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ねじれ秤による微小力測定装置及び微小力測定方法並びに埋没物体の探査方法

国内特許コード P110006073
整理番号 50
掲載日 2011年12月12日
出願番号 特願2010-122928
公開番号 特開2011-247811
登録番号 特許第5578667号
出願日 平成22年5月28日(2010.5.28)
公開日 平成23年12月8日(2011.12.8)
登録日 平成26年7月18日(2014.7.18)
発明者
  • 村田 次郎
  • 二宮 一史
出願人
  • 学校法人立教学院
発明の名称 ねじれ秤による微小力測定装置及び微小力測定方法並びに埋没物体の探査方法
発明の概要 【課題】ねじれ秤のアームを吊るす細線に対するアームの重心の振り子運動としての単振動の影響を受けずにねじれ秤の回転角度を決定することが可能である。
【解決手段】アーム12の中心軸を回転中心とする回転角度を計測することで測定する構成とされたねじれ秤によって微小力を測定する装置である。画像情報取得装置20は、アームの画像を取り込んでこの画像の画像情報信号25を生成しこの画像情報信号を時系列に従ったアームの静止2次元光強度画像を表示するビデオフレーム27を生成して出力する。画像情報処理装置30はアームの静止2次元光強度画像から、光強度重心となる複数の輝度重心座標点を決定し、この複数の輝度重心座標点からの距離の二乗の和が最小となる直線の方程式を最小二乗法によって求め、この直線の傾きを表すパラメータから物体10に働く力の大きさを決定する。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要



固体等の内部に埋没していると推定される埋没物の存在を非破壊で確認する検査方法として、従来当該固体にX線等の放射線あるいは超音波を照射して、これら放射線あるいは超音波の散乱の情報から埋没物を探査する方法が知られている。





これらの検査方法は、高い解像度を以って埋没物を探索可能であるという利点を有している一方で、探索対象とされる埋没物によっては、放射線あるいは超音波等を透過するため利用が困難である場合がある。また、放射線の被曝量を制限する必要がある対象物についてはその使用が制限される。





更に、放射線あるいは超音波を検査対象物に照射して探査する方法にあっては、放射線あるいは超音波の発生源を検査対象物の付近に設置する必要があり、検査対象物の置かれている状況あるいは検査対象物の大きさ等によっては、その使用が制限される。





そこで、埋没物を含有していると推定される検査対象物に対して放射線あるいは超音波を照射せずに、埋没されている物体の質量による重力を、当該検査対象物に対する複数の相異なる位置において測定し、この結果を解析することによって埋没物の存在を探索することが有効な手段となり得る。





また、上述の実用的な要請から微小力である重力を測定するという用途の他に、学問的な知見を得るために微小力を測定したいという要請もある。例えば、平行に置かれた2枚の無帯電状態の金属板の間にカシミール力が引力として働くことが知られており、このカシミール力を測定する実験が行われている。また、近距離における万有引力定数の測定実験や、万有引力の法則自身の検証実験も行われている。





上述の埋没されている物体の質量による重力の大きさ、及びカシミール力は非常に小さいために、高感度でかつ測定中の外乱の影響を受けにくい方法で測定する必要がある。このように微小力を測定する方法として有力なのが、歴史的に有名なキャベンディッシュの実験に使われたねじれ秤を利用する方法である。





なお、ねじれ秤による測定対象としては、上述の重力、カシミール力に限らず、微小な電磁力も測定の対象となり得る。





ねじれ秤は、両端に物体が取り付けられたアームを当該アームの重心を剛性のワイヤーあるいは熔融石英ファイバ等の細線で吊り下げられて構成されており、この細線を回転中心とするアームの回転角度を測定することによって、物体と被測定対象物との間に働く微小力の大きさを求めることを原理とした微小力測定装置である。以後、アームを吊り下げている細線を回転中心とするアームの回転を、ねじれ秤の回転ということもある。





ねじれ秤による物体の質量による重力の大きさの測定方法の一例として非特許文献1に開示されている手法がある。





また、ねじれ秤による測定においては、ねじれ秤の回転角度を正確に測定することがポイントとなる。その手法として、ねじれ秤の運動の様子をビデオ撮影して、この画像を解析することによって、ねじれ秤の回転角度を求めるというアイディアが開示されている(非特許文献2参照)。しかしながら、非特許文献2には、ねじれ秤の回転角度を求めるための具体的な手法が開示されていない。





更に、ねじれ秤を用いたカシミール力の測定については、例えば、非特許文献3に開示されている。このカシミール力の測定方法によれば、ねじれ秤のアームの中心に取り付けられたミラーにレーザー光を当てこのレーザー光の反射光を光検出器で受光してアームの回転角度を測定するという方法がとられている。

産業上の利用分野



この発明は、ねじれ秤による微小力測定装置及び微小力測定方法に係り、特にねじれ秤を構成するアームの画像に対する画像処理によってアームの回転角度を測定してこの回転角度からアームに働く微小力を測定する装置及び方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
両端に物体が取り付けられたアームを、細線によって当該細線の中心軸を中心にして弾性的に回転が可能な状態に吊り下げ、前記物体に働く力の大きさを、前記中心軸を回転中心とする当該アームの回転角度を計測することで測定する構成とされたねじれ秤と、
前記アームの画像を取り込んで当該画像の画像情報信号を生成し、当該画像情報信号から前記アームの静止2次元光強度画像を表示する時系列に従ったビデオフレームを生成して出力する画像情報取得装置と、
当該ビデオフレームを取り込んで、前記アームの静止2次元光強度画像から、光強度重心となる複数の輝度重心座標点を決定し、複数の輝度重心座標点からの距離の二乗の和が最小となる直線の方程式を最小二乗法によって求め、当該直線の傾きを表すパラメータで与えられる回転角度から前記物体に働く力の大きさを決定する画像情報処理装置と
を具え、
前記ねじれ秤を構成する前記アームの画像から、当該アームの画像の中心線を表す直線を解析的に1次関数で表したときの当該直線の傾きを測定パラメータとし、単振動する当該アームの回転角度を、当該アームを吊り下げている細線に対する当該アームの重心の振り子運動としての単振動に影響されることなく独立に決定す
ことを特徴とする微小力測定装置。

【請求項2】
前記画像情報取得装置は、結像光学系と、2次元受光素子と、ビデオキャプチャー装置とを具え、
前記結像光学系は、前記アームの実像が前記2次元受光素子の受光面に形成されるように配置され、
前記2次元受光素子は、光強度を電気信号に変換する複数のピクセルが、当該ピクセルのそれぞれの配列位置が2次元位置座標によって規定されて、当該2次元受光素子の受光面を画する範囲の2次元平面を埋め尽くすように配列されて構成されており、かつ当該2次元受光素子を構成する前記ピクセルがそれぞれ同時刻に受光する光強度が電気信号に変換されて当該ピクセルの位置座標の関数として与えられる信号を、前記アームの前記画像情報信号として取得して出力し、
前記ビデオキャプチャー装置は、前記画像情報信号を取り込んで、前記画像情報信号のそれぞれから前記アームの静止2次元光強度画像を表示するビデオフレームを生成して、時系列に従った当該ビデオフレームを単位とする時間の関数として当該ビデオフレームを出力する構成とされており、及び、
前記画像情報処理装置は、輝度重心座標点確定手段と、直線方程式算出手段と、トルク算出手段とを具え、
前記輝度重心座標点確定手段によって、前記ビデオキャプチャー装置から出力された前記ビデオフレームを時系列に従って順次読み込んで、当該ビデオフレームのそれぞれが表示する前記静止2次元光強度画像ごとに、光強度重心となる複数の輝度重心座標点を確定する処理と、
前記直線方程式算出手段によって、前記輝度重心座標点確定手段から出力された、前記静止2次元光強度画像の光強度重心となる複数の輝度重心座標点を読み込んで、複数の輝度重心座標点からの距離の二乗の和が最小となる直線の方程式を求める処理と、
前記トルク算出手段によって、前記直線方程式算出手段から、時系列に従って順次確定されて出力された前記直線の方程式を時間の関数として読み込んで、この直線の傾きの時間変動から、トルクの大きさを求める処理と
を実行することを特徴とする請求項1に記載の微小力測定装置。

【請求項3】
前記輝度重心座標点確定手段は、前記2次元位置座標をx-y直交座標としたとき、ROM(Read Only Memory)から次式(1)を読み出してきて、時刻tにおける、x座標がx0であるy軸に平行な方向に沿って光強度重心となるy座標の値を当該次式(1)によって確定させ、
順次前記x0の値を前記2次元受光素子の受光面の両端の範囲であるx1~xnにわたって変化させて、前記光強度重心となる複数の輝度重心座標点(x1, mean_y(x1,t))、(x2, mean_y(x2,t))、・・・・(xn, mean_y(xn,t))を順次確定する
ことを特徴とする請求項2に記載の微小力測定装置。
【数8】



【請求項4】
前記直線方程式算出手段は、前記ROMから次式(2)を読み出してきて、当該次式(2)によって与えられる、前記複数の輝度重心座標点からの距離の二乗の和χ2(t)が最小となる直線の方程式を時間の関数として算出することを特徴とする請求項3に記載の微小力測定装置。
【数9】


ここで、σmean_yは、mean_yの統計上の標準偏差値、a(t)及びb(t)はパラメータである。

【請求項5】
前記トルク算出手段は、前記ROMから次式(3)を読み出してきて、前記直線の傾きを与える時間の関数としての前記パラメータa(t)に、当該次式(3)を当てはめて前記アームに働いたトルクの大きさτを求めることを特徴とする請求項4に記載の微小力測定装置。
a(t)=a0+af sinωf t+(τ/κ) (3)
ここで、κは細線のねじれに対する弾性定数であり、ωfとafは雑音として残る、アームの固有振動の角周波数と角度振幅、a0は初期角度のパラメータである。減衰を無視すれば、af=τ/κである。

【請求項6】
前記トルク算出手段は、前記ROMから次式(4)を読み出してきて、前記直線の傾きを与える時間の関数としての前記パラメータa(t)に、当該次式(4)を当てはめて前記アームに働いたトルクの大きさτを求めることを特徴とする請求項4に記載の微小力測定装置。
a(t)=(τsinωt) /κ+a0 (4)
ここで、κは前記細線のねじれに対する弾性定数であり、ωはアームの固有振動の角周波数ωfに比べて十分に小さい角周波数の値、a0は初期角度のパラメータである。

【請求項7】
両端に物体が取り付けられたアームを、細線によって当該細線の中心軸を中心にして弾性的に回転が可能な状態に吊り下げ、前記物体に働く力の大きさを、前記中心軸を回転中心とする当該アームの回転角度を計測することで測定する構成とされたねじれ秤による微小力測定方法であって、
前記アームの画像を取り込んで当該画像の画像情報信号を生成し、当該画像情報信号から前記アームの静止2次元光強度画像を表示する時系列に従ったビデオフレームを生成して出力する画像情報取得ステップと、
当該ビデオフレームを取り込んで、前記アームの静止2次元光強度画像から光強度重心となる複数の輝度重心座標点を決定し、複数の輝度重心座標点からの距離の大きさの二乗の和が最小となる直線の方程式を最小二乗法によって求め、当該直線の傾きを表すパラメータで与えられる回転角度から前記物体に働く力の大きさ決定する画像情報処理ステップと
を含み、
前記ねじれ秤を構成する前記アームの画像から、当該アームの画像の中心線を表す直線を解析的に1次関数で表したときの当該直線の傾きを測定パラメータとし、単振動する当該アームの回転角度を、当該アームを吊り下げている細線に対する当該アームの重心の振り子運動としての単振動に影響されることなく独立に決定する
ことを特徴とする微小力測定方法。

【請求項8】
前記画像情報取得ステップは、
光強度を電気信号に変換する複数のピクセルが、当該ピクセルのそれぞれの配列位置が2次元位置座標によって規定されて、当該2次元受光素子の受光面を画する範囲の2次元平面を埋め尽くすように配列されて構成された2次元受光素子の受光面に、結像光学系によって前記アームの画像を形成する2次元画像形成ステップと、
前記ピクセルがそれぞれ同時刻に受光する光強度を当該ピクセルの位置座標の関数として与えられる、前記アームの画像情報を電気信号に変換して前記画像情報信号としてビデオキャプチャー装置に出力する画像情報構成ステップと、
前記ビデオキャプチャー装置が、前記画像情報信号を時系列に従って取り込んで、時刻ごとの前記画像情報信号のそれぞれから前記アームの静止2次元光強度画像を表示するビデオフレームを生成して、時系列に従った当該ビデオフレームを単位とする時間の関数として当該ビデオフレームを出力するビデオフレーム生成ステップと
を含み、及び
前記画像情報処理ステップは、
輝度重心座標点確定手段が前記ビデオキャプチャー装置から出力された前記ビデオフレームを時系列に従って順次読み込んで、当該ビデオフレームのそれぞれが表示する前記静止2次元光強度画像ごとに、光強度重心となる複数の輝度重心座標点を確定する輝度重心座標点確定ステップと、
直線方程式算出手段が前記輝度重心座標点確定手段から出力された前記静止2次元光強度画像の光強度重心となる複数の輝度重心座標点を読み込んで、複数の輝度重心座標点からの距離の二乗の和が最小となる直線の方程式を時間の関数として求める直線方程式算出ステップと、
トルク算出手段が前記直線方程式算出ステップで、時系列に従って順次確定される前記直線の方程式を時間の関数として読み込んで、この直線の傾きの時間変動から、トルクの大きさを求めるトルク算出ステップと
を含んでいることを特徴とする請求項7に記載の微小力測定方法。

【請求項9】
前記輝度重心座標点確定ステップは、前記2次元位置座標をx-y直交座標系としたとき、ROM(Read Only Memory)から次式(1)を読み出してきて、時刻tにおける、x軸とy軸とで規定される2次元直交座標のx座標がx0であるy軸に平行な方向に沿って光強度重心となるy座標の値を当該次式(1)によって確定させ、
順次前記x0の値を前記2次元受光素子の受光面の両端の範囲であるx1~xnにわたって変化させて、前記光強度重心となる複数の輝度重心座標点(x1, mean_y(x1,t))、(x2, mean_y(x2,t))、・・・・(xn, mean_y(xn,t))を順次確定するステップである
ことを特徴とする請求項8に記載の微小力測定方法。
【数10】



【請求項10】
前記直線方程式算出ステップは、前記ROMから次式(2)を読み出してきて、当該次式(2)によって与えられる前記複数の輝度重心座標点からの距離の二乗の和χ2(t)が最小となる直線の方程式を時間の関数として算出するステップであることを特徴とする請求項9に記載の微小力測定方法。
【数11】


ここで、σmean_yは、mean_yの統計上の標準偏差値であり、a(t)及びb(t)はパラメータである。

【請求項11】
前記トルク算出ステップは、前記ROMから次式(3)を読み出してきて、前記直線の傾きを与える時間の関数としての前記パラメータa(t)に、当該次式(3)を当てはめて前記アームに働いたトルクの大きさτを求めるステップであることを特徴とする請求項10に記載の微小力測定方法。
a(t)=a0+af sinωf t+(τ/κ) (3)
ここで、κは細線のねじれに対する弾性定数であり、ωfとafは雑音として残る、アームの固有振動の角周波数と角度振幅、a0は初期角度のパラメータである。減衰を無視すれば、af=τ/κである。

【請求項12】
前記トルク算出ステップは、前記ROMから次式(4)を読み出してきて、前記直線の傾きを与える時間の関数としての前記パラメータa(t)に、当該次式(4)を当てはめて前記アームに働いたトルクの大きさτを求めるステップであることを特徴とする請求項10に記載の微小力測定方法。
a(t)=(τsinωt)/κ+a0 (4)
ここで、κは前記細線のねじれに対する弾性定数であり、a0は初期角度のパラメータである。

【請求項13】
請求項7に記載の微小力測定方法を、被微小力測定対象に対する位置を変えつつ実行し、当該被微小力測定対象に埋没している物体の存在を非破壊探査する埋没物体の探査方法。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) S2010-0720-N0
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