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ブタの椎骨数を支配するVertnin遺伝子、およびその利用

国内特許コード P110006034
掲載日 2011年12月1日
出願番号 特願2010-065451
公開番号 特開2011-193825
登録番号 特許第5717272号
出願日 平成22年3月23日(2010.3.23)
公開日 平成23年10月6日(2011.10.6)
登録日 平成27年3月27日(2015.3.27)
発明者
  • 美川 智
  • 佐藤 周史
  • 林 武司
  • 粟田 崇
  • 新居 雅宏
  • 森 直樹
  • 谷 史雄
  • 柏岡 静
  • 両角 岳哉
出願人
  • 独立行政法人農業生物資源研究所
  • 徳島県
  • 公益社団法人農林水産・食品産業技術振興協会
発明の名称 ブタの椎骨数を支配するVertnin遺伝子、およびその利用
発明の概要 【課題】本発明は、ブタの第7染色体上のVertnin(VRTN)遺伝子上、またはその近傍の多型マーカーを指標とする、ブタの椎骨数増大型遺伝形質の有無の判定方法の提供を課題とする。
【解決手段】 本発明者は、ブタの第7染色体上に、ブタの椎骨数増大と関連する新規なVertnin遺伝子を同定することに成功した。さらに、該遺伝子上もしくはその近傍に存在する多型マーカーを用いることにより、ブタの椎骨数増大型遺伝形質の有無を判定可能であることを見出し、本発明を完成させた。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要



ブタはイノシシを祖先とし、ユーラシア大陸の複数地域で家畜化されたと言われている。19世紀中頃からヨーロッパにおいて、成長・体格などの良い豚を選抜して育種するということが行われるようになり、それらがもとになり現在の商用品種が形成されている。





本発明者らはブタの改良を目的に経済形質に関与する遺伝子座の単離を進めてきた。肉質・成長といった経済形質の多くは量的形質でありそれを支配する遺伝子座は量的形質遺伝子座(quantitative trait locus; QTL)と呼ばれる。現在、ブタの様々なQTLについては約110の論文に約1800の報告がある(PigQTLdb, http://www.animalgenome.org/cgi-bin/QTLdb/SS/index)。しかしながら量的形質は複数の遺伝子座に支配され、また環境要因によっても大きく影響を受けるため、QTLの正確なマッピングは難しく、その責任遺伝子を同定すること、また多様性の原因となる多型を同定することは非常に困難である。ブタにおいて遺伝子レベルで解明されたQTLでは肉質(グリコーゲン量)に関与するPRKAG3遺伝子(非特許文献1)、肉量に関与するIGF2遺伝子(非特許文献2)がある。





本発明者らは複数のF2実験家系を作製し、成長性、産肉性、肉質などの各種経済形質に関するQTL解析を行った(非特許文献3~10)。その結果、様々なQTLが検出されたが、その中で胸椎数と腰椎数の和で示される椎骨数(図1)に関与するQTLが複数の家系を通じて2カ所のゲノム領域(第1染色体q腕末端、第7染色体q腕中央)に検出され、その存在は確からしいと判断された(表2(F2実験家系と椎骨数QTL)、図2)。





〔表2〕








2つの椎骨数QTLにはそれぞれ椎骨数を増大させる対立遺伝子があり、その効果はほぼ等しく、各家系の結果を平均すると対立遺伝子あたり約0.5から0.6個の椎骨数を増大させた。また2つのQTLは互いに独立に働き、すべての対立遺伝子が椎骨数増大型になると平均で約2.3本の椎骨数が増大した(表3(ブタの椎骨数に関する2つのQTLの効果)、図3)。





〔表3〕








ブタの頸椎は他の哺乳類と同じく7個であるが、胸椎、腰椎の数には多様性があり、胸椎は13個から16個、腰椎は5個から7個とばらついている(非特許文献11)。これらを合計した数(椎骨数)はブタの祖先であるイノシシでは19個であるが、現在の肉用品種では20個から23個であり、このような種内での大きな多様性は、哺乳類ではブタでのみ見られる(図1)。ブタは肉量増大、繁殖性向上のために体が大きくなるように選抜され、その過程で椎骨数が増大したと考えられ、実際、一つの椎骨数の増大により、体長は平均約1.5 cm伸びることが示されている(非特許文献12)。





これまでのF2実験家系の解析において、第1染色体q腕末端領域の椎骨数QTLでは、梅山豚、金華豚などのアジア在来種、および日本イノシシの対立遺伝子に増大効果は認められず野生型であり、ランドレース、大ヨークシャー、デュロック、バークシャーといった西洋品種の対立遺伝子のすべてに椎骨数増大効果が認められた(表2、表4(椎骨数QTLの遺伝子型))。





〔表4〕








第1染色体上の椎骨数QTLについては、椎骨数が増大した西洋品種で固定された約300 kbの領域を発見し、そこに位置する責任遺伝子NR6A1を同定した(非特許文献13)。またそれに関して、特許出願を行った(特許文献1)。





第7染色体q腕中央部の椎骨数QTLでは、F2実験家系に用いた西洋品種に由来する一部の対立遺伝子に椎骨数を増大させる効果が認められた(表2、表4)(非特許文献14)。また徳島県の大ヨークシャー種系統豚を用い、その種豚について第7染色体の椎骨数QTLについて半きょうだい解析を行うことにより、QTLがヘテロ型である個体を検出した(図4)(非特許文献14)。これらから現在豚肉生産に用いられている西洋品種においても第7染色体の椎骨数QTLは多様性があることが明らかとなった。





なお、本出願の発明に関連する先行技術文献情報を以下に示す。

産業上の利用分野


本発明は、ブタの第7染色体上のVertnin遺伝子上もしくはその近傍に存在する多型マーカーを指標とするブタの椎骨数増大型遺伝形質の有無の判定方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
ブタの椎骨数増大型遺伝形質の有無の判定方法であって、ブタの第7染色体上に存在する下記(A)の(1)~(25)のいずれかに記載の一もしくは複数の多型マーカーを用いて、下記(B)の工程によって判定する方法。
(A)
(1)配列番号:1に記載の塩基配列の40位
(2)配列番号:2に記載の塩基配列の207位
(3)配列番号:3に記載の塩基配列の68位
(4)配列番号:4に記載の塩基配列の47位または101位
(5)配列番号:5に記載の塩基配列の81位
(6)配列番号:6に記載の塩基配列の355位
(7)配列番号:7に記載の塩基配列の87位
(8)配列番号:8に記載の塩基配列の42位
(9)配列番号:9に記載の塩基配列の152位または185位
(10)配列番号:10に記載の塩基配列の82位
(11)配列番号:11に記載の塩基配列の95~385位
(12)配列番号:12に記載の塩基配列の49位
(13)配列番号:13に記載の塩基配列の31位、116位、335位、または421位
(14)配列番号:14に記載の塩基配列の127位
(15)配列番号:15に記載の塩基配列の78位、154位、173位、または187位、217位、320位、433位
(16)配列番号:16に記載の塩基配列の111位
(17)配列番号:17に記載の塩基配列の71位または192位
(18)配列番号:18に記載の塩基配列の80~82位
(19)配列番号:19に記載の塩基配列の285位または300~301位
(20)配列番号:20に記載の塩基配列の55位、65位、75位、または150位
(21)配列番号:21に記載の塩基配列の99位または138位
(22)配列番号:22に記載の塩基配列の75位
(23)配列番号:23に記載の塩基配列の217位
(24)配列番号:24に記載の塩基配列の91位
(25)配列番号:25に記載の塩基配列の136位
(B)上記(A)のそれぞれの多型マーカーにおける塩基種が記載された下記〔表1〕の判定表に基づき、椎骨数増大型遺伝形質の有無を判定する工程
〔表1〕



【請求項2】
ブタの第7染色体上の、以下の(a)~(d)のいずれかに記載のマイクロサテライト配列を検出することを特徴とする、ブタの椎骨数増大型遺伝形質の有無の判定方法。
(a)配列番号:26に記載の塩基配列において、180~195位または196~216位のマイクロサテライト配列
(b)配列番号:27に記載の塩基配列において、311~323位、380~388位、389~396位、または400~406位のマイクロサテライト配列
(c)配列番号:28に記載の塩基配列において、393~413位のマイクロサテライト配列
(d)配列番号:29に記載の塩基配列において、96~107位または309~325位のマイクロサテライト配列

【請求項3】
ブタの第7染色体上に存在する前記多型マーカーまたはマイクロサテライト配列を含むDNA領域を増幅し、その増幅産物の多型またはマイクロサテライト配列を検出する工程を含む、請求項1または2に記載の方法。

【請求項4】
ブタの第7染色体上に存在するVertnin遺伝子の発現量を指標とすることを特徴とする、ブタの椎骨数増大型遺伝形質の有無の判定方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2010065451thum.jpg
出願権利状態 登録


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