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医療用骨補填材およびその製造方法 外国出願あり

国内特許コード P110005958
整理番号 QP04F04-JP
掲載日 2011年11月28日
出願番号 特願2005-507258
登録番号 特許第4854300号
出願日 平成16年6月22日(2004.6.22)
登録日 平成23年11月4日(2011.11.4)
国際出願番号 JP2004008738
国際公開番号 WO2004112856
国際出願日 平成16年6月22日(2004.6.22)
国際公開日 平成16年12月29日(2004.12.29)
優先権データ
  • 特願2003-179257 (2003.6.24) JP
発明者
  • 石川 邦夫
  • 松家 茂樹
  • 中川 雅晴
  • 有働 公一
出願人
  • 国立大学法人九州大学
発明の名称 医療用骨補填材およびその製造方法 外国出願あり
発明の概要

1)組織為害性を示さない、2)骨伝導性を示す、3)骨と置換する、4)骨補填術式に必要な機械的強さを有するという全ての所要性質を満足する医療用骨補填材を提供する。 実質的に粉末を含まないカルシウム化合物のブロックと、リン酸塩を含有する溶液の少なくとも一方が炭酸基を含有しており、カルシウム化合物ブロックとリン酸塩溶液を接触させて炭酸アパタイトを生成させるが、焼結を行わないことによって炭酸アパタイトを主成分とする医療用骨補填材を製造する。カルシウム化合物のブロックは、好ましくは、人工的に合成したカルシウム化合物を用いて製造したものであり、特に好ましくはフォーム状カルシウム化合物である。

従来技術、競合技術の概要

医科および歯科においては病的原因あるいは外傷により骨欠損を再建あるいは再生する症例に遭遇する場合が多い。骨欠損再建の第一選択は自家骨移植であるが、自家骨採取に伴う健全部位への侵襲、採取できる骨量や骨形態の制限などの問題がある。そのため、人工的に製造された骨補填材が臨床応用されている。


医療用骨補填材は、1)組織為害性を示さない、2)骨伝導性を示す、3)骨と置換する、4)骨補填術式に必要な機械的強さを有するという諸特性を兼備することが望まれる。組織為害性を示さないことは生体材料の必須要件であり、組織為害性は実験動物に骨補填材のインプラントを行い肉眼的にあるいは病理組織的に炎症所見が得られるかどうかで判断される。また、骨補填材の機械的強さが小さくて骨再建術式において骨補填材の一部が崩れ粉末として骨欠損内部に残留する場合にも結晶性炎症が惹起され、骨補填材の機械的強さは組織為害性にも影響を及ぼす。骨伝導性とは、骨欠損部に補填した場合に母床骨から骨組織が新生し、骨補填材を覆う性質である。骨補填材にとって骨伝導性は極めて重要な要因であり、骨伝導性の有無は実験動物に骨補填材のインプラントを行い、病理組織学的に判断される。また一般的に骨芽細胞を骨補填材表面で培養すると骨芽細胞の分化が促進される材料は骨伝導性材料であることが知られている。


骨補填材にとって骨との置換は極めて有用な性質である。骨補填材が骨と置換するにはリモデリングのように破骨細胞による吸収過程と骨芽細胞による骨形成過程が進行することが理想である。骨補填材の骨との置換は、実験動物に骨補填材のインプラントを行い、病理組織学的に判断する。しかし、実験動物を用いた骨置換の有無の判断に関しては相当の実験期間が必要となる。また骨伝導性材料の場合、破骨細胞により吸収が進行すれば当該材料は原理的に骨と置換されるため、破骨細胞を材料表面に播種、培養し、破骨細胞が材料表面に吸収窩を形成するか否かで骨置換の有無が確認されている。骨補填材にとって、骨再建術式に必要な機械的強さを有することも重要である。骨再建術式に必要な機械的強さは必ずしも限定されないが、当然、インプラント術式に耐えうる機械的強さを有することは必須条件である。


現在、骨補填材として最も検討されている材料は、ハイドロキシアパタイトである。ヒトを含めた脊椎動物の骨や歯などの硬組織の無機主成分はハイドロキシアパタイト{Ca10(PO(OH)}を基本組成とするアパタイトであるためハイドロキシアパタイト粉末を化学的に合成し、ハイドロキシアパタイト粉末を焼結したハイドロキシアパタイト焼結体が骨補填材としては臨床応用されている。ハイドロキシアパタイト焼結体は骨伝導性を示すために極めて有用な骨補填材であるが、骨欠損部で経時的にも吸収されることはなく非吸収性材料である。骨には造血作用などの生物学的機能があり、理想的には骨と置換する骨補填材が望まれている。


そのために生体内吸収性材料であるβ型リン酸三カルシウムや硫酸カルシウム、炭酸カルシウム等が骨補填材として臨床応用されているが、これらの材料は生体内吸収性を示すものの骨伝導性がない、あるいは、骨伝導速度がハイドロキシアパタイト焼結体と比較して小さい。また、β型リン酸三カルシウムや硫酸カルシウム、炭酸カルシウムなどの生体内吸収性材料の吸収機序は物理化学的溶解や異物巨細胞による吸収であるため骨芽細胞による骨形成とリンクしていない。そのため骨欠損部が大きい場合や老齢等の原因により骨形成能力に劣る骨欠損部の場合は十分な骨形成の前に骨吸収が進行し、その結果、骨補填材が骨に置換する前に消失して骨欠損部が繊維性結合組織で再建されてしまう。


自家骨移植の場合に移植骨が骨と置換するのは生体骨のリモデリングと同様の機序である。すなわち、破骨細胞により骨が吸収され、骨芽細胞により骨が形成される。ハイドロキシアパタイト焼結体は骨伝導性を示し、骨芽細胞により骨が形成されるプロセスは進行しているものの、破骨細胞により吸収されないため骨と置換しない。破骨細胞による吸収は破骨細胞がハウシップ窩を形成しハウシップ窩内部を低pHに誘導することにより骨のアパタイトを溶解して行われる。骨のアパタイトは炭酸基を含有する炭酸アパタイトであるため破骨細胞が形成する低pH環境で溶解されるが、ハイドロキシアパタイト焼結体は炭酸基を含有しないため破骨細胞が形成する低pH環境で溶解されない。すなわち骨補填材として現在臨床応用されているハイドロキシアパタイト焼結体が骨と置換しない一つの理由は炭酸アパタイトでないことに起因していると考えられる。


したがって、炭酸アパタイトを用いることによって理想的な骨補填材が得られるものと期待される。しかし、医療用骨補填材として実用に供することのできる炭酸アパタイトを製造する技術は未だ見出されていない。すなわち、炭酸アパタイトについては、従来より、生体関連物質等の吸着材ないしは担体としての用途は知られており、この他に、歯や骨の修復材としての用途も提示されているが〔例えば、特開平7-61861号公報(特許文献1)、特開平10-36106号公報(特許文献2)、特開平11-180705号公報(特許文献3)など〕、後者の用途は、歯や骨の欠損部位に単に充填する目的で使用されるに過ぎず、組織為害性を示さず炎症を起こさないことや骨と置換する等の医療用骨補填材としての必須の条件を満たすような炭酸アパタイトを主成分とする材料は未だ開発されていない。

【特許文献1】特開平7-61861号公報
【特許文献2】特開平10-36106号公報
【特許文献3】特開平11-180705号公報

産業上の利用分野

本発明は、医療用骨補填材およびその製造方法に係り、特に生体硬組織の再生あるいは再建に用いられる骨補填材に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】 実質的に粉末を含まないカルシウム化合物のブロックと、リン酸塩を含有する溶液の、少なくとも一方が炭酸基を含有しており、前記カルシウム化合物ブロックと前記リン酸塩溶液を接触させて炭酸アパタイトを生成させるが、焼結を行わないことを特徴とする、炭酸アパタイトを主成分とする医療用骨補填材の製造方法。
【請求項2】 カルシウム化合物のブロックが、人工的に合成したカルシウム化合物を用いて製造したものであることを特徴とする、請求項1に記載の医療用骨補填材の製造方法。
【請求項3】 人工的に合成したカルシウム化合物を用いて製造したカルシウム化合物ブロックが、フォーム状カルシウム化合物であることを特徴とする請求項2に記載の医療用骨補填材の製造方法。
産業区分
  • 治療衛生
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
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