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高血圧のSNPマーカー、高血圧発症リスク判定方法、及び、高血圧感受性遺伝子欠損小動物の使用方法

国内特許コード P110005736
整理番号 S2010-0388-N0
掲載日 2011年9月5日
出願番号 特願2010-034415
公開番号 特開2011-167126
登録番号 特許第5757647号
出願日 平成22年2月19日(2010.2.19)
公開日 平成23年9月1日(2011.9.1)
登録日 平成27年6月12日(2015.6.12)
発明者
  • 田原 康玄
  • 小原 克彦
  • 三木 哲郎
  • 竹島 浩
出願人
  • 国立大学法人愛媛大学
発明の名称 高血圧のSNPマーカー、高血圧発症リスク判定方法、及び、高血圧感受性遺伝子欠損小動物の使用方法
発明の概要 【課題】高血圧発症のリスク判定に用いることができるSNPからなる遺伝子マーカー、及び、該SNPを用いた高血圧発症リスク判定方法の提供。
【解決手段】カチオン選択的イオンチャネルTRIC-A遺伝子のSNP(rs8101030)、SNP(rs4808521)、SNP(rs17796739)、及びSNP(rs901792)からなる群より選択されるSNPである高血圧の遺伝子マーカー、これらのSNPを用いた高血圧発症リスク判定方法、並びに、TRIC-A遺伝子欠損小動物を、高血圧病態モデルとして使用する遺伝子欠損小動物の使用方法。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


高血圧は、例えば、冠動脈疾患、脳卒中、慢性腎疾患等の主要な発症要因であり、高血圧の予防は、社会的・公衆衛生的に重要である。高血圧は、多くの要因によって発症が誘引される多因子疾患であり、これらの高血圧を誘引する要因を危険因子(リスクファクター)という。高血圧の危険因子は、主に環境要因と遺伝要因に大別されるが、これらの相互作用が重要な役割を果たすと考えられている。



危険因子のうち、環境要因としては、例えば、加齢、肥満、ストレス、塩分過剰摂取等が挙げられる。一方、遺伝要因としては、様々な高血圧感受性遺伝子が知られている。ここで、高血圧感受性遺伝子とは、前記遺伝子を保有することで高血圧を発症する危険率が上昇する遺伝子を意味する。つまり、高血圧感受性遺伝子を有するヒトは、高血圧感受性遺伝子を有さないヒトよりも高血圧に罹患し易いと判断される。そして、高血圧のような多因子疾患においては、その感受性遺伝子の多くは、一塩基多型(SNP)等の多型の対立遺伝子(アレル)であると考えられている。



これまで、遺伝子多型を含む高血圧感受性遺伝子としては、アンギオテンシノーゲン、α-アデューシン、β2アドレナリン受容体、グリコプロテインIa(GPIa)、ケモカイン受容体2(CCR2)、アポリポプロテインC(ApoC-III)、G-タンパク質β3サブユニット(GPβ3)、腫瘍壊死因子α(TNFα)、インスリン受容体サブストレート1(IRS-1)、グリコプロテインIbα(GPIbα)、C-タイプ・ナトリウム利尿ホルモン(CNP)、ヘム・オキシゲナーゼ1(HMOX-1)、SCNN1A等の各遺伝子が報告されている(例えば、特許文献1~4参照。)。さらに近年、CYP17遺伝子(rs6162)多型、EXOSC3遺伝子(rs7158)多型、ACCN1遺伝子(rs28933)多型、KCNMB4遺伝子(rs710652)多型、KCNIP2遺伝子(rs755381)多型、ATP2A3遺伝子(rs887387)多型、RAC2遺伝子(rs929023)多型、CD3EAP遺伝子(rs967591)多型、CALCR遺伝子(rs1042138)多型、ATP10D遺伝子(rs1058793)多型、GNA14遺伝子(rs1801258)多型、PTHR1遺伝子(rs1869872)多型、ATP2B1遺伝子(rs2070759)多型、HLA-DMB遺伝子(rs2071556)多型、SLC13A1遺伝子(rs2140516)多型、SLC2A11遺伝子(rs2236620)多型、GNAI2遺伝子(rs2236943)多型、CACNA2D2遺伝子(rs2236957)多型、PRKWNK1遺伝子(rs2255390)多型、SLC22A7遺伝子(rs2270860)多型、KCNN1遺伝子(rs2278993)多型、SLC21A6遺伝子(rs2291075)多型、CACNA1E遺伝子(rs2293990)多型、SLC26A8遺伝子(rs2295852)多型、ERCC1遺伝子(rs2298881)多型、DLGAP2遺伝子(rs2301963)多型、COL4A1遺伝子(rs2305080)多型、GUCA1C遺伝子(rs2715709)多型、ATP10C遺伝子(rs3736186)多型、HCN4遺伝子(rs3743496)多型、PTPRT遺伝子(rs3746539)多型、FGF2遺伝子(rs3747676)多型、CHGA遺伝子(rs3759717)多型、PPP1R1B遺伝子(rs3764352)多型、ADORA1遺伝子(rs3766554)多型、RGS19IP1遺伝子(rs3815715)多型、RGS20遺伝子(rs3816772)多型が高血圧感受性遺伝子多型として有望であると報告されている(例えば、特許文献5参照。)。



高血圧の治療は、高血圧により誘発される冠動脈疾患等の発症を防止するために、血圧を下げることを目的とする。治療方法は、主に、食生活等の生活習慣の改善による高血圧の危険因子の軽減と、降圧治療剤の投薬療法に大別される。通常は、各患者のリスクを判定し、その判定結果と実際の血圧とに基づいて、降圧目標や治療方法が決定される。例えば、まず、収縮期血圧/拡張期血圧が、140~159/90~99mmHgを軽症高血圧、160~179/100~109mmHgを中等症高血圧、≧180/≧110mmHgを重症高血圧と分類した後、血圧以外の危険因子を考慮してリスクが判定される。例えば、軽症高血圧であり、他に危険因子を有さない患者は低リスク群、軽症高血圧であり、幾つかの危険因子を有する患者は中等リスク群、軽症高血圧であっても、糖尿病等の危険性の高い危険因子を有する患者は高リスク群と判断される。通常、低リスク群や中等リスク群の場合には、まず、一定期間の生活習慣の修正を行い、その後血圧が十分に低下しない場合に投薬療法がなされるが、高リスク群の患者に対しては、一定期間の生活習慣の修正と平行して投薬療法がなされる。つまり、血圧が同程度であったとしても、必ずしも同じ治療方法ではなく、各患者のリスクに応じて治療方法が適宜選択されている。このため、高血圧発症のリスクを適正に評価することが極めて重要である。



大部分の危険因子は、それぞれ単独では必ずしも高血圧発症の引き金となるわけではない。特に、遺伝要因である高血圧感受性遺伝子の場合には、保有する複数の高血圧感受性遺伝子が互いに影響しあう結果、高血圧を発症すると考えられている。したがって、高血圧発症のリスク評価においては、保有する高血圧感受性遺伝子の数が多いほど、高リスク群と判断される。このため、できるだけ多くの高血圧感受性遺伝子の有無を調べることにより、より適正に高血圧発症のリスクを評価することができると考えられるが、高血圧感受性遺伝子は数多く報告されており、これらを全て検査することは、評価の迅速性及び経済性の観点から好ましくない。また、保有の有無と高血圧発症との相関性は高血圧感受性遺伝子ごとに異なるため、相関性が比較的低い高血圧感受性遺伝子をリスク評価の判断資料とした場合には、信頼性の高い評価を得ることはできない。



一方で、本発明者により、細胞内のカルシウムイオンの制御に関与するカチオン選択的イオンチャネルTRIC(trimeric intracellular cation)が報告されている(例えば、非特許文献1参照。)。TRICは、3つの膜貫通領域を持ち、ホモ三量体を形成する膜タンパク質である。主に興奮細胞に局在しているTRIC-Aと、ユビキタスに発現しているTRIC-Bとの2つのサブタイプがあり、TRIC-A欠損(ノックアウト)マウスは生存及び繁殖が可能であるのに対して、TRIC-B欠損マウスは新生児期致死であり、TRIC-AとTRIC-Bの同時欠損(ダブルノックアウト)マウスは、心不全による胎生期致死であることが報告されている。閉鎖微小空間である小胞体からのカルシウムイオンを放出すると、内腔側にマイナス荷電が蓄積されて、カルシウムイオン放出が抑制されると推察される。このため、数十ミリ秒間持続する生理的なカルシウムイオン放出が成立するためには、内腔側の荷電を中和するカウンターイオンが必須であると考えられている。胎生心不全となるTRIC-AとTRIC-Bチャネル同時欠損マウスの心筋細胞の異常から、TRICチャネルはカルシウムイオン放出と連動するカウンターイオンチャネルであると推論される。

産業上の利用分野


本発明は、高血圧発症のリスク判定に用いることができるSNPからなる遺伝子マーカー、該SNPを用いた高血圧発症リスク判定方法、及び高血圧感受性遺伝子を欠損させた小動物の使用方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
TRIC-A遺伝子のSNP(一塩基多型)を含むTRIC-A遺伝子のSNPからなり、
前記SNPが、SNP(rs8101030)、SNP(rs4808521)、SNP(rs17796739)、及びSNP(rs901792)からなる群より選択されることを特徴とする高血圧の遺伝子マーカー。

【請求項2】
遺伝子マーカーを用いて、高血圧発症リスクを判定する方法であって、
(a)ヒト個体から採取された核酸の、SNP(rs8101030)、SNP(rs4808521)、SNP(rs17796739)、及びSNP(rs901792)からなる群より選択される1以上をタイピングする工程と、
(b)前記工程(a)により得られたタイピング結果に基づき、前記ヒト個体の高血圧発症リスクを判定する工程と、
を有し、
前記工程(b)において、SNP(rs8101030)がAA型、CA型、CC型の順にリスクが高いと判定することを特徴とする高血圧発症リスク判定方法。

【請求項3】
遺伝子マーカーを用いて、高血圧発症リスクを判定する方法であって、
(a)ヒト個体から採取された核酸の、SNP(rs8101030)、SNP(rs4808521)、SNP(rs17796739)、及びSNP(rs901792)からなる群より選択される1以上をタイピングする工程と、
(b)前記工程(a)により得られたタイピング結果に基づき、前記ヒト個体の高血圧発症リスクを判定する工程と、
を有し、
前記工程(b)において、SNP(rs4808521)がGG型、GA型、AA型の順にリスクが高いと判定することを特徴とする高血圧発症リスク判定方法。

【請求項4】
遺伝子マーカーを用いて、高血圧発症リスクを判定する方法であって、
(a)ヒト個体から採取された核酸の、SNP(rs8101030)、SNP(rs4808521)、SNP(rs17796739)、及びSNP(rs901792)からなる群より選択される1以上をタイピングする工程と、
(b)前記工程(a)により得られたタイピング結果に基づき、前記ヒト個体の高血圧発症リスクを判定する工程と、
を有し、
前記工程(b)において、SNP(rs17796739)がTT型、TC型、CC型の順にリスクが高いと判定することを特徴とする高血圧発症リスク判定方法。

【請求項5】
遺伝子マーカーを用いて、高血圧発症リスクを判定する方法であって、
(a)ヒト個体から採取された核酸の、SNP(rs8101030)、SNP(rs4808521)、SNP(rs17796739)、及びSNP(rs901792)からなる群より選択される1以上をタイピングする工程と、
(b)前記工程(a)により得られたタイピング結果に基づき、前記ヒト個体の高血圧発症リスクを判定する工程と、
を有し、
前記工程(b)において、SNP(rs901792)がCC型、TC型、TT型の順にリスクが高いと判定することを特徴とする高血圧発症リスク判定方法。

【請求項6】
下記の(a)、(b)、(d)、又は(e)の塩基配列を有し、SNP(rs8101030)を検出するためのプライマー又はプローブとして用いることができることを特徴とする高血圧発症リスク判定用ポリヌクレオチド。
(a)配列番号1で表される塩基配列、又は配列番号1で表される塩基配列のSNP(rs8101030)を含む15~60塩基長の部分配列である塩基配列。
(b)前記(a)の塩基配列と相補的な塩基配列。
(d)配列番号2で表される塩基配列、又は配列番号2で表される塩基配列のSNP(rs8101030)を含む15~60塩基長の部分配列である塩基配列。
(e)前記(d)の塩基配列と相補的な塩基配列。

【請求項7】
下記の(a)、(b)、(d)、又は(e)の塩基配列を有し、SNP(rs4808521)を検出するためのプライマー又はプローブとして用いることができることを特徴とする高血圧発症リスク判定用ポリヌクレオチド。
(a)配列番号3で表される塩基配列、又は配列番号3で表される塩基配列のSNP(rs4808521)を含む15~60塩基長の部分配列である塩基配列。
(b)前記(a)の塩基配列と相補的な塩基配列。
(d)配列番号4で表される塩基配列、又は配列番号4で表される塩基配列のSNP(rs4808521)を含む15~60塩基長の部分配列である塩基配列。
(e)前記(d)の塩基配列と相補的な塩基配列。

【請求項8】
下記の(a)、(b)、(d)、又は(e)の塩基配列を有し、SNP(rs17796739)を検出するためのプライマー又はプローブとして用いることができることを特徴とする高血圧発症リスク判定用ポリヌクレオチド。
(a)配列番号5で表される塩基配列、又は配列番号5で表される塩基配列のSNP(rs17796739)を含む15~60塩基長の部分配列である塩基配列。
(b)前記(a)の塩基配列と相補的な塩基配列。
(d)配列番号6で表される塩基配列、又は配列番号6で表される塩基配列のSNP(rs17796739)を含む15~60塩基長の部分配列である塩基配列。
(e)前記(d)の塩基配列と相補的な塩基配列。

【請求項9】
下記の(a)、(b)、(d)、又は(e)の塩基配列を有し、SNP(rs901792)を検出するためのプライマー又はプローブとして用いることができることを特徴とする高血圧発症リスク判定用ポリヌクレオチド。
(a)配列番号7で表される塩基配列、又は配列番号7で表される塩基配列のSNP(rs901792)を含む15~60塩基長の部分配列である塩基配列。
(b)前記(a)の塩基配列と相補的な塩基配列。
(d)配列番号8で表される塩基配列、又は配列番号8で表される塩基配列のSNP(rs901792)を含む15~60塩基長の部分配列である塩基配列。
(e)前記(d)の塩基配列と相補的な塩基配列。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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