近接効果に起因する抵抗Rpを算出する近接効果抵抗算出ステップと、
該直流抵抗Rdc、該抵抗Rs、該抵抗Rpの総和を算出してコイルの交流抵抗Rとする交流抵抗算出ステップとを含み、
前記線材が、磁性薄膜を表面に有する導線である場合のコイルの交流抵抗計算方法であって、
前記直流抵抗算出ステップでは、下記(7)式により前記直流抵抗Rdcを算出し、
【数7】


(式中、ρ1:導線の抵抗率(Ωm),ρ2:磁性薄膜の抵抗率(Ωm),r1:導線の半径(m),r2:磁性薄膜を含めた線材の半径(m),l:導線の長さ(m)である)
前記表皮効果抵抗算出ステップでは、下記(8)式により前記抵抗Rsを算出し、
【数8】


(式中、ω:コイルを使用する交流の角周波数(rad/s),μ0:真空透磁率(H/m),μ1:導線の透磁率(H/m),μ2:磁性薄膜の透磁率(H/m),Jn:第一種n次ベッセル関数,Kn:第二種n次変形ベッセル関数,ρ2:磁性薄膜の抵抗率(Ωm),r1:導線の半径(m),r2:磁性薄膜を含めた線材の半径(m),Ic:コイルの励振電流(A)である)
前記磁界強度算出ステップでは、前記1回巻きの各コイルの番号を1からm(mは1からNの整数)としたときに、下記(9)式により前記磁界の強さHnを算出し、
【数9】


(式中、Ic:コイルの励振電流(A),rm,zm:磁界を生ずるコイル番号mの座標(m),rn,zn:任意の点nの座標(m),K:第1種完全楕円積分関数,E:第2種完全楕円積分関数,N:コイルの巻数(回)である)
前記渦電流損算出ステップでは、下記(10)式により前記渦電流損Peを算出し、
【数10】


(式中、ρ1:導線の抵抗率(Ωm),ρ2:磁性薄膜の抵抗率(Ωm),μ0:真空の透磁率(H/m),μ1:導線の透磁率(H/m),μ2:磁性薄膜の透磁率(H/m),r1:導線の半径(m),r2:磁性薄膜を含めた線材の半径(m),κ1,κ2:(8)式中で求めた値,Jn:第一種n次ベッセル関数,Kn:第二種n次変形ベッセル関数,:共役複素数である)
前記近接効果抵抗算出ステップでは、下記(11)式により前記抵抗Rpを算出し、
【数11】


(式中、Ic:コイルの励振電流(A) ,rn:任意の点nの座標(m)である)
前記交流抵抗算出ステップでは、下記(12)式
【数12】


により前記交流抵抗Rを算出することを特徴とするコイルの交流抵抗算出方法。

【請求項3】
請求項1または2のコイルの交流抵抗算出方法でコンピュータを演算処理させることを特徴とするコイルの交流抵抗計算プログラム。

【請求項4】
請求項1または2のコイルの交流抵抗算出方法で演算処理することを特徴とするコイルの交流抵抗計算装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 登録
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