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アクアガスを用いて調製した加熱・殺菌・乾燥植物とその調製方法

国内特許コード P110006017
掲載日 2011年11月29日
出願番号 特願2010-083490
公開番号 特開2011-211965
登録番号 特許第5967639号
出願日 平成22年3月31日(2010.3.31)
公開日 平成23年10月27日(2011.10.27)
登録日 平成28年7月15日(2016.7.15)
発明者
  • 五月女 格
  • 五十部 誠一郎
  • 竹中 真紀子
  • 岡留 博司
  • 小川 哲郎
  • 近重 克幸
出願人
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
  • 島根県
発明の名称 アクアガスを用いて調製した加熱・殺菌・乾燥植物とその調製方法
発明の概要 【課題】アクアガスを用いて調製した加熱・殺菌・乾燥植物とその調製方法を提供する。
【解決手段】収穫後の植物を、低侵襲的に加熱処理することによって、抗酸化成分の減耗抑制と変・退色の抑制及び一般生菌数の低減並びに効率的な水分の蒸発を図り、加熱・殺菌・乾燥植物を調製する方法であって、100℃以上に加熱された熱水及び/又は水蒸気を、これと同温度以上に加熱された準密閉空間の加熱室内に連続的に噴射させ、微細水滴と湿熱水蒸気を発生させ、上記微細水滴と湿熱水蒸気で上記加熱室内の空気を置換させて、湿度95%以上及び酸素濃度1%以下の組成を有し、90~180℃の温度領域に保持されたガス成分で満たし、該加熱媒体で、被加熱材料に上記温度領域で10℃以上の温度差の連続振幅加熱を施して、加熱・殺菌処理することにより加熱処理する、乾燥植物の調製方法、及びその乾燥植物製品。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


現在、食材・食品の機能性や安全性などに関する消費者の関心が高く、総じて国産品への需要が高い状況となっている。しかし、その原料となる植物や農産物の収穫時期は限られており、国産原料の安定的な供給や、多穫期の収穫後の植物の有用成分の減耗などを減じるために、特に品質劣化が早い葉物原料を長期保存する乾燥技術について、種々検討されている。これらの収穫直後の葉物原料を、余り品質を損なわないで、1次加工処理を行い、長期貯蔵を行い、通年的に原料として供給するシステムを確立できれば、収穫期に左右されないで、国産葉物原料の安定的な供給が可能となると考えられる。



しかし、現実には、国産葉物原料の長期貯蔵技術や、通年的に食材として供給することを可能とする価格性能比の高い実用的・汎用的な技術は確立されておらず、葉物の有用成分のロスを減じることや、植物や葉物農産物の鮮度や機能性を損なわずに、妥当な価格で、安定的に消費者に供給することは困難な状況となっているのが実情である。季節性の高い国産植物や農産物の通年利用については、生の原料では、貯蔵中の品質の劣化の問題があり、更に、従来の乾燥方法では、生の原料と比べて、価格的にも高コストで、成分的にも劣る、通風乾燥、凍結乾燥、減圧乾燥や過熱水蒸気乾燥などによる乾燥原料を使用する以外には、十分に利用できない状況にあり、特に、国産葉物原料の端境期には、輸入植物や農産物を使用せざるを得ない状況にある。



他方、過熱水蒸気加熱は、高温高圧で、高カロリーで、しかも、熱エネルギー的に準安定な乾燥水蒸気を利用できるため、例えば、食品の加熱焼成手段などとして、広くその応用技術が提案されている(特許文献1~5)。農産物の乾燥法としては、上記の通風乾燥、凍結乾燥、減圧乾燥、過熱水蒸気乾燥などが用いられている。



一方、本発明者らは、先行技術として、アクアガスによる加熱方法を開発し、報告している。このアクアガス加熱技術については、過熱水蒸気加熱技術を応用した高品質調理、食材加工システムとして、これまでに、高圧下で水を沸騰させ、高温微細水滴と過熱水蒸気をノズルから混合して噴霧することにより発生させる新しい加熱媒体の発生方法とその装置を開発し、特許出願している(特許文献6)。



また、加熱対象・目的に応じた最適加熱処理技術として、上記の新しい加熱媒体以外に、飽和水蒸気、過熱水蒸気を同一の装置によって発生させる方法及び装置について特許出願している(特許文献7)。更に、アクアガスの発生条件(臨界内部圧力の発見)を明らかにして、安定的制御方法について、提案している(特許文献8)が、これらの用途は、殺菌を主とした加熱処理を目的としたものであり、乾燥技術としての用途については、言及されていない。



このアクアガスは、優れた加熱特性を有することから、調理前の生鮮野菜の表面殺菌処理やジャガイモなどの加工食材の酵素失活や澱粉のα化処理などにおいて、既存の湿熱加熱(茹で、蒸し)や、乾熱加熱(オーブン)の何れよりも、品質の面や殺菌効果の面でも優れていることから、その利用方法が提案され、一部、実用化されている。



しかし、アクアガスは、乾燥用の加熱媒体としては、過熱水蒸気よりも乾燥速度は遅く、効率の面からも今まで検討をされてこなかったが、近年、高い機能性を有した農産物の加工素材として、乾燥素材としての割合が増えることで、機能性成分の保持や、劣化抑制のための新しい乾燥法が求められる傾向となってきた。一般に、凍結乾燥法が、このような熱劣化の抑制を可能にした乾燥法としてよく知られているが、装置コストが高く、更に処理時間も長く、そのことが、冷凍乾燥処理後の食品素材のコスト高を誘引している。そこで、当技術分野においては、凍結乾燥法よりも安価で、効率的に乾燥を行うことができ、従来法よりも、乾燥素材としての品質が優れた製品を調製できる新しい処理技術の開発が強く要請されている。



従来の乾燥処理において、脂溶性の機能性物質などを多く含む農産物の乾燥については、以下のような問題点、すなわち、加熱時に生じる酸化による油脂成分や脂質含有素材の劣化については、これらが機能性成分の場合には、特に農産物の乾燥処理には用いることができない、また、減圧乾燥や、凍結乾燥については、コスト高や、処理時間などの経済的課題、また、最近は、過熱水蒸気による乾燥処理も試みられているが、安定的な過熱水蒸気の温度域(概ね150℃以上)では、低酸素状態であるが、温度自身高いこともあり、短時間処理でも熱劣化による品質や色、香りといった面での嗜好性も低下する傾向がある、などの問題点があり、その解決が求められていた。

産業上の利用分野


本発明は、微細水滴を含んだ過熱水蒸気「アクアガス」(登録商標)を用いて得られる加熱・殺菌・乾燥植物とその調製方法に関するものであり、更に詳しくは、植物を、アクアガスを用いて、低侵襲的に加熱処理することによって、植物の抗酸化成分の減耗抑制と変・退色の抑制及び一般生菌数の低減並びに効率的な水分の蒸発を図ることを可能とした、加熱・殺菌・乾燥植物とその調製方法に関するものである。本明細書では、高温微細水滴と過熱水蒸気をノズルから混合、噴霧することにより発生させた加熱媒体である、微細水滴を含んだ過熱水蒸気を「アクアガス」と記載し、該加熱媒体を用いた加熱、殺菌、乾燥方法を、アクアガスを用いた加熱、殺菌、乾燥方法と記載し、該方法により調製した抗酸化成分高含有製品を加熱・殺菌・乾燥植物と記載することがある。

特許請求の範囲 【請求項1】
収穫後の植物を、下記の加熱・殺菌処理方法を用いて低侵襲的に加熱処理することによって、植物の抗酸化成分の減耗抑制と変・退色の抑制及び一般生菌数の低減並びに水分の蒸発を図ることにより、抗酸化成分高含有の加熱・殺菌・乾燥植物を調製する方法であって、
次の工程;1)少なくとも100℃に加熱された熱水及び/又は水蒸気を、これと同温度以上に加熱された準密閉空間の加熱室内に連続的に噴射させ、微細水滴と湿熱水蒸気を発生させる工程、2)上記微細水滴と湿熱水蒸気で上記加熱室内の空気を置換させて、少なくとも湿度95%及び多くとも酸素濃度1%の組成を有し、90~180℃の温度領域に保持されたガス成分で満たす工程、3)上記微細水滴と湿熱水蒸気からなる加熱媒体で、被加熱材料の植物に、上記温度領域で、少なくとも10℃の温度差の連続振幅加熱を施して加熱・殺菌処理する工程、により、湿度95%以上で酸素濃度1%以下の低酸素条件で抗酸化成分を含む植物素材を加熱処理することで、該被加熱植物の水分含量が多くとも10%に保持されて成り、かつ、被加熱植物の抗酸化成分の減耗を抑制することを特徴とする一般生菌数(cfu/g乾燥物)が300以下の乾燥植物の調製方法。

【請求項2】
下記の発生及び加熱条件の加熱媒体:
1)発生条件:少なくとも100℃に加熱された熱水及び/又は水蒸気を、これと同温度以上に加熱された準密閉空間の加熱室内に連続的に噴射させて発生させた微細水滴と湿熱水蒸気で上記加熱室内の空気を置換させた少なくとも湿度95%及び多くとも酸素濃度1%の組成を有して成る加熱媒体
2)庫内制御温度:100℃~150℃
3)加熱時間(被加熱材料の加熱時間):10分~20分
で加熱することにより、被加熱植物の水分含量が多くとも10%に保持されて成る乾燥植物を調製する、請求項1記載の乾燥植物の調製方法。

【請求項3】
植物が農産物である、請求項1又は2記載の乾燥植物の調製方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録


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