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エルロチニブの副作用又は薬効を判定する方法 コモンズ

国内特許コード P120006543
整理番号 09012AA
掲載日 2012年1月30日
出願番号 特願2009-116385
公開番号 特開2010-263810
登録番号 特許第5560456号
出願日 平成21年5月13日(2009.5.13)
公開日 平成22年11月25日(2010.11.25)
登録日 平成26年6月20日(2014.6.20)
発明者
  • 濱田 哲暢
  • 佐々木 治一郎
  • 齋藤 秀之
  • 興梠 博次
出願人
  • 国立大学法人 熊本大学
発明の名称 エルロチニブの副作用又は薬効を判定する方法 コモンズ
発明の概要 【課題】非小細胞肺癌治療薬エルロチニブの薬効又は副作用と関連性のある遺伝子多型を同定し、その遺伝子多型を利用して、エルロチニブの副作用又は薬効を判定する方法を提供すること。
【解決手段】ABCB1(P-糖蛋白質)遺伝子に存在する少なくとも一種の遺伝子多型を検出することを含む、非小細胞肺癌治療薬エルロチニブの副作用又は薬効を判定する方法。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要



進行・再発非小細胞肺癌の治療薬として上皮増殖因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)が開発され、現在実地臨床で使用されている。EGFR-TKIには2つの薬剤があり、日本ではゲフィチニブとエルロチニブ両薬剤が、一方欧米ではエルロチニブが主に用いられている。





欧米人対象の大規模臨床試験の結果では、エルロチニブはプラセボと比較して生存期間中央値を2ヶ月間延長させ(エルロチニブ群6.67ヶ月、プラセボ群4.70ヶ月、P <0.01)、延命効果が証明された。また奏効率(腫瘍の最長径が30%以上小さくなった患者の割合)は8.9%、無増悪生存期間は2.2ヶ月で、これらについてもプラセボ群を上回っていた。同試験での多変量解析により、腺癌、非喫煙者、EGFR発現が腫瘍縮小と相関することが報告された。一方、近年の報告ではエルロチニブの副作用である皮膚障害の程度が効果と関連することが報告されており、欧米の研究者の中ではグレード2以上(有害事象共通用語基準Ver3日本語訳)の副作用を呈することが臨床効果を得るのに必要と考えられている。すなわち、実地医療において皮膚障害の程度で効果を予測することが検討されており、副作用を指標にエルロチニブの増量も検討されている。すなわち、皮膚障害であるSkin rashの発現はEGFRを生体内において効率的に阻害している証拠とも考えられるため、本手法は理にかなっていると推定される(Wacker B et al. Clin Cancer Res, 13:3913(2007))。





エルロチニブの臨床試験成績より最も懸念される副作用である間質性肺炎はゲフィチニブと同程度と考えられているが、皮膚障害、下痢、食欲不振(消化器症状)、全身倦怠感はゲフィチニブと比較して頻度が高く、特に皮膚障害はより重篤であると言われている。重篤な皮膚障害の発生は投与量の減量あるいは休止をせざるを得ない副作用の一つであるが、前述したような皮膚障害の発生と生存期間延長との関連性に着目すると、この副作用の発生は効果の予測因子であるため、皮膚障害発生時にはステロイド軟膏などを用いた対処療法で対応しつつ、投与を継続することが望ましいとの報告もある。以上を纏めると、エルロチニブ投与における皮膚障害の発生の予測の臨床的意義は、1)投与中止や大幅な減量を避けつつ毒性回避のための最適投与量の推定を行える、2)ハイリスク患者に対して予め最小毒性投与量を調整できる、3)皮膚障害の発生は効果の予測因子でもあるため、エルロチニブの臨床効果を予測できる、の3点に集約できる。





皮膚障害と相関する因子として、喫煙、用量、血中濃度が考えられる。喫煙はエルロチニブの不活性酵素であるチトクロームP-450のアイソソームであるCYP1A2を誘導するため血中濃度が低下すると報告されている。欧米では皮膚障害の程度を指標に投与量を倍量の300mgが検討されている。また、血中濃度と皮膚障害の関連も報告されており、最高血中濃度と血中濃度ー時間曲線下面積(AUC)が相関するとの報告もある。





そのことから、血中濃度を予測する方法として体内動態に影響を与える薬物代謝関連酵素の遺伝背景に着目した薬理遺伝学的解析(Pharmacogenetics解析)が行われている。Rudinらは、EGFR,CYP3A4,CYP3A5,CYP3A4-CYP3A5のdiplotypeおよびABCG2について検討をしている(Vol.26, 1119-1127, J Clin Oncol, 2008)。彼らの報告では、ABCG2のpromoter regionに含まれる-15622C/Tと1143C/Tのdeplotypeが重要と報告している。また、EGFRの発現量と相関があるとされるEGFR intron 1 polymorphismの関連も示唆されている。





現在、エルロチニブの副作用を予測する因子として体格、エルロチニブ血中濃度、性別、前治療の特性、肝機能、腎機能などが検討されており、本発明である遺伝子解析が実施されているが明確な因子は現在見出されていない。

産業上の利用分野



本発明は、特定の遺伝子多型を検出することを含む、非小細胞肺癌治療薬エルロチニブの副作用又は薬効を判定する方法、及び非小細胞肺癌治療薬エルロチニブを投与する患者の選別方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
ABCB1(P-糖蛋白質)遺伝子の1236番目の塩基におけるC/Tの多型、 ABCB1(P-糖蛋白質)遺伝子の2677番目の塩基におけるG/T(A)の多型、及びABCB1(P-糖蛋白質)遺伝子の3435番目の塩基におけるC/Tの多型を検出し、上記3種の塩基が何れもTではない場合には、非小細胞肺癌治療薬エルロチニブの副作用がないと判断し、上記3種の塩基が全てTである場合には、非小細胞肺癌治療薬エルロチニブの副作用があると判断することを含む、非小細胞肺癌治療薬エルロチニブの副作用を判定する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法により判定した非小細胞肺癌治療薬エルロチニブの副作用の情報に基づいてエルロチニブを投与する患者を選別することを含む、エルロチニブを投与する患者の選別方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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