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ES細胞の分化誘導方法 コモンズ

国内特許コード P120006536
整理番号 06077JP
掲載日 2012年1月30日
出願番号 特願2009-517844
登録番号 特許第5124820号
出願日 平成20年5月30日(2008.5.30)
登録日 平成24年11月9日(2012.11.9)
国際出願番号 JP2008060029
国際公開番号 WO2008149807
国際出願日 平成20年5月30日(2008.5.30)
国際公開日 平成20年12月11日(2008.12.11)
優先権データ
  • 特願2007-143225 (2007.5.30) JP
発明者
  • 粂 昭苑
  • 白木 伸明
  • 梅田 香穂子
  • 粂 和彦
出願人
  • 国立大学法人 熊本大学
発明の名称 ES細胞の分化誘導方法 コモンズ
発明の概要


本発明の課題は、ES細胞を確実に肝細胞に分化させるためのシステムを確立することで
ある。本発明によれば、M15細胞の存在下で哺乳動物由来のES細胞を、アクチビン、及び
bFGFの存在下で培養した後に、デキサメタゾン、HGF、及びオンコスタチンMの存在下で培
養することを含む、ES細胞から肝細胞へと分化誘導する方法が提供される。

従来技術、競合技術の概要



胚性幹(ES)細胞は、胚盤胞の内細胞塊(ICM)に由来する多能性細胞である。ES細胞は未分化状態では無制限に培養でき、刺激されると多様な細胞型に分化できる。ES細胞のin vitro分化の研究によれば、ES細胞は神経細胞、造血性細胞、ならびに膵臓や肝臓などの内胚葉系の細胞への誘導が可能である。多くの研究結果が示唆するように、ES細胞は通常の発生段階を再現するため、発生生物学での初期誘導プロセスのin vitro分析、細胞療法、肝毒性研究への応用標的、創薬における薬物代謝研究に使用できる(非特許文献1及び2)。




肝臓は、炭水化物代謝、尿素および脂質代謝、必須栄養素の貯蔵、ならびに薬物の生体内変換などの複雑な機能を有する重要な臓器である。薬物の生体内変化には、親分子よりも代謝産物の毒性が強い場合、解毒だけでなく生体内活性化も含まれる。従って、創薬プロセスの初期段階で、薬物の生体内変化は重要な役割を果たす。初代培養は、短命で、長期間、培養を維持することができない。さらに初代培養では、ドナー由来の変異がかなり大きい。ES細胞は、新たな薬物をスクリーニングする戦略の開発のために大量の細胞を常に用意できるという点で魅力的な原料である。




脊椎動物の肝臓は、腹側前腸内胚葉から発生する。腹側前腸内胚葉の組織からは他に、肺、膵臓、甲状腺が発生する(非特許文献3及び4)。これまでの研究結果から、腹側前腸のさまざまな部位は、その下にある中胚葉からのシグナルによって領域化されていることが判明しているが、特定の内胚葉組織が発生する機序に関しては十分には明らかになっていない。WellsとMeltonの研究によれば、外中胚葉からのシグナルが内胚葉を領域化し、内胚葉が特定の特質を獲得する。その後、脊索に由来するシグナルが背側膵に強いシグナルを送る。他方、心臓中胚葉および横中隔間葉に由来するFGFとBMPは心臓誘導ならびに肝臓遺伝子発現と内胚葉増殖に必要不可欠であることが示された(非特許文献5及び6)。心臓中胚葉由来のFGFシグナルは上腹側内胚葉の運命を膵臓ではなく肝臓へと変化させる(非特許文献7)。




ES細胞がin vitroとin vivoの両方で肝細胞へ分化誘導されたことを報告する研究がある。in vitroでの手法には、肝臓器官形成誘導に必要な微小環境を模倣した胚様体の形成(非特許文献8及び9)や、肝細胞分化にとって重要な特定の成長因子やサイトカインを使用した処理(特許文献10)がある。また、ES細胞と胎児性間葉細胞の共培養により、ES細胞が肝細胞に分化することが判明している(特許文献11)。最近の研究では、BMP4を使用したES細胞由来の幹細胞のin vitroでの作成が報告されている(非特許文献12)。こうした研究結果は有望ではあるものの、肝細胞の発生が不完全であるために十分量の肝細胞を作成するには至っていない。




また、特許文献1には、支持細胞の存在下で哺乳動物由来のES細胞を培養することを含む、ES細胞から内胚葉系細胞へと分化誘導する方法が記載されている。





【特許文献1】国際公開WO2006/126574号公報

【非特許文献1】Davila, J. C., Cezar, G. G., Thiede, M., Strom, S., Miki, T.and Trosko, J. (2004). Use and application of stem cells in toxicology. Toxicol Sci 79, 214-23.

【非特許文献2】Kulkarni, J. S. and Khanna, A. (2006). Functional hepatocyte-like cells derived from mouse embryonic stem cells: a novel in vitro hepatotoxicity model for drug screening. Toxicol In Vitro 20, 1014-22.

【非特許文献3】Wells, J. M. and Melton, D. A. (1999). Vertebrate endoderm development. Annu Rev Cell Dev Biol 15, 393-410.

【非特許文献4】Zaret, K. S. (2000). Liver specification and early morphogenesis. Mech Dev 92, 83-8.

【非特許文献5】Jung, J., Zheng, M., Goldfarb, M. and Zaret, K. S. (1999). Initiation of mammalian liver development from endoderm by fibroblast growth factors. Science 284, 1998-2003.

【非特許文献6】Rossi, J. M., Dunn, N. R., Hogan, B. L. and Zaret, K. S. (2001). Distinct mesodermal signals, including BMPs from the septum transversum mesenchyme, are required in combination for hepatogenesis from the endoderm. Genes Dev 15, 1998-2009.

【非特許文献7】Deutsch, G., Jung, J., Zheng, M., Lora, J. and Zaret, K. S. (2001). A bipotential precursor population for pancreas and liver within the embryonic endoderm. Development 128, 871-81.

【非特許文献8】Asahina, K., Fujimori, H., Shimizu-Saito, K., Kumashiro, Y.,Okamura, K., Tanaka, Y., Teramoto, K., Arii, S. and Teraoka, H. (2004). Expression of the liver-specific gene Cyp7a1 reveals hepatic differentiation in embryoid bodies derived from mouse embryonic stem cells. Genes Cells 9, 1297-308.

【非特許文献9】Heo, J., Factor, V. M., Uren, T., Takahama, Y., Lee, J. S., Major, M., Feinstone, S. M. and Thorgeirsson, S. S. (2006). Hepatic precursors derived from murine embryonic stem cells contribute to regeneration of injured liver. Hepatology 44, 1478-86.

【非特許文献10】Teratani, T., Yamamoto, H., Aoyagi, K., Sasaki, H., Asari,A., Quinn, G., Sasaki, H., Terada, M. and Ochiya, T. (2005). Direct hepatic fate specification from mouse embryonic stem cells. Hepatology 41, 836-46.

【非特許文献11】Ishii, T., Yasuchika, K., Fujii, H., Hoppo, T., Baba, S., Naito, M., Machimoto, T., Kamo, N., Suemori, H., Nakatsuji, N. et al. (2005). In vitro differentiation and maturation of mouse embryonic stem cells into hepatocytes. Exp Cell Res 309, 68-77.

【非特許文献12】Gouon-Evans, V., Boussemart, L., Gadue, P., Nierhoff, D., Koehler, C. I., Kubo, A., Shafritz, D. A. and Keller, G. (2006). BMP-4 is required for hepatic specification of mouse embryonic stem cell-derived definitive endoderm. Nat Biotechnol 24, 1402-11.

産業上の利用分野



本発明は、ES細胞の分化誘導方法に関する。より詳細には、本発明は、特定の支持細胞として用いてES細胞を肝細胞へと分化誘導する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】M15細胞の存在下で哺乳動物由来のES細胞を、アクチビン、及びbFGFの存在下で培養した後に、デキサメタゾン、HGF、及びオンコスタチンMの存在下で培養することを含む、ES細胞から肝細胞へと分化誘導する方法。
【請求項2】M15細胞の存在下で哺乳動物由来のES細胞を培養する際にさらにBMP4を添加して培養する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】ES細胞をアクチビン、及びbFGFの存在下で培養した後に、アクチビン、及びbFGFの添加を中止して、デキサメタゾン、HGF、及びオンコスタチンMの存在下で培養することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】哺乳動物由来のES細胞がマウス、サル又はヒト由来のES細胞である、請求項1から3の何れかに記載の方法。
【請求項5】請求項1から4の何れかに記載の方法によりES細胞から肝細胞へと分化誘導する工程、及び分化誘導された肝細胞を蛍光標識によるフローサイトメトリー(FACS)によって分離する工程を含む、ES細胞から分化誘導された肝細胞を取得する方法。
【請求項6】M15細胞の存在下で哺乳動物由来のES細胞を、アクチビン、及びbFGFの存在下で培養した後に、デキサメタゾン、HGF、及びオンコスタチンMの存在下で培養することによってES細胞から肝細胞へと分化誘導する際に、被験物質の存在下でES細胞を培養し、被験物質の非存在下でES細胞を培養した場合における肝細胞への分化誘導の程度と被験物質の存在下でES細胞を培養した場合における肝細胞へと分化誘導の程度とを比較することを含む、ES細胞から肝細胞へと分化誘導を促進又は阻害する物質をスクリーニングする方法。
【請求項7】被験物質が成長因子又は低分子化合物である、請求項に記載のスクリーニング方法。
【請求項8】肝細胞で発現するマーカーの発現量を指標として、肝細胞へと分化誘導の程度を測定する、請求項又はに記載のスクリーニング方法。
【請求項9】哺乳動物由来のES細胞がマウス、サル又はヒト由来のES細胞である、請求項からの何れかに記載のスクリーニング方法。
産業区分
  • 微生物工業
  • 薬品
  • 治療衛生
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
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