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酸化チタン含有ナノ構造体被覆型構造物及びその製造方法

国内特許コード P110005991
整理番号 QP080175
掲載日 2011年11月28日
出願番号 特願2009-006563
公開番号 特開2010-163314
登録番号 特許第5203231号
出願日 平成21年1月15日(2009.1.15)
公開日 平成22年7月29日(2010.7.29)
登録日 平成25年2月22日(2013.2.22)
発明者
  • 金 仁華
  • 君塚 信夫
  • 副島 哲朗
出願人
  • 国立大学法人九州大学
  • 一般財団法人川村理化学研究所
発明の名称 酸化チタン含有ナノ構造体被覆型構造物及びその製造方法
発明の概要

【課題】 任意形状の固体基材表面が酸化チタンのナノ構造体で緻密に被覆されている構造物、及び該構造物の簡便且つ効率的な製造方法を提供すること。
【解決手段】 硫酸チタニルと水と過酸化水素と強酸とを混合してpHを1.3以下の水溶液を得る工程、塩基性化合物を加えてpHを1.64~1.67に調整する工程、固体基材を浸漬し、60~95℃に加温して該固体基材表面を酸化チタン含有ナノ構造体で被覆する工程、固体基材を浸漬したまま水溶液を20~30℃に冷却した後、酸化チタン含有ナノ構造体で被覆された固体基材を取り出し、該表面を洗浄し乾燥する工程、とを有することを特徴とする、酸化チタン含有ナノ構造体被覆型構造物の製造方法、及びこれで得られる構造物。
【選択図】 図7

従来技術、競合技術の概要


酸化チタンは白色顔料として古くから利用されてきたが、近年ではその高い屈折率に基づく光の反射・屈折現象を利用して、化粧料、干渉顔料等にも幅広く使用されており、フォトニック結晶の構成材料としての期待も高い。また、光触媒又は色素増感電荷分離機能では、酸化チタンは群を抜いた触媒材料であり、物質の光分解、水素製造触媒、酸化反応を利用した浄化、殺菌、抗菌、防臭システム等への応用から、エネルギー変換用の太陽電池、燃料電池への応用まで、幅広い分野と関連する。即ち、酸化チタンは日常生活から産業活動の全般まで応用されうる材料である。



酸化チタンは一般的にチタン化合物の加水分解を経由して製造されることになるが、ほとんどの初期製造物は粉末状態である。従って、具体的に使用する際には、その粉末状酸化チタンを固体表面にコーティングしたり焼き付けしたりするなど、多くのプロセスが要求される。光触媒または太陽電池などへの応用でも、例外なくこのようなプロセスを経て酸化チタンの製品が作られている。



粉末状酸化チタンを経由せずに、溶液中での金属酸化物の沈殿手法を駆使することで、溶液中の酸化チタンソースを固体表面で析出させ、簡便に酸化チタン皮膜を形成させる技術も開発されている(例えば、非特許文献1~3参照。)。これは、通常基材表面にいわゆる自己組織化単分子膜(SAMs)を形成させ、その基材をチタンソース液中にディッピングすることで、酸化チタン結晶がそのSAMsに吸着する過程を経て、酸化チタン被膜を形成させる方法である。この技術では固体基材としてプラスチックまたはシリコンウェハなどを用いることができるが、いずれの場合でも、当該固体基材表面に化学官能基、例えば-SOH、-COOH、-OH、-NHなどを密に植え付けることが必要である。これらの官能基がナノサイズの酸化チタンの核として結晶成長を促進させ、結果的に酸化チタンのナノ結晶の連続膜を形成させるものである。



これらの手法で形成される酸化チタン被膜は、あくまでも酸化チタン結晶そのものの連続膜であって、特殊階層構造の酸化チタン薄膜を形成するものではない。



酸化チタンの複雑階層のナノ構造を基材表面の被膜層として形成させることも検討されている。例えば、一次元に成長したナノサイズの酸化チタンを基板に固定化した構造であるナノ芝、ナノワイヤーアレイなどがその代表例である(例えば、非特許文献4~6参照。)。しかし、これらの製造プロセスでは、気相下での合成、または液相合成での多孔性アルミナメンブレンの使用、または200℃近くの高温での水熱合成法など、全体工程が煩雑であり、使用可能な固体基材が限定されるなど、工業化には不向きである。



温和な条件下、例えば100℃以下の水溶液中、1次元酸化チタンのナノ構造体を固体基材に並べたような芝状被膜を作製するには、まずその条件下での1次元構造の酸化チタンの形成法、及びそれの規則的配列法が揃わなければならない。1次元構造の酸化チタンを形成するには、その前駆体チタン化合物の選定が重要である。硫酸チタニル(TiOSO)の加水分解反応では、ナノファイバー状の1次元酸化チタンのナノ構造体を形成しやすい。この現象を利用して、固体基板上での酸化チタン薄膜の作製法が検討されている。例えば、硫酸チタニルを塩酸水溶液中に溶解させ、その液中にガラス、プラスチックなどを浸漬し、60℃下1~10日間保持させることで、固体基材表面に針状の酸化チタンの配列からなる薄膜を作製することができると提案されている(例えば、非特許文献7参照。)。しかしながら、前記非特許文献7の方法では、ルチル型酸化チタンまたはアナターゼ型酸化チタンの針状構造体が並ぶ様な薄膜はできるが、膜そのものには多くのクラックが発生しやすく、大面積で安定な酸化チタン被膜を得ることができるものではない。



また、硫酸チタニルを過酸化水素、塩酸または硝酸中に溶解させ、それのpH値を1.62以下にし、その液中に基材を浸漬し、80℃で24時間保持することで、ルチル型酸化チタンをリッチにした土台層に針状表面を有する球状のアナターゼ型酸化チタンの粒が点在したような被膜が形成できることが知られている(例えば、非特許文献8参照。)。しかしながら、前記非特許文献8の方法で得られる構造物は、酸化チタンの薄膜と言えるものではなく、固体基材の表面に酸化チタンのナノ構造体が無規則に析出したに過ぎない。従って、大面積であっても欠陥がない緻密なナノ構造体からなる酸化チタン被膜を簡便かつ高効率的に構築することは依然挑戦的な課題である。

産業上の利用分野


本発明は、任意形状の固体基材表面が酸化チタンで緻密に被覆されていることを特徴とする酸化チタン含有ナノ構造体被覆型構造物、及び該構造物の製造方法に関する。より詳しくは、任意形状の固体基材表面にナノメートルの厚みであるアナターゼ型酸化チタンを主構成成分とする土台層に、ナノファイバー状のルチル型酸化チタンが緻密に並ぶことを特徴とするナノ構造体被覆型構造物、及び該構造物の製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
(1)硫酸チタニルと水と過酸化水素と、塩酸、硝酸及び硫酸からなる群から選ばれる一種以上の強酸(i)とを混合して、pHを1.3以下の水溶液を得る工程、
(2)工程(1)で得られた水溶液に塩基性化合物(ii)を加えてpHを1.64~1.67に調整する工程、
(3)工程(2)で得られた水溶液に固体基材(X)を浸漬し、60~95℃で3~30時間加温して該固体基材(X)表面を酸化チタン含有ナノ構造体(Y)で被覆する工程、
(4)固体基材(X)を浸漬したまま水溶液を20~30℃に冷却した後、酸化チタン含有ナノ構造体(Y)で被覆された固体基材(X)を取り出し、該表面を乾燥する工程、
とを有することを特徴とする、酸化チタン含有ナノ構造体被覆型構造物の製造方法。

【請求項2】
前記工程(2)で用いる塩基性化合物(ii)が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩、アンモニア水及び有機アミン化合物からなる群から選ばれる一種以上の塩基性化合物である請求項1記載の製造方法。

【請求項3】
固体基材(X)の表面が酸化チタン含有ナノ構造体(Y)で被覆された酸化チタン含有ナノ構造体被覆型構造物であって、
該酸化チタン含有ナノ構造体(Y)が、アナターゼ型酸化チタンを主構成成分とする土台層(a)と、該土台層(a)上に、ルチル型酸化チタンを主構成成分とするナノファイバーがファイバー構造を維持したまま立ち並ぶ芝層(b)とからなり、且つ前記土台層(a)が固体基材(X)に接合したものであることを特徴とする、酸化チタン含有ナノ構造体被覆型構造物。

【請求項4】
前記土台層(a)がアナターゼ型酸化チタンを主構成成分とするナノ粒子の堆積物であって、その厚みが10~100nmである請求項記載の構造物。

【請求項5】
前記芝層(b)を形成するナノファイバーの太さが2~30nm、長さが50~600nmである請求項又は記載の構造物。
産業区分
  • 無機化合物
  • その他機械要素
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2009006563thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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