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荷電粒子によるエネルギー付与用ノズルの製造方法、エネルギー付与用ノズル、エネルギー付与装置、および荷電粒子照射強度計測システム

国内特許コード P120006449
整理番号 23319
掲載日 2012年1月10日
出願番号 特願2011-161568
公開番号 特開2013-022336
登録番号 特許第5794501号
出願日 平成23年7月25日(2011.7.25)
公開日 平成25年2月4日(2013.2.4)
登録日 平成27年8月21日(2015.8.21)
発明者
  • 池田 時浩
出願人
  • 国立研究開発法人理化学研究所
発明の名称 荷電粒子によるエネルギー付与用ノズルの製造方法、エネルギー付与用ノズル、エネルギー付与装置、および荷電粒子照射強度計測システム
発明の概要 【課題】 陽子ビーム等のマイクロビームの照射強度を照射しながら測定する。
【解決手段】 本発明のある態様においては、内部に通路102をなす側壁106と、通路102の一端104Tまたはその近傍にて通路102を塞ぐように配置され、荷電粒子の透過に応じてシンチレーション光を発するシンチレーターを含む先端壁108とを備えるエネルギー付与用ノズル100が提供される。典型的には、その先端壁108は、シンチレーターを含む微粒子112を融解または軟化して形成される。
【選択図】図4
従来技術、競合技術の概要



近年、陽子線、α線、重粒子線等の荷電粒子による線エネルギー付与(LET:Linear Energy Transfer)が医療技術として利用されている。エネルギー付与とは、運動エネルギーが与えられた陽子線などの荷電粒子が生体などの被照射物に照射されると、荷電粒子の経路となる被照射物の物質中の各位置に、荷電粒子からの相互作用によりエネルギーが付与される現象である。一般には、LETとの用語を用いて被照射物の各部の単位長さあたりに与えられるエネルギーの値自体を示す。この値をビームの進行方向の各位置に対してプロットした曲線(LET曲線)には、ブラッグピークと呼ばれる極大部が生じることが知られている。このブラッグピークの位置を例えば患部などに合わせれば、患部までの途中の経路や、患部より遠い位置の生体組織への影響を抑制しながら、被照射物の狙いの部位(標的)に対して効果的にエネルギーを付与することが可能となる。





また、自然放射線などの影響により遺伝子に生じる損傷を実験的に加速して再現する手法としても、荷電粒子によるエネルギー付与は有望である。ここで、類似の実験的手法として、例えば紫外線(UV光)などの光子を遺伝子に人為的に照射して損傷を生じさせることも可能である。しかし、光子による照射量を増大させたとしても被照射物に含まれるDNA(デオキシリボ核酸)の二重螺旋の対になる塩基配列を、互いに近い位置で切断することは難しい。これに対し荷電粒子によるエネルギー付与を採用すると、DNAの塩基配列を互いに近い位置において効率良く切断することが可能となる。つまり、遺伝子損傷を加速して実験するために荷電粒子によるエネルギー付与を採用すると、照射量を過剰にすることなく遺伝子に対して効率良く損傷を与えることが可能となる。





さらに、生体細胞に対して荷電粒子によるエネルギー付与が及ぼす基礎的な作用を調べる実験も行なわれている。例えば、水素の原子核である陽子やヘリウムの原子核であるα線に代表される荷電粒子を、100MeV程度またはそれ以上といった運動エネルギーに加速して生体に対して照射する実験が行なわれる。その実験では、被照射物を生物の細胞とし、ブラッグピークの位置に置かれた特定の細胞や、さらには、特定の細胞内の特定の細胞小器官(オルガネラ)の挙動が調べられる。以下、細胞および細胞小器官を総称して「細胞等」という。その実験では、まず、運動エネルギーが高められた陽子やヘリウム原子核などの荷電粒子のビームがペレトロン加速器などの加速器によって生成される。被照射物である細胞等は、概ね100~10μmまたはそれ以下のサイズであり、しかも、複数の細胞等が互いに三次元的にネットワークも形成している場合がある。このような生体細胞に対し微視的なスケールでの照射を行なってLETの影響を調べたいというニーズがある。細胞または細胞内の細胞内器官を特定した上で荷電粒子によるLETが及ぼす影響が調査されれば、細胞の機能に対するより詳細な知見を得ることが可能となるためである。





しかし、加速器によって加速した荷電粒子を利用してそのニーズに合わせた実験を行なおうとすると、ビームを十分に絞れないという課題が生じる。微視的な領域に荷電粒子のビームを絞るために大規模な装置、例えば四重極等の静電レンズが必要となる。





この課題に対し、数ミクロンまたは数十ミクロンといった細い荷電粒子のビーム(以下、「マイクロビーム」という)を形成する手法が開発されている。例えば、荷電粒子のマイクロビームを生成するためにガラス製のキャピラリーを利用する手法が特許文献1(特開2007-3418号公報)に開示されている。特許文献1の開示によれば、静電レンズを用いる場合よりもさらに絞った断面のマイクロビームを形成することが可能である。この特許文献1に開示される手法によれば、マイクロビームを形成することができるものの、荷電粒子に与えることが可能な加速エネルギー領域が数keV程度となる。このエネルギー領域の荷電粒子は、被照射物の表面近傍の原子または分子1層程度を通過するだけでエネルギーを失ってしまい、ブラッグピークを細胞の位置に合わせることができない。したがって、特許文献1に開示される手法のみでは所望の被照射物を標的として荷電粒子ビームを照射することは困難である。





それに対し、細胞等に照射するのに適するより大きな加速エネルギー、つまり、数MeV程度のエネルギーを持つ荷電粒子のマイクロビームによる照射を可能とする手法が特許文献2(特開2008-22991号公報)に開示されている。特許文献2に開示される手法においては、ガラス製のキャピラリーの先端部にガラス製の蓋が設けられ、そのガラス製の蓋を透過した荷電粒子が細胞等へ照射される。非特許文献1(Y. Iwai et. al, Applied Physics Letters, 92, 023509)には、実際にガラス製の蓋付きキャピラリーにより形成した荷電粒子のマイクロビームを細胞に照射した実験結果が報告されている。例えば、非特許文献1のFig.3には、照射の前後で照射部位の活性が変化した観察例が開示されている。

産業上の利用分野



本発明は荷電粒子によるエネルギー付与用ノズルの製造方法、エネルギー付与用ノズル、エネルギー付与装置、および荷電粒子照射強度計測システムに関する。さらに詳細には、本発明は、荷電粒子によるエネルギーを被照射物に付与しながら荷電粒子の照射強度の測定を可能にするようなエネルギー付与用ノズルの製造方法、エネルギー付与用ノズル、エネルギー付与装置、および荷電粒子照射強度計測システムに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
内部に通路をなし、該通路の断面積が一端に向かって減少する筒状または管状の側壁を形成する工程と、
荷電粒子の透過に応じてシンチレーション光を発するシンチレーターを含む材質の微粒子を、前記側壁の表面のうち、前一端または該一端の近傍の領域に付着させる工程と、
前記微粒子の材質を少なくとも一時的に融解または軟化させることにより、記一端または該一端の近傍にて前記通路を塞ぐようにして前記微粒子の材質の先端壁を形成する先端壁形成工程と、ここで、該先端壁が前記通路の延びる向きに荷電粒子を透過させる厚みを持っており、
を含み、
前記先端壁において生じるシンチレーション光または当該シンチレーション光を波長シフトさせた光の光量を検出することにより、前記側壁によりマイクロビームにされた荷電粒子ビームを、前記先端壁を透過させて前記一端から被照射物に入射させる際の実際の照射強度を測定するためのエネルギー付与用ノズルの製造方法。

【請求項2】
前記微粒子の材質が熱可塑性を示すものであり、
前記先端壁形成工程は、
前記微粒子の材質の融液または軟化したものを、前記一端から前記通路の少なくとも一部へと毛管現象によって導く工程と、
前記融液または軟化したものを固化させる工程と
を含むものである
請求項1に記載のエネルギー付与用ノズルの製造方法。

【請求項3】
前記筒状または管状の側壁を形成する工程は、前記シンチレーション光または当該シンチレーション光を波長シフトさせた光を通す材質により前記側壁の前記一端の近傍を形成する工程であり、
検出される光に前記側壁を通じて放出される光が含まれている
請求項1に記載のエネルギー付与用ノズルの製造方法。

【請求項4】
内部に通路をなし、該通路の断面積が一端に向かって減少する筒状または管状の側壁と、
一端または該一端の近傍にて前記通路を塞ぐように配置された先端壁であって前記通路の延びる向きに荷電粒子を透過させる厚みを持っており、荷電粒子の透過に応じてシンチレーション光を発するシンチレーターを含んでいる先端壁と
を備えており、
前記先端壁において生じるシンチレーション光または当該シンチレーション光を波長シフトさせた光の光量を検出することにより、前記側壁によりマイクロビームにされた荷電粒子ビームを、前記先端壁を透過させて前記一端から被照射物に入射させる際の実際の照射強度を測定するためのエネルギー付与用ノズル。

【請求項5】
前記先端壁は、前記シンチレーターを含む材質の微粒子を少なくとも一時的に融解または軟化させて形成されたものである
請求項4に記載のエネルギー付与用ノズル。

【請求項6】
前記先端壁は、前記シンチレーターを含む材質の融液または軟化したものを、前記一端から前記通路の少なくとも一部へと毛管現象によって導くことにより配置されている
請求項4に記載のエネルギー付与用ノズル。

【請求項7】
前記先端壁が、前記側壁の材質が融解または軟化する温度よりも低い温度において融解または軟化する材質から作製されたものである
請求項4に記載のエネルギー付与用ノズル。

【請求項8】
前記側壁のうち前記一端の近傍の材質が、前記シンチレーション光または当該シンチレーション光を波長シフトさせた光を通すものであり、
検出される光に前記側壁を通じて放出される光が含まれている
請求項4に記載のエネルギー付与用ノズル。

【請求項9】
荷電粒子の照射により被照射物にエネルギーを付与するエネルギー付与装置であって、
内部に通路をなし、該通路の断面積が一端に向かって減少する筒状または管状の側壁と、前一端または該一端の近傍にて前記通路を塞ぐように配置された先端壁であって前記通路の延びる向きに荷電粒子を透過させる厚みを持っており、荷電粒子の透過に応じてシンチレーション光を発するシンチレーターを含んでいる先端壁とを有するエネルギー付与用ノズルと、
該エネルギー付与用ノズルを保持し前記通路の他端を塞ぐホルダーであって、該通路に連通するキャビティー部を有し、該キャビティー部の内部における該通路の前記他端に面する位置において荷電粒子の線源を保持するようになっているホルダーと、
該線源から前記通路の前記他端までに至るいずれかの位置に配置され、荷電粒子を通過させるか遮断するかを制御するシャッターと
を備えており、
前記先端壁において生じるシンチレーション光または当該シンチレーション光を波長シフトさせた光の光量を検出することにより、前記側壁によりマイクロビームにされた荷電粒子ビームを、前記先端壁を透過させて前記一端から被照射物に入射させる際の実際の照射強度を測定す
エネルギー付与装置。

【請求項10】
前記側壁のうち前記一端の近傍の材質が、前記シンチレーション光または当該シンチレーション光を波長シフトさせた光を通すものであり、
検出される光に前記側壁を通じて放出される光が含まれている
請求項9に記載のエネルギー付与装置。

【請求項11】
照射物へエネルギーを付与る荷電粒子マイクロビーム実際の照射強度を計測する荷電粒子照射強度計測システムであって、
請求項4から請求項8のいずれか1項に記載のエネルギー付与用ノズル
前記エネルギー付与用ノズルの前記シンチレーターから発せられるシンチレーション光または該シンチレーション光から波長シフトされた光のうちのいずれかを検出して測定信号を出力する光検出部と、
該光検出部による該測定信号を受けて、前記先端壁を透過して前記被照射物に照射された荷電粒子の実際の照射強度に関連する数値を出力する換算機構と
を備える
荷電粒子照射強度計測システム。

【請求項12】
照射物へエネルギーを付与る荷電粒子マイクロビーム実際の照射強度を計測する荷電粒子照射強度計測システムであって、
求項9または10に記載のエネルギー付与装置と
該エネルギー付与装置におけるエネルギー付与用ノズルの前記シンチレーターから発せられるシンチレーション光または該シンチレーション光から波長シフトされた光のうちのいずれかを検出して測定信号を出力する光検出部と、
該光検出部による該測定信号を受けて、前記先端壁を透過して前記被照射物に照射された荷電粒子の実際の照射強度に関連する数値を出力する換算機構と
を備える
荷電粒子照射強度計測システム。

【請求項13】
前記換算機構が、前記照射強度に関連する前記数値として、前記先端壁を透過した実際の荷電粒子の計数値を出力する
請求項11または請求項12に記載の荷電粒子照射強度計測システム。
産業区分
  • 治療衛生
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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