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ムチン1(MUC1)タンパク質に対する抗体及びその用途 UPDATE 新技術説明会 外国出願あり

国内特許コード P110005803
整理番号 S2010-0362-N0
掲載日 2011年9月29日
出願番号 特願2010-097922
公開番号 特開2011-184427
登録番号 特許第5660486号
出願日 平成22年4月21日(2010.4.21)
公開日 平成23年9月22日(2011.9.22)
登録日 平成26年12月12日(2014.12.12)
優先権データ
  • 特願2010-028729 (2010.2.12) JP
発明者
  • 米澤 傑
出願人
  • 国立大学法人 鹿児島大学
発明の名称 ムチン1(MUC1)タンパク質に対する抗体及びその用途 UPDATE 新技術説明会 外国出願あり
発明の概要 【課題】胃癌を含む癌の早期診断の確診に効果を発揮する手段及び方法を提供すること。
【解決手段】以下の(a)又は(b)のペプチドを抗原として用いて作製され、かつヒトムチン1(MUC1)タンパク質と反応することを特徴とする抗体。
(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列のうち少なくとも69~75番の連続するアミノ酸を含むペプチド
(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列のうち少なくとも69~75番の連続するアミノ酸において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつヒトMUC1タンパク質の抗原性を有するペプチド
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


胃癌は、日本人の悪性腫瘍罹患頻度で、男性では第1位、女性では第2位と、高頻度にみられる癌であり、国際的にみると、中国、日本、韓国などアジアや南米に患者が多い。画像診断や内視鏡検査が発達してきた昨今においても、2003年の日本における胃癌による死者数は49,535人(男32,142人、女17,393人)で、男性では肺癌に次いで第2位、女性では大腸癌に次いで第2位である(厚生労働省 人口動態統計より)。



胃癌の様々な組織型の中でも、「低分化腺癌:非充実型(poorly differentiated adenocarcinoma: non-solid type、略号で“por2”と表される)」や「印環細胞癌(signet-ring cell carcinoma、略号で“sig”と表される)」は、特に悪性度が高く、発見時にはすでに「手遅れ」の状況になっている症例が多くみられる「スキルス胃癌」という状態を呈することも多く、これは腫瘍の肉眼型では「4型」に相当する。



「スキルス胃癌」は胃癌の中で最も悪性度の高い癌であり、他の胃癌と同じように粘膜から発生するが、あまり粘膜面の変化をおこさないまま胃壁の中を広く浸潤していくという特性を有する。「スキルス胃癌」は胃癌の中でも約10%の割合を占めていて、30代及び40代という若い世代によく見られ、専門医でもなかなか診断がつきにくく、すでに発見された時点で約60%の患者は腹膜転移や広範なリンパ節転移を伴っており、体調に不安を訴えて気付いたときには癌が進行してしまっているといったパターンが多い。また、たとえ手術をして癌を切除できたとしても再発率が高い癌である。「スキルス胃癌」に特徴的な転移が腹膜播腫で、このタイプの癌の罹患者の約半数に腹膜播腫が出現する。



胃癌の最終確定診断は、内視鏡検査下生検標本の病理組織診断によって行われるが、胃生検組織の一般的なヘマトキシリン・エオジン(HE)染色では、増殖した肉芽組織や線維組織にまぎれてどこに癌細胞があるのかよくわからないことが多く、「癌の見逃し」をする危険性が高い。そのような癌の見逃しを防止するため、胃生検標本のすべてに特殊染色の過ヨウ素酸シッフ染色(PAS染色)を実施している病理検査施設もある。しかしながら、PAS染色は、胃癌細胞の周囲に高頻度に存在する炎症細胞等の非癌成分をも染色するため、胃癌細胞を特定できないことも多い。特に臨床的にも診断が困難である「スキルス胃癌」を疑われる症例の胃生検標本において「癌の見逃し」は絶対に回避されねばならない。



上記のように、「スキルス胃癌」の状態になる傾向の強い「低分化腺癌:非充実型(por2)」や「印環細胞癌(sig)」の正確な病理組織診断は、「スキルス胃癌」の早期発見にも極めて有効であり、胃癌の治療成績向上に必須である。このような病理組織の診断のために、胃癌の病理組織において特異的に発現されているタンパク質や糖鎖に基づく免疫染色の必要性はますます重要性を増し、そのための抗体の開発競争は激しさを増している。



一方、ムチン型糖タンパク質は、動物の腸管、気道、口腔、子宮などの粘膜を保護するための粘液に含まれる粘性物質であり、多数の糖鎖(ムチン型糖鎖と呼ばれる)を有するタンパク質である。このようなタンパク質をコードするムチン遺伝子(MUC)として、ヒトでは18種類が報告されており、そのうち11種が膜貫通型であり、7種が分泌型である。ムチン遺伝子は、様々な病気、例えば癌、炎症性腸疾患、喘息などと関連していることが報告されている。例えばムチン1(MUC1)は、様々なヒト癌(膵癌、胆管癌、胃癌、食道癌、乳癌、肺癌等)において、その発現が患者の予後不良と関連していることが明らかになっている(非特許文献2)。



MUC1は、腫瘍マーカーとして有力と考えられているムチン抗原のうちでも、最も早くクローニングがなされており、このMUC1に対する抗体は現時点でも400を越えている。例えば、MUC1タンパク質の細胞外領域のタンデムリピートに存在する糖鎖を認識して反応する抗体や、細胞内領域に相当する1110~1155番のアミノ酸(45アミノ酸)を認識して反応する抗体(非特許文献1)が報告されている。しかしながら、上述したように、胃癌の中でも特に悪性度が高い上、画像診断や内視鏡検査でも見出しにくく、最終診断となる胃生検組織の病理診断でも、通常のヘマトキシリン・エオジン(HE)染色では見逃す危険性の高い低分化腺癌又は印環細胞癌の癌細胞を高感度かつ簡便に検出することができる抗体の開発が依然として望まれていた。

産業上の利用分野


本発明は、新規な抗ムチン1タンパク質抗体及びそれを含む免疫学的測定用試薬に関する。また本発明は、ヒトムチン1タンパク質に関連する疾患又は障害を判定するための試薬及び方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
以下の(a)又は(b)のペプチドを抗原として用いて作製され、かつヒトムチン1(MUC1)タンパク質と反応することを特徴とする抗体。
(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるペプチド
(b)配列番号1に示されるアミノ酸配列において1個のアミノ酸が付加されたアミノ酸配列からなり、かつヒトMUC1タンパク質の抗原性を有するペプチド

【請求項2】
ペプチドが配列番号1又は配列番号11に示されるアミノ酸配列からなるものである、請求項1に記載の抗体。

【請求項3】
モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体である、請求項1又は2に記載の抗体。

【請求項4】
標識されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体。

【請求項5】
ペプチドがキャリアタンパク質と結合されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の抗体。

【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の抗体を含むことを特徴とするヒトムチン1(MUC1)タンパク質の免疫学的測定用試薬。

【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項に記載の抗体を含むことを特徴とするヒトムチン1(MUC1)タンパク質に関連する疾患又は障害の判定用試薬。

【請求項8】
ヒトMUC1タンパク質に関連する疾患又は障害が、胃癌、膵癌、胆管癌、大腸癌、卵巣癌、乳癌及び肺癌からなる群より選択されるものである、請求項7に記載の試薬。

【請求項9】
胃癌が低分化腺癌又は印環細胞癌である、請求項8に記載の試薬。

【請求項10】
(a)請求項1~5のいずれか1項に記載の抗体と、被験体に由来するサンプルとを接触させるステップ、
(b)該抗体がサンプル中のヒトムチン1(MUC1)タンパク質と結合したか否かを検出するステップ
を含む、被験体においてヒトMUC1タンパク質に関連する疾患又は障害を判定するための方法。

【請求項11】
ヒトMUC1タンパク質に関連する疾患又は障害が、胃癌、膵癌、胆管癌、大腸癌、卵巣癌、乳癌及び肺癌からなる群より選択されるものである、請求項10に記載の方法。

【請求項12】
胃癌が低分化腺癌又は印環細胞癌である、請求項11に記載の方法。

【請求項13】
サンプルが、生検組織サンプル、手術摘出組織サンプル及び細胞診サンプルからなる群より選択される、請求項10~12のいずれか1項に記載の方法。

【請求項14】
以下の(a)又は(b)のペプチド。
(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるペプチド
(b)配列番号1に示されるアミノ酸配列において1個のアミノ酸が付加されたアミノ酸配列からなり、かつヒトMUC1タンパク質の抗原性を有するペプチド

【請求項15】
配列番号1又は配列番号11に示されるアミノ酸配列からなるものである、請求項14に記載のペプチド。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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