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トランスグルタミナーゼによるIP3レセプターの修飾

国内特許コード P110005920
整理番号 I018P013
掲載日 2011年11月9日
出願番号 特願2010-090527
公開番号 特開2011-219417
登録番号 特許第5604948号
出願日 平成22年4月9日(2010.4.9)
公開日 平成23年11月4日(2011.11.4)
登録日 平成26年9月5日(2014.9.5)
発明者
  • 御子柴 克彦
  • 濱田 耕造
  • 寺内 明子
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 トランスグルタミナーゼによるIP3レセプターの修飾
発明の概要 【課題】トランスグルタミナーゼ(TG)によるIP3レセプター1(IP3R1)の生物活性の調節と疾患との相関に基づく該疾患の治療剤のスクリーニング法を提供する。
【解決手段】疾患関連細胞又は疾患モデル非ヒト動物において、TG2によるIP3R1タンパク質のC末端側グルタミン残基を介するサブユニット間架橋を指標にして該架橋によって引き起こされるオートファジーと該疾患との相関関係を測定し、さらに該疾患が該IP3R1のサブユニット間架橋に起因するときにTG2の阻害剤又は活性化剤を候補薬剤として該モデル非ヒト動物に投与して治療効果を調べることを含む、疾患の治療剤をスクリーニングする方法。
【選択図】図10
従来技術、競合技術の概要



すべての神経変性疾患の共通の特徴は、折り畳みの誤りと安定な代替コンフォメーションへの変換によって生じるタンパク質封入体の異常な沈着である(Selkoe, 2004)。前記封入体タンパク質の分析により、グルタミン(Gln)残基とリジン(Lys)残基との間のイソペプチド結合による共有結合性架橋の存在が明らかにされ、並びに、アルツハイマー(Alzheimer)病、ハンチントン(Huntington)病及びパーキンソン(Parkinson)病の患者の脳脊髄液に、切断されたイソペプチド部分が増加するという事実が明示された(Jeitner et al., 2009)。イソペプチド結合の形成はトランスグルタミナーゼ(TG)によって触媒され(Iismaa et al., 2009; LorandとGraham, 2003)、その活性、発現及び量は実際、上記疾患をもつ患者で増加する(Jeitner et al., 2009; LorandとGraham, 2003)。しかしながら、神経系でのTGの役割は完全には理解されていない。





TGは、カルシウム(Ca2+)依存性酵素であり、アミド基転移や脱アミド化を含むGln残基の種々の翻訳後修飾を触媒する(Iismaa et al., 2009)。アミド基転移の結果、Nε-(γ-グルタミル)リジンイソペプチド結合を介してLys残基に架橋される。TGファミリーは、TG1~TG7やXIII因子と称される8つの酵素/酵素前駆体(zymogen)からなる(Iismaa et al., 2009)。TGによるタンパク質の修飾は、種々の生理学的役割、例えばXIII因子による血液凝固、TGによる限局された表皮形成(Candi et al., 2005; ThacherとRice, 1985)、血小板中でのセロトニン結合(Dale et al., 2002; Walther et al., 2003)、及びAT1レセプターの調節(AbdAlla et al., 2004)に関与する。多くの疾患でのTGの病理学的役割もまた示されており、セリアック病(Hovhannisyan et al., 2008)から神経変性疾患(LorandとGraham, 2003)までの範囲である。TG2は脳内に広がっており、トランス(trans)型のレチノイン酸(RA)(神経モルフォゲン)で誘導可能である。TG2プロモーター領域はRAレセプター(RAR-RXR)の結合エレメントを含む(Nagy et al., 1996)。細胞死においてTG2は双面的であるが、これはTGが細胞に対して毒性的であったり保護的であったりしうるからである。トランスジェニックマウス又はノックアウトマウスを用いた最近の研究は一貫して、TG2が脳内の神経細胞死(Battaglia et al., 2007; Tucholski et al., 2006)や胸腺細胞の生存活性(Nanda et al., 2001)に関与しうることを示している。一方、TG2はまた、癌細胞では抗アポトーシス性であるが、これはTG2が癌の化学耐性や転移能と相関するからである(Verma et al., 2006)。Huntington病のR6/1モデルマウス(Mastroberardino et al., 2002)やR6/2モデルマウス(BaileyとJohnson, 2005)でのTG2の除去は、寿命の延長や運動機能の改善と関わりがあり、R6/2マウスでのTG2の過剰発現は一貫してカイニン酸刺激に対する細胞の脆弱性を実証している。しかしながら、TG2ノックアウトマウスはポリ-Gln凝集産生の低下を示していない(BaileyとJohnson, 2005)。したがって、タンパク質封入体自体のTG2依存性架橋が原因ではないと考えられており、その機序は未知である。





脳の機能は、神経系のシグナル伝達によって調節されており、これには細胞内のCa2+ シグナル伝達が関与している(Berridge et al., 2000)。イノシトール1,4,5-トリホスフェートレセプター(IP3R)(これはER在留レセプターである。)は集合して、IP3に反応してERからCa2+を放出するテトラマーのチャネルを形成する(Foskett et al., 2007)。IP3は、種々の細胞表面レセプターの刺激によって産生される。IP3Rは構造的に3つのドメイン、すなわちIP3-結合コアと調節領域を含む大きな細胞質ドメイン、6つの膜貫通セグメントを含むチャネルドメイン、及び細胞質側の短いC末端尾部、に分けられる(Foskett et al., 2007)。IP3R1型(IP3R1)は専ら脳に存在し、長期増強 (LTP)と長期抑圧 (LTD)に関与する(Harnett et al., 2009; Nishiyama et al., 2000)。IP3R1を介するCa2+シグナル伝達及び恒常性は、細胞死や生存シグナル伝達に重要である(Berridge et al., 2000)。チトクロムc (Boehning et al., 2003)やBcl-2 (Rong et al., 2008)との相互作用は、ミトコンドリア依存性アポトーシスに関係している。最近の研究によって、IP3Rが、Bcl-2やBeclin 1との相互作用を通して(Vicencio et al., 2009)、オートファジーを調節していることが実証された(LevineとKroemer, 2008)。しかしながら、これらの調節因子がチャネル機能を制御して細胞運命を決定する正確な機序は依然としてほとんど知られていない。

産業上の利用分野



本発明は、トランスグルタミナーゼ2(「TG2」と称する)によるIP3レセプター1(「IP3R1」と称する)の修飾に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
トランスグルタミナーゼ2(TG2)及びIPレセプター1(IPR1)の生物活性をともに含む細胞を用いてそのIPR1活性を、TG2によるIPR1タンパク質のC末端側グルタミン残基を介するサブユニット間架橋又は該架橋の脱アミド化を指標にして測定することを含む、細胞でのIPR1活性の測定方法。

【請求項2】
細胞が疾患関連細胞である、請求項に記載の方法。

【請求項3】
TG2によるIPR1タンパク質のC末端側グルタミン残基を介するサブユニット間架橋を測定してIPR1修飾を検出することを含む、IPR1修飾の検出方法。

【請求項4】
TG2によるIPR1タンパク質のサブユニット間アミド基転移を介する該タンパク質のサブユニット間架橋を測定し、該架橋が検出されるときIPR1タンパク質チャネル活性が阻害されると決定することを含む、IPR1タンパク質チャネル活性のTG2阻害作用を測定する方法。

【請求項5】
TG2によるIPR1タンパク質のサブユニット間架橋の脱アミド化を測定することを含む、TG2触媒活性の測定方法。

【請求項6】
測定が、SDS含有アガロースゲル電気泳動及び特異抗体との交差反応を用いて行うことを含む、請求項又はに記載の方法。

【請求項7】
TG2によってIPR1タンパク質のC末端側グルタミン残基と一級アミン含有分子とを結合することを含む、IPR1のグルタミン残基の修飾方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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