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癌転移の検出方法および検出用キット

国内特許コード P110005738
整理番号 S2010-0357-N0
掲載日 2011年9月6日
出願番号 特願2010-036515
公開番号 特開2011-169873
登録番号 特許第5610125号
出願日 平成22年2月22日(2010.2.22)
公開日 平成23年9月1日(2011.9.1)
登録日 平成26年9月12日(2014.9.12)
発明者
  • 平川 宏
  • 柴田 健一郎
  • 大園 恵都子
出願人
  • 国立大学法人 長崎大学
発明の名称 癌転移の検出方法および検出用キット
発明の概要 【課題】迅速で、簡便な癌の転移の検出方法を提供すること。
【解決手段】癌腫の患者から生体外へ分離された組織の可溶化物中に、該癌腫に発現する抗原が含まれるか否かを、該抗原に特異的な抗体を用いたドットブロット解析により評価すること、及び該組織の可溶化物中に、正常組織の可溶化物中に含まれる該抗原の量を上回る量の該抗原が検出された場合に、癌腫細胞の該組織への転移が存在する可能性があると判定することを含む、癌腫の転移の検出方法。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要



現在、乳癌の治療方法においては、大きくわけて乳房(全)切除手術と、乳房温存手術がある。前者は、しこり(癌)部位と周辺組織、さらに腋下のリンパ節群切除(リンパ節郭清)も行う。この方法では、手術後にリンパ節がなくなることに伴い、体液循環がスムーズにいかなくなり、リンパ液によるうっ帯や浮腫がみられたり、ひどい場合は、腕の稼働範囲が狭くなることが報告されている。





一方、乳房温存手術は、しこり部位を中心として摘出を行う手術方法である。最近では、HER2(human epidermal growth factor receptor type 2)などのマーカーを用いた遺伝子診断も行われて、転移能が低い又は転移していないと判断された場合は乳房温存手術を選択することが多い。





現在、転移を診断する方法として、センチネルリンパ節診断が行われ始めている。センチネルリンパ節とは、最も癌に近いと考えられるリンパ節であり、癌からのリンパ流を最初に受けるリンパ節である。癌の転移が起きる場合、センチネルリンパ節に最初の転移が起きると考えられている。センチネルリンパ節は、放射性物質や染色などによって、しこり部位からリンパ液がどのように流れているかを測定し、最も早く到達したリンパ節として判断される。センチネルリンパ節において、癌の転移を観察し、それによって転移の有無を診断し、乳房を温存するかしないかを決定する。





また、乳癌に限らず、リンパ節への癌転移の判定が容易にできれば、手術の範囲(リンパ節郭清の程度)を決定する材料として有用な情報となる可能性もある。





センチネルリンパ節診断は、局所麻酔を行った後、組織採取をし、薄切片を顕微鏡にて観察し、乳癌由来と思われる上皮細胞を見つける方法か、あるいはPCRによって上皮細胞由来の遺伝子を検出する方法の二つがある(非特許文献1~3)。





前者の方法は、手術室から検体を病理室へ運び、リンパ節に割を入れたのち、割面の押印細胞診をとり、リンパ節を迅速凍結させ、割面を薄切切片としてヘマトキシリン・エオジン染色を行い、病理専門医が転移の有無を検討することにより実施される。この方法は、(1)検体を病理室まで運ぶ、(2)薄切切片を作成し、ヘマトキシリン・エオジン染色する、(3)細胞診を行う、(4)組織診断を行う、といった数多くのプロセスが必要であるため、検査の完結までに病理医が常勤している施設でも約1時間、病理医の常勤していない施設では数時間要する。また、(2)~(4)の工程に、細胞診や病理診断に関する専門技術もしくは専門的知識が必要である。また、施設差はあるが、リンパ節に割を入れた面のみを薄切する場合は、微小な転移などに関しては偽陰性となる可能性がある。実際、術中の診断では陰性であったが、術後の確定診断によって陽性と判断されることもある。





後者は、比較的短時間で検査結果が判明するが、術中に行うには更なる時間の短縮が望まれる。また、小規模の病院では、高価な機器(ホモジナイザー、PCR機)やそれを運用するスタッフの、新たな導入が必要となることが多い。更に、PCR法では、ごく微量の遺伝子でも検出されるため、カットオフ値の設定が必要となる。また、PCR法では、リンパ節組織の半分をホモジナイズして検査に用いるため、他の検査方法との両立が困難となる可能性がある。





一方、肺癌は、小細胞癌と、非小細胞癌(腺癌など)に大きく分類される。肺の小細胞癌は進展や転移が激しく、手術による適応は基本的に無く、化学療法が一般的である。一方、非小細胞癌(第III期まで)は、手術が原則である。従って、手術前の生検で、小細胞癌と診断された場合には化学療法を、非小細胞癌と診断された場合には外科的手術を、それぞれ1st choiceにする。





しかし、現在汎用されている診断方法(免疫組織化学検査など)では、手術前の生検で非小細胞癌(腺癌など)と診断されたにも係らず、手術後の病理検査で、ホルマリン固定後標本を使用して、病変の最大割面でさらに免疫染色を行うと、小細胞性癌を合併(combined)していることが、判明することがよくある。これは、手術中に提供される原発巣検体を用いれば、手術前に生検で得られる検体よりも、大きな範囲の病変について検査を行うことが可能であるためと考えられる。従って、もし、手術の最中に、迅速な確定診断をできれば、侵襲的な手術によって臓器や周辺のリンパ節郭清をするなどせず、患者の体力を温存し、延命効果を高めることが可能となる。





以上より、迅速で、高価な機器を要せず、かつ病理医等の専門スタッフでなくとも行うことができる簡便な癌の検出方法の開発が求められている。

産業上の利用分野



本発明は、癌転移の検出方法および検出用キット等に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
上皮細胞の悪性腫瘍の患者から生体外へ分離されたリンパ節の試料中に、サイトケラチンが含まれるか否かを、サイトケラチンに特異的な抗体を用いたドットブロット解析により評価すること、及び
該リンパ節の試料中に、正常リンパ節の試料中に含まれるサイトケラチンの量を上回る量のサイトケラチンが検出された場合に、上皮細胞の悪性腫瘍の該リンパ節への転移が存在する可能性があるとの相関を指標に上皮細胞の悪性腫瘍のリンパ節への転移が存在する可能性を評価することを含む、
上皮細胞の悪性腫瘍の転移の検出方法であって、
前記リンパ節の試料が、リンパ節組織を生理的緩衝液で洗浄することにより得られるリンパ節の支持構造から遊離した実質細胞を含む洗浄液である、上皮細胞の悪性腫瘍の転移の検出方法。

【請求項2】
ドットブロット解析がセミドライ方式により実施される、請求項1記載の方法。

【請求項3】
上皮細胞の悪性腫瘍が乳癌である、請求項1又は2記載の方法。

【請求項4】
リンパ節がセンチネルリンパ節である、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。

【請求項5】
リンパ節が、上皮細胞の悪性腫瘍の摘出手術の過程で該患者から分離されたものであり、該摘出手術が行われている間に、ドットブロット解析による評価及び上皮細胞の悪性腫瘍のリンパ節への転移が存在する可能性の評価が行われる、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。

【請求項6】
サイトケラチンに特異的な抗体、及びドットブロット解析を可能にする膜を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の方法により上皮細胞の悪性腫瘍の転移を検出するためのキット。

【請求項7】
正常リンパ節の試料を、ネガティブコントロールとして更に含む、請求項記載のキット。
国際特許分類(IPC)
出願権利状態 登録
上記の特許・技術に関心のある方は、下記問い合わせ先にご相談下さい。


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