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細胞組織体の製造方法

国内特許コード P110006005
整理番号 QP100032
掲載日 2011年11月28日
出願番号 特願2010-138921
公開番号 特開2011-019513
登録番号 特許第5850416号
出願日 平成22年6月18日(2010.6.18)
公開日 平成23年2月3日(2011.2.3)
登録日 平成27年12月11日(2015.12.11)
優先権データ
  • 特願2009-146588 (2009.6.19) JP
発明者
  • 境 慎司
  • 伊藤 翔
  • 川上 幸衛
出願人
  • 国立大学法人九州大学
発明の名称 細胞組織体の製造方法
発明の概要 【課題】組織体の製造方法を提供する。
【解決手段】(1)組織体形成可能な生細胞を含み、細胞非障害性の第1条件で分解可能な第1材料からなる、直径20~500μm、好ましくは100~250μmの微粒子を作製し;(2)微粒子を、第1材料のものとは異なる細胞非障害性の第2条件で分解可能な第2材料で被覆し;このとき第2材料は、細胞非障害性のゲル化条件でゲル化可能な高分子化合物であり;(3)被覆した微粒子を第1条件で分解して、内部に細胞を含み、第2材料からなる中空カプセルを作製し;(4)細胞を、培養上有効な第3条件で、組織体形成上有効な期間増殖させて、カプセル内に組織体を形成させ;そして(5)第2条件でカプセルを分解して、組織体を得る。第1材料の好ましい例はゼラチンであり、第2材料の好ましい例は、アルギン酸又はその塩若しくはエステルである。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


再生医療分野で重要度が高まっているES細胞やiPS細胞の胚様体、創薬分野で代謝シュミレータ用の用途としての需要のある肝細胞のスフェロイドなど、動物細胞の球状の組織体が注目されてきている。このような細胞組織体を得る方法として、低接着性の培養皿を用いる方法や、ハンギングドロップ法と呼ばれる培養皿のフタに細胞分散溶液を付着させる方法(例えば、特許文献1)が知られている。しかしながら、前者の方法は、実験の再現性を得るためには組織体サイズの均一性は特に重要な要素であるにもかかわらずその程度が低く、また後者の方法は、操作が煩雑で、組織体を大量に調製することが困難である等の問題がある。



組織体はまた、肥大化しすぎると、中心部に酸素枯渇による壊死層が存在することとなる(非特許文献1)。球状組織体において中心部にまで良好に酸素を供給するためには、そのサイズは直径約200μm以下と計算される(非特許文献2)。また、ES細胞の分化能、増殖能は200 μm程度のサイズが最も高いことが知られている(非特許文献3)。したがって、細胞組織体のサイズを望ましい程度に制限することができれば、有用である。



一方、医療分野では、ガンや糖尿病などの各種疾患に有効な成分を産生する細胞をカプセル内に包括させ、治療に利用することが試みられている。例えば、特許文献2には、このような目的に用いうる微小ゲルとして、フェノール性水酸基により架橋されたカルボキシメチルセルロース、アルギン酸、ヒアルロン酸、ポリグルタミン酸、脱アセチル化キチン又はキトサン等の多糖質からなり、平均粒子径が0.01~5,000μmである微粒子が記載されている。この粒子の調製工程において、架橋剤を添加したフェノール基含有カルボキシメチルセルロース溶液にネコ腎由来細胞(CRFK細胞)を懸濁することにより、1つ当り約1~10個の割合で80%以上の生存率の細胞が封入された微粒子が得られている。



また、本発明者らにより、ペルオキシダーゼの酵素反応で架橋するアルギン酸誘導体とアガロースとを用い、内部に直径150μmの中空部分を有する微小粒子が作製されている(非特許文献4)。さらに、ペルオキシダーゼの酵素反応で架橋するカルボキシメチルセルロース誘導体と、ペルオキシダーゼの酵素反応で架橋するアルギン酸誘導体とを用い、同様に中空部分を有する微小粒子も作製されている(非特許文献5)。

産業上の利用分野


本発明は、動物細胞を培養し、球状組織体を得るための方法に関する。より詳細には、本発明は、二種類のゲル化可能な物質を用いて、細胞の包括されたゲルカプセルを作製し、カプセル内で培養することにより、球状組織体を形成させることに関する。本発明は、特に幹細胞細胞や癌細胞からなる組織体の形成のために有用である。

特許請求の範囲 【請求項1】
(1) 組織体形成可能な生細胞を含み、細胞非障害性の第1条件で分解可能な第1材料からなる、直径20~500μmの微粒子ゲルを作製し;
(2) 微粒子ゲルを、第1材料のものとは異なる細胞非障害性の第2条件で分解可能な第2材料で被覆し;
このとき第2材料は、細胞非障害性のゲル化条件でゲル化可能な高分子化合物であり、
(3) 被覆した微粒子ゲルを第1条件で分解して、内部に細胞を含み、第2材料からなる中空カプセルを作製し;
(4) 細胞を、培養上有効な第3条件で、球状組織体形成上有効な期間増殖させて、カプセル内に球状組織体を形成させ;そして
(5) 第2条件でカプセルを分解して、球状組織体を得る工程を含む、球状組織体の製造方法であって、
第1材料が、ゼラチン又はその誘導体であり、
第2材料が、下記から選択される高分子化合物:
・アルギン酸又はその塩若しくはエステル、ペクチン若しくはカラギーナン
・光架橋性官能基で修飾された高分子化合物、又は
・フェノール性水酸基で修飾された高分子化合物;
であり、
前記(1)では、下記から選択される方法:
・生細胞を含む溶解した第1材料を流動させた油相流中に一定速度で押し出し、第一材料がゲル化する条件に置く、
・生細胞を含む、溶解した第1材料を加えた油相を拡散して、油中水滴型エマルジョンを得て、それを第1材料がゲル化する条件に置く、又は
・生細胞を含む溶解した第1材料を球状の容器に注いだ後、その容器を冷却する;
により微粒子ゲルを作製する、
前記球状組織体の製造方法

【請求項2】
細胞が、癌細胞である、請求項1に記載の製造方法。

【請求項3】
細胞が、動物由来の神経幹細胞、骨髄幹細胞、胚性幹細胞(ES細胞)又は人工多能性幹細胞(iPS細胞)である、請求項1に記載の製造方法。

【請求項4】
請求項2に記載の製造方法を含む、癌モデル動物(ヒトを除く。)の製造方法。

【請求項5】
請求項3に記載の製造方法を含み、細胞が、ES細胞又はiPS細胞であり、得られた球状組織体を初期胚類似構造物として分化誘導刺激を与える工程を含む、胚様体の製造方法。

【請求項6】
(1) 組織体形成可能な生細胞を含み、細胞非障害性の第1条件で分解可能な第1材料からなる、直径20~500μmの微粒子ゲルを作製し;
(2) 微粒子ゲルを、第1材料のものとは異なる細胞非障害性の第2条件で分解可能な第2材料で被覆し;
このとき第2材料は、細胞非障害性のゲル化条件でゲル化可能な高分子化合物であり;
(3) 被覆した微粒子ゲルを第1条件で分解して、内部に細胞を含み、第2材料からなる中空カプセルを作製し;
(4) 細胞を、培養上有効な第3条件で、球状組織体形成上有効な期間増殖させて、カプセル内に球状組織体を形成させる工程を含む、細胞の培養方法であって、
第1材料が、ゼラチン又はその誘導体であり、
第2材料が、下記から選択される高分子化合物:
・アルギン酸又はその塩若しくはエステル、ペクチン若しくはカラギーナン
・光架橋性官能基で修飾された高分子化合物、又は
・フェノール性水酸基で修飾された高分子化合物;
であり、
前記(1)では、下記から選択される方法:
・生細胞を含む溶解した第1材料を流動させた油相流中に一定速度で押し出し、第一材料がゲル化する条件に置く、
・生細胞を含む、溶解した第1材料を加えた油相を拡散して、油中水滴型エマルジョンを得て、それを第1材料がゲル化する条件に置く、又は
・生細胞を含む溶解した第1材料を球状の容器に注いだ後、その容器を冷却する;
により微粒子ゲルを作製する、
前記細胞の培養方法

【請求項7】
(1) 細胞非障害性の第1条件で分解可能な第1材料からなる、直径20~500μmの微粒子ゲルを作製し;
(2) 微粒子ゲルを、第1材料のものとは異なる細胞非障害性の第2条件で分解可能な第2材料で被覆し;
このとき第2材料は、細胞非障害性のゲル化条件でゲル化可能な高分子化合物であり;
(3) 被覆した微粒子ゲルを第1条件で分解して、第2材料からなる中空カプセルを得る工程を含む、球状組織体を作製するための細胞培養用中空カプセルの製造方法であって、
第1材料が、ゼラチン又はその誘導体であり、
第2材料が、下記から選択される高分子化合物:
・アルギン酸又はその塩若しくはエステル、ペクチン若しくはカラギーナン
・光架橋性官能基で修飾された高分子化合物、又は
・フェノール性水酸基で修飾された高分子化合物;
であり、
前記(1)では、下記から選択される方法:
・生細胞を含む溶解した第1材料を流動させた油相流中に一定速度で押し出し、第一材料がゲル化する条件に置く、
・生細胞を含む、溶解した第1材料を加えた油相を拡散して、油中水滴型エマルジョンを得て、それを第1材料がゲル化する条件に置く、又は
・生細胞を含む溶解した第1材料を球状の容器に注いだ後、その容器を冷却する;
により微粒子ゲルを作製する、
前記細胞培養用中空カプセルの製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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