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静電容量型水分計および水位計 新技術説明会 実績あり

国内特許コード P110005742
整理番号 626-1031
掲載日 2011年9月6日
出願番号 特願2010-275203
公開番号 特開2012-122909
登録番号 特許第5688731号
出願日 平成22年12月10日(2010.12.10)
公開日 平成24年6月28日(2012.6.28)
登録日 平成27年2月6日(2015.2.6)
発明者
  • 上野 勝利
出願人
  • 国立大学法人徳島大学
発明の名称 静電容量型水分計および水位計 新技術説明会 実績あり
発明の概要 【課題】高い分解能と広いダイナミックレンジの両方を備え、水分量を効果的に測定できる静電容量型水分計および、この静電容量型水分計を使用した水位計を提供する。
【解決手段】被測定対象の誘電率の変化に基づいて、被測定対象の水分量を測定する装置であって、一対の電極11,12を有するセンサ部10と、センサ部10の一対の電極11,12に接続された解析部20と、を備えており、解析部20は、一対の電極11,12間に、所定の電圧を有するパルス状の電流を供給するパルス発生部21と、一対の電極11,12間が所定の電位差となるまでの時間を計測する計時手段25と、を備えている。一対の電極11,12間に位置する被測定対象の誘電率に応じて、一対の電極11,12間が所定の電位差となるまでの時間が変化し、その時間を測定するので、分解能に係らず、実用上十分に大きなダイナミックレンジを設定することができる。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要



一般的な土構造物(盛土、堤防、舗装)は、土粒子からなる粒状土によって構成されており、土粒子同士を互いに接近させるような力が発生することによってその強度を保っている。この土粒子同士を互いに接近させるような力は、土粒子間に存在する水(間隙水)の表面張力に起因して発生する。





しかし、上記力は、土粒子間に存在する水が増加すると弱くなり、粒状土が間隙水によって飽和した状態となると、間隙水による土粒子同士を互いに接近させるような力は失われる。

例えば、台風などの豪雨時に、大量の水が土構造物の内部へ浸水すると、上記力が弱くなることに起因して、土構造物を構成する粒状土のせん断強度が大きく低下する。このせん断強度の低下が、豪雨による土砂災害の原因となっている。





一方、降雨による地下水面の上昇によって斜面や盛土を構成する土塊には、間隙水圧が作用する。この間隙水圧は土塊を滑らそうとする滑動力を増加させる。さらに、間隙水圧が上昇することにより、土粒子間に作用する有効応力が減少する。このように間隙水圧が上昇すると(言い換えれば、地下水面が上昇すると)、地盤は急激に耐力を失うので、地盤が崩壊する原因となる。

なお、摩擦材である土のせん断強度τfは、有効応力σ’と次式の関係がある。

【数1】




なお、上記式において、c’は土のせん断強度特性を表わす材料特性であり、c’およびφ’はそれぞれ、粘着力、土の内部摩擦角、と呼ばれる。





また、堤防や舗装などでは、粒状土の内部への水の出入りに伴って、土粒子の流出が生じるため、堤防の保護パネルの背面や舗装の下に大きな空洞が形成され、陥没事故が生じている。一例として、国土交通省の調査によれば、平成19年には4,700件の道路陥没が発生している。





粒状土のせん断強度の低下、有効応力の減少に起因する土砂災害や、土粒子の流出による陥没事故などを防ぎ、災害時の被害軽減や経済的な社会基盤の維持管理を行う上では、土構造物の劣化(せん断強度の低下など)を初期の段階で検出することが有効である。かかる土構造物の劣化は、土構造物への浸水、つまり、土構造物の水分量を常時監視すれば、土構造物中の水分量に基づいて、初期の段階で検出が期待できる。





土構造物の水分量を常時監視して土構造物の劣化を検出するには、長大な土構造物に多数のセンサを設ける必要がある。しかし、従来のセンサでは、長大な土構造物に十分な計測点を設置することはコスト的な制約から難しい。土構造物の劣化を検出するためには、廉価で単純な形式のセンサおよびかかるセンサを使用した計測方法の開発が必要である。





土に含有される水分量を測定するセンサとして、粒状土中の含水比が変化すると、粒状土の誘電率が変化することを利用したセンサが開発されている(特許文献1、2)。





特許文献1には、土壌に垂直に埋め込んで使用される金属プローブが開示されており、この金属プローブに電磁波を送り、その反射時間から比誘電率を計測し、比誘電率から土壌水分量を算出する技術が記載されている。

この技術では、金属プローブとして板状の部材を使用しているだけであるので、土構造物に多数設置しても、その設置費用を抑えることができる。





また、特許文献2には、第1の電極と第2の電極とを有し、両電極間の静電容量の変化に基づく検出信号を出力するセンサが開示されており、このセンサは電極間の静電容量に比例したパルス幅を持つ出力信号(パルス信号)を出力するようになっている。そして、特許文献2の技術では、パルス信号をCR積分回路によって積分し、パルス信号がH(高電圧)となる期間に比例した出力電圧を作成し、この出力電圧の大きさに基づいて静電容量を測定するようになっている。

かかる構造であるので、特許文献2のセンサを土壌に埋設すると、土壌の水分量の変化に起因する静電容量の変化をCR積分回路の出力電圧の大きさとして検出することができる。





しかるに、特許文献1、2の技術には、それぞれ以下のような問題がある。





まず、特許文献1の技術は、TDR法(Time Domain reflectometry:時間領域反射測定法)を利用して比誘電率を測定している。TDR法では、一般的に、誘電緩和特性など、周波数依存する誘電率の正確な測定が可能である反面、装置が高価で大がかりになるという問題がある。しかも、土構造物の水分センサとするには高価であるため、多数の測定点を設置することには、不向きである。





特許文献2の技術は、特許文献1の技術に比べて、安価かつ小型な装置で測定ができるものの、センサが測定できるレンジが制限されるという問題がある。





具体的には、特許文献2のセンサでは、静電容量の値はCR積分回路の出力信号のパルス幅に変換されて出力されるが、特許文献2の回路構成ではCR積分回路の出力信号の周期は入力信号の周期の半分となる。このため、CR積分回路の出力信号のパルス幅は入力信号の周期の半分が上限となる。つまり、センサが測定できるレンジは、入力信号の周期によって制限されてしまう。

一方、特許文献2のセンサによって正確な測定を行うためには、検出信号がCR積分回路から安定に出力されなければならない。しかし、かかる状態を実現するためにはCR積分回路の時定数が適切であることに加えて、電極に入力される入力信号の周期が一定かつ安定でなければならない。なぜなら、入力信号の周期が2倍になれば、検出信号の電圧は半分になってしまうため、正確な測定ができなくなるからである。

つまり、特許文献2のセンサの場合、正確な測定のためには入力信号の周期が一定かつ安定していなければならないが、入力信号の周期が一定である場合には、測定できる静電容量の大きさが制限されるため、高分解能で高精度の測定と広範囲の計測とを両立させることは困難である。





近年多発する地すべりなどの発生を事前に把握するために、地すべりなどのモニタリングの必要性が高まっている。地すべりなどの主たる要因として、地下水面の上昇に伴う地盤の耐力の低下があることから、地すべりなどのモニタリングでは、水位計を用いた地下水位変動などが計測される。上述した特許文献1、2のセンサを地下水位変動を測定する水位計として使用することもできる。しかし、地すべりなどのモニタリングでは以下のような性能が要求されるため、高分解能で高精度の測定と広範囲の計測と両立させることが難しい特許文献1、2のセンサを使用することが難しい。





地すべりなどのモニタリングのために水位計を用いて地下水位変動を計測する場合、原位置における地下水位変動などの微細な変化を捉えて前兆を検出しなければならない。このため、センサには高分解能で高精度の測定が要求される一方、一度地すべりなどが発生すれば地下水位変動などにきわめて大きな値の変化が生じるため、センサには広いダイナミックレンジも要求される。

しかも、地すべりなどが発生したときに発生する地下水位変動などの規模を事前に推定することは難しいことから、水位計を設置する計画の段階では、水位計に必要な分解能や必要な測定レンジが不明である。

したがって、地下水位変動や地すべり変位量などの計測では、微細な変化からきわめて大きな値の変化まで測定できるような水位計を設置することが必要であり、特許文献1、2のセンサを使用することは困難である。





以上のごとき事情もあり、地すべりなどのモニタリングのために、高い分解能と広いダイナミックレンジの両方を備えた、土に含有される水分量を測定でできる水分計や、かかる水分計を備えた地下水位変動を検出できる地下水位計が望まれている。

産業上の利用分野


本発明は、静電容量型水分計に関する。さらに詳しくは、土構造物などの水分量を測定するために使用される静電容量型水分計および、この静電容量型水分計を使用した水位計に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
被測定対象の誘電率の変化に基づいて、該被測定対象の水分量を測定する装置であって、
一対の電極を有するセンサ部と、
該センサ部の一対の電極に接続された解析部と、を備えており、
該解析部は、
前記一対の電極間にパルス状の電流を供給する低周波パルス駆動部と、
前記一対の電極間の電位差を測定する電位差測定部と、
前記一対の電極間が所定の電位差となるまでの時間を計測する計時手段と、を備えており、
前記解析部は、
前記電位差測定部および前記低周波パルス駆動部にトリガー信号を供給するパルス発生部を備えており、
前記電位差測定部は、
前記一対の電極間の電位差が所定の電位差となるまでフラグ信号を前記低周波パルス駆動部に供給する機能を備えており、
前記低周波パルス駆動部は、
前記電位差測定部によって測定される前記一対の電極間の電位差が所定の電位差となるまで該一対の電極間への電流の供給を継続する機能を有しており、
前記トリガー信号または前記フラグ信号のいずれかが入力されている期間は前記一対の電極間に電流を供給するように構成されている
ことを特徴とする静電容量型水分計。

【請求項2】
前記計時手段は、
前記一対の電極間にパルス状の電流が供給されてから該一対の電極間の電位差が所定の値となるまでの時間を測定するカウンタと、
前記カウンタによるカウント数が最大カウント数になると、前記カウンタをリセットするリセット機能と、
前記カウンタによるカウント数が最大カウント数になった回数をカウントするカウント機能と、
を有するカウンタ制御部を備えている
ことを特徴とする請求項1記載の静電容量型水分計。

【請求項3】
前記一対の電極と前記解析部との間が導電性材料によって接続されており、
該導電性材料および/または前記一対の電極を外部から電気的に絶縁する絶縁シールドが設けられており、
該絶縁シールドと前記導電性材料および/または前記一対の電極とが同じ電位となるように調節する電位調整部を備えている
ことを特徴とする請求項1または2記載の静電容量型水分計。

【請求項4】
前記一対の電極と前記低周波パルス駆動部との間に設けられた、前記一対の電極間から放電を生じさせる放電手段を備えており、
該放電手段は、
前記低周波パルス駆動部から前記一対の電極間に対するパルス状の電流の供給が停止されると、該一対の電極間に蓄積された電力を放電させるものである
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の静電容量型水分計。

【請求項5】
前記センサ部を、粒状土からなる構造物に埋設して使用する
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の静電容量型水分計。

【請求項6】
請求項1、2、3、4または5記載の静電容量型水分計を備えており、
該静電容量型水分計のセンサ部が、
軸方向に沿って延びたケースと、
該ケース内に収容された、前記一対の電極からなる電極対と、を備えており、
前記電極対が複数設けられており、
該複数の電極対は、
前記ケースの軸方向において、その先端の位置が異なるように設けられている
ことを特徴とする水位計。

【請求項7】
前記複数の電極対は、
その長さが10m以上である
ことを特徴とする請求項6記載の水位計。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 登録
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