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植物に耐塩性を付与するABCトランスポーター遺伝子 新技術説明会

国内特許コード P110005946
掲載日 2011年11月24日
出願番号 特願2011-053073
公開番号 特開2012-187041
出願日 平成23年3月10日(2011.3.10)
公開日 平成24年10月4日(2012.10.4)
発明者
  • 小林 裕和
  • アマド アフタブ
  • 丹羽 康夫
出願人
  • 静岡県公立大学法人
発明の名称 植物に耐塩性を付与するABCトランスポーター遺伝子 新技術説明会
発明の概要

【課題】塩耐性の向上している植物を提供すること
【解決手段】本発明は、AtWBC7タンパク質を過剰発現している形質転換植物細胞、その細胞を含むカルスまたは植物体を提供する。本発明において用いるAtWBC7はABCトランスポータータンパク質であり、より好ましくは配列番号:2のアミノ酸配列を有するタンパク質である。本発明の形質転換植物細胞は塩耐性を有するので、塩集積土壌の緑化、塩集積土壌における農耕などに有用である。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


植物が受ける環境ストレスには、塩、乾燥、高温、低温、空気汚染など様々なものがあるが、農業生産の観点から最も問題となっているのが塩および乾燥である。



地球上の不毛乾燥地域は、陸地の1/3までも占め、さらに6万km/年 (九州と四国を合わせて面積) ずつ増大していおり、一方、熱帯雨林は13万km/年 (北海道と九州を合わせた面積) ずつ減少している。また、地下水を用いた継続的な灌漑は、微量に含まれる塩分の土壌表層蓄積を招く場合が少なくない。これらを背景として、地球上農耕地の塩分集積化は進み、農作物が育たない塩分析出地帯の総計は、955万km2 (米国国土面積に匹敵) と推計されている。さらに、人類が放出する炭酸ガス (CO2) が原因と考えられる地球温暖化は、環境ストレスとして植生を変化させるため、熱帯雨林の地域がさらに不毛乾燥地帯となる懸念も指摘されている。



植物は、その生育に水が不可欠であり、塩分析出土壌および不毛乾燥地帯においては、植物の生育は困難である。耐塩性と耐乾性は、植物にとっては共に水の有効利用系の獲得に他ならず、植物へのこれら環境ストレス耐性の向上は、社会的意義が大きい。



従来報告されている塩耐性植物の作出や塩耐性メカニズムについての研究は、主として分化した植物体を用いて行われており、細胞レベルでの基本的生理機能に対する知見は乏しい(例えば、Tsugane, K.ら、Plant Cell., 11, 1195-1206 (1999)、国際公開WO2006/098423パンフレットなど)。この場合、形質転換植物を得るために種子を介する必要があるなど、時間的にも労力的にも効率的とはいえなかった。さらに従来の耐塩性の研究は、一方、エンハンサー配列を含むT-DNAを用いたアクティベーション・タギング法は、通常、種子の形態を介して系統を維持するため、その研究の労力は膨大となる。本発明者らは、これら両観点を考慮して、モデル実験植物シロイヌナズナの脱分化カルスとアクティべーション・タギング(後藤新悟等、蛋白質核酸酵素 Vol.50 No.14、p.1921-1922 (2005))を組合わせて用いるスクリーニング方法を開発した(特開2008-220303)。

産業上の利用分野


本発明は、植物の塩ストレス耐性を向上させるポリヌクレオチド、および、このポリヌクレオチドを導入した形質転換植物細胞、カルス、植物体などに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
AtWBC7タンパク質を過剰発現している形質転換植物細胞。

【請求項2】
前記AtWBC7タンパク質が、以下:
(A) 配列番号:2のアミノ酸配列を含むポリペプチド、
(B) 配列番号:2のアミノ酸配列において1~9個のアミノ酸基の欠失、挿入、置換および/もしくは付加を含むアミノ酸配列であって、植物細胞の塩耐性を向上させるポリペプチド、または
(C) 配列番号:2のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ植物細胞の塩耐性を向上させるポリペプチド
を含む、請求項1に記載の植物細胞。

【請求項3】
前記AtWBC7タンパク質が配列番号:2のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む、請求項1に記載の植物細胞。

【請求項4】
前記AtWBC7タンパク質が、以下の(a)~(f)のいずれかのポリヌクレオチドによってコードされる、請求項1に記載の植物細胞:
(a) 配列番号:1もしくは3のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド;
(b) 配列番号:2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド;
(c) 配列番号:2のアミノ酸配列において、1~9個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなり、かつ植物細胞の塩耐性を向上させるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド;
(d) 配列番号:2のアミノ酸配列からなるタンパク質と80%以上の同一性を有し、かつ植物細胞の塩耐性を向上させるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(e) 配列番号:1または3のヌクレオチド配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ植物細胞の塩耐性を向上させるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;及び
(f) 配列番号:1または3の塩基配列からなるポリヌクレオチドと80%以上の相同性を有し、かつ植物細胞の塩耐性を向上させるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。

【請求項5】
前記AtWBC7タンパク質が、以下の(g)~(l)のいずれかのポリヌクレオチドによってコードされる、請求項1に記載の植物細胞:
(g) 配列番号:1のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド;
(h) 配列番号:2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(i) 配列番号:2のアミノ酸配列において1~9個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなり、かつ植物細胞の塩耐性を向上させるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(j) 配列番号:2のアミノ酸配列からなるタンパク質と80%以上の相同性を有し、かつ植物細胞の塩耐性を向上させるタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
(k) 配列番号:1のヌクレオチド配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ植物細胞の塩耐性を向上させるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;及び
(l) 配列番号:1のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと80%以上の相同性を有し、かつ植物細胞の塩耐性を向上させるタンパク質をコードするポリヌクレオチド。

【請求項6】
請求項1~5に記載の植物細胞より誘導されるカルス。

【請求項7】
請求項1~5に記載の植物細胞または請求項6に記載のカルスより誘導される、形質転換植物体。

【請求項8】
請求項7に記載の植物体の子孫またはクローンである、形質転換植物体。

【請求項9】
下記(a)~(f)のいずれかのポリヌクレオチドを植物細胞に導入することによって、植物細胞の塩耐性を向上させる、方法:
(a) 配列番号:1または3のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド;
(b) 配列番号:2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド;
(c) 配列番号:2のアミノ酸配列において、1~9個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなり、かつ植物細胞の塩耐性を向上させるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(d) 配列番号:2のアミノ酸配列からなるタンパク質と80%以上の同一性を有し、かつ植物細胞の塩耐性を向上させるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(e) 配列番号:1または3のヌクレオチド配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ植物細胞の塩耐性を向上させるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド;及び
(f) 配列番号:1または3のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドと80%以上の相同性を有し、かつ植物細胞の塩耐性を向上させるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド。
産業区分
  • 液体燃料・油脂
  • 農林
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 審査請求前
参考情報 (研究プロジェクト等) 4-試薬開発
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