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ダイナミックモードAFM装置

国内特許コード P110005785
整理番号 N021P44
掲載日 2011年9月20日
出願番号 特願2010-511923
登録番号 特許第4913242号
出願日 平成21年4月8日(2009.4.8)
登録日 平成24年1月27日(2012.1.27)
国際出願番号 JP2009057158
国際公開番号 WO2009139238
国際出願日 平成21年4月8日(2009.4.8)
国際公開日 平成21年11月19日(2009.11.19)
優先権データ
  • 特願2008-124891 (2008.5.12) JP
発明者
  • 川勝 英樹
  • 小林 大
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 ダイナミックモードAFM装置
発明の概要 探針-試料間距離を自動的に求めることができる自動制御系を構成し、高速に試料表面の原子を同定することができるダイナミックモードAFM装置を提供する。
ダイナミックモードAFM装置において、カンチレバー2と試料1を相対的に3次元走査するスキャナ3と、前記カンチレバー2の撓み振動のあるモードの共振周波数の交流信号を発生する手段8と、前記共振周波数で前記カンチレバー2に撓み振動を励起する手段9と、前記撓み振動の周波数よりも低い第2の周波数の交流信号を発生する手段10と、前記第2の周波数で前記カンチレバー2の探針2A-試料1間距離を変調する手段11と、前記共振周波数の変動を検出する手段5と、前記カンチレバー2の振動を検出する手段4と、前記共振周波数の変動を検出する手段5の検出信号に含まれる前記探針2A-試料1間距離の変調信号に同期した変動成分を検出する手段6を備え、前記変動成分の強度と極性から前記共振周波数の探針2A-試料1間距離に対する傾きを求める。
従来技術、競合技術の概要


まず、AFM(原子間力顕微鏡)について説明する。



コンタクトモードAFMは、探針の付いたカンチレバーを試料表面に近づけたときに探針と試料の間に働く力(通常は斥力)をカンチレバーの撓みから検出し、この検出した力が一定になるように、探針-試料間の距離を制御しつつ、探針を試料に対して2次元に走査することによって、試料表面の「等力面」を画像化するものである。このコンタクトモードAFMは、探針-試料間に働く力が強いので試料に対するダメージが大きく、また原子分解能は達成し難い。



それに対して、ダイナミックモードAFMは探針のついたカンチレバーを試料表面に近づけ、探針と試料の間に働く力の探針-試料間距離による微分値(力勾配)によってカンチレバーの共振周波数が変化するのを検出し、その共振周波数変化が一定値になるように探針-試料間の距離を制御しつつ、探針を試料に対して2次元に走査することによって、試料表面の「等力勾配面」を画像化するものである。



そこで、従来のダイナミックモードAFM装置の試料とカンチレバー付近の構成の一例を、図1に示す。



図1において、201は試料、202はカンチレバー、202Aはカンチレバー202の探針、202Bはカンチレバーの基部、203はXYZスキャナ、204はカンチレバー励振手段、205はカンチレバー202の背面にレーザー光線206を照射してカンチレバー202の位置を検出する光位置検出器(光てこによる検出器)、207はカンチレバーの撓み振動状態を示している。



この図1は、以後の説明の中でXYZという座標を使ったので、その方向を示している。なお、ここでは、試料201がXYZスキャナ203上に載っている例を示しているが、カンチレバー202側をXYZスキャナ203に取り付けたり、試料201をXYスキャナに、カンチレバー202をZスキャナに取り付けるといった変形例もある。また、カンチレバー励振手段204としてピエゾ素子のようなものを描いたが、光熱励振法や電磁界を利用することも可能である。また、カンチレバー202の撓みを光てこで検出するため光位置検出器205を用いているが、レーザードップラー振動計で速度検出したり、光ファイバー干渉計で変位検出したりすることも可能である。



図2は探針-試料間距離とカンチレバーに作用する力および力勾配の関係の一例を示す図、図3は探針-試料間距離とカンチレバーの共振周波数の関係の一例を示す図である。そもそもカンチレバーの共振周波数が力勾配によって変化する原因は、距離に依存して変化する力がバネと等価なため、カンチレバーが元々持っているバネにその等価的なバネが付け加わるためである。ただし等価的なバネは力勾配の極性が正の時には負のバネ定数を持つことになる。負のバネ定数が加わると共振周波数は低下する。



共振周波数の変化を検出するには、(1)カンチレバー自体を機械共振器に使った自励発振回路を構成し、その発振周波数の変化から検出する方法と、(2)共振周波数付近の一定の周波数でカンチレバーを強制振動させ、振動させるために使った信号と、検出された振動の位相差から共振周波数の変化を検出する方法がある。上記(1)をFM(周波数変調)法、(2)をPM(位相変調)法とそれぞれ呼ぶことにするとき、第3の方法として、(3)強制振動を使うものの、検出された位相差を利用して強制振動させる周波数が共振周波数を追従するように制御する方法がある。この方法をトラッキング他励法と呼ぶことにする。



いずれの方法によるにしても、周波数軸に載っている情報は観測する帯域を狭めることによって高い感度で検出できるため、ダイナミックモードAFMはコンタクトモードAFMよりも探針-試料間の力が弱い領域で観察でき、その結果、試料に対するダメージが少なく原子分解能も達成しやすい。



上記したように、ダイナミックモードAFMは「等力勾配面」をトレースする。一般には「等力勾配面」は「等高面」に近似していると考えられるが、図2の力勾配のグラフは原子種によって異なるため、「等力勾配面」が真の「等高面」と等しくなるのは試料が単一の原子で構成されており、しかも探針先端が原子の真上に位置しているか原子と原子の中間に位置しているかにかかわらず、図2の力勾配のグラフが変化しない場合だけである。そのため、複数の種類の原子で構成される試料では「等力勾配面」は真の「等高面」ではない上に、試料の構成元素や結晶構造についてある程度の予備情報がないと観察された原子種が何であるかを推定することができない。



しかし、図3のグラフの極小点(共振周波数が最も低下する点Bすなわち図2に示す力勾配が最大の点)の位置は原子によって異なるため、この位置を求めることによって原子種の判別が可能であるという論文(下記非特許文献1参照)が発表された。



この方法によれば、従来通りのダイナミックモードAFMによって観察した試料の凹凸像(「等力勾配面」の3次元グラフィック表示)を極小点位置から求めた原子種によって色付けし、あたかも原子種ごとの異なる色がついているように表示することが可能になる。
【非特許文献1】
Yoshiaki Sugimoto et al.,“Chemical identification of individual surface atoms by atomic force microscopy”,Nature,Vol.446,2007,pp.64-67

産業上の利用分野


本発明は、ダイナミックモードAFM装置に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
(a)カンチレバーと試料を相対的に3次元走査するスキャナと、
(b)前記カンチレバーの撓み振動のあるモードの共振周波数の交流信号を発生する手段と、
(c)前記共振周波数で前記カンチレバーに撓み振動を励起する手段と、
(d)前記撓み振動の周波数よりも低い第2の周波数の交流信号を発生する手段と、
(e)前記第2の周波数で前記カンチレバーの探針-試料間距離を変調する手段と、
(f)前記共振周波数の変動を検出する手段と、
(g)前記カンチレバーの振動を検出する手段と、
(h)前記共振周波数の変動を検出する手段の検出信号に含まれる前記探針-試料間距離の変調信号に同期した変動成分を検出する手段を備え、
(i)前記変動成分の強度と極性から前記共振周波数の探針-試料間距離に対する傾きを求めることを特徴とするダイナミックモードAFM装置。
【請求項2】
請求項1記載のダイナミックモードAFM装置において、前記共振周波数の探針-試料間距離に対する傾きがゼロになるように前記探針-試料間距離を自動制御することを特徴とするダイナミックモードAFM装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のダイナミックモードAFM装置において、前記第2の周波数として前記撓み振動のあるモードとは別の、より低い次数の撓み振動モードの周波数を使用することを特徴とするダイナミックモードAFM装置。
【請求項4】
請求項1、2又は3記載のダイナミックモードAFM装置において、前記カンチレバーの撓み振動のあるモードの共振周波数の交流信号を発生する手段として、そのモードの共振周波数で発振する自励発振回路を構成し、かつ、前記共振周波数の変動を検出する手段として周波数検波を使用することを特徴とするダイナミックモードAFM装置。
【請求項5】
請求項1、2又は3記載のダイナミックモードAFM装置において、前記カンチレバーの撓み振動のあるモードの共振周波数の交流信号を発生する手段として、そのモードの共振周波数で発振する自励発振回路を構成し、かつ前記共振周波数の変動を検出する手段として位相検波を使用することを特徴とするダイナミックモードAFM装置。
【請求項6】
請求項1、2又は3記載のダイナミックモードAFM装置において、前記カンチレバーの撓み振動のあるモードの共振周波数の交流信号を発生する手段として、そのモードの共振周波数付近の一定周波数または制御によりそのモードの共振周波数を緩慢に追尾する周波数の交流信号を発生する信号源を用い、かつ、その信号に対するカンチレバーの変位または速度の位相を検出することをもって前記共振周波数の変動を検出する手段とすることを特徴とするダイナミックモードAFM装置。
国際特許分類(IPC)
画像

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JP2010511923thum.jpg
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 高度情報処理・通信の実現に向けたナノファクトリーとプロセス観測 領域
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