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メタマテリアル用の単位共振器、共振器アレイおよびメタマテリアルの製造方法

国内特許コード P120006441
整理番号 23517
掲載日 2012年1月10日
出願番号 特願2011-131447
公開番号 特開2013-005044
登録番号 特許第5771818号
出願日 平成23年6月13日(2011.6.13)
公開日 平成25年1月7日(2013.1.7)
登録日 平成27年7月10日(2015.7.10)
発明者
  • 青木 画奈
  • 田中 拓男
出願人
  • 国立研究開発法人理化学研究所
発明の名称 メタマテリアル用の単位共振器、共振器アレイおよびメタマテリアルの製造方法
発明の概要 【課題】 実用可能なメタマテリアルの作製および制御技術を提供する。
【解決手段】 本発明のある態様においては、支持媒体に保持され電磁波に作用するようになっているメタマテリアル1000用の単位共振器であって、芯部品10と、電磁波の動作波長に比して小さい径のリングに沿って該芯部品に当接して並ぶいくつかの周辺部品20であって、該周辺部品それぞれが前記芯部品と同等または芯部品より小さいサイズを有しており、該動作波長の電磁波にとって電気回路として作用する周辺部品とを備える単位共振器100が提供される。また、本発明の別の態様においては、そのような単位共振器100を複数備えている共振器アレイも提供される。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要



従来、電磁波の磁場成分に作用することが可能な人工材料であるメタマテリアルが開発されている。メタマテリアルの一例は、例えば光の振動磁場成分に応答するという、自然界に存在する物質の有さない性質を人工的に付与した媒体または材料である。メタマテリアルは、例えば、負の屈折率を示す方向に光の伝搬方向を曲げることを可能にするといった従来の材質においては実現されない性質を示すことから、光の伝搬を人工的に操作する能力を拡大するものとして期待を集め、精力的な研究開発の対象となっている。





典型的なメタマテリアルにおいて光などの電磁波の伝搬特性の基盤となるのは、媒体に埋め込まれた多数の金属微小共振器である。その金属微小共振器の大きさは、メタマテリアルとしての作用を及ぼす電磁波の波長(以下、「動作波長」という)の1/4~1/10程度とされる。例えば、マイクロ波よりも短い動作波長に対しては、金属微小共振器のための微細構造のサイズにおいて、マイクロメートルオーダーや、ナノメートルオーダーという微小さが要求される。金属微小共振器を作製するために必要な微細加工の難易度は要求される微小さに応じて急速に高まってゆくため、多くのメタマテリアルの動作波長は、ミリメートルスケールの構造を用いたマイクロ波またはそれよりも長い波長域とされる。実証される大半のメタマテリアルの事例もそのような波長範囲のものである。





その一方、マイクロ波より短い波長をもつ電磁波、例えば可視光領域に動作波長を有するメタマテリアルも提案されている。特に3次元構造として光波長域のメタマテリアルを作製する手法の一つとして、金属多層膜をドライエッチング法により削り出す手法がカルフォルニア大学バークレー校のZhangらにより提案され実証されている(非特許文献1:Nature 455, 376 (2008))。また、光波長域のメタマテリアル構造を3次元的に作製する別の手法として、レジスト塗布、電子線描画、金属薄膜蒸着、リフトオフという一連の工程を繰り返す手法がStuttgart大学のGiessenらにより提案され実証されている(非特許文献2:Nature Materials 7, 31 (2008))。これらに報告される手法は、いずれも、従来の半導体微細加工技術を採用することにより、2次元構造を1層ずつ積層して3次元構造を作製するアプローチを採用する手法である。このため、上記いずれの手法であっても、作製される3次元構造を作製する際に構造誤差が蓄積しやすいという問題点がある。さらに、上記いずれの手法も、作製工程を実行するためには多大な時間を要するという問題も有している。そのため、これらの提案の手法に従って大面積・大容積のメタマテリアル構造を作製することは困難を伴う。





3次元構造のメタマテリアル構造を作製するための別の手法として、自己組織化を利用する手法も提案されている。この手法は、金属微小共振器の基本構造となる微粒子やロッドを何らかの液体などの適当な支持媒体に分散させ、支持媒体の凝集力を利用して自己組織化させるものである。その凝集の際には、界面などの領域に微粒子やロッドが自ら集まって規則配列構造が形成されるため、その規則配列構造をメタマテリアル構造の形成のために利用するのである。しかし、この自己組織化によって得られる配列形態の選択肢は限定されている。メタマテリアルが注目を集めている理由、すなわち電磁波に対する媒体の作用を人工的に制御することが可能となる、という観点からすると、凝集を利用する自己組織化によって得られる配列形態の多様性は、十分なものとはいえない。





さらに本願の発明者らは、メタマテリアルのための金属微小共振器として、split-ring共振器構造(以下「SRR構造」という)がメタマテリアルの基本共振器構造として有効であることを数値計算により示している(非特許文献3:Ishikawa et al, Phys. Rev. Lett., Vol. 95, 237401, (2005))。このSRR構造は、例えば、円環状の導電路に切り込みのようなギャップまたはスプリット部を設けた導電体により形成される。その計算結果による知見を実際のメタマテリアルにおいて実証しようとする場合にも、SRR構造の作製手法が問題となる。非特許文献3に報告されている金属微小共振器を作製して作用を実証するための手法として、金属イオンを溶解させた媒体にレーザー光を照射することより多光子吸収による還元反応を起こさせ、任意の場所に金属を析出させる手法がある。この手法では、微細なスケールにて金属微小共振器が作製される。しかし、この作製手法においても、レーザー光を走査し構造を一つ一つ描く必要があるために、作製工程に時間を要するという課題がある。また、形成可能な金属微小共振器も、上記媒体に接する固体の支持体に支えられたものに限定されているため、この手法では、計算などによって確認される様々な条件を実験的に確認することにとどまる。





これらと異なるアプローチを採用する共振器構造の作製手法として、外部磁場を利用する手法が開示されている。例えば、特許文献1(特開2011-64724号公報)には、「光学素子の製造方法および光学素子」と題して、外部磁場の作用によって磁気構造を整列させる手法が開示されている(特許文献1、例えば段落0017)。この手法においては、あらかじめリソグラフィ技術等によって磁気共振器が作製される(同、例えば段落0016)。また、磁性体を用いたメタマテリアルに関しても報告がなされている(非特許文献4:S. Tomita et al, Phys. Rev. Lett. 96, 167402 (2006))。

産業上の利用分野



本発明はメタマテリアル用の単位共振器、共振器アレイおよびメタマテリアルの製造方法に関する。さらに詳細には、本発明は、外部磁場による粒子の整列作用を利用したメタマテリアル用の単位共振器、共振器アレイおよびメタマテリアルの製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
支持媒体に保持され電磁波に作用するようになっているメタマテリアル用の単位共振器であって、
芯部品と、
電磁波の動作波長に比して小さい径のリングに沿って該芯部品に当接して並ぶいくつかの周辺部品であって、該周辺部品それぞれが前記芯部品と同等または芯部品より小さいサイズを有している周辺部品と
を備える
単位共振器。

【請求項2】
前記周辺部品が、前記芯部品のほぼ中心を通る平面に含まれる前記リングに沿って並んでいる
請求項1に記載の単位共振器。

【請求項3】
前記芯部品が常磁性体または強磁性体であり前記周辺部品が反磁性体であるか、または、前記芯部品が反磁性体であり前記周辺部品が常磁性体または強磁性体である
請求項2に記載の単位共振器。

【請求項4】
前記周辺部品が、前記芯部品を挟み互いにほぼ平行な二つ平面それぞれに含まれるリングに沿って並んでいる
請求項1に記載の単位共振器。

【請求項5】
前記支持媒体が前記芯部品および前記周辺部品のいずれよりも小さい磁性微粒子を含んでいる
請求項1に記載の単位共振器。

【請求項6】
前記リングが含まれる面に平行な電界成分を有する電磁波が入射した際に、または、前記リングが含まれる面に垂直な磁場成分を有する電磁波が入射した際に、前記リングにおける前記周辺部品のなす電気回路に該電磁波と同一の周波数の交流電流が流れる
請求項2または請求項4に記載の単位共振器。

【請求項7】
前記芯部品に対する前記周辺部品の相対配置、または前記周辺部品のうち一の芯部品に当接しているもの同士の相対配置が、少なくともいずれかの時点に印加された外部磁場により定まっており、
前記支持媒体が流体であり、
前記芯部品に対する前記周辺部品の相対配置、または前記周辺部品のうち一の芯部品に当接しているもの同士の相対配置のいずれかを、使用時の外部磁場の印加条件に応じて変化させる
請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の単位共振器。

【請求項8】
前記支持媒体のための前駆体が未硬化の光硬化性樹脂を含んでおり、
前記外部磁場を印加しながら該光硬化性樹脂に硬化を開始させる光を該前駆体に照射することにより、前記芯部品と前記周辺部品との相対配置が前記支持媒体において固定されている
請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の単位共振器。

【請求項9】
前記周辺部品が金属微粒子または金属球である
請求項1に記載の単位共振器。

【請求項10】
複数の単位共振器を支持媒体中に備えているメタマテリアル用の共振器アレイであって、
該単位共振器それぞれが、
芯部品と、
電磁波の動作波長に比して小さい径のリングに沿って並び、該芯部品に当接して配置されているいくつかの周辺部品であって、該周辺部品それぞれが前記芯部品と同等または芯部品より小さいサイズを有している周辺部品と
を備えるものである
共振器アレイ。

【請求項11】
前記支持媒体が前記芯部品および前記周辺部品のいずれよりも小さい磁性微粒子を含んでいる
請求項10に記載の共振器アレイ。

【請求項12】
前記単位共振器それぞれに備わる前記芯部品が常磁性体または強磁性体であり、
前記複数の単位共振器のうちある平面に含まれる少なくともいくつかの単位共振器が三角格子をなしている
請求項10に記載の共振器アレイ。

【請求項13】
前記単位共振器それぞれに備わる前記芯部品が常磁性体または強磁性体であり、
前記複数の単位共振器のうちの少なくともいくつかの単位共振器が、ある方向に向く直線群の各直線上に沿って互いにほぼ一定の間隔を置いて並んでいる
請求項10に記載の共振器アレイ。

【請求項14】
前記支持媒体が流体であり、前記単位共振器の互いの相対配置を使用時の外部磁場の印加条件に応じて変化させる
請求項11乃至請求項13のいずれか1項に記載の共振器アレイ。

【請求項15】
前記支持媒体のための前駆体が未硬化の光硬化性樹脂を含んでおり、
前記外部磁場を印加しながら該光硬化性樹脂に硬化を開始させる光が該前駆体に照射され、前記支持媒体において前記複数の単位共振器のうちの少なくともいくつかの単位共振器の相対配置が硬化した前記光硬化性樹脂により固定されており、
前記光は、第1の印加条件にて前記外部磁場を印加しながら前記前駆体の第1の露光領域に照射され、第2の印加条件にて前記外部磁場を印加しながら前記前駆体の第2の露光領域に照射され、
それにより、前記第1の露光領域と前記第2の露光領域とに対応する前記支持媒体の各領域において電磁波に対する作用が互いに異なっている
請求項14に記載の共振器アレイ。

【請求項16】
電磁波に対する作用が異なっている単位領域を複数組合せることにより、電磁波に対する一の機能を実現している
請求項15に記載の共振器アレイ。

【請求項17】
芯部品と、それぞれが前記芯部品と同等または芯部品より小さいサイズを有しているいくつかの周辺部品とを含む単位共振器のための部品の集合を支持流体に分散させることにより部品分散流体を準備する工程と、
該部品分散流体に外部磁場を印加して前記支持流体中において前記単位共振器のそれぞれを構築する工程であって、該外部磁場により、前記芯部品に当接しながら、電磁波の動作波長に比して小さい径のリングに沿って並ぶように前記周辺部品を配置する、工程と
を含む
メタマテリアルの製造方法。

【請求項18】
前記部品分散流体に外部磁場を印加して前記支持流体中において前記単位共振器を配列する工程であって、該外部磁場により、前記部品の集合に含まれる少なくともいくつかの前記芯部品の間に磁気による引力または斥力が生成される、工程
をさらに含む
請求項17に記載のメタマテリアルの製造方法。

【請求項19】
前記支持流体が未硬化の光硬化性樹脂を含んでおり、
前記部品分散流体に外部磁場を印加しながら、該光硬化性樹脂に硬化を開始させる光を該部品分散流体に照射する工程
をさらに含む
請求項17または請求項18に記載のメタマテリアルの製造方法。

【請求項20】
前記光を該部品分散流体に照射する工程が、前記光を外部磁場の第1の印加条件にて前記部品分散流体の第1の露光領域に照射し、前記光を外部磁場の第2の印加条件にて前記部品分散流体の第2の露光領域に照射するものである
請求項19に記載のメタマテリアルの製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 登録
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