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高張電解質溶液による生体組織の脱細胞化処理方法

国内特許コード P120006605
整理番号 S2009-0235
掲載日 2012年2月6日
出願番号 特願2010-030777
公開番号 特開2010-221012
登録番号 特許第5610268号
出願日 平成22年2月16日(2010.2.16)
公開日 平成22年10月7日(2010.10.7)
登録日 平成26年9月12日(2014.9.12)
優先権データ
  • 特願2009-041827 (2009.2.25) JP
発明者
  • 榊原 俊介
  • 橋川 和信
  • 石田 泰久
  • 寺師 浩人
  • 田原 真也
出願人
  • 国立大学法人神戸大学
発明の名称 高張電解質溶液による生体組織の脱細胞化処理方法
発明の概要 【課題】細胞毒性のある化学物質を使用することなく、採取した生体組織からより効果的に脱細胞化処理する方法を提供し、脱細胞化された脱細胞化生体組織スキャホールドを提供する。さらには、得られた脱細胞化組織スキャホールドを担体として調製される生体組織再生材料を提供する。
【解決手段】採取した生体組織を、凍結融解処理することなく高張電解質溶液で処理し、その後等張電解質溶液で処理することで、効果的に脱細胞化処理でき、得られた脱細胞化組織スキャホールドを担体として生体組織再生材料を再生することができる。
【選択図】図4
従来技術、競合技術の概要



再生医療とは、疾病や損傷により機能低下や機能不全に陥った組織・臓器に対して、細胞の再生機能を有効に活用して組織・臓器の機能を再生させる医療をいい、例えば培養した細胞や人工的に構築された組織を用いて、失われた組織や臓器の機能・形態を修復・再現する医療をいう。





移植では自己の組織を自己に移植する自家移植と自己以外の組織を移植する他家移植があり、他家移植には、例えばヒトの場合に、自己以外のヒトの組織を移植する同種移植と、ヒト以外の組織を移植する異種移植がある。自己以外の組織を移植する場合は、免疫反応などによる拒絶の問題がある。





例えば外傷や腫瘍切除に伴って機能上重要な末梢神経を欠損することがあるが、そのような場合に、再生医療や組織移植などが施される。多くの場合は、自己の他の部位の神経を犠牲にする自家神経移植が行われるが、近年人工神経の開発も試みられている。また、動脈硬化、大動脈瘤、動脈閉塞症などの血管に係る疾患の治療のために、人工血管の移植によるバイパス術を行う場合がある。皮膚では、例えば重症熱傷に対する培養表皮の移植術が行われており、臨床応用が展開されつつある。





神経損傷例では、末梢神経再建のために自家末梢神経が多く用いられるが、採取される神経の機能喪失が問題となる。この場合に、理想的な口径と長さの神経を採取することは困難であることが多い。これらの諸問題を克服するために人工神経の開発が行われてきた。組織的な互換性(biocompatibility)、吸収性、膜の透過性、細胞を保持できる細胞外マトリクス(Extracellular matrix: ECM)が、効率的な神経再生に必須と考えられ、様々な材質を用いた人工神経の開発が試みられている。しかしながら、化学合成によって作製された人工神経は生体が本来備えている基底膜などの三次元的構築を模することができても、再現することができない。一方、脱細胞化神経では細胞外マトリクスを残存させるために三次元構築を保存することができ、有用な人工代替神経となる。脱細胞化には大きく界面活性剤を用いる方法(非特許文献1,2,3)と凍結融解を繰り返す方法(非特許文献4)とがある。界面活性剤法では細胞に有害な化学物質を用い、また細胞外マトリクスの破壊を逃れることができない。凍結融解法では脱細胞化効率に乏しく、残存する細胞残骸が拒絶反応を引き起こすと考えられている。





血管再建では、小口径血管を必要とする血行再建術の際に、伏在静脈をはじめとする自家血管が用いられることが多い。この場合に、適切な口径でないことや、採取した血管が病変を併発していることなどが多く、目的に適合した口径と長さの血管組織の採取が困難である。これらの諸問題を克服するために、様々な材質の人工血管の開発が試みられている。しかしながら、人工血管では直径6mm以上の口径を有する人工血管は実用化されているものの、それ以下の口径である小口径血管については、強度や血栓形成の問題に阻まれている。脱細胞化血管による代替人工血管に関する研究も行われてきたが(非特許文献5,6)、有用な小口径人工血管についてはまだ報告されていない。





人工皮膚に関しては、1975年ごろより表皮細胞をシート状に培養する方法が開発されて以来、熱傷や創傷などの欠損した皮膚組織の再建手段として研究が進められてきた。しかし、当初の培養表皮シートは、真皮成分を含まないことから全層皮膚欠損創では滲出液や細菌の汚染により生着率が悪く、生着しても水疱や潰瘍を生じやすいことが問題であった。培養皮膚組織では真皮成分の重要性が認識され、今日まで様々な真皮材料を細胞の足場(担体)とした培養皮膚が開発されてきた。皮膚組織の脱細胞化方法としては、真皮層から表皮層を剥離したのちに真皮内の残存細胞を除去する方法が各種試みられてきた。真皮内の残存細胞の除去方法としては、界面活性剤であるSDSなどを用いる方法が良く知られている。米国で製品化されている同種脱細胞化真皮スキャホールド、AlloDerm(R)(Life Cell社)は、1M塩化ナトリウムとSDSで処理したものである(非特許文献7)。しかし、界面活性剤法では細胞に有害な物質を用い、また細胞外マトリクスの破壊を逃れることができない。凍結融解法では脱細胞化効率に乏しく、残存する細胞残骸が拒絶反応を引き起こすと考えられている。改善された方法として、採取した皮膚組織を凍結融解した後、高張食塩水で処理することで表皮と真皮とに分離した後、等張緩衝液を持続的に流しかけることにより真皮内細胞を除去する工程を含む皮膚組織の脱細胞化方法に関す技術が開示されている(特許文献1)。しかしながら、表皮と真皮を分離することなく、真皮内細胞を除去する脱細胞化処理方法については報告がない。

産業上の利用分野



本発明は、採取した生体組織を脱細胞化する方法に関し、さらには脱細胞化後の脱細胞化生体組織スキャホールドおよび再生医療への応用を視野に入れた脱細胞化生体組織スキャホールドを担体として調製される生体組織再生材料に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
採取した生体組織を、凍結融解処理を行わないで、以下の工程を含む方法により処理することを特徴とする生体組織の脱細胞化方法:
1)採取した生体組織を、0.5~2Mの塩化ナトリウム溶液または0.5~2Mの塩化マグネシウム溶液高張電解質溶液で、14~42℃の温度条件で処理する工程;
2)上記高張電解質溶液処理後の生体組織を等張電解質溶液で、14~42℃の温度条件で処理する工程。

【請求項2】
上記1)の工程において、0.5~2Mの塩化ナトリウム溶液または0.5~2Mの塩化マグネシウム溶液の高張電解質溶液での処理条件が、80~160回転/分の振盪条件で、12~48時間処理する、請求項1に記載の生体組織の脱細胞化方法。

【請求項3】
上記2)の工程において、等張電解質溶液での処理条件が、80~160回転/分の振盪条件で、120~188時間処理する、請求項1または2に記載の生体組織の脱細胞化方法。

【請求項4】
採取した生体組織が、神経組織、血管組織または皮膚組織である、請求項1~3のいずれか1に記載の生体組織の脱細胞化方法。

【請求項5】
請求項1~のいずれか1に記載の生体組織の脱細胞化方法を用いる、脱細胞化生体組織スキャホールドの作製方法。

【請求項6】
生体組織再生材料の担体として、請求項に記載の方法で作製される脱細胞化生体組織スキャホールドを担体とし調製される生体組織再生材料の調製方法

【請求項7】
生体組織再生材料が、人工神経用、人工血管用または人工皮膚用の再生材料である請求項に記載の生体組織再生材料の調製方法
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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