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粒間スペースが長くなった形質転換植物

国内特許コード P110006032
掲載日 2011年12月1日
出願番号 特願2010-054518
公開番号 特開2011-182760
登録番号 特許第5673918号
出願日 平成22年3月11日(2010.3.11)
公開日 平成23年9月22日(2011.9.22)
登録日 平成27年1月9日(2015.1.9)
発明者
  • 森 昌樹
  • 中川 仁
  • 七夕 高也
出願人
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 粒間スペースが長くなった形質転換植物
発明の概要 【課題】粒間スペースが増加した植物の製造方法、粒間スペースが増加した植物を再生し得る細胞、該細胞より再生された粒間スペースが増加した植物体などを提供することを課題とする。
【解決手段】SG1遺伝子を過剰発現する植物を作成し、粒間スペースを野生型と比較した。その結果、形質転換体では野生型と比較し粒間スペースが短くなっていることが確認された。なお粒間スペースの測定は、本発明者らが開発した粒間スペースを簡便に測定できるソフトウエアを用いて行った。次に本発明者らは、SG1遺伝子及びその相同遺伝子であるSGL2遺伝子が粒間スペースの決定に関与しているのではないかと考え、SG1遺伝子およびSGL2遺伝子の両方の発現が抑制された植物体を作成し、粒間スペースの測定を試みた。その結果、これら2遺伝子の発現が抑制された植物体は野生型と比較し、粒間スペースが増加していることが確認された。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要



イネ科穀物を育種する際に、イネの粒のサイズ及び穂における粒の密度は重要な要因で、これまで様々な研究がなされてきた。イネの粒のサイズに関しては、イネのブラシノステロイド(BR)生合成変異体brd1, d2, d11, brd2等の解析によりBRの欠損は粒サイズを小さくすることが明らかになっている(Mori et al., 2002(非特許文献1), Hong et al.,2003(非特許文献2), Tanabe et al., 2005(非特許文献3), Hong et al., 2005(非特許文献4))。またBRシグナル伝達に関与していると考えられるイネ3量体Gタンパク質のαサブユニットの欠損であるd1変異体も粒サイズが小さくなることが知られている(Oki et al., 2009(非特許文献5))。一方BRシグナル伝達因子であるBU1の過剰発現体は粒サイズを大きくすることが報告されている(Tanaka et al., 2009(非特許文献6))。一方自然界に存在する量的形質座位(QTL)の解析により、粒長を決定する遺伝子GS3Grain Size 3)が単離されているが、この遺伝子の不完全型(ORFのC末端部が欠失)で粒が長くなることが示されている(Fan et al., 2006(非特許文献7), Takano-Kai et al., 2009(非特許文献8))。





一方穂における粒の密度に関しては、田口らはDN1DENSE PANICLE 1)遺伝子に変異が入ったDn1を持つイネで着粒数が増加しかつ植物が矮性化することを示している(特開2007-49970(特許文献1))。同様にDEP1(DENSE AND ERECT PANICLE1)遺伝子に変異が入ったdep1を持つイネはdep1がdominant negativeに作用し、密穂かつ短穂で、穂あたりの粒数が多い表現型を示すことも明らかにされている。密穂になる原因として1次枝梗、及び2次枝梗の数が増えることが示されている(Huang et al., 2009(非特許文献9))。しかしながら、これまでイネの粒間スペースを制御する遺伝子について、実際に粒間スペースを測定して明確に言及した報告は我々の知る限りない。





本発明者らはイネアクチベーションタギングラインを作製し(Mori et al., 2007(非特許文献10))、その中から短粒半矮性のSg1変異体を単離している(森ら、2006(非特許文献11))。この変異体の原因遺伝子SG1をイネに再導入過剰発現することにより、Sg1変異体と同様の表現型を示すことを明らかにしている(Mori et al., 2006(非特許文献12))。

産業上の利用分野


本発明は、SG1遺伝子の発現を阻害する物質及びSGL2遺伝子の発現を阻害する物質の導入による粒間スペースが増加した植物の製造方法、粒間スペースが増加した植物を再生し得る細胞、該細胞より再生された粒間スペースが増加した植物体などに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
以下の工程を含む、粒間スペースが増加した形質転換イネの製造方法;
(a)配列番号:1に記載の塩基配列を含むSG1遺伝子及び配列番号:3に記載の塩基配列を含むSGL2遺伝子の発現をRNAi効果により阻害する作用を有する核酸イネ細胞に導入する工程、及び
(b)工程(a)の細胞からイネを再生させる工程。

【請求項2】
配列番号:1に記載の塩基配列を含むSG1遺伝子及び配列番号:3に記載の塩基配列を含むSGL2遺伝子の発現をRNAi効果により阻害する作用を有する核酸が以下(i)から(iii)からなる群より選択される核酸である、請求項1に記載の方法;
(i)配列番号:16の21~321番目の塩基配列と配列番号:17の10~426番目の塩基配列が結合した塩基配列を含む核酸、
(ii)センス鎖として配列番号:5に記載の塩基配列を含む核酸、アンチセンス鎖として配列番号:5に記載の塩基配列に相補的な塩基配列を含む核酸からなる2本鎖の核酸、および
(iii)配列番号:5に記載の塩基配列と配列番号:5に記載の塩基配列に相補的な塩基配列とがリンカーで結合した塩基配列を有する核酸。

【請求項3】
配列番号:1に記載の塩基配列を含むSG1遺伝子及び配列番号:3に記載の塩基配列を含むSGL2遺伝子の発現をRNAi効果により阻害する作用を有する核酸が導入されたイネ細胞であって、粒間スペースが増加した形質転換イネを再生しうる細胞。

【請求項4】
配列番号:1に記載の塩基配列を含むSG1遺伝子及び配列番号:3に記載の塩基配列を含むSGL2遺伝子の発現をRNAi効果により阻害する作用を有する核酸が以下(i)から(iii)からなる群より選択される核酸である、請求項3に記載の細胞;
(i)配列番号:16の21~321番目の塩基配列と配列番号:17の10~426番目の塩基配列が結合した塩基配列を含む核酸、
(ii)センス鎖として配列番号:5に記載の塩基配列を含む核酸、アンチセンス鎖として配列番号:5に記載の塩基配列に相補的な塩基配列を含む核酸からなる2本鎖の核酸、および
(iii)配列番号:5に記載の塩基配列と配列番号:5に記載の塩基配列に相補的な塩基配列とがリンカーで結合した塩基配列を有する核酸。

【請求項5】
請求項3または4に記載の細胞から再生された粒間スペースが増加したイネ

【請求項6】
請求項に記載のイネの子孫またはクローンである、粒間スペースが増加したイネ

【請求項7】
請求項またはに記載の粒間スペースが増加したイネの繁殖材料。

【請求項8】
配列番号:1に記載の塩基配列を含むSG1遺伝子及び配列番号:3に記載の塩基配列を含むSGL2遺伝子の発現をRNAi効果により阻害する作用を有する核酸を有効成分として含有する、イネの粒間スペースを増加させるための薬剤。

【請求項9】
配列番号:1に記載の塩基配列を含むSG1遺伝子及び配列番号:3に記載の塩基配列を含むSGL2遺伝子の発現をRNAi効果により阻害する作用を有する核酸が以下(i)から(iii)からなる群より選択される核酸である、請求項8に記載の薬剤;
(i)配列番号:16の21~321番目の塩基配列と配列番号:17の10~426番目の塩基配列が結合した塩基配列を含む核酸、
(ii)センス鎖として配列番号:5に記載の塩基配列を含む核酸、アンチセンス鎖として配列番号:5に記載の塩基配列に相補的な塩基配列を含む核酸からなる2本鎖の核酸、および
(iii)配列番号:5に記載の塩基配列と配列番号:5に記載の塩基配列に相補的な塩基配列とがリンカーで結合した塩基配列を有する核酸。

【請求項10】
再生された形質転換植物体の粒間スペースを測定する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。

【請求項11】
再生された形質転換イネの粒間スペースを測定する工程が以下のコンピュータ処理を含む、請求項10に記載の方法;
(a)再生された形質転換イネの画像データをコンピュータに読み込む工程、
(b)工程(a)の画像データ上における小枝梗分岐点間の長さをコンピュータに入力する工程、
(c)実測値が既知の物体の画像データをコンピュータに読み込み、当該物体の画像データ上における長さをコンピュータに入力する工程、
(d)工程(c)の物体の実測値をコンピュータに入力し、当該物体の画像データにおける長さと実測値のスケール値を計算する工程、および
(e)工程(b)で入力された小枝梗分岐点間の長さおよび工程(d)で計算されたスケール値をもとに小枝梗分岐点間の長さの実測値を計算する工程。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録


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