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連続相中に分散相が微分散した組成物の製造方法およびその装置 新技術説明会 外国出願あり

国内特許コード P110005994
整理番号 QP080213
掲載日 2011年11月28日
出願番号 特願2009-276136
公開番号 特開2011-115730
登録番号 特許第4803508号
出願日 平成21年12月4日(2009.12.4)
公開日 平成23年6月16日(2011.6.16)
登録日 平成23年8月19日(2011.8.19)
発明者
  • 下田 満哉
出願人
  • 国立大学法人九州大学
発明の名称 連続相中に分散相が微分散した組成物の製造方法およびその装置 新技術説明会 外国出願あり
発明の概要

【課題】生産効率に優れ、かつ連続相に分散相が低多分散度で微分散した組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】(A)円周面の一部または全部が多孔質膜で構成される円筒体内に、連続相液体の旋回流を流す工程、および(B)前記多孔質膜を介して、分散相流体を前記旋回流に供給する工程を含む方法にて前記組成物を製造する。円筒体が一方の端近傍の円周面に連続相液体の流入口と、前記流入口から前記円筒体の軸に対して略垂直かつ前記円筒体の接線方向に延びる導入管とを有し、前記(A)工程が、前記導入管を用いて、前記円筒体の軸に対して略垂直であってかつ前記円筒体の内壁面の接線方向から前記連続相液体を流入して行う工程であることが好ましい。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


連続相中に分散相が微分散した組成物として、連続相液体に分散相液体が微分散したエマルションや、連続相液体に分散相気体が微分散したマイクロバブル組成物が知られている。従来、エマルションは、連続相となるべき液体に分散相となるべき液体および界面活性剤などの乳化剤を添加して混合液とし、この混合液を機械的に撹拌して分散相を微細化することにより製造されてきた。機械的な混合を行う具体的手段としては、撹拌機、ホモジナイザー、コロイドミルが知られている。また、前記混合液に超音波を照射して、キャビテーションを発生させて分散相を微細化する方法も利用されている。



しかしながら、これらの方法で製造されるエマルションは、分散相粒子の粒子径が不均一であった。一般に、分散相液体の連続相液体に対する溶解度は分散相表面の曲率に依存し、次のThompson-Freundlichの式で表される。



RT ln(Ca/C∞)=(2γ/a)・(M/ρ)
式中、aは分散相粒子の半径、Caは半径aの分散相粒子の溶解度、C∞はフラットな界面近傍における分散相液体の溶解度、γは界面張力、Mは分散相液体の分子量、ρは分散相液体の密度、Rは気体常数、Tは絶対温度を表す。



すなわち、この式から、分散相粒子の粒子径が小さいほど分散相の連続相への溶解度が増加し、分散相粒子の粒子径が大きいほど分散相の連続相への溶解度が減少することが明らかである。このため分散相粒子の粒子径が不均一の場合、連続相に溶解した分散相の分子(溶解分子)が小さい分散相粒子近傍に存在すると、この溶解分子は連続相を拡散移動して大きな分散相粒子に吸収される。その結果、小さい分散相粒子は次第に小さくなり、大きな分散相粒子はさらに大きくなる。このエマルションが不安定化する現象はオストワルド熟成とも呼ばれる。もし分散相粒子の粒子径を均一に制御することができれば、個々の分散相粒子の連続相に対する溶解度はほとんど同程度となるので、オストワルド熟成によるエマルションの不安定化を防止することができる。



また、エマルションは食品、化粧品、化学製品、医薬品において広く利用されており、用途に応じて分散相粒子の粒子径を変化させる必要がある。しかしながら従来の製造方法では粒子径を精度よく制御することが困難であった。特に分散相に重合性モノマーを含むエマルションは、重合開始剤の存在下で分散相をそのまま重合させる懸濁重合法の原料として重要である。懸濁重合法においては、所望の粒子径のポリマー微粒子を均一な粒子径で得たいという要求が特に強いが、従来のエマルション製造技術ではこの要求を満足することは困難であった。



上記の問題点を解決するために、均一な微細孔を有する多孔質膜を通して分散相を連続相となるべき液体中に圧入するエマルションの製造方法が提案されている(特許文献1:特開2003-270849、特許文献2:特開平2-95433)。この膜乳化法では、多孔質膜の細孔径を選択することにより、ほぼ均一な大きさの所望の粒子径の分散相が得られるとされる。例えば特許文献1に記載の方法では、平均粒子径が4~15μmであって多分散度の指標であるD25/D75が1.02~1.40のトナーが得られる(明細書段落0028)。これら特許文献1および2に記載の方法においては、円周面が多孔質膜からなる円筒体を用い、その円筒体内に連続相液体を円筒体の軸に平行に流す(以下「軸流方式」ともいう)。この際の連続相液体の流速は0.5~2m/s程度である(例えば特許文献2明細書196頁左上欄11行)。この方法における単位時間当たりの分散相液体の処理量(以下「供給速度(m/m・h)」ともいう)は、特許文献1明細書0024によれば膜面積1mあたり50~1000ml/分(3~60×10-3[m/m・h])である。つまり、軸流方式では分散相液体の供給速度が10-3オーダーのレベルと低く、実用化に十分なレベルではなかった。さらに、軸流方式においては、これ以上供給速度を向上させると均一な粒子径の分散相粒子が得られない、つまり多分散度が高くなるという問題があった。



これに対し、非特許文献1、2には、分散相液体の供給速度を高めてエマルションを効率よく製造するための方法が提案されている。具体的に非特許文献1、2は、非対称構造の多孔質ガラス膜を用いた、分散相液体の供給速度を10-2オーダーに向上させたエマルションの製造方法を開示する(非特許文献1:Journal of Membrane Science, vol.299(2007),190-199、非特許文献2:第1回 工・農連携を進める講演会資料、宮崎県工業技術センター 久木崎 雅人「多孔質ガラス膜の調製と単分散エマルションおよびナノバブルへの応用」)。多孔質膜が分散相液体により濡れやすいと、多孔質膜表面に生成した分散相粒子が多孔質膜から遊離しにくいので分散相液体の供給速度を上げることができない。しかし、非特許文献1、2に記載の方法では、非対称構造の多孔質ガラス膜を用いるので連続相液体が非対称構造の多孔質ガラス膜を逆に通過できる。このため、膜が分散相液体によって濡れにくくなり、分散相粒子が多孔質膜から遊離しやすく、分散相液体の供給速度が向上したとされる。

産業上の利用分野


本発明は、連続相中に分散相が微分散した組成物の製造方法およびその装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
(A)円周面の一部または全部が多孔質膜で構成される円筒体内に、連続相液体の旋回流を流す工程、
B1)前記多孔質膜を介して分散相流体を前記旋回流に供給して多孔質膜上に分散相粒子を形成する工程、および
(B2)前記多孔質膜上に形成された分散相粒子を、前記旋回流の剪断力によって離脱させる工程を含む、
連続相中に分散相が微分散している組成物の製造方法。

【請求項2】
得られる組成物が、以下の式(1)で定義される、0.2~1.5のスパン:
スパン=(d90-d10)/d50 ・・・(1)
10:分散相粒子の積算分布10%における粒子径
90:分散相粒子の積算分布90%における粒子径
50:分散相粒子の積算分布50%における粒子径
を有する、請求項1に記載の製造方法。

【請求項3】
前記円筒体が、一方の端近傍の円周面に連続相液体の流入口と、前記流入口から前記円筒体の軸に対して略垂直かつ前記円筒体の接線方向に延びる導入管とを有し、
前記(A)工程が、前記導入管を用いて、前記円筒体の軸に対して略垂直であってかつ前記円筒体の内壁面の接線方向から前記連続相液体を流入することにより、旋回流を流す工程である、請求項1記載の製造方法。

【請求項4】
前記導入管内の連続相液体の流量を前記導入管の内径断面積で除した値として定義される流入線速度が1~40m/sである、請求項記載の製造方法。

【請求項5】
前記円筒体の内径断面積をS1、前記導入管の内径断面積をS2とするとき、面積比S1/S2が4~64である、請求項記載の製造方法。

【請求項6】
前記円筒体の内径をX1、前記導入管の断面が円でありその内径をX2とするとき、内径比X1/X2が2~8である、請求項記載の製造方法。

【請求項7】
前記円筒体の内径をX1とし、前記円筒体がもう一方の端の断面に組成物を排出するための円形の排出口を有し、当該排出口の内径をX0とするとき、内径比X1/X0が1~5である、請求項記載の製造方法。

【請求項8】
前記連続相液体が水系液体であり、前記分散相流体が油系液体であり、得られる組成物がO/W型エマルションである、請求項1記載の製造方法。

【請求項9】
前記連続相液体が油系液体であり、前記分散相流体が水系液体であり、得られる組成物がW/O型エマルションである、請求項1記載の製造方法。

【請求項10】
前記連続相液体が油系液体であり、前記分散相流体が気体であり、得られる組成物が連続相中に気体が微分散したマイクロバブル組成物である、請求項1記載の製造方法。

【請求項11】
)円周面の一部または全部が多孔質膜で構成される円筒体内に、連続相液体の旋回流を流す工程、
E1)前記多孔質膜を介して重合性モノマーを含む分散相液体を前記旋回流に供給して多孔質膜上に分散相粒子を形成する工程、
(E2)前記多孔質膜上に形成された分散相粒子を、前記旋回流の剪断力によって離脱させる工程、
)前記連続相中に前記分散相が微分散した重合性組成物を得る工程、および
)前記重合性組成物を重合する工程を含む、
ポリマー微粒子の製造方法。

【請求項12】
前記円筒体が、一方の端近傍の円周面に連続相液体の流入口と、前記流入口から前記円筒体の軸に対して略垂直かつ前記円筒体の接線方向に延びる導入管とを有し、
前記(D)工程が、前記導入管を用いて、前記円筒体の軸に対して略垂直であってかつ前記円筒体の内壁面の接線方向から前記連続相液体を流入して旋回流を流す工程である、請求項11記載の製造方法。

【請求項13】
円周面の一部または全部が多孔質膜で構成される円筒体であって、一方の端近傍の円周面に連続相液体の流入口およびもう一方の端の断面に連続相中に分散相が微分散した組成物の排出口を有する円筒体、
前記円筒体の円周面の外側に設けられた分散相流体貯留部、
前記分散相流体貯留部から分散相流体を前記円筒体内に供給するための供給手段、ならびに
連続相液体を前記円筒体の軸に略垂直かつ内壁面の接線方向から流入して旋回流を発生させ、当該旋回流の剪断力によって前記多孔質膜上に形成された分散相粒子を離脱できるように、前記流入口に接続され、前記円筒体の軸に対して略垂直かつ前記円筒体の接線方向に延びる導入管、
を具備する、前記組成物の製造装置。

【請求項14】
前記円筒体の内径断面積をS1、前記導入管の内径断面積をS2とするとき、面積比S1/S2が4~64である、請求項13記載の装置。

【請求項15】
前記円筒体の内径をX1、前記導入管の断面が円でありその内径をX2とするとき、内径比X1/X2が2~8である、請求項13記載の装置。

【請求項16】
前記円筒体の内径をX1とし、前記排出口が円形であってその内径をX0とするとき、内径比X1/X0が1~5である、請求項13記載の装置。
産業区分
  • 混合分離
  • 処理操作
  • 高分子化合物
  • 薬品
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2009276136thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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