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β-1,3-グルカン/核酸複合体の調製方法

国内特許コード P110005786
整理番号 AF11P014
掲載日 2011年9月20日
出願番号 特願2010-043592
公開番号 特開2011-178707
登録番号 特許第5605793号
出願日 平成22年2月27日(2010.2.27)
公開日 平成23年9月15日(2011.9.15)
登録日 平成26年9月5日(2014.9.5)
発明者
  • 櫻井 和朗
  • 望月 慎一
  • 松崎 翼
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 β-1,3-グルカン/核酸複合体の調製方法
発明の概要 【課題】有機溶媒を用いずにβ-1,3-グルカンと核酸から成る複合体を、高収率かつ高純度で調製する方法を提供する。
【解決手段】核酸を溶解した水系緩衝液と、β-1,3-グルカンを溶解した塩基性水溶液とを混合し、インキュベートすることにより、2本のβ-1,3-グルカン分子鎖と1本鎖核酸とからなる3重らせん構造を有するβ-1,3-グルカン/核酸複合体を調製する工程と、ゲル濾過クロマトグラフィー及び陰イオン交換クロマトグラフィーの一方又は双方を用いてβ-1,3-グルカン/核酸複合体を含有する溶液を処理することにより、未反応のβ-1,3-グルカン及び核酸を除去し、β-1,3-グルカン/核酸複合体を精製する工程とを有するβ-1,3-グルカン/核酸複合体の調製方法。
【選択図】図4
従来技術、競合技術の概要



ヒトゲノムの解読が1953年のDNA二重らせん構造の発見から50年となる2003年に完了した。現在は各種のタンパク質の活性メカニズムとその相互作用の解明が進められている。さらに、最近はタンパク質をコードしていないRNAが遺伝子の転写や翻訳を制御していることが分かってきた。こうした成果を応用するひとつの方法に、生理活性のある短い人工的核酸(核酸医薬)を用いて生体機能を操作する技術が提唱されている。しかし、天然型の核酸であるリン酸エステル型DNAやRNAは生体中では、核酸分解酵素やタンパク質との非特異的吸着によって極めて短時間で失活する。このため、天然型の核酸医薬品は、ヒトの臨床研究では有意な効果をもたらしていない。





上述した天然型の核酸の問題点、すなわち、生体環境内や培養液中において短時間で失活するとの問題点を解決するために、天然型の核酸を化学的に修飾した化学修飾核酸、天然の核酸によく似た類似核酸が多く提案されている。前者の例では、例えば、今西らが提案した、リボースの2’位の酸素原子と4’位の炭素原子とをメチレン基またはエチレン基等で架橋したLNA(locked nucleic acid)と呼ばれる化学修飾核酸(非特許文献1)や、天然型のリン酸エステルの酸素原子をイオウ原子で置換したSオリゴと呼ばれる化合物が知られている。また、後者では、核酸の主鎖にアミド結合を導入したPNA(ペプチド核酸)と呼ばれる化合物が知られている(非特許文献2)。これらを総称して核酸アナログと呼ぶ。核酸アナログは、天然型核酸の問題であった失活までの時間を大幅に伸ばす事に成功した。これは、核酸分解酵素が核酸アナログを認識できないためである。しかし、生体内でタンパク質と非特異的に吸着し予期せぬ生理活性、重篤な肝障害を引き起こすなど、非天然であるが故の毒性が問題になっている(非特許文献3)。





天然型の核酸を生体適合性のある化合物に内包して送り届ける技術も提案されてきた。レトロウイルス(非特許文献4)またはアデノウイルス(非特許文献5)等は、遺伝子キャリアとしてin vitroでは極めて見込みのある結果を与えたが、これら天然由来のウイルスの炎症性、免疫原的性質、ならびに突然変異誘発および細胞ゲノム中への組み込みの危険性が特に原因してこれらのin vivoにおける使用は制限されている。





そこで、天然由来の遺伝子キャリアの代替物として、ウイルス系よりも取り扱いが簡単であるのみならず、細胞へDNAを確実に効率良く集中させることが可能な人工材料の非ウイルスキャリヤーの使用が提示された(非特許文献6)。これまでに、非ウイルス性の人工キャリアとしてポリエチレングリコール修飾したポリカチオン(非特許文献7)、ポリエチレンイミン(非特許文献8)、カチオン性ポリマーのブロック共重合体(非特許文献9)、デンドリマー(非特許文献10)などが開発されてきた。しかし、こうしたカチオン性高分子の安全性は確認されていない。カチオン性を有するには、アミノ基の存在が不可欠であるが、アミノ基は生理活性が高く、体内毒性等の危険がある。





本発明者らはこれまでに遺伝子キャリアとしてβ-1,3-グルカンに着目し、β-1,3-グルカンが核酸医薬(アンチセンスDNA、CpG DNA)と新しいタイプの複合体を形成することを見出してきた(特許文献1、2、非特許文献11、12)。





もともと天然では、3重らせんで存在するこの多糖をジメチルスルホキシド(DMSO)等の非プロトン性極性有機溶媒に溶解して1本鎖に解離させた後に、1本鎖の核酸を加え、溶媒を水に戻すことによって、核酸1本及び多糖2本からなる3重らせん複合体が形成することを見出した。この場合、当該多糖と核酸の複合体は主として水素結合と疎水性相互作用に因るものと考えられている(非特許文献13)。





しかしながら、上記の多糖/核酸複合体の調製過程において非プロトン性極性有機溶媒を用いているため、上記方法により調製される複合体溶液中にも、低濃度ではあるが非プロトン性極性有機溶媒が残存していると考えられる。複合体の臨床応用を考慮に入れると、有機溶媒が残存している薬剤を用いることは望ましくない。





β-1,3-グルカンの3重らせん調製過程において非プロトン性極性有機溶媒を用いない方法として、例えば、0.1N以上の水酸化ナトリウム水溶液にβ-1,3-グルカンを溶解させ、1本鎖に解離させ、強酸による中和、及び水による透析により3重らせんを作製する方法が報告されている(非特許文献14-17)。しかし、この方法の場合、強酸による中和時に局所的にpHが低下し、DNAが加水分解を起こしたり、複合体が分解したりするおそれがある。

産業上の利用分野



本発明は、β-1,3-グルカンと核酸から成る複合体の調製に関し、特に、塩基性水溶液を用いての製造方法、さらに未反応のβ-1,3-グルカン、核酸を除去し複合体を精製することに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
核酸を溶解したpH4.0~8.0の水系緩衝液と、β-1,3-グルカンを溶解した塩基性水溶液とを混合し、インキュベートすることにより、2本のβ-1,3-グルカン分子鎖と1本鎖核酸とからなる3重らせん構造を有するβ-1,3-グルカン/核酸複合体を調製する工程と、ゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)及び陰イオン交換クロマトグラフィーの一方又は双方を用いて前記β-1,3-グルカン/核酸複合体を含有する溶液を処理することにより該β-1,3-グルカン/核酸複合体を形成していないβ-1,3-グルカン及び核酸を除去し、前記β-1,3-グルカン/核酸複合体を精製する工程とを有するβ-1,3-グルカン/核酸複合体の調製方法。

【請求項2】
前記β-1,3-グルカン/核酸複合体を精製する工程において、前記β-1,3-グルカン/核酸複合体を含有する溶液を、まず陰イオン交換クロマトグラフィー、次いでゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)で処理することを特徴とする請求項1記載のβ-1,3-グルカン/核酸複合体の調製方法。

【請求項3】
前記塩基性水溶液として0.1N以上1N以下の水酸化ナトリウム水溶液を用いることを特徴とする請求項1及び2のいずれか1項記載のβ-1,3-グルカン/核酸複合体の調製方法。

【請求項4】
多糖との結合部位として塩基配列(X)[Xは任意のリボヌクレオチド及びデオキシリボヌクレオチドのいずれかを表し、nは自然数を表す。]で表されるポリヌクレオチド鎖を有する核酸を用いることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のβ-1,3-グルカン/核酸複合体の調製方法。

【請求項5】
前記Xが、デオキシアデノシン(dA)及びシチジン(C)のいずれかであることを特徴とする請求項4記載のβ-1,3-グルカン/核酸複合体の調製方法。

【請求項6】
前記nの値が20以上80以下であることを特徴とする請求項4及び5のいずれか1項記載のβ-1,3-グルカン/核酸複合体の調製方法。

【請求項7】
水系緩衝液として、pH4.0~8.0のリン酸系緩衝液及びトリス系緩衝液から選択される緩衝液を用いることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載のβ-1,3-グルカン/核酸複合体の調製方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2010043592thum.jpg
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST ナノ界面技術の基盤構築 領域
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