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BSE由来異常プリオン蛋白質の効率的増幅方法 新技術説明会

国内特許コード P110006039
掲載日 2011年12月1日
出願番号 特願2010-514498
登録番号 特許第5209712号
出願日 平成21年5月26日(2009.5.26)
登録日 平成25年3月1日(2013.3.1)
国際出願番号 JP2009059618
国際公開番号 WO2009145195
国際出願日 平成21年5月26日(2009.5.26)
国際公開日 平成21年12月3日(2009.12.3)
優先権データ
  • 特願2008-139279 (2008.5.28) JP
発明者
  • 村山 裕一
  • 吉岡 都
  • 舛甚 賢太郎
  • 岡田 洋之
  • 岩丸 祥史
  • 今村 守一
  • 松浦 裕一
  • 横山 隆
  • 毛利 資郎
出願人
  • 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 BSE由来異常プリオン蛋白質の効率的増幅方法 新技術説明会
発明の概要

牛海綿状脳症(BSE)由来の異常プリオン蛋白質(PrPSc)の効率的な増幅方法を提供し、究極的には、BSEに感染した牛の早期発見によるプリオン病の伝播を根絶すること、また、プリオン不活性化方法の開発及びその早期評価を可能にすることであり、正常プリオン蛋白質(PrP)をソースとし、異常プリオン蛋白質(PrPSc)をシードとして用い、両者を攪拌混合・培養-超音波処理を繰り返えすことによりBSE由来のPrPScを増幅させるPMCA(protein misfolding cyclic amplification)法において、攪拌混合・培養-超音波処理を、硫酸多糖化合物の存在下に行うことを特徴とするBSE由来のPrPScの効率的増幅方法である。

従来技術、競合技術の概要


異常プリオン蛋白質の増殖による疾患として最初に発見されたのが、スクレイピー(Scrapie)という羊にみられる運動機能失調にかかわる疾患であり、脳にスポンジ状の空胞形成が認められるという特徴をもつ。その後、この異常プリオン蛋白質の増殖による疾患として、狂牛病とも称されている牛海綿状脳症(BSE:Bovine Spongiform Encephalopathy)、ヒトにおけるクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD:Creutzfeldt Jakob Disease)や、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群(GSS:Gerstmann-Straussler-Scheinker Syndrome)などが知られている。



これらの疾患はウイルス感染によるものではなく、また既知の病原体は発見されておらず、特異的な蛋白質が共通に存在するところから、これが伝達~感染を引き起こす病原物質と思われ、「蛋白質性感染粒子“プリオン”: proteinaceous infectious particle:prion」が提唱されて、上記した各種の特異的疾患は、プリオン病と称されるようになった。



ところで、ヒトのプリオン蛋白質遺伝子は、第20番染色体上に存在し、プリオン蛋白質は、235個のアミノ酸により構成されていることが判明している。感染因子プリオンの主な構成成分はこのプリオン蛋白質と考えられており、感染因子を構成するプリオン蛋白質をスクレイピー型または異常型プリオン蛋白質(PrPSc)と称し、正常型のプリオン蛋白質を正常プリオン蛋白質(PrP)と称している。
ヒトを含む多くの動物種でプリオン病が認知され、一般的にプロテアーゼ抵抗性の異常プリオン蛋白質(PrPSc)の蓄積が感染個体に認められることから、このPrPScが主病原体として関与していると考えられている。



プリオン病の伝播は、異種の動物間でも起こりえる。例えば、スクレイピーに感染した羊材料の動物飼料への混入により牛に感染してBSEを発症した可能性があり、さらにBSEに感染した牛材料を含む飼料を食した猫に、猫海綿状脳症(FSE)が発症したと考えられる。したがって、最近の研究では、特にBSEがヒトへ感染する可能性が濃厚となっていると報告されている(非特許文献1)。



牛海綿状脳症(BSE)は、1986年に英国ではじめて報告され、我が国でも2001年以降35症例が確認されている。
ところで、異常プリオン蛋白質(PrPSc)に感染した動物には、他の感染症や代謝病の診断に用いられているような簡便な診断法が応用できず、したがって、BSEの実用的な生前診断法は確立されていない。血液などの生体材料に含まれるPrPSc量は極微量であると考えられ、生前診断には、従来法の検出限界をはるかに凌ぐ超高感度な検出技法の開発が必要である。



また、異常プリオン蛋白質(PrPSc)は、通常の滅菌処理では不活性化されないという特徴を有している。PrPScの不活化の確認には、通常、不活性化されたであろうPrPScをマウスなどの実験動物に接種し、発症の有無を確認することで感染性を検出するバイオアッセイ法が用いられる。しかしながら、この方法は実験動物を長期間飼育・観察する必要があり、その結果は数十~数百日後でないと得られず、膨大な経過観察の手間と費用がかかるという問題がある。
したがって、不活化処理後、残存するPrPScを短期間に検出することができる高感度な方法が開発できれば、プリオン不活性化方法の開発、及びその評価において著しい改善をもたらすことになる。



これまで行われている異常プリオン蛋白質(PrPSc)の検出方法としては、プリオンに感染した脳乳剤と正常脳乳剤を試験管内で混合し、超音波処理・攪拌培養を繰り返すことによってPrPScを増幅させる方法としてのPMCA(蛋白質ミスホールディング循環増幅:protein misfolding cyclic amplification)法が開発され、極微量のPrPScを検出することが可能となった(非特許文献2、特許文献1)。



このPMCA法で用いられたPrPScは、スクレイピー(ハムスターに順化させた263K株)を感染させたハムスターの脳乳剤であり、これを希釈し、それに正常プリオン蛋白質(PrP)として正常なハムスターの脳乳剤を加えて、混合し、試験管内で培養させ、過剰に加えられたPrPがPrPScに構造変換されることによりPrPScを増幅させ、これを超音波処理にかけて、凝集しているPrPScを微細化し、再び過剰のPrPと培養するという、一連の混合・培養-超音波処理のサイクルを繰り返すことによりPrPScの量を増幅させる方法である。



このPMCA法は、ハムスタースクレイピー感染モデルのPrPScの増幅には極めて有効なものであり、5サイクルでPrPScの増幅率は平均58であり、10サイクルでは、PrPScサンプルを1万倍以上に希釈しても検出でき、感染ハムスターの血液(非特許文献3)や尿(非特許文献4)といった体液中の極微量のPrPScを検出することが可能であり、潜伏期にある動物の血液細胞からもPrPScを検出することができ(非特許文献5および4)、プリオン病の早期診断法、或いはプリオン不活性化の評価法としての有用性が示されている。



しかしながら、提案されたPMCA法は、ハムスタースクレイピー感染モデルのPrPScの増幅には極めて有効なものであるが、牛海綿状脳症(BSE)の異常プリオン蛋白質(PrPSc)の増幅に適用すると、十分な増幅が得られないといった問題があり、BSEの生前診断法若しくは早期診断法としてはその応用は十分なものではない。

【特許文献1】特公表2004-503748号公報

【非特許文献1】Nature, 383: p685-690 (1996)

【非特許文献2】Nature, 411: p810-813 (2001)

【非特許文献3】Nat. Med., 11: p982-985 (2005)

【非特許文献4】J. Gen. Virol., 88: p2890-2898 (2007)

【非特許文献5】Science, 313: p92-94 (2006)

産業上の利用分野


本発明は、牛海綿状脳症(BSE:Bovine Spongiform Encephalopathy)由来の異常プリオン蛋白質の効率的な試験管内の増幅方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
正常プリオン蛋白質(PrP)をソースとし、異常プリオン蛋白質(PrPSc)をシードとして用い、両者を混合・培養-超音波処理を繰り返えすことによる牛海綿状脳症(BSE)由来PrPScを増幅させる蛋白質ミスホールディング循環増幅(PMCA:protein misfolding cyclic amplification)法において、
混合・培養-超音波処理を、硫酸多糖化合物の存在下に行うことを特徴とするBSE由来のPrPScの効率的増幅方法。
【請求項2】
ソースとして用いるPrPが、PrPを含む脳乳剤であり、シードとして用いるBSE由来のPrPScが、BSE感染動物由来のPrPSc、或いはBSEの感染に基づく変異型クロイツフェルト・ヤコブ病由来のPrPScを含む体組織である請求項1に記載のBSE由来のPrPScの効率的増幅方法。
【請求項3】
硫酸多糖化合物が、溶液中で陰性電荷を持つ硫酸基を含む硫酸多糖化合物である請求項1に記載のBSE由来のPrPScの効率的増幅方法。
【請求項4】
溶液中で陰性電荷を持つ硫酸基を含む硫酸多糖化合物が、デキストラン硫酸化合物、又はペントサンポリ硫酸化合物である請求項1に記載のBSE由来のPrPScの効率的増幅方法。
【請求項5】
硫酸多糖化合物が、分子量5~6KDの硫酸多糖化合物である請求項1に記載のBSE由来のPrPScの効率的増幅方法。
【請求項6】
硫酸多糖化合物が、分子量1.5~1.9KDの硫酸多糖化合物である請求項1に記載のBSE由来のPrPScの効率的増幅方法。
【請求項7】
添加する硫酸多糖化合物の濃度が、0.005~1%である請求項1に記載のBSE由来のPrPScの効率的増幅方法。
【請求項8】
硫酸多糖化合物がデキストラン硫酸化合物又はペントサンポリ硫酸である請求項1に記載のBSE由来のPrPScの効率的増幅方法。
【請求項9】
デキストラン硫酸化合物が、デキストラン硫酸ナトリウム又はデキストラン硫酸カリウムである請求項8に記載のBSE由来のPrPScの効率的増幅方法。
産業区分
  • 有機化合物
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2010514498thum.jpg
出願権利状態 権利存続中


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