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ブタの椎骨数遺伝子診断キット

国内特許コード P110006035
掲載日 2011年12月1日
出願番号 特願2010-065453
公開番号 特開2011-193826
登録番号 特許第5736655号
出願日 平成22年3月23日(2010.3.23)
公開日 平成23年10月6日(2011.10.6)
登録日 平成27年5月1日(2015.5.1)
発明者
  • 美川 智
  • 野口 剛
  • 千代 豊
  • 普川 一雄
  • 廣瀬 健右
  • 奥村 直彦
出願人
  • 全国農業協同組合連合会
  • 公益社団法人農林水産・食品産業技術振興協会
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 ブタの椎骨数遺伝子診断キット
発明の概要 【課題】 本発明は、椎骨数増大型遺伝形質を有するブタを効率的に判定可能な試薬を提供することにある。より詳しくは、本発明は、ブタの第7染色体上のVertnin(VRTN)遺伝子上、またはその近傍の多型を用いた遺伝子診断用の試薬の提供を課題とする。
【解決手段】
ブタの第7染色体上に、ブタの椎骨数増大と関連する新規なVertnin遺伝子を同定し、さらに、該遺伝子上もしくはその近傍に存在し、ブタの椎骨数増大型遺伝形質と関連する多型を同定した。該多型を用いることにより、ブタの椎骨数増大型遺伝形質の有無の判定方法を実施することが可能である。本発明は、該判定方法のためのPCRプライマー等の試薬を提供する。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要



ブタはイノシシを祖先とし、ユーラシア大陸の複数地域で家畜化されたと言われている。19世紀中頃からヨーロッパにおいて、成長・体格などの良い豚を選抜して育種するということが行われるようになり、それらがもとになり現在の商用品種が形成されている。





本発明者らはブタの改良を目的に経済形質に関与する遺伝子座の単離を進めてきた。肉質・成長といった経済形質の多くは量的形質でありそれを支配する遺伝子座は量的形質遺伝子座(quantitative trait locus; QTL)と呼ばれる。量的形質は複数の遺伝子座に支配され、また環境要因によっても大きく影響を受けるため、QTLの正確なマッピングは難しく、その責任遺伝子を同定すること、また多様性の原因となる多型を同定することは非常に困難である。ブタにおいて遺伝子レベルで解明されたQTLでは肉質(グリコーゲン量)に関与するPRKAG3遺伝子(非特許文献1)、肉量に関与するIGF2遺伝子(非特許文献2)がある。





本発明者らは複数のF2実験家系を作製し、成長性、産肉性、肉質などの各種経済形質に関するQTL解析を行った(非特許文献3~10)。その結果、様々なQTLが検出されたが、その中で胸椎数と腰椎数の和で示される椎骨数(図1)に関与するQTLが複数の家系を通じて2ヶ所のゲノム領域(第1染色体q腕末端、第7染色体q腕中央)に検出された(表1(F2実験家系と椎骨数QTL)、図2)。





【表1】








上記表1において、第1染色体では増大型対立遺伝子Qに約+0.5本の椎骨数増大効果があり、第7染色体では増大型対立遺伝子Qに約+0.6本の椎骨数増大効果があった。





ブタの頸椎は他の哺乳類と同じく7個であるが、胸椎、腰椎の数には多様性があり、胸椎は13個から16個、腰椎は5個から7個とばらついている(非特許文献11)。これらを合計した数(椎骨数)はブタの祖先であるイノシシでは19個であるが、現在の肉用品種では20個から23個であり、このような種内での大きな多様性は、哺乳類ではブタでのみ見られる(図1)。ブタは肉量増大、繁殖性向上のために体が大きくなるように選抜され、その過程で椎骨数が増大したと考えられ、実際、一つの椎骨数の増大により、体長は平均約1.5 cm伸びることが示されている(非特許文献12)。





2つの椎骨数QTLにはそれぞれ椎骨数を増大させる対立遺伝子(以下、増大型対立遺伝子)があり、その効果はほぼ等しく、各家系の結果を平均すると対立遺伝子あたり約0.5から0.6個の椎骨数を増大させた。また2つのQTLは互いに独立に働き、すべての対立遺伝子が増大型になると平均で約2.3本の椎骨数が増大した(表2(ブタの椎骨数に関する2つのQTLの効果))。





【表2】








上記表2においては、JD家系を用い、マイクロサテライトマーカーによりQTL型を推定した。





これまでのF2実験家系の解析において、第1染色体q腕末端領域の椎骨数QTLでは、梅山豚、金華豚などのアジア在来種、および日本イノシシの対立遺伝子に椎骨数増大効果は認められず野生型であり、ランドレース、大ヨークシャー、デュロック、バークシャーといった西洋品種の対立遺伝子のすべてに椎骨数増大効果が認められた(表1、表3(椎骨数QTLの遺伝子型))。第1染色体上の椎骨数QTLについては、椎骨数が増大した西洋品種で固定された約300 kbの領域を発見し、そこに位置する責任遺伝子NR6A1を同定した(特許文献1、非特許文献13)。





【表3】








第7染色体q腕中央部の椎骨数QTLでは、F2実験家系に用いた西洋品種に由来する一部の対立遺伝子に椎骨数を増大させる効果が認められた(表1、表3)、(非特許文献14)。また徳島県の大ヨークシャー種系統豚を用い、その種豚について第7染色体の椎骨数QTLについて半きょうだい解析を行うことにより、QTLがヘテロ型である個体を検出した(図3)(非特許文献14)。つまりこの第7染色体q腕中央部の椎骨数QTLが、現在豚肉生産に用いられている品種での椎骨数の多様性の原因であり、原因遺伝子の単離およびその遺伝子診断技術の開発は、産肉性、繁殖性、また筋肉内脂肪含量などの肉質の改良に大きく貢献することができる。





なお、本出願の発明に関連する先行技術文献情報を以下に示す。

産業上の利用分野


本発明は、ブタの第7染色体上のVertnin遺伝子上もしくはその近傍に存在する多型マーカーを指標とするブタの椎骨数増大型遺伝形質の有無の判定方法のための試薬およびキットに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
ブタの第7染色体上に存在する配列番号:1~7のいずれかに記載の塩基配列もしくはその相補鎖に特異的にハイブリダイズするポリヌクレオチドであって、該塩基配列中に存在する下記(1)~(7)のいずれかの多型部位を含む領域を増幅するためのPCRプライマー用ポリヌクレオチド。
(1)配列番号:1に記載の塩基配列の68位
(2)配列番号:2に記載の塩基配列の141位
(3)配列番号:3に記載の塩基配列の355位
(4)配列番号:4に記載の塩基配列の207位
(5)配列番号:5に記載の塩基配列の152位
(6)配列番号:6に記載の塩基配列の155~445位
(7)配列番号:7に記載の塩基配列の320~322位

【請求項2】
請求項1に記載のポリヌクレオチドを有効成分とする、ブタ椎骨数遺伝子診断薬。

【請求項3】
下記(1)~(7)のいずれかのプライマーセットを有効成分として含む、ブタ椎骨数遺伝子診断薬。
(1)配列番号:8に記載されたポリヌクレオチドと、配列番号:9に記載されたポリヌクレオチドからなるプライマーセット
(2)配列番号:10に記載されたポリヌクレオチドと、配列番号:11に記載されたポリヌクレオチドからなるプライマーセット
(3)配列番号:12に記載されたポリヌクレオチドと、配列番号:13に記載されたポリヌクレオチドからなるプライマーセット
(4)配列番号:14に記載されたポリヌクレオチドと、配列番号:15に記載されたポリヌクレオチドからなるプライマーセット
(5)配列番号:16に記載されたポリヌクレオチドと、配列番号:17に記載されたポリヌクレオチドからなるプライマーセット
(6)配列番号:18に記載されたポリヌクレオチドと、配列番号:19または20に記載されたポリヌクレオチドからなるプライマーセット
(7)配列番号:21に記載されたポリヌクレオチドと、配列番号:22に記載されたポリヌクレオチドからなるプライマーセット

【請求項4】
配列番号:8~22に記載の全てのポリヌクレオチドを含有する、ブタ椎骨数遺伝子診断薬。

【請求項5】
ブタの第7染色体上に存在する、下記(A)もしくは(B)の塩基種を有する配列番号:1~7のいずれかに記載の塩基配列もしくはその相補鎖に特異的にハイブリダイズするポリヌクレオチドであって、以下の(1)~(7)のいずれかに記載された(A)と(B)のそれぞれの多型変異を区別可能なプローブ用ポリヌクレオチドを有効成分として含む、ブタ椎骨数遺伝子診断薬。
(1)配列番号:1に記載の塩基配列において、(A)68位の塩基種がA、(B)68位の塩基種がG
(2)配列番号:2に記載の塩基配列において、(A)141位の塩基種がT、(B)141位の塩基種がA
(3)配列番号:3に記載の塩基配列において、(A)の355位の塩基種がT、(B)355位の塩基種がC
(4)配列番号:4に記載の塩基配列において、(A)の207位の塩基種がA、(B)207位の塩基種がT
(5)配列番号:5に記載の塩基配列において、(A)の152位の塩基種がC、(B)152位の塩基種がA
(6)配列番号:6に記載の塩基配列において、(A)155~445位の塩基配列を有する挿入変異、(B)155~445位の塩基配列を有さない欠失変異
(7)配列番号:7に記載の塩基配列において、(A)320~322位の塩基配列がAAA、(B)320~322位の塩基配列がAAAAA

【請求項6】
請求項2~5のいずれかに記載のブタ椎骨数遺伝子診断薬を含む診断キット。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2010065453thum.jpg
出願権利状態 登録


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