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光学的植生指数センサ

国内特許コード P110006003
整理番号 QP090171
掲載日 2011年11月28日
出願番号 特願2010-028734
公開番号 特開2011-133451
登録番号 特許第5410323号
出願日 平成22年2月12日(2010.2.12)
公開日 平成23年7月7日(2011.7.7)
登録日 平成25年11月15日(2013.11.15)
優先権データ
  • 特願2009-269733 (2009.11.27) JP
発明者
  • 久米 篤
出願人
  • 国立大学法人九州大学
発明の名称 光学的植生指数センサ
発明の概要

【課題】植生の内外で同時測定する必要がなく、年間を通して連続して安定した測定を行うことができ、安価で小型、軽量で出力が大きい光学的植生指数センサを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の光学的植生指数センサは、葉又は葉群を透過した透過放射を受光すると、400nm~700nmの放射に対して分光特性の補正を行い、光電変換して光合成有効放射度または光合成光量子束密度の何れかを示すPAR出力として出力するPARセンサ2と、受光した放射に対して700nm~1000nmの放射を取出し、光電変換してPAR出力と共通する単位の放射度または光量子束密度の何れかを示すIR出力を出力できるIRセンサ3と、IR出力の積算値をPAR出力の積算値で割って比を算出し、該比に対応した葉面積指数を求める演算部5を備えたことを主な特徴とする。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


葉面積指数(LAI;Leaf Area Index)とは、単位水平面積当りのその上部の植生のすべての葉の片側の面積の合計を示す指標値のことである。例えば1mの地面上に存在する葉の総面積が2mであれば、LAI=2であり、つまり葉を地面に隙間なく並べたとき2枚重なるということを意味する。通常の森林植生の葉面積指数は3~7程度である。また、光合成有効放射吸収率(fAPAR)は、植生の光合成器官によって吸収された光合成有効放射(PAR;Photosynthetic Active Radiation)の吸収前後の比率を示す指標値のことである。例えば、林冠上のPARが2000μmol/m2/sで、同時刻の林床のPARが50μmol/m2/sであれば、fAPARは0.975となる。



葉面積指数は、植生機能を評価するための重要なパラメータであり、光合成有効放射の吸収、光合成・蒸散量や、植生の炭素吸収能力を示す重要な指標として、農業、森林科学や生態学・地球環境科学などで広く用いられている。しかし、その光学的葉面積指数センサの開発は遅れており、また、植生による光合成有効放射吸収率を外部との比較測定無しに測定できる光合成有効放射吸収率センサは今まで開発されていない。



ところで、葉面積指数は伐採を行うことによって直接測定することができるものである。刈り取り法あるいはサンプリング法は、単位地表面積上に存在する全ての葉を刈り取り、その総面積を求めることでこれを得る。この方法は原理的に正確になるが、植生を伐採し、結果として測定対象の植生を完全に破壊することになる。人的労力の負担が大きく、実際に実施するのは難しい。



一方、葉面積指数の測定のために光学的性質を利用する方法も提案されている。従来から植生に入射した太陽放射は放射量が次第に減衰することが知られている。しかし、赤色放射(R:波長域650~700nm)は葉群を通る間に減衰するが、短波長側の近赤外放射(FR:波長域700~800nm)はこれを通ってもあまり減衰しない。このような分光吸収特性が起きる原因を考えると、光合成に有効な光合成有効放射(PAR)と呼ばれる400nmから700nmの波長領域の放射が葉群を通過するとき、葉はほぼ黒体として機能し、総面積で放射が吸収されることが主因であると考えられる。そこで、この葉の分光吸収特性を利用して葉面積指数を推定する方法が考えられる。



例えば、植生下で魚眼レンズと電子式撮像素子を用いて、近赤外放射と赤色放射とのそれぞれについて、露出時間を複数種類に変えて植生内の所定領域の画像を撮影し、この所定領域を細分した細分領域毎に近赤外放射と赤色放射のそれぞれについて輝度値を求め、この細分領域毎の近赤外放射と赤色放射との輝度値比を求めて、輝度値比を用いて相対日射量を推定し、葉面積指数を求める技術が提案されている(特許文献1参照)。撮像した画像を画像処理することにより葉面積指数を推定する。ナローバンドの植生透過放射の放射輝度の比の空間分布を求めて葉面積指数の推定を行うものである。



また、従来、植生を通過した赤色放射(波長675nm)と近赤外線放射(波長800nm)の分光強度比(=800/675)が葉量の増加に伴って増加することも従来開示されている(非特許文献1参照)。ナローバンドの分光強度比の測定によって葉面積指数を求めようとするものである。



この非特許文献1には、葉面積指数Xと分光強度比Y(=800/675)との間には相関関係があり、logY=0.3813+0.0989Xという関係を有することが報告されている。また、葉緑素xmg/mと分光強度比Yとの間にlogY=0.3813+0.0002908xの関係があると予測されている。上述したように光合成に有効な放射はPAR(400nmから700nmの波長領域の放射)であり、葉緑素量は葉の総量にほぼ比例するから、分光強度比Y(=800/675)が大きくなったときは放射がこの葉群を通過する間に葉によって吸収され光合成が活発に行われたことを示唆している。



さらに、今まで実用化されている光学的葉面積指数センサの一例を挙げると、米国のLI-COR社による全天をリング状に光学的に5分割して測光するプラントキャノピーアナライザーがある。この技術は、近赤外線放射は利用せず、青色放射(320~490nm)のセンサを利用したナローバンドの透過放射の空間分布を測定して葉面積指数を求めるものである。



また、林内のPAR平面分布を測定し、その測定値の変動量からLAIを推定する手法も実用化されている(非特許文献2参照)。この技術は、晴天日にPARセンサを移動させながら測定し、PAR強度分布から葉の密集度などを推定して葉面積指数を求めるものである。



次に、以上説明したような透過放射ではなく、反射放射を使ったリモートセンシングも提案されている。森林からの太陽放射の反射放射を人工衛星で測定し、次のような植生指標(Normalized Differential Vegetation Index,NDVI)を用いて葉面積指数を推定するものである。ここで、NIRを近赤外波長帯反射率、REDを可視赤色波長帯反射率とすると、NDVI=(NIR-RED)/(NIR+RED)と表わされる。LANDSAT-TMデータの場合、4バンド(NIR)の波長は760nm~900nmであり、3バンド(RED)の波長は630nm~690nmである。従って、NDVIはナローバンドの反射放射の反射率による葉面積指数の指標ということができる。

産業上の利用分野


本発明は、植生の単位地表面積当たりの植物の葉の量(葉面積指数)または光合成有効放射吸収率を光学的にかつ非破壊的に測定する光学的植生指数センサに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
葉又は葉群を透過した透過放射を受光すると、400nm~700nmの可視放射領域の放射に対して補正フィルタにより光量子束密度で測定するための分光特性の補正を行い、補正後の放射を受光部で光電変換することによって光合成有効放射度または光合成光量子束密度の何れかを示すPAR出力として出力する第1放射センサと、
受光した放射に対してバンドパスフィルタにより700nm~1000nmの赤外放射領域のみの放射を取出し、この放射を受光部で光電変換することによって前記PAR出力と共通する単位の放射度または光量子束密度の何れかを示すIR出力を出力できる第2放射センサと、
前記PAR出力と前記IR出力を時間と共に積算し、前記IR出力の積算値を前記PAR出力の積算値で割って比を算出し、該比に対応した葉面積指数を求める演算部を備えたことを特徴とする光学的植生指数センサ。
【請求項2】
前記第1放射センサと前記第2放射センサの受光面には放射をコサイン補正できる光拡散板が設けられ、入射放射の入角特性が広角に設定されたことを特徴とする請求項1の光学的植生指数センサ。
【請求項3】
前記演算部が、前記PAR出力と前記IR出力をそれぞれ積算する積算手段と、積算した前記IR出力の積算値を前記PAR出力の積算値で割って比を算出する比演算手段と、前記比に基づいてこれと対応する葉面積指数を求める葉面積指数換算手段とを備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の光学的植生指数センサ。
【請求項4】
前記葉面積指数が前記比またはその関数を真数とする対数関数の一次関数であることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載された光学的植生指数センサ。
【請求項5】
葉又は葉群を透過した透過放射を受光すると、400nm~700nmの可視放射領域の放射に対して補正フィルタにより光量子束密度で測定するための分光特性の補正を行い、補正後の放射を受光部で光電変換することによって光合成有効放射度または光合成光量子束密度の何れかを示すPAR出力として出力する第1放射センサと、
受光した放射に対してバンドパスフィルタにより700nm~1000nmの赤外放射領域のみの放射を取出し、この放射を受光部で光電変換することによって前記PAR出力と共通する単位の放射度または光量子束密度の何れかを示すIR出力を出力できる第2放射センサと、
前記PAR出力と前記IR出力を時間と共に積算し、前記IR出力の積算値を前記PAR出力の積算値で割って比を算出することにより該比に対応した光合成有効放射吸収率に換算する演算部を備えたことを特徴とする光学的植生指数センサ。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2010028734thum.jpg
出願権利状態 登録
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